ちば環境情報センター
2001.7.6 発行    ニュースレター第48号
代表:小西由希子

目次
  1. 田んぼ、農業、食べもののこと、みんなで考えよう!
  2. 食は地球を救う
  3. 七里川渓谷の探検日記 
  4. 旅と環境   その5 すずめのいない国
  5. ほ た る
  6. トヨタ・エイブルアート・フォーラム千葉 
  7. 産業廃棄物不法投棄の現場を見て

田んぼのこと、農業のこと、食べもののこと、みんなで考えよう!

〜〜「土の学校」レポート〜〜 

 「土の学校」主宰 千葉市稲毛区 星野 智子

「土の学校」は農業、農村文化、環境教育などに関心のある人たちが集まって6年前から実施している「お米づくり体験学習」です。田植え、草取り(2回),稲刈り,収穫祭のほか、畑作業、自然観察会やバーベキュー交流会、郷土料理体験なども併せて行っています。山武町実門(さねかど)の有機農家である越川さんから10aの田んぼを借りて、生産者の皆さんと交流しながらお米作りを体験します。自分の手で植え、鎌で刈り取るお米の味は格別です。今年は大人43人、小中学生16人、乳幼児13名の合計72人が集まりました。5月13日には無事田植えを終え、6月10日には草取りをしました。今回はその日の様子をレポートします。
6月10日(日)曇り天気にも恵まれ(暑すぎもせず、雨にも降られず)、楽しい一日でした。まず草取り。自分たちの植えた苗の列は少し曲がっていますが、元気に成長していました。ぬるい水と泥の田んぼの中に足を入れると最初、小さい子どもの中にはびっくりした子もいましたが、なんとか慣れてくると順調に。「土の中に酸素を入れてあげるような感じで。だから子どもが歩くだけでもいいんだよ。」と生産者さんは言います。眼をこらして田んぼの中を眺めると小さな虫たちがたくさん!お玉じゃくしはもう足が生えているのがほとんどでした。子どもたちは脇に流れる小川でザリガニを捕っていました。
午後には畑の作業体験。畑ではカブ抜き、スイカやらっきょう、落花生の畑の様子を案内していただきました。公民館から田んぼの脇を抜けてバス通りに出たところを左に曲がって上がっていった丘の上にありました。はじめに見せていただいたカブ畑は、道から右に入っていきました。カブは、1列(畝)に5玉くらい植えられ、寒冷紗のトンネルが被っていました。これが3畝分残っていて、「どれでも自由にもいでってよ」と。どれも立派に育っていて、寒冷紗のトンネルのおかげで葉の虫喰いも全然ない。新鮮で水々しくて、申し訳ないほど。ところが聞くと、これらのカブはもう出荷しないとか。生産・受注の調整がうまくつかなかったため、出荷できなくなったとのことでした。
こういう出荷されない野菜こそを直接販売してもらいたいと思いつつも、「いいから持っていってよ」という越川さんのお言葉に甘えてしまいました。昨年、雹(ひょう)の悪影響に対して農家を支援しようと、痛んだ野菜があれば買わせてくださいとお願いしたことがきっかけで、今は帰る前に野菜を持ち寄ってもらって直売タイムを実施しています。生産者さんにしてみると、半端な野菜は売れないというプライドもあるのかもしれないのでしょうが、もらう一方の関係から(生産者・消費者が)少しでもお互いに得ることができるような、そんな関係づくりをこれからもしっかりつくっていければ、と感じました。


食は地球を救う

 千葉市中央区 及川 久美子

先日の総会後の交流会で、皆様にジャガイモを使わない"ひえ"のコロッケを相伴頂きました。いかがでしたか?「なんじゃ?こりゃ!」と思われた方もいるかも知れませんが、不満なのは舌だけで、一度体に入れば細胞の一つ一つは喜んでいる筈ですよ。私たちの先祖は何世紀もの間、米や雑穀を食べ、現代の日本人の遺伝子を造り上げてきたのですから。
戦後の食生活の激変で、私たちのからだは悲鳴をあげ、いろいろな病気を併発し、子供たちはアレルギーに苦しんでいます。地球も同じです。肉牛を育てることは莫大な飼料・即ち広大な耕地を必要とし、それだけで自然破壊となります。が、それだけにとどまりません。肉を食べるとコーヒーがおいしくなります。食のバランスとして自然なことです。今まで肉を食べなかった民族が肉を食べ始めたことによってコーヒーの需要が高まり、ブラジルでは森林を伐採し、コーヒーの栽培に追われています。食材の多くを輸入に頼っている日本ではそういう現実は見えにくいですが、知らないで済まされる問題でしょうか。またアメリカの医療の最先端では、今や飽食による病気の治療研究におわれてしまい、本当に貧困や難病に苦しむ民族を救済できていないという状況です。
本当に豊かな食とはなんでしょう?自分の健康のため、地球の未来のために正しい判断が問われています。先ず、舌の欲望に惑わされず、現代栄養学に振り回されず、からだの声に耳を澄ますことから始めてみませんか。あなたのからだは答えを知っています。
さあ、これを読んでひえコロッケが食べたくなった方、どうぞご一報下さい。一緒に揚げたてのあつあつを食べましょう!


七里川渓谷の探検日記 

                  市原市 南川 忠男

6月9日、ちば環境情報センター主催の七里川渓谷観察会「マタタビの花に出会う」に参加しました。雨の日が続き、天気が心配されましたが、曇りで強い日射しも避けられ、絶好の探検日和でした。千葉に住んで初めて電車で上総亀山まで久留里線に乗りました。現地までは車に便乗させてもらい、駐車した所は皮膚病や疲労に効く七里川温泉で、帰りはひと風呂浴びるのかなあともう期待しました。
総勢8名の中には鴨川市からいらした前田先生の姿もありました。日本の蝶240種をすでに小学生の時に識別でき、他の昆虫にも詳しい先生です。私には珍しい多くの動植物を見ました。マタタビという葉が白く、エゴノキと同じように下序裂花の可憐な花,アオサナエという羽の付け根のところだけ蛍光青緑色の斑紋のトンボ,ミドリヒョウモンという柔らかなくるみ色に緑の紋の蝶,ウラギンシジミという銀色のシジミチョウ,シロコブゾウムシそしてカジカガエルも初めてです。
昼食は川の中洲や川原で、すぐ近くでカジカカエルの鳴く声とせせらぎの音を聞きながら、ビールあれば最高だなあと思いながら、(便乗させてもらっているひけ目もあり持ち込むのも気が引けた)楽しくしゃべりながら食べました。田中先生はこのカエルに30cmまで近寄り接写していました。人間と目があってから全く鳴かなくなり、残念でした。
食後更に1qくらい道を登り、吊橋で川面をみていると下流からかわせみが飛んできました。この日2回目のかわせみでした。なんと美しい鳥だろう。橋をわたって山道を50m歩いた地点でヤマビルの大群が全員の靴を登ってくるのを発見し、あわててこすり落として引き返しました。ゴム長を履いていけばよかった。知っている方々は履いていたのだが。私はこの時1匹だけ見逃し、靴下の上からたっぷり血を吸われたのに気がついたのは、シャワーを浴びた時でした。ほっとけば腹一杯になるまで吸うと田中先生に言われていたことを思い出し、10分の1くらい失神しそうになりました。
だんだんと生息域を狭められている生き物もまだこの君津の山奥ではのびのび暮らしているように見え、見る人間もリラックスできます。生まれて初めて見る生き物に好奇心を刺激され、その生態のお話を聞いて面白くなり、ずっと森と川の中で1日をすごし、すごく楽しかった。全員で8人というのも声が行き渡るし、打ち解けやすかった。私には初対面の方が6名でしたが、(他の方もそうでしょう)探検が終わる頃は前から知り合いのようでした。豊かな自然に触れ、生き物の尊さを改めて感じた探検でした。
生き物へのいとおしさや山の大きな木や清らかな川を守ってあげたいという気持ちは人間への愛につうじるのではないかと考えます。今、凶悪な犯罪が多くなってきましたが、犯人もその行動をおこす前にこのような自然に触れ、カエルの声を聞けば気分が変わったかもしれません。森の木を伐採してゴルフ場を作るとか、貴重な浅瀬を埋める開発とかを計画する方は、数百万年かかって形成されたもう永久に帰ってこない肥沃な土壌や干潟など失う自然と、生息地を追われ繁殖ができなくなる生き物たちのことをひとりの人間として考えてほしいものです。この渓谷がダムで沈まずに済んで本当に良かった。
ちば環境情報センターは良い企画をしていると思いました。このような探検や自然の中での遊びがあればこれからも参加しようと考えています。


旅と環境   その5 すずめのいない国

千葉市稲毛区 平田 和博

一昨年の6月、中国西安・洛陽・北京を旅したときのことである。4000年の歴史をかいま見て感銘したが、自然をむさぼり食ってきたともいえよう。そう考えるのは、島国根性に凝り固まったひがみだろうか。
 西安近郊では地下水が枯れてしまい、300qものパイプラインで農業用水を運んでいるとのこと。至る所に陥没した農地や枯れた河川などを車窓から見て、人の営みのすごさを実感した。丁度、麦刈りが終わってトウモロコシの生育期に入ったようで、農薬を散布していた姿が散見された。化学肥料のお陰で飛躍的に収穫量が増えたと、中国人ガイドが誇らしげに語っていた。
 その6日間の旅で、野鳥に出会ったのは、北京で数羽の鳩が飛んでいたのを見ただけだった。訪れたどの街も街路樹が茂っており、また木々が茂った大きな公園があった。それでも、すずめなど野鳥の鳴き声が聞こえなかった。野鳥のいない畑、野鳥の鳴き声が聞こえない林、異様な感じだった。レイチェル・カ−ソンの「沈黙の春」を思い出させる光景であった。かつての大革命のとき、害鳥としてすずめを徹底的に駆除したからだとガイド
が説明していたが、あれからもう随分年月が経っている。過剰な農薬の散布が影響していると思われる。
 おそろしいことに、そのように作られた野菜を、我々が安いからと喜んで食べているのだ。抗菌だとか、減菌だと言っているのに、無神経なことだ。


ほ た る

千葉市稲毛区 志自岐 百々代

一昨年養殖ほたるの「ホタル祭」を見に行ったが、夜店の多いことと、人の多さに圧倒されて、舞台にちらばって飛ばないほたるに幻滅してしまった。
 今年はなんとしても自然のほたるに逢いたいと願っていたら、幸にも昭和の森で「ほたる観察会」のあることを知り早速申し込んだら、「どうぞ」とお許しを頂いた。車を持たない、女1人がどんなにほたるに逢いたいと思っていても、どなたかに連れて行って頂かなければ逢えるものではない。今年はいいチャンスに恵まれた。
 立入禁止の夜の公園、三十人ほどが集った。街灯はないが車道と空の明るさでなんとか歩ける。皆うきうきとおしゃべりしながら沢へ向った。「ここから気を付けて下さい」一歩森の中に入ると真暗闇である。昨日の雨でまだしめっている下り坂。後の方が電灯で照らして下さってもよほど目を凝らさなくてはおぼつかない。下ばかり見て歩いていると、前方から「電灯を消してください」と合図。顔をあげると飛んでいる。私の目の前の闇の中で、ほたるの仄かな光が点滅している。
 何年ぶりかで出会えた自然のほたるだ。私の遠い記憶のほたるは乱舞のほたるであった。竹ぼうきで狩り、ほたる籠に飼い、蚊帳の中に入れて寝たほたるであった。今年の公園のほたるはあまりにも少ない。数えられる程である。やっと命を繋いでいる。賢明でけなげで、あまりにも寂しいほたるだ。この沢の上も近く開発されると聞く。ますますほたるが遠くなる。


トヨタ・エイブルアート・フォーラム千葉 

千葉市中央区 内藤 若葉

「エイブルアート」という言葉を知っていますか?
 おもに障害を持った人々の芸術活動のことで、彼らが人間として生まれもった可能性を開花させ、その活動や作品に触れる人たちの感性をも揺さぶり、既成の芸術の概念を変えていく…。そういった「可能性の芸術」として、この名前がつけられました。彼らの既存の枠にまったくとらわれないエネルギッシュな表現は、人間の表現活動の原点を、言葉を超えてダイレクトに伝えているようです。現代人が生命感を失い、芸術の概念やありかたが問われるなか、エイブルアートは近年、たいへん注目を集めています。
 このエイブルアートのフォーラムが、エーブルアート・ジャパン、トヨタ自動車、千葉実行委員会の主催で、8月26日(日)に、船橋市勤労市民センターで開催されます。エイブルアートの活動に深く関わっているパネリストとコーディネーターを迎え、現状・可能性・課題など、活発な議論が展開されることと思います。また、関連企画として船橋市民ギャラリーで、アメリカの障害者アートも紹介する「サンフランシスコ ふなばし 現代美術国際交流展」が、8月22日〜9月2日に開かれます。
千葉実行委員会では、千葉での新しい芸術文化活動の展開をともに考え、まちづくりのネットワークを作っていくことも目指しています。当日、各団体の活動紹介のチラシ等を置くことも可能です。みなさんもぜひ、新しい可能性に出会いに、参加しませんか?! 詳細は折りこみのチラシをご覧ください。


産業廃棄物不法投棄の現場を見て

千葉市花見川区 伊原 香奈子

6月17日、市原市地域の「残土・産廃見学会」に参加できる機会に恵まれました。「千葉県の残土・産廃マップ」を作った団体(残土・産廃問題ネットワーク)の中心的活動家の井村さん(おばあちゃま)や、地質学研究者楡井(にれい)氏も同行しており、かなり中身の濃いものでした。
 ヤーさんがらみの業者に、スゴミをかけた声をかけられたり、異様な匂いの立ち込める産廃の山を見たり、谷に突き落とすように流し込まれているゴミを目の当たりにして、今まで私の関わってきたゴミ問題分野とは違う次元を垣間見させていただきました。
 地元住民の、莫大な時間や労力を費やしてまで止めさせようとするエネルギーもむなしくどんどん不法に埋められていく現実。資材置き場と銘打って、入れる資材は産業廃棄物。私有地だからと介入できないもどかしさ。雨と共に流れる水は泡立ち異臭も漂ってる。近くの田んぼは汚染され、その先にはダムがある・・。地質学の面からも、これらは極めて重大かつ早急に手を打たねばならない課題だと、楡井氏はおっしゃっていました。
 こういう現実を知ったからといって、自分にすぐ何ができるという手の届く分野じゃないけれど、知らないでは通れない大きな問題の一つであることは確かだと感じました。千葉にはまだまだ谷津を含む豊かな自然が残っていますが、野放しにしているとどんどん汚染されていってしまいます。ほんと、数ヶ月もしない間に谷は埋まり産廃富士が完成するのですっ!!そして一度汚された自然を回復させることは、無理に近い。
 どこまで歯止めが効かせていけるのか、地元住民はもちろん、市民も大いに関心を持っていく必要のある課題と思いました。


<スタッフ大募集!>
ちば環境情報センターでは、今年も千葉県と袖ヶ浦市の「夏休み環境講座」の企画と実際の運営をまかされることになりました。つきましては、講座の当日お手伝いしていただけるボランティアスタッフを募集しています。いい経験になると思いますので、ぜひ参加してください。交通費,宿泊の場合の宿泊費・食費はこちらで負担します。申込みは、ちば環境情報センター事務所まで(締め切り:7月20日)。

@夏休み子供環境講座
日時:7月28日(土)10:00
〜29日(日)15:00(一泊二日)
場所:さわやかちば県民プラザとその周辺
対象:小学4年〜中学3年の30名
内容:自然観察,エコクッキンク,ネーチャーゲーム
クラフトなどをワーショップ形式で行います。
主催:千葉県

A夏休み親子環境講座
日時:8月10日(金)
       10:00〜15:00
場所:袖ヶ浦中央公民館
および坂戸の森
対象:小学生とその親(16名)
内容:午前・エコクッキング
午後・自然観察,ネーチャーゲーム
主催:袖ヶ浦市
<四街道プレーパーク>
森の中は夏でも涼しいです!!土のにおいと緑の息吹を体で感じにきませんか? ついでにこどもたちと、こどもになってあそんでみましょう!! 子どもの頃にやった遊び、やってみたいあそびを、ひとつもってきてください。
日時:7月15日(日)
10:00〜14:00
場所:四街道市郷土の森
主催:四街道にプレーパークを作る会
【募集】林の中でロープ遊びができる人をさがしています。是非おしえてください。ブランコやロープ渡り、できれば大きなハンモックも作りたいです。
連絡先:043-433-0987(古川)
【原稿の募集】
ニュースレターの原稿を募集しています。身近な環境の話題,提言など下記に投稿してください。字数はおおむね1,200字程度で、図表や写真も可です。郵送(原稿,フロッピー),FAX,メールなどで下記にお送りください(メールでいただけるのがベストです)。ワープロなどの機種,ソフトは問いません。
【送り先】<郵 送>〒260-0013千葉市中央区中央1-6-9ちば環境情報センター,<FAX>043-223-7807
      <e-mail>QYK16306@nifty.ne.jp
【発送お手伝いのお願い】
・ニュースレター8月号(第49号)の発送を8月6日(月)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。

編集後記:6月26日会員の臼井真澄さんから、近くでヘイケボタルが発生したとの連絡が入りました。早速出かけていくと、土水路わきの草木や若稲の上をフッ,フッと明滅する青白い光が出迎えてくれました。   mud-skipper