ちば環境情報センター
2004.2.6 発行    ニュースレター第79号
代表:小西由希子

目次

  1. PRTRと環境を考慮した買い物 
  2. 捕れたての鮭を食べたら希望が湧いてきた
  3. 真冬のエコ生活とエコ調理
  4. エコなお祭りinあさひ
  5. 2003年にマスメディアに登場した記録 
  6. CEIC運営委員から12ニュースレターで情報の発信

PRTRと環境を考慮した買い物 

市原市 南川 忠男 

 約5万種の化学物質は、日用品から薬まで多くのものが幅広く使われております。製造工程での排出や消費者による使用中・使用後の排出などで大気や川・海、土壌に入り、一部は分解されず、蓄積したりして動植物や人間に影響することもあります。
環境基本法等で企業の環境への排出は厳しく規制されていますが、今まで化学物質の管理は、行政や企業が関わっており、市民は知ることはできませんでした。そこで化学物質が、どこから、どれくらい排出されたか、あるいは廃棄物に含まれて企業の外に運び出されたかというデータを把握し、集計し、公表する仕組みを作ろうと1996年から検討され、1999年に法制化され2003年3月には、国より初めての集計結果が公表されました。一般的にこの法律をPRTR(Pollutant Release and Transfer Register)法と呼んでいます。
公表結果をすべての関係者で共有するにはまず下記にアクセスしてみて下さい。
独立行政法人「製品評価技術基盤機構」NITEのweb.site http://www.prtr.nite.go.jp/prtr/total.html
が見やすく公表結果が物質別、地方自治体別にまと
められております。米国の場合は企業別の排出量も公表されていますが、日本の場合は有料で請求手続きをすれば知ることができます。

★全国での排出量は31万トンで移動が22万トンの合計53万トンになります。物質別には例えば発ガン物質であるベンゼンについては千葉県の企業の届出数量は251トンで、全国4位です。ガソリン中にはベンゼンが含まれており、自動車の排気ガス中にも燃え残りのベンゼンが含まれています。交通量の多い沿線の空気中のベンゼン濃度は山間部の約4倍になっているそうです。したがって、発ガンリスクも4倍になります。
ベンゼンに関する千葉県での排出量は上記のように、多数の石油精製事業所がある市原市が多いことがわかります。
日本で最も放出されているのがトルエンで13万トンに上ります。家庭では除光液を使用する時は説明書に書いてあるとおり、よく換気した部屋で使用した方がいいです。
千葉県は1133の企業からの届出が10,800トンで、届けなくても良い企業(指定外業種や従業員20人未満など3条件にあてはまる)や家庭,自動車などからの排出で国が推定したのが21,900トンとなり合計32,700トンとなり、日本全体の3.64%で兵庫県に次いで全国8位となります。届出企業の数量のほぼ倍の数量が家庭などからの推定排出量となっており、化学物質の影響を減らすためには、行政や大きな企業だけでなく消費者もそれぞれの立場で取り組む必要があります。
「できることから行動する」
10年前から累積数百億円の投資を他社に先駆けて、ベンゼンを低減するガソリン精製設備を設置した出光を私は高く評価しておりますので、それ以来ガソリンは出光で入れております(今は各社1%以下ですが)。
NPO法人ちば環境情報センターでは、1997年8月にグリーンコンシューマーの団体が各地の「買い物ガイド」を作るため、環境に優しい商品を取り扱う「お店」の調査のお手伝いをしました※。環境や人に配慮した商品を作っている企業やそれを応援している行政を評価していくのも排出量を削減するのに有効です。
●パソコンの環境考慮度ランク
又、最近アメリカの NPO「シリコンバレー有害物質連合」が
@有害物質をパソコン機器にどれだけ使用しているか
A不要になったパソコンの回収努力
B労働環境の安全対策 C環境関連情報の開示
の4評価項目で世界のパソコンメーカー28社の2002年の環境対策を評価しランキングとしてまとめました。この中で、日本の企業がトップ10に8社も名を連ねています(ちなみに一番売れているDellは15位でした)。
私は現在NEC製のPCを使用中ですが、買い替えの際は少し高くてもこのような企業の開発した環境配慮型製品を求めるつもりです。
消費者も、自らの消費生活をチェックし、化学物質の使用量を減らしたり、再利用に心がけたりすることが必要です。また、NGO(非政府組織)が市民を代表して行政や事業者に対し化学物質の環境リスクの削減を働きかけることもできます。
※スーパー環境対策一斉調査の結果はニュースレター第2号(1997年9月1日発行)に掲載されています(HPで閲覧可)。

Rank Company Name Country Score % Total
1 Canon Japan 35 51.5
2 Toshiba Japan 33 48.5
3 IBM US 32 47.1
4 Fujitsu Japan 30 44.1
4 Sony Japan 30 44.1
6 NEC Japan 27 39.7
7 Hewlett - Packard US 26 38.2
7 Brother Japan 26 38.2
9 Apple US 25 36.8
10 Hitachi Japan 20 29.4
10 Oki Japan 20 29.4
12 Seiko Epson Japan 19 27.9
13 Compaq US 17 25
13 Matsushita/Panasonic Japan 17 25
15 Dell US 16 23.5
16 Samsung Korea 15 22.1
17 Sharp Japan 14 20.6
18 Micron US 11 16.2
19 Gateway US 9 13.2
19 Philips Europe 9 13.2
21 Lexmark US 6 8.8
22 ViewSonic US 5 7.4
23 Acer Taiwan 2 2.9
23 Wyse Technologies Taiwan 2 2.9
25 e-machines US 0 0
25 Daewoo Korea 0 0
25 Lucky Goldstar Korea 0 0
25 AST Taiwan 0 0

捕れたての鮭を食べたら希望が湧いてきた

成東町 木下 敬三 

 "お父さん、鮭の味しないよこれ"と娘の声、"どれどれ"と食す、わたし。ちょっと淡白でよくよく味わってみると市販の鮭の味がする。"うまいね!"捕れたての鮭の味ってこんなものか?お腹に残っていた卵を酒と醤油で漬けて"イクラ"にしましたが、失敗した"人工イクラ"の様に硬くて噛んだら中の水分が"ビチャッ"と潰れます。頂いて持ち帰った鮭をムニエルで食したときの娘と私の会話でした。


捕れたての鮭?アラスカ?北海道?ここは千葉県匝瑳郡光町栗山川河口です。堰の手前で遡上できない鮭を捕獲しています。毎年1,200匹程度の数が遡上しているそうです。今年は12月中旬で650匹程度上がっています。漁協さんのご好意で採卵・孵化場を見せて頂きました。1cmくらいのイクラがお腹に付いた状態の稚魚が泳いでいました。見学した10人程度の人が"ウオッ"と一同感激の声、いのちを見た感動に一瞬でした。
今は堰でそれ以上の遡上は出来ないのですが、2年先には魚道が出来て内陸部の栗源町方面まで鮭は上ります。あらためて地図を見てみると、栗山漁港から横芝町・光町・八日市場市・多古町・山田町・干潟町・栗源町方面まで支流を伸ばしている。佐原で取水した利根川の水を両総用水として流しているらしい。この用水のキャパシティーを上げるため河口を拡幅しているらしい。上支流部には清流・砂利の川底等の産卵条件が残っているらしい。山からの湧き水が谷津田を通って川になることを考えると上流部の谷津田に鮭が現れるのも遠くない日かも知れません。現に2年先、鮭の遡上光景を想定して、朱鷺の放鳥と合わせて期待している多古町の自然公園があります。
そういえば、我が家の前を流れる川(作田川の支流で境川)で鮭が上がったことがあります。今でも年に何本かが上がってくるらしい。栗山川から、2本南の川です。鮭の南限は栗山川の筈だが?作田川と栗山川の中間に木戸川があります。この上流の谷津田を今春より手入れをして仮称・早尾自然公園を作る計画をしています。オオッ、ここでも鮭の遡上再現が出来ないか?希望が湧いてきてワクワクして来ました。朱鷺と鮭、そして自然公園、樹木のみで無く耕作している谷津田、もっともっと欲張ればトンボが大量発生して空を真っ黒に(2003.7.7本紙72号参照)してくれれば、少年の頃の再現です。わずか50年前の光景です。
チョット視点を替えて・・鳥瞰図と言う鳥が空から見たときの感じの図面があります。朱鷺が空から見て、"あそこに餌があるぞ"と、狭い谷津田を探すだろうか?圃場整備した広大な田圃の隅っこにある餌の沢山有る未整備の谷津田を朱鷺が探すだろうか?チョット疑問に思い始めました。農閑期に水を張ったら雁・白鳥が飛来した地区もあります。整備済みの生物の棲まない田圃に水を張り生物多様性を取り戻すには、前段として未整備の谷津田を整理して生物を取り戻すことが大切か。鮭から朱鷺・谷津田と思いをめぐらせています。


真冬のエコ生活とエコ調理

船橋市 長 正子 

 2月は一年中でも一番寒い時期です。こたつに入り、エアコンやストーブをつけ、と光熱費が一番かかる時期です。しかし、そこはエコロジーをめざす私、ひと工夫を実践しています。
 まず、お天気の日は、2階の南向きの部屋の障子やカーテンを開け、太陽の陽差しをいっぱい取り入れます。障子やカーテンは太陽の熱を遮断するので、それを開けると熱が直接入ってきます。まさに温室効果で暖かくなるのです。また、お布団を干し、それを取り込むと、部屋全体がほんわかと暖かくなり、冷めにくくなります。
もう一つの工夫は調理機具です。シャトルシェフとか、魔法鍋と呼ばれている保温型の鍋を使います。この鍋は沸騰するまでは火にかけますが、その後は保温容器のような外側の容器にすっぽりと入れるので、後はほおっておくだけで料理ができあがってしまいます。光熱費がかからないだけでなく、そばにいないですむので、手間もかかりません。おでんやシチュー、豆料理などの煮込み料理には抜群の威力を発揮します。
余熱を利用した調理方法もあります。かぼちゃやおいもを煮るとき、早めに火を止めて、あとは毛布や発砲スチロールや新聞紙などで包んでおくと、余熱でホカホカになります。お料理を作った後、なかなか帰ってこない人がいる場合も利用できるのではないでしょうか。いろいろな工夫で冬を楽しく乗り切りましょう。


エコなお祭りinあさひ

八日市場市 萩原 真紀 

 皆さん、お元気ですか?1月の千葉地方は晴天が続いて気持ちいいですね。そんな素晴らしい地球に一日ゆっくり立ち止まって感謝しようと、東総地区周辺の有志が集まって『アース・ディin あさひ』というイベントを計画しています。アース・ディとは、まだ環境問題がこれほど人々に注目されていなかった1970年に地球のために行動する日(地球の日)としてアメリカで生まれました。日本でも毎年、都内の代々木公園で大々的にお祭りが開催され、千葉市でも2年ほど前から稲毛海浜公園で若者を中心に企画されています。そんなエコなお祭りを、銚子にほど近い旭市で初めて開催することになりました。旭市は、国道沿いにはパチンコ屋や大型食品店が増え続け、時代の流れについていけずにゴミは全て自宅(もしくは自分の田畑)で処理し続けているという年配の方も多く残ってはいますが、都市部よりは星もきれいで緑も多く残っているのどかな町です。
当日はステージ、出店(出展)スペース、フリーマーケットを用意する予定です。実行委員は、素人ばかりですが、みな環境問題と正面から立ち向かい、まちづくりと供に地元の人々にももっと環境や自然に目を向けてもらいたいと願っている人達です。どの位の人手があるか全く予想もつきませんが、皆さんの中で興味をお持ちの方いらっしゃいましたら、ぜひ参加してみませんか?ボランティアスタッフも募集中!

日 程:2004年4月18日(日)
参加費:ステージ(歌、踊りなど)→無料
出店・出展 →2,000円  フリーマーケット→500円
会 場:千葉県旭市“東総文化会館”敷地内野外広場
連絡先:実行委員会 0479-62−1582(浅野)
miracle-trees@happy.email.ne.jp(萩原)

2003年にマスメディアに登場した記録 

NPO法人ちば環境情報センター事務局 

 2003年にマスメディアに登場したNPO法人ちば環境情報センター(CEIC)はTV2回,ラジオ1回,新聞など13回の合計16回に上ります。前年の9件に比べると大きく増えました。これは設立されて7年、NPO法人になってまだ10ヶ月ですが、ちば環境情報センターの地道な活動が評価され始め、認知されてきたおかげだと思います。
それぞれのイベント、特に谷津田でのイベントに参加される人数も着実に増えており、今までCEICのイベントに参加してくださった方々に深く感謝申し上げます。今後会員はもとより広く県民の方々に満足していただけ楽しめる活動を展開して参りたいと考えております。

月日 メディア名 登録内容
1 1月15日 根郷公民館便り 親子環境講座の案内
2 1月21日 毎日新聞 No.5白鳥に会いに行こうの案内
3 1月24日 地域新聞 谷津田で古代米の餅つき案内
4 1月24日 シティライフ No.7谷津田シンポジウムの案内
5 6月21日 TBS TV 谷津田での古代米の田植え放映
6 8月2日 シティライフ 下大和田谷津田の観察会の案内
7 8月15日 千葉日報 谷津田レンジャー養成講座の案内
8 8月 月刊スティグマ CEICの紹介
9 8月16日 シティライフ 谷津田レンジャー養成講座の案内
10 8月31日 千葉 TV 谷津田でのかかし作り放映
11 10月5日 読売新聞 「がんばれNPO」シリーズで紹介
12 10月5日 ちば市民だより 轟公民館でのあそび隊サポーターの案内
13 11月1日 シティライフ 下大和田でのイベント案内
14 11月13日 NHK千葉FM CEICの活動インタビュー(生放送)
15 11月14日 地域新聞 大宮公民館での草木染め案内
16 11月24日 千葉日報 丸山町での谷津田フォーラムの案内

CEIC運営委員から12
ニュースレターで情報の発信

佐倉市 田中 正彦 

 自分では覚えていませんが、小西由希子さんから「千葉県の環境情報の発信や環境学習のできる組織を作りたい」と相談されたとき、私は「ふ〜ん」とつれない返事をしたそうです。当時は市民参加型の環境活動の必要性を理解できませんでしたが、1年ほどちば環境情報センターを外から眺めているうちに、もしかしたらこんな地道な活動の積み重ねが人や環境を変えていくのかもしれない、と思い積極的に関わるようになりました。
今、ニュースレターやイベント情報の編集,会員名簿の管理,観察会や川遊びのお手伝いなど、CEICでの活動は、私のライフワークになっています。これからも充実したニュースレターを、すばらしい仲間たちと発行していきたいと思います。みなさまのご投稿やご意見などお待ちしております。


編集後記:1月25日下大和田の谷津田で、オオタカがカラスを捕食しているのを目撃しました。1月31日には栄町の水田でハヤブサがタゲリと思われる野鳥を食べているのを目の当たりにしました。数十m離れた所ではコハクチョウが優雅に羽を休め、一見平和を感じる場所でしたが、自然の厳しさを感じました。 mud-skipper