ちば環境情報センター
2003.8.6 発行    ニュースレター第73号
代表:小西由希子

目次
  1. ウマノスズクサは残った
  2. 千葉県からの委託事業
  3. 下大和田の蛍を見たスコットランド人
  4. 「自然観察指導員の講習会に参加して」  
  5.  −ごみの話(パソコンのリサイクル編)― 

ウマノスズクサは残った

佐倉市 小野 由美子

5月のある日、いつもの観察坂道を田んぼの方へ下っていると、突然、ジャコウアゲハ十数頭が天から舞い降りてくる。そのまま斜面をふわっふわっと舞うようにして、ピンクのアザミで吸蜜したり、食草のウマノスズクサ※で産卵したり。林縁・畑・農道を行き来する黒い可憐なアゲハチョウ・・・ここは周りから切り取られた別世界・・・しばし呆然と立ち尽くす。
※ 食草 チョウの幼虫が食べる草または樹木の葉、チョウの種類によって異なる。
※ ウマノスズクサ つる性の多年草、地下茎で繁殖。ヤマイモの葉に似るが葉先が丸いのが特徴。
農家の軽トラが通りかかり我に返る。「チョウが産卵している草のあるところだけ、草刈りしないというのはできませんか」「ダメだよ。土地改良区との取り決めもあって、農家は農道をきれいにしておく義務があるんだよ」地元の昆虫研究家によると、ここでは94年の発生の後、ジャコウアゲハの姿を見かけることはなかったという。なんと9年ぶりの発生ではないか。
彼らの楽園を何とか残したいという気持ちが猛然と沸いてくる。しかし、レッドデータブックに載っていない種は保全まで手が回らない(自然保護課)し、自然生態系に配慮してくれる農家への補助金制度もない(農政課)という。ふと農家との話を思い出し、土地改良区に問い合わせてみる。すぐ返事が来て「理事さんに伝えておく。農業の多面的機能、自然環境保全にも力を入れている」と前向きな答え。さっそく、知り合いの理事さんに相談「チョウの件なら、工区長さんにお願いに行ってみたらどうだろう。農道や水路の管理責任者だから。どうしても無理だったらうちの土地に移植してもいいよ」百万の味方を得たような気持ち。しかし、いきなりこんな話でどう受け止めていただけるだろうか、不安を抱え、訪問。
「何だって?ジャコウアゲハ?」やはり最初はチョウのお願いなど不思議そうであった。幼虫がイネの害虫にならないか特に気にされるが、ウマノスズクサしか食べないからかえって生息が不安定なことを力説。いろいろお話しても進展せず「最悪の場合、移植させて・・・」「いやあ、そういうものはそこの環境もひっくるめて大事なんじゃろ?草刈り担当者のところへ行こう」と結局は動いてくださる。「孫の夏休み観察にちょうどいい。野良のものは野良におくのが一番」と草刈り担当農家の奥様の応援もあり、200mの区間に限り、適度な草刈りをまかせてくださることで決着。これでチョウは安心して卵が産めるし、私も安心して観察に行ける。終わりよければすべて良し。
上記はただ1種1箇所という小さな話題でしかないが、農業サイドへの働きかけができたことは大きいと思う。自然生態系は土地抜きでは考えられないし、そこには必ず所有者・管理者がいる。違う分野の方々とお話をするのは、それなりにエネルギーを要する。しかし、そこにも生きものがいて暮らしがあることに、ただ気がつかないだけのことが多い。メッセージをたゆまず伝えていくことが大切であることを学んだ。


千葉県からの委託事業

ちば環境情報センターでは千葉県環境生活部から2つの委託事業を受けること(予定)になりました。
一つは「谷津田レンジャー養成講座」(平成15年度千葉県NPO活動提案募集事業)で、12回の連続講座を通して千葉県特有の谷津田・里山について学び、谷津田の大切さや谷津田での楽しみ方を伝える専門家を養成しようという事業です。
もう一つは8月24日に実施される「カヌー体験と水環境学習」(平成15年度NPOによる公募型環境学習事業体験型環境講座)です。この講座は、印旛沼でのカヌー体験を通して私たちを取り巻く水環境問題に気づき、理解し、その改善に向けて行動する人を育てることを目的としています。
両講座とも、企画から運営までちば環境情報センターのスタッフが責任を持って担当しますので、是非ご参加下さい。なお日程,内容,申込方法などについての詳細は、パンフレットを同封いたしましたのでご覧下さい。


下大和田の蛍を見たスコットランド人

千葉市 大倉 よし子

ちば環境情報センターに顔を出すようになって一年ほどになった大倉です。現在、海の環境保全から地球環境を考え、その啓発手法として「調べるゴミ拾い」、クリーンアップキャンペーンを水辺で展開しているJEAN・クリーンアップ全国事務局のスタッフとして週二日ぐらい国分寺の事務所に通っています。

もともと田舎育ち(稲毛区の農業地帯産)で、近所の悪ガキと親が田んぼで働いている間、沼地でザリガニ釣りをしたり、竹筏で乗り出しては沈んで泥んこになったり、子牛にぬかるんだ堆肥の上を引っ張り回されて泣いたり、という生活を経験してきたせいか、都会生活には馴染めない性格になってしまいました。
それもあってか、15年ほどの海外生活の大半は、シンガポールを除けば、「都会」と言うようなところはありませんでした。できる友人も自然派思考の人が多く、類は友を呼ぶを地で行っているような...?
いちばん長く住み、気に入っていた場所は南オーストラリア州のアデレードです。コンパクトでこざっぱりした文化的な街で、30分も車を走らせれば自然を満喫できるところでした。その前に住んでいたメルボルン郊外では、仕事仲間との付き合いだけだったので、それを反省して、アデレードでは積極的に仲間作りに励みました。その一つとして選んだのが環境保護団体。その団体が主催する生物調査に参加したり、春のブッシュウォークにグループリーダーをかって出たり。そのうち、週末を一緒に過ごす仲間もできてきました。オーストラリアを離れて5年、知り合った仲間もアデレードを離れて別の州や国に移ったりしています。
7月6〜13日と、ロンドンから仕事で東京に来ていてた友人は、そんな仲間のひとりです。7年ほど前にも来日しましたが、やはり仕事絡みだったのでたいした観光はしていなかったそうです。おまけに、「観光」をしようという日はたいてい雨だったとか。いつかもう一度日本に来てくれないかな、そうしたら千葉の風景を見せてあげられるのに、とずっと待っていた時が来ました。
仕事が終わり、やっと週末を一緒に過ごせることになったのですが、とにかくまるまる空いていたのが12日の土曜日だけ。清里高原近くにホリデーフラットを持っている知人が金曜の夜から泊まりがけで来ないかと誘ってくれたのですが、それでは千葉が全く見せられないと思い、清里は土曜日日帰りにして、下大和田の蛍を見に行くことにしました。下大和田だったら「日本の田舎の原風景」的な場所だし、この時期は稲も育ち、緑が美しいことであろうと考えたのです。
一番の心配はお天気でした。下大和田に行った11日も、車を運転しているときはぱらついていたのですが、現地では全然降らず、蛍を楽しむことができました。ただ、翌日の高速運転に備えての車の整備やお土産探しもあったので、出足が送れ谷津田にたどり着いた時にはどっぷり日も暮れ、シルエットでしか景色が見えませんでした。谷津田の緑をおかずにおにぎりでも食べようと持っていったお弁当は、暗やみの中、車で食べても味気ないので帰ってからの遅い夕食としました。

久しぶりの下大和田は路肩の雑草が大きく茂り道が細くなったようで怖かったし、着いても目が馴れるまで直ぐには蛍が探せず「いないのかなあ」と心配になりましたが、一匹目を友人が発見。そのあとは山側の道のほうまで飛んできて、目の前を過ったりすることも数回。ちょうど足下の草むらで光を放っていたのでその姿を見ることができました。私自身、日本の蛍を生で見るのは初めてで、アメリカで見たスズメバチぐらいの大きさの蛍と違い、とてもデリケートでかわいかったです。友人もアメリカで光って飛んでいるのは見たけど、実物を確認したのは初めてだと、とても喜んでいました。ファイヤーフライというので、「ハエ」の様な生き物を想像していたようですが、「ビートルだね」と、その姿を見て納得。蛍のほかに、ザリガニやドジョウも水路にいました。クモの巣に阻まれ、蚊の攻撃を受けながらも、消え入りそうな微かな光の不思議を満喫して帰りました。
ロンドンに住んでいるといっても、もともとスコットランド人の友人は、イギリスは人の手の入った景観美はあるけど自然はほとんどないと言っていました。でも、日本はスコットランドと比べても自然が多いと感じたようです。せめて明るいうちに行けたら、好きな鳥の姿もじっくり探すことができたでしょうに、谷津田で聞こえたのはサギの鳴き声だけでした。その分、翌日は清里の川俣渓谷を歩いて、たくさんの囀りを聞きましたが、大きな不満は、森が葉っぱでいっぱいに覆われて鳥の声はすれども姿が見えずという状況。こちらの不満は、姿を見るまで動こうとしない友人。「早く行こうよ〜」と促すことが何度もありました。
ちなみに、この友人は数学者で「情報セキュリティー」を研究しています。ゆわゆる「暗号」。その反動で自然派思考なのか、理数系がもともと自然科学から入るせいか?? でも、私は自然は好きだけど、数字は苦手です。
いずれにしても、CEICの皆さんと知り合ったことで、友人に日本の田舎の(夜の)風景と生き物を見せてやることができました。今ごろは仲間や同僚に「日本の蛍を見てきた」と自慢していることでしょう。

「自然観察指導員の講習会に参加して」  

成田市 富重 正蔵 

1.はじめに
何回目かの応募で今回やっと自然観察指導員の講習会に参加できました。今回の講習会は、5月23日から25日までの2泊3日、千葉県土気(とけ)の「昭和の森」で開催されました。情報センターの方から(わたしも同じ会員ですが)声をかけられ、びっくりしたり、うれしかったり、でした。聞いたところでは、情報センターにはすでにいく人か指導員がおられるそうです。このたびの感想など、以下のとおり報告します。
2.昭和の森
これまで何度か昭和の森について名前だけは聞いていましたが、訪れたのははじめて。見物がてら土気駅から歩いてみました。昭和の森の公園らしきところまで来て、宿泊先のユースホステルを案内所で教えてもらい、示されれたとおりに、森の中の小道をくだったり、のぼったりしていくと、高台の広場の一角にホステルの建物がみえてきた。どうも裏口からアプローチしたようだ。徒歩で来たので、とんでもないほうから接近したようである。建物に近づくにつれ、先着らしき人たちが木立のあちこちにたたずんでおられて、事実上、観察会がはじまっている感じを受けた。みなさん、楽しそうな表情だったので、わたしも緊張がほぐれ、はやくもあいさつしたりして仲間にいれてもらい、3日間、昭和の森が、わたしにとってよいフィールドになると確信しました。
3.自然観察講習会
滞在3日間、うす曇りという理想的な天候に恵まれ、暑くもなく、寒くもなく、さわやかな新緑のなかで快適でした。でも、講師の方が、悪天候も観察の勉強になることがある、といわれ、自分なりに納得。講習会は、座学も屋外実習もそれぞれ大変勉強になりました。また、受講者同士の雑談も有意義でした。みなさん、すでにいろいろ蓄積があり、感心させられる話が行き交っていました。わたしにとって、よい意味での人間観察もさせてもらいました。だんだんわかったことは、自然観察は、自然とヒトとのかかわりも含まれるということでした。今の時代、ヒト抜きの自然なんてあまりないですよね。
4.自然観察指導員の心構え
今回の講習会で指導員の仲間入りをしたわけですが、自分なりの心構えはこうです。自然はあまりにも奥が深く、ひとに指導などできるはずがない。したがって、観察会に立ち会ったら、指導というよりも、参加者といっしょに考えるつもりです。わたしはこう思うけど、みなさんはどう思いますか、というぐあいに。自然のしくみをみんなで考えると、毎回新しい発見があることでしょう。とりあえず、うちの子供4人が自然観察指導の実験台です。植物の名前など問われても、答えられないので、みんなの宿題にして、あとで子供たちに図鑑などを調べさせよう。



 −ごみの話(パソコンのリサイクル編)― 

  千葉市環境事業総務課 神崎 広史 

国内パソコンの出荷台数は1992年に約176万台でしたが、2001年には1,128万5千台となりました。家庭でのパソコン普及率は50%を超えており、家庭向けは全体の4割程度、500万台弱と推定されています。廃棄されるパソコンの量は家庭用で年間約9千tと推定されていますが急速な普及により、十数年後には現在の8倍に増加すると考えられています。
そこで、平成13年4月に「資源有効利用促進法」が施行され、パソコンメーカーはリデュース、リユース、リサイクルに配慮した設計や使用済パソコンの自主回収、資源化に取り組むことが求められるようになりました。具体的には今年の10月1日からメーカーによる家庭系パソコンの回収が始まります。しくみとしては、メーカーが指定する回収場所へユーザーが持ち込むか、ゆうパックによって戸口回収され、メーカーが責任をもって資源化するというものです(再資源化率:デスクトップ本体50%、ディスプレイ55%、ノート型20%)。
10月以降に販売されるパソコンはこのようにしてメーカーが引き取るのですが、これより前に販売されたパソコンについては排出時にユーザーがリサイクル料金を負担する必要があります。その金額については各メーカーが決定しますが、CRTディスプレイが4,000円、デスクトップ型本体、ノート型は3,000円程度とされています。この負担額についてどのようにお考えになりますでしょうか。
決して安くはありませんが、資源化処理には相応のコストがかかることはお分かりいただけると思います。拡大生産者責任(製品の製造・流通時だけでなく廃棄・資源化される段階まで責任を拡大する考え)が徹底される方向にある中、排出者側も制度をよく理解し、排出ルールを守るだけでなく、資源循環に必要なコストの一部を負担することが求められているのです。なお、一部自主回収を実施しないメーカーもありますので、詳しくはメーカーへご確認ください。また、ごみ出しルールの変更も考えられますので市町村の広報に注目しているとよいと思います。


CEIC運営委員から7
「発見そして感謝」
      

       千葉市稲毛区 福満 美代子

  昨年千葉県主催のエコマインド養成講座を受講させていただいた際に「ジョハリの窓」というものに出会いました。とても感銘を受け、そしてもしかしたら自分の中にも未知の部分があるかもしれない、あって欲しいとの思いから無謀にも専従を受けさせていただくことにしました。
 10ヶ月がたち、未知の部分より能力の無さを日々発見させられており少々へこんでおりますが、専従になったことによる大きな発見もありました。それは郵便局から送られてくる振込み通知です。この封筒から会員の方がたに経済的にも、そして精神的にも私達が支えられているということを実感させられました。そして会費の値上げにもかかわらず、わざわざ郵便局まで出向き振り込んでくれる姿を思い描くと、本当にありがたく、そして感謝です。


編集後記:ようやく梅雨が明けて、待ち遠しかった太陽が顔を出しました。谷津田の稲にも花が付き、実りの秋が楽しみです。mud-skipper