ちば環境情報センター
2003.4.7 発行    ニュースレター第69号
代表:小西由希子

目次
  1. 魅力的な自然環境の屋久島
  2. NPO法人となって早くも2年  〜NPO法人市原ネイチャークラブ〜
  3. EM菌の体験をとおしたメッセージB
  4. こども環境講座のスタッフを務めて
  5. CEIC運営委員から3

魅力的な自然環境の屋久島

八千代市 松尾 昌泰 

我孫子の友人が数年前に移住した屋久島に行きたいと思っていた。丁度、昨年発足した屋久島関東ファンクラブが2003年2月28日からの屋久島自然観察ツアー(2泊3日)を企画したので、早速参加し、屋久島環境文化財団の人の案内で周り、さらに2日延長し、友人の案内で通常のツアーなどでは見られない所を満喫した。

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屋久島 明星岳 絞め殺し植物「ヤマグルマ」

1.屋久島で見た森の営み
白谷雲水峡では大雨だったが、翌日のヤクシマランドでは晴天だったのでじっくり観察できた。樹木にはコケがつき、そのコケに数種類の植物が生えている。これは「着生」で、雨の多い環境の屋久島だから、いたるところに見られる。前日の雨で、杉についたコケからは水滴がぽたぽたと垂れているし、地面近くのコケには水滴がキラキラと光っている。運良く大雨と晴天の両方の森を見ることができ、その営みを肌で感じることができた。

2.森の世代交代
興味深かったことは、この「着生」に加え、「倒木更新」、「切株更新」である。二抱えもある倒木の上に分厚くコケが生え、その上にアケビ,ナナカマド,スギなどが生えている。成長に伴い、倒木を跨ぐように下に根を延ばし大地にしっかりと張っている。これが「倒木更新」である。江戸時代に伐採したという大きな切株の上にも杉やヒメシャラが生えている。これが「切株更新」である。着生している木のなかに、杉に絡みつき根を幹にぐるっと一周させ食い込んでいる木がある。これは「ヤマグルマ」で、見るからに「絞め殺し屋」の現場である。屋久島の森は、江戸時代には「殿様のもの」、明治に入ると「国のもの」(島の約9割)となったことが幸いし、乱開発されずに残されていると思う。

 3.生ゴミ実験プラントと電力
屋久島は、海岸地帯での亜熱帯の植生から1,800m級の山頂付近の亜寒帯に近い気候の植生へと垂直に分布している、魅力いっぱいの島である。今後観光客も増えてくるし、自動車も増えてくる。すでに縄文杉は弱りはじめていると聞く。環境を守る為の先手の対策が必須になっている。
(1)生ゴミの炭化・肥料化の実験プラント:屋久町,鹿児島大学と栗田工業鰍フ共同実験設備で、家畜の糞尿,生ゴミなどを粉砕して、バイオガスを回収し、残渣は炭化して島内で実験的に肥料として利用している。回収したガスは、ボイラーで蒸気にして、また発電機で電力にして、この設備で使用している。このような実験プラントを屋久島で見学できるとは思ってもいなかった。
(2)供給電力は水力のみ:屋久島は「毎日どこかで雨が降る」と言われ、特に降水量が多い所では鹿児島市の約3.5倍もある。このように雨が多い屋久島だから、4つの水力発電所だけで(電圧が不安定ながら)電力をまかなっている。他にミニ水力発電所や太陽光発電も、見学の途中で見かけた。


NPO法人となって早くも2年  
〜NPO法人市原ネイチャークラブ〜

 NPO法人市原ネイチャークラブ代表 市原市 山口 由富子 

平成12年の「環境シンポジウム千葉会議」の時でした。某市役所職員の方から「NPO法人になってよ」と言われたことを市原市役所の職員N氏にお話ししたところ「やんなさい!」とたちまち県から"申請手引書"をとりよせて私に言うのです。それを会の人に話しますとH氏が「やりましょう!私はよそでも立ち上げていますので、わかりますからすぐやりましょう!」と・・。
私がわからないながらも踏み切った理由は「NPO法人になれば始めっからは無理としても、会員に交通費や弁当代が払えるようになる」この一言でした。
13年3月。認証を得て活動を開始したのですが、頼りとしていたH氏の動きが不可能となり、あわや破綻かと思うような事態に陥ったのです。「できちゃった結婚」ならぬ「なっちゃったNPO」。とは言え、NPO法人としての名乗りを上げた以上、やはり継続の努力は必要かと、14年度は全精力を立て直しに傾注することにしました。
活動内容としては、13年度から継続しての「いちはら自然塾」は、小学生を対象として1年間を通してのプログラムをたて、自然体験の中から環境を学ぶという環境学習啓発授業を行い、すでに2期生までを送り出すことができました。
「いちはら自然教室」の中の「山小屋をつくろう!」では、間伐材などを利用して山小屋を建てています。場所は小湊線月崎駅そば。地元高校生徒会のメンバーが作った巨大なみどりの風車が静かにまわっているのが、月崎駅からも見られます。300坪の平地と300坪の斜面林にびっしりと繁ったアズマネザサを刈り払い、その斜面林の最上部に小屋を建てています。眼下には養老川を挟んで小湊線がトコトコと走っているのが見えます。小屋は晩秋の頃、完成予定です。
「いちはら自然教室」のスターウオッチングは、11年目を迎え、四季折々の天体ショーをギリシャ神話を交えながら語り続け、大気環境と光害の啓発部門として活動しています。
同じく自然教室の中の「養老川・めだか塾」は、市原市が産んだ女流作家遠山あき氏を中心として、養老川を縦軸にその歴史や文化や伝統をさぐり、15年度当初の行事としては"養老川いかだ下り"を検討中です。市原市にふるさと意識を持つことから環境保全への意識付けをはかっています。
14年度の実績としては「子どもゆめ基金」や「Bay−FM」からの基金をいただけたことと、千葉県環境部からの「体験的環境学習推進事業」というシンガポールとの国際交流事業をいただけたことです。そして年度末には、市原市西広に晴れたら真っ正面に、菜の花越しに富士山を眺望できるという専用事務所を構えることが出来たこと。そしてそこに東京電力さんからの派遣というかたちで専従職員をおくことが出来たこと。
事務所開きは、献上米で餅つきをし、近隣のおじさま、おばさま方のお力もお借りしながらの祝賀パーティで、年度末のフィナーレとしては最高の盛り上がりでした。
しかし15年度は、新たな確定経費を思案に、いかにNPO法人らしく活動できるか、これからが正念場と言えましょう。覚悟を決め、しかし楽しく乗り切って行きたいと考えております。


EM菌の体験をとおしたメッセージB

市原市 今野 正子  

ここは田園風景が一面に広がる、2階の教室。「愛と感謝」という言葉を見せた水の結晶写真を、驚きの表情でみつめている。良い言葉はものを良い性質に変え、悪い言葉はどんなものでも破壊の方向へ導いてしまう。どんな心(意志)で生きているかということが、人間を含めた環境を変えるのですね。
農薬や化学肥料を使わない我が畑。トマトの葉陰からカエルが飛び出し、足元から15cmもあるミミズが顔を出す。そんな畑からしみ込む水は、きっと川や海を汚さないよね。もう一度、声をかける。「心って、どこにあるの?」


こども環境講座のスタッフを務めて

千葉市緑区 高山 邦明 

ちば環境情報センターでは、千葉県環境財団の依頼を受け、3月22?23日にさわやか県民プラザ(柏市柏の葉)においてこども環境講座を開催しました。情報センターはこれまでも数回この講座に協力しており、今回も12名のスタッフが参加しました。
集まった子どもは、小学4年から中学1年生まで、これまで以上に多い35名。最初は子どもたちもスタッフも緊張の面もちでしたが、外に出てアイスブレーキングのネーチャーゲームを楽しむとリラックスして皆、和気あいあいの和やかな雰囲気になりました。夕方からは京葉ガスの方によるエコクッキング。包丁や火を使った経験があまりない子が多いようで、真剣なまなざしが印象的でした。自分たちで作った食事は一味違うのでしょう。美味しく食べて、満足したようです。夜は雨になったため、屋内で火起こし体験とロープの結び方教室をしました。火起こしはほとんどの子が初めての経験で、苦労してようやく炎が上がるたびにあちこちで歓声が起こっていました。ロープは基本的な3つの結び方を何度も何度も繰り返し、しっかりと覚えました。
2日目は日差しが戻って暖かくなり、6時からの早朝散歩にはたくさんの子どもたちが参加し、池のカモや春の花を観察しました。朝食後はまず、ゴミの勉強。ゴミにからまることの大変さをいろいろなゲームを通して体験し、何気なく捨てたゴミがいかに生きものたちに影響を与えるのかを実感しました。
本講座のメインとなるグループ活動では、生きもの探検、自然工房、ゴミ博士の3つのグループに分かれて活動しました。生きもの探検グループはさらにカモ博士、ヤナギ博士、プランクトン博士の3つのチームに分かれ、県民プラザ横の池で探検をしました。カモとヤナギのチームはそれぞれじっくりと観察してスケッチをし、特徴を把握するとともに自分たちで考えた親しみやすい名前をつけました。プランクトンチームは池の水を持ち帰り、顕微鏡で観察。鏡下に広がるきれいな生きものに驚きの声を上げていました。短い時間でしたがそれぞれの生きもの博士たちが誕生しました。自然工房グループは早朝散歩で見つけた草木や実を使って、飾りや写真立てなどを作るチームと、草を使って紙漉きをするチームに分かれました。道ばたの何気ない草から紙ができることに驚き、また、様々な工夫を凝らして素敵な作品が出来上がりました。ゴミ博士グループは池の周りに落ちているゴミを集めて調べました。みんな一生懸命ゴミを拾ったら、袋があっという間に一杯になってしまいました。集めたゴミを分類して観察。タバコや包装紙のゴミがとても多く、池の周りを散歩に来た人たちが捨てたゴミだと言うことがわかりました。拾ったゴミを使ってオブジェも作りました。昼過ぎからはグループごとにみんなの前で活動の報告をして、それぞれの成果を分かち合いました。新しい発見、経験をして満足そうな子どもたちの最後の顔を見て、スタッフはホッと安心しました。
今回は実に素直でかつ積極的な子どもが多かったことが印象的でした。こども環境講座は数年にわたり春と夏の2回行われてきましたが、今回参加した子どもの中には受講経験がある子どもが数多くいました。こうした子どもの中から将来、環境に関するリーダーとなる人がきっと現れることでしょう。子どもの素晴らしさを再確認し、たくさんの元気をもらった2日間でした。


CEIC運営委員から3


旅と環境                  千葉市稲毛区 平田 博和 

月曜日の事務所当番をしています、また時々駄文「旅と環境」を書いています平田です。この年になっても好奇心が衰えず、雨上がりのどくキノコのようにどこにも顔を出しております。そういうことで、イベントには皆さんの後から付いて行き、邪魔にならないように楽しんでいます。
ニュースレターの穴埋めにと書き始めた「旅と環境」も、8回になりました。旅行の好きな私は、時間は十分ありますので、お金と相談しながらできるだけ出掛けるように心掛けております。旅行といっても県内や関東地方の日帰り旅行が主で、遠方や海外へはめったに出掛けません。
このところ「旅と環境」を書いているせいでしょうか、旅行に出てもゴミ箱を覗いたり、ゴミが落ちていないかと意地悪な眼で探ったりして、女房にみっともないと文句を言われています。そう言われてみると、非日常的な生活を楽しむ旅行をしているのに何をしているのかと時々思いますけれど、これも体験学習だと頑張って観察を続けようと思っております。今後どのような話が出てくるか、「旅と環境」を楽しみにしてください。


人のつながり                       千葉市中央区 小西 朝希子 

唯一の大学生運営委員です。まだまだ未熟者ですが、若いパワーでいろいろなことに取り組んでいきたいと思います。
高校までは、川遊びやゴミ拾いなど環境問題についてあまり意識することなく、イベントに参加しているだけでした。大学で『環境』を学ぶようになって、環境問題について真剣に考えるようになり、幼稚園の環境学習や谷津田での活動もただの参加者ではなくスタッフとして参加するようになってきました。また、ちば環境情報センターでの活動だけではなく、ネイチャーゲーム初級指導員の資格取得や、環境シンポジウムの分科会長など経験しました。
そんな今までの活動で、私は『人のつながり』という大きなものを得ることができました。
大学生活も残り1年で、就職活動や卒論などやることは多いかもしれませんが、これからも、人のつながりを大切にし、多くのことを経験していきたいと思います。


第6回 環境活動実践ワークショップ開催・スタッフ募集のお知らせ
ちば環境情報センター恒例の研修会が、6月14〜15日に野栄町にある「ちばコープ産直の家」開催されることが決まりました。環境について何かしたいけどどうしたら良いのか悩んでいる方、今行っている活動をさらに充実させたいと思っている方、そんな皆さんが集まって一緒に考え、次の一歩への具体的な行動計画までを作り上げてしまう、画期的な実践ワークショップです。詳細はニュースレター70号(5月号)でご連絡いたします。楽しいプログラムが一杯の研修会にぜひご参加下さい。
今年は研修会を企画、運営するスタッフを広く皆さんから募集します。 楽しく「新たな一歩,次の一歩」を創り出せるプログラムを、一緒に作っていきませんか?開催までに、2回ほど話し合いの場をもうける予定です。ご連絡お待ちいたしております。

編集後記: また戦争を始めてしまいました。「戦争は最大の環境破壊である」という言葉も精密誘導弾の炸裂音にかき消されむなしくひびきます。人はなぜ戦うのでしょうか。大岡昇平の小説「俘虜記」の一節にこんな言葉があります。「殺されるよりは殺す」と。これもまた遺伝的に組み込まれてしまっていることなのでしょうか。  mud-skipper