ちば環境情報センター
2003.10.6 発行    ニュースレター第75号
代表:小西由希子

目次
  1. 「マイバッグ」にまつわるぜいたくな悩み
  2. ごみの話(循環型社会を築くための要件)
  3. 谷津レンジャー養成講座に参加して
  4. 家族で楽しんだかかし作り
  5. よかっぺ日和
  6. CEIC運営委員から8 "人間も自然の一部、小さな命も愛おしい"

「マイバッグ」にまつわるぜいたくな悩み

千葉市稲毛区 茂木 俊輔 

 「マイバッグ」にこっています。もともと気に入った鞄はついほしくなる。レジ袋は嫌い。買い物から帰ってすぐゴミ箱に行くようなムダな包装も嫌い。3年ほど前、家事を受け持つようになったとき、どこかでもらったキャンバス地のバッグがたまたまあったので、それを愛用するようになったのが始まりです。重いときはレジ袋よりラクに感じるし、仕事帰りに手にさげていても哀愁を漂わせなくて済むので気に入っています。
 使っているうちにまず思ったのは、仕事用の鞄に入れて持ち歩くにはかさばる、ということです。携帯性に欠ける。キャンバス地なので、まるめるとけっこうな大きさになってしまいます。
 ほかにも、いろいろ。レジかごいっぱいと同じくらいの容量はほしいとか、マチが小さいと、食パンのようなものは形が崩れてしまうとか。持ち手は、肩からかけられるようになっていないと重いときツライとか、バッグの口が開きっぱなしだと、自転車のかごに入れてがたんと振動を加えたとき、納豆パックのように軽いものはぽーんと飛び出てきてしまうとか、……。
 売っているバッグも、一長一短なのです。良さそうなのがあっても、高いと買う気になれません。500円を超えると、まずダメです。
 いまは、千葉パルコ下の西友で380円で買ったポリエステル製の携帯できるのを愛用しています。でも欲を言えば、マチ13cmにはもう少し余裕がほしいし、バッグの口も絞れるとうれしい。手でしか持てないので、重いときはツライ。丸めて持ち歩けるのはいい半面、家から買い物に出るときは、同じように丸めたものを手に持つのもヘンだし、そうかと言って広げると、薄手なだけにヒラヒラしてしまってどうも格好悪い。
 「使いいいマイバッグをデザインする」なんてことを6月の研修会で口走ったのは、こんな不満からなのです。でも、なんの展望もないまま提案だけとりあえずしたので、さてどうしようか、と思案しているところです。どうでしょう、関心をお持ちの方、同じような不満をお持ちの方、一緒に取り組みませんか。


−ごみの話(循環型社会を築くための要件)−

千葉市環境事業総務課 神崎 広史 

 自治体では、ごみ処理をどのように行っていくかという長期の政策を「ごみ処理基本計画」という行政計画にまとめています。この計画は将来の分別の仕方(何を資源化するか)や処理施設の整備方針(どんな施設をどこに)などが盛り込まれ、廃棄物行政の指針となっています。
従来、行政計画は行政内部で計画案が作成され住民が知らない間に計画が策定されてしまうことも多かったわけですが、最近では計画策定の早い段階から住民や関係団体、NPOなどが参画して地域住民の意見を反映していくように変わりつつあります。意見募集、アンケート調査への協力や審議会委員の公募などがよくありますが、このようなチャンスがあればぜひ自分の意見を表明したいものです。家庭でごみを減らす努力をするだけでなく、政策立案に参加することもとても大切なことです。
このような場面で出される意見は非常に重要で、場合によっては政策の大転換を行う「きっかけ」にもなり得るからです。このように市民やNPOが政策立案に参加し、住民の意見を政策に反映していくことが循環型社会を築く1番の要件にあげられます。特にNPOの政策立案能力が高まってきており、近い将来に、NPOと行政が共同で政策案を作成するということもあるでしょう。2番目の要件としては、生産・物流・販売過程で生じるごみ対策に本格的に取り組むことです。
ごみを「買わされている」この社会経済構造を変えるには、リサイクルや引取り対象の拡大、デポジット導入などに生産者が積極的に取り組んでいく必要があります。3番目の要件としては行政政策の見直しです。まず、使い捨て製品に対する規制やバージン原料に対する環境税など、国の経済政策を環境調和型に転換していくことが必要です。空気、水、土壌汚染と引き換えに得られたこれまでの経済発展にどれだけの価値があるかを問わなければなりません。
一方、自治体では、より厳しいごみ減量目標を打ち出すことが必要です。これを実現するため、例えば生ごみを原料とする発電事業(バイオガス化)、生ごみからプラスチックを生成する事業など、豊かな発想と最新の技術を活用してごみ減量と資源循環にチャレンジしていくことが求められます。


谷津レンジャー養成講座に参加して

千葉市緑区 小田 信治 

○谷津田レンジャー修行半ば
 私は関西の出身ですが、千葉県に住んで22年、緑区おゆみ野には11年になります。
 関西から千葉に来て、びっくりしたことの一つに谷津田の風景があります。町(都会)のすぐ近くに豊かな森(里山)と田んぼがあることです。関西ではこのような風景は山地(田舎)にでもいかないと見られないものです。また、谷津田では大きな樹木が多く、種類も豊富です。関西の森はやせていて、花崗岩が露出している箇所や竹林(孟宗竹)で占められていたりして、森で気軽に遊べるような場所は限られます。
 1992年に松戸からおゆみ野に引っ越してから、谷津田に魅せられて、周辺地域をうろつき、平山の谷津、赤井の谷津、大百池奥の谷津で、ヘイケボタルやカブトムシがたくさんいる場所、キンランやクマガイソウが出る場所、サシバが毎年来る場所等を発見して楽しんでいました。その中で平山の谷津は、千葉県中央博物館「房総の生物展示室」に谷津田の代表的な生物相として標本が展示されていますが、耕地整理の直前に記録されたものであることを知って、当時の生物相の豊かさに感心しました。しかし、この10年でそれぞれの谷津がだめになっていくのも同時に見ることになりました。平山では谷津の一番奥地が廃棄物と残土で埋められ、赤井は幹線道路による分断、大百池奥は宅地造成で半分が消失しました。どこも田んぼをやめてからの出来事です。
我が家の子供(娘と息子)と近所の子供を誘って、3年前からこどもエコクラブを始めました。クラブ名は「おゆみ野自然探検隊」で、現在、メンバーは子供4人、私はそのサポーターをしています。上記の谷津で自然観察を行ってきましたが、観察に使っていた場所の一つが埋め立てでなくなり、また、田んぼづくりの体験がしたいと考えていました。そうした中、谷津田プレーランドプロジェクトを知り、去年から子供らと参加しています。
今回、小西代表のお誘いで谷津田レンジャー養成講座に参加しました。下大和田の谷津田は貴重な自然の残る数少ない場所で、子供らも安心して遊べる場所です。また、毎回、発見とおどろきがあります。谷津田は千葉最大の魅力であり、千葉の財産だと思いますが、田んぼづくりとの関係で維持されてきた自然でもあり、田んぼづくりがなくなれば、谷津田の環境もなくなります。谷津田レンジャー養成講座では、谷津田の自然、歴史、暮らしを知り、田んぼで農作業を体験し、どうすれば谷津田を守ることができるのかを考え、地域で活動する人材を育成する修行の場かと思います。今のところ、修行半ばですが、子供たちと楽しく参加して修行に励みたいと思います。

第1回 開会式と谷津田を感じよう「谷津田の生きもの」
(8月23日下大和田)
第2回 千葉県の谷津田と自然保護(午前),谷津田のくらしと歴史'座学編'(午後)、(8月30日 千葉県立中央博物館)
第3回 かかしづくりと田んぼの草取り
(8月31日 下大和田)
第4回 谷津田のくらしと歴史'野外編'
(9月6日 本埜村)
第5回 水田の稲刈り
(9月20日 下大和田)

家族で楽しんだかかし作り

船橋市 井口 和子 

休みも最終日となった8月31日、私が受講している「谷津田レンジャー養成講座」の第三回目、下大和田の谷津田での「かかし作り」に家族で参加しました。工作が好きな中2と小5の娘たちも楽しみにしていたようです。
田んぼの前に集合し、かかし作りを始める前に情報センターの高山さんから「この約2アールの田んぼで、1年に食べる米何人分がとれるでしょうか?」とクイズが出され、皆で協力し実際に答えを出してみることになりました。穂についているモミの数や、株の数などを数え計算したところ、答えは2〜3人分!この広さで意外に少ない人数しか食べられないということがわかり、「そう考えるとお米って結構安いですよね。」という高山さんの言葉に、私も同感でした。いつもと違うものの見方を教えてもらえるのも、こういう観察会の魅力です。
かかし作りでは、いくつかのグループに分かれて、私たちは家族の5人+伊原香奈子さんの6人チームで作業開始です。まずは竹で骨組み作り。十字に組ませるところに切り口を作っておくのがコツで、周りの方たちに教えてもらいながら、丈夫な骨組みが出来ました。もらった竹が立派だったので身の丈6尺というほどの長身になり、もってきた子供服ではチンチクリン。伊原さん提供のきれいな色のシャツと半ズボンを着せることとしました。体の肉付をわらで作り、ズボンをはかせて完成か、というところで、かかしは1本足だったことに気付きました。もう1本の足がダラリとたれてしまうのをひもで腕からつるして、エイッ!と足を上げているポーズに落ち着きました。
皆がワイワイガヤガヤと作業を進める横を、大きなオニヤンマが見回りをするように行ったり来たり。他の参加者のお子さんたちの「オニヤンマだ!」「ザリガニ採ったよ!」と言う声が聞こえてきて、うれしくなります。さて、他の皆さんはどんなかかしを作っているのかな、と私も偵察に出かけてみると、ゴージャスな衣装あり、ベビー服を着た赤ちゃんかかし、みんなすばらしい出来でした。

今住んでいるところは街の中で、周りに田んぼなどはありませんので、この日のように谷津田の中で楽しい時を過ごし、お米が育つ様子を間近で見たり、いろいろな生き物に出会うことができるのは本当にうれしいことです。かかしは、1月のどんど焼きで焼かれるとのこと。そのときも是非家族で、それに友達をさそって来たいと思っています。きっと谷津田ファンが増えることと思います。

よかっぺ日和

八日市場市 萩原 真紀 

 台風一過の秋分の日に八日市場市にて観察会(主催:ちば環境情報センター)を行いました。行政にも参加してもらい、総勢約30名での楽しいエコ・ウォークとなりました。
 コースは、市の自然環境保全区域指定予定の斜面林・谷津田→「ふれあいパーク」ランチ→日蓮宗最高で最古の学問所「飯高檀林」→安久山の巨大スダジイ(幹周り10m)のある民家と裏山から広がる谷津田、です。予定を大幅に延長して約7時間の旅でした。私たちの見つけた生きものは動物ではイモリ,サワガニ,ホトケドジョウ、植物(食物?)ではコモウセンゴケ,ホトトギス,ミョウガ,ヒマワリの種,銀杏などです。

八日市場市は数年前に巨木の数で日本一になったことがあり、400年以上の歴史のある檀林では子供たちと計7人でやっと一周できる位の杉などがたくさんあり、最後のスダジイはそのあまりの大きさと美しさに皆しばらく口を開けての観賞となりました。午後の檀林と民家は車で約5分の距離にあり、その周辺は15年度のナショナル・トラストに登録されました。お邪魔した民家のご主人はオープン・ガーデンを目指して、田舎の美しさを守っていきたいとおっしゃっていました。「ここには何もない」と土地の人は言いがちですが、これだけ豊かな自然、歴史、そして人々のいる場所が都会からも手頃な距離にあり、皆にこれほど感動や喜びを与えてくれ、私にはまだまだ可能性のあるまちに思えます。これからもこのまちの『宝物』探しを続け、まちを元気にしていきたいと思います。
 八日市場のいいどこ取りをした一日、まさに最高のよかっぺ日和でした。いつかまた、第2弾で合いましょう。

CEIC運営委員から8
"人間も自然の一部、小さな命も愛おしい"

四街道市 古川 美之 

 ちば環境情報センターを作りたいと小西さんに声をかけていただき、環境活動したいと思っていた私も協力させていただいたのが始まりでした。いろいろと教えていただき、まさに一歩を踏み出すことになったのです。(小西さんに感謝!)。
その後運営委員として関わっていますが、子育て真っ最中、子どもとともにできる環境活動をということで四街道で冒険遊び場の会をやっています。自然にたくさん触れ遊ぶのが一番の環境教育ではないかと・・。スタッフの皆さんには支えてもらっています、ありがとうございます。情報センターは心のふるさとです。


編集後記:9月13日、江戸川放水路河口にトビハゼを観にいってきました。成魚に混じって全長3cmほどの稚魚が、干潟の上を元気に跳ね回っていました。10年前の冷夏の年は、全く繁殖せず今年も心配していましたが、ほっとしました。北限のトビハゼがこの地にずっと暮らせるよう干潟を守っていきましょう。  mud-skipper