ちば環境情報センター
2000.10.6 発行    ニュースレター第39号

代表:小西由希子


目次
  1. Kio estasー環境教育?
  2. 干潟での観察の新アプローチ

Kio estasー環境教育?

 千葉県環境教育研究会代表 田島 澄雄 

環境教育の目的を「持続可能な社会を構築するために行動がとれる人間の育成」としたならば、環境教育とは何でしょうか。私は、機会があるたびに「21世紀の地球環境についてどのように考えますか。」とたずね、「心配」か「心配でない」かを6段階で答えてもらうことにしています。面白いことにどこでも「心配でない」と答える人がいます。その人達の理由は概ね次のようなものです。
・自分の生きている間は石油はなくならない。
・その時代には自分は生きていないから関係ない。
・人類が滅んで行くのを黙ってみているほど人間はバカではなく、やがて解決するだろう。
・環境問題があっても自然淘汰で適応した人間だけが生き残っていく。
・人類が滅んでも地球にとっては何ら関係ない。
 「これはおかしいぞ」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、こうした考え方はすべての人が多少なりとも心の片隅に抱いている事なのではないでしょうか。それではこの考え方を由とするのかと言いますと、実はこの考え方が大問題なのではないでしょうか。環境問題は事象、現象として現れている訳ですが、その根源は人間の心の中に巣くっている問題なのかも知れません。また、「環境問題を起こしたのは誰ですか。」と聞いてみますと、間違いなく100%の人が「人間である」と答えます。
この2つのことからしても、環境教育で扱うべき重要な内容の一つとして「人間そのもの」、しかも人間の「心」があると思うのですがいかがでしょうか。それでは「人間」や「心」を扱っている教育を行っているかと言いますと、現実にはなかなか難しいものです。例えば、ゴミや空き缶拾いに代表されるようにリサイクルを扱った学習で消費生活や便利の名の元に大量のゴミを生産し、アルミ缶文化を支えている消費者の心理などを扱うかと言いますと、美化運動に重点が置かれているようです。または、アルミ缶工作のためにわざわざお父さんにビ−ルを飲んでもらったりすると言うことが起きているようです。リサイクルの発想のなかには現在の生活スタイルは棚に上げといて、目の前にあるゴミを処理しようとする考え方があるように思います。私は、そうではなくて、環境教育とは、環境問題を引き起こさないような社会を皆で考え作り上げて行こうとする人間を育てるためのものであると考えます。ですから、リサイクルを前提にした教育ではないのではないかと思います。
 最近考えていることを、思いつくままにしたた認めてみます。
@ 「世代間の公平」「同世代間の公平」  狭い範囲(自分の家・町など)に止まっていたり、時間の経過がなかったならば環境問題はまったくないと言ってもいいのではないでしょうか。すなわち、地球的な広がり、過去から現代・未来へと続く時間の経過が意識されなければ、正確な環境問題の把握は困難です。そこで、私は勝手に地球的広がりを「水平軸」、時間経過を「時間軸」として、これらの意識を広げさせて上げることが大切であると考えています。例えば、先の解答結果からは、時間軸の捕らえ方が人によってまちまちであることが分かります。持続可能な社会といった場合の持続とはどのくらいの持続時間なのでしょうか。ある程度の時間軸の共有が必要です。そこから話し合いをしなければなりません。その時間とは一人の人間の一生ではないでしょうし、かと言って、人類が進化して他の生物になってしまったり、太陽が赤色矮性になってしまうほどの時間でもないでしょう。数百年、せいぜい数千年でしょう。数千年は永いような気がしますが、ピラミッド建設の時代の豊かであった森林の消失等は現在の世代もその影響を受けていることからもうなずけます。
 また、狭い範囲で物事を考えていたならば環境問題は見えて来ません。必要なものは買って来ればいいですし、ゴミなどは市が処分してくれます。実は自分の生活を支えているもののほとんどの部分は見えていないのです。そこで水平軸に視野を広げさせることが重要です。
A 「環境倫理」  決して会うことのない未来の人々の権利を考えたり、人間以外の生命の生きる権利や山や川の存在権を考えたりするという概念が生まれて来たことはすばらしいことだと思います。
 環境教育は、私たちに広い視野を与えてくれました。その根底にあるものはすべてのものに対する愛であると
思います。ネイティブ・アメリカンの汎信論などが注目されている理由がなんとなく分かるような気がします。
 ところが環境教育はすべてのものを視野に入れた教育ではありますが、所詮は人間のためのものであり、他の生命のものではありません。人間のいない地球を前提にはしていないのです。      (千葉市立真砂第三小学校)


干潟での観察の新アプローチ

練馬区光が丘 為貝 和弘 

先日、鳥類保護連盟主催の船橋海浜公園での観察会に行ってきました。通常の干潟観察会というと干潟の生き物を採集し、その説明をして生物の宝庫としての干潟とその役割の重要性について感じとってもらうというようなものだと思っていましたが、今回のは少し違っていました。
まず、干潟をプロミナで見てそこにいるシギ・チドリ・カモメ・サギ類の説明をします。そこで嘴の長さや餌採りの違いなどを観察させます。それから、干潟に入って干潟の表面・1cmの深さ・3cmの深さ・10cmの深さで見られる生き物を採集し(それらが前記の鳥達が食べているものに対応していると考える)、鳥の側から見た干潟というものを考えてもらうという企画でした。こういったアプローチもなかなか面白いかなと感じた観察会でした。


事務局からのお知らせ

学習会「都川はいま・・・」
−専門家と市民からみた都川 その望ましい姿−
千葉市を流れる都川 生き物に配慮した河川改修のあり方など、専門家による調査結果を基に考えます
日時:2000年10月18日(水) 18:30〜20:30
会場:千葉市文化センター 9階第2,3会議室
コメンテーター:中村俊彦氏(千葉県立中央博物館)
パネラー:斉藤正一郎氏,田中正彦氏,
越川重治氏,小西由希子氏 
コーディネーター:川本幸立氏  参加費:300円(資料代)
主 催:ちば・谷津田フォーラム
素敵なホームページ紹介
ちば環境情報センターの会員で、ニュースレターやメダカカードにかわいいカットを描いてくれている松下優子さんが、谷津田に関するすてきなホームページを開きました。谷津田の概念から生き物の話,また子供向けのお話や谷津田クイズなど、得意の絵をふんだんに盛り込み、谷津田を楽しみながら勉強できるようになっています。一度覗いてみてください。
松下優子ホームページ:谷津に行こう!http://www11.u-page.so-net.ne.jp/kf6/matsu-ey/yatu/home.html
プレーパーク学習会 第2回 
「ほしい公園をデザインしよう!!」
日時:2000年11月9日(木)9:40〜12:00
会場:四街道和良日自治会館 参加費:1,000円
主催:プレーパークを作る会  託児有り(200円)
連絡先:043-433-0987(古川
谷津田写真・スケッチ展の作品募集!!
 2000年11月19日に開催される環境シンポジウム2000千葉会議の会場で行われる「谷津田写真とスケッチ展」の作品を募集しています。この機会に、谷津田の景観やそこに生きる生き物たちの写真・スケッチを、皆さんに紹介してください。
サイズ:特に制限はありませんが、写真ならキャビネ版以上がよいでしょう
送付先・問い合わせ先:ちば環境情報センター
   〒260-0013千葉市中央区中央1-6-9
   TEL&FAX:043-223-7807
応募締切り:2000年11月10日
主催:ちば・谷津田フォーラム
作品は写真・スケッチ展当日にお返しいたします。返送希望の方はご連絡ください。
環境シンポジウム2000千葉会議
地球温暖化,ゴミ問題,谷津田・里山の保全,環境学習など5つの分科会に分かれて、環境問題の今と将来を考える。
日時:2000年11月19日(日) 10:00〜16:30
会場:富士通幕張システムラボラトリ
講演:ケビン・ショート氏(第3分科会)
参加費:500円,同封の申込書で申し込みを
主催:環境シンポジウム2000実行委員会,
(財)千葉県環境財団 
後援:ちば環境情報センター,ちば・谷津田フォーラムほか

編集後記:千葉市中央区の本町二丁目交差点にあるイチョウ並木に、今年もたくさんのムクドリとスズメがねぐらをとっています。イチョウの葉の色づきとともに、にぎやかな彼らともしばしお別れです。     mud-skipper