ちば環境情報センター
2004.11.8 発行    ニュースレター第88号
代表:小西由希子

目次
  1. 房総のヒメボタル
  2. “みどり”と“みず”の分科会は
  3. 11月14日は「環境シンポジウム千葉会議」へ
  4. 「楽しかった谷津田運動会」−こぼさないように−
  5. 10月19日COCCO『Heaven’s hell』上映会 ご報告
  6. 化粧品の動物実験禁止は世界の流れです
  7. 楽器や学用品が喜ばれています

房総のヒメボタル

千葉市中央区 倉西 良一 

2004年6月、聞き慣れない名前のホタルが新聞各紙に登場した。その名は、ヒメボタル。幼虫が陸上で暮らす陸棲のホタル。体長は6〜9mm 、ちょうど御飯粒ぐらいの大きさ。光り方が変わっている。ゲンジやヘイケボタルがゆるやかに点滅するのに対し、黄色いフラッシュ状に点滅する。

写真1:ヒメボタルのオス成虫,
天津小湊町 内浦山県民の森
(2004年6月26日, 倉西良一 撮影)
写真2:天津小湊町 内浦山県民の森、ヒメボタルのオスが活発に活動した斜面。2004年6月27日撮影。指をさしているのは、房総ホタル調査会の大和田 正さん。現地はヤマビルが多産するので林内には容易に入ることができない。夜間調査では、イノシシにも出会った。

 約半世紀程前の安房高校の生物部の部誌にヒメボタルの名前が出て以来、房総半島からこの昆虫の名前はなかった。まさに幻のホタルだった。なぜ長く見つからなかっただろうか? おそらく成虫の出現期間が約2週間と短いこと、活動時間帯がゲンジボタルなどと較べて遅いことも原因だったのだろう。再発見は、地元の自然愛好家の小林洋生さん。2004年6月12日モリアオガエルの産卵を観察するため、夜、内浦山県民の森にでかけた折に偶然見つけられたという。  2004年6月22日、ようやく立ち去った台風の直後、内浦山県民の森に出かけた。台風直後のせいか、蒸し暑く地面も湿っている。風はほとんどなく、月も雲に隠れてほとんど見えない。県民の森の中央を走る林道奥谷(おくやつ)線沿いに歩く。内浦山県民の森は、休日の賑やかさが信じられない程の静寂につつまれていた。午後10時、まるでまばたきをするような明滅する光が真っ暗な森の中から現われた。ヒメボタルの光は弱いため、懐中電灯の光にも反応して明滅をやめる。真っ暗な林道を、脇にそれて落ちないように見て回った。しゃがんで林床を覗き込む。ピカピカ光る点がいたるところにある。まるで宝石でもばらまいたようだ。林道奥谷線をさらに麻綿原の方向に歩く。林道の沢沿いや上の斜面のいたるところに光の点。歩いた範囲と一ケ所で見た光の点で計算すると、奥谷林道周辺だけで数千個体は発生していると推計できた。同行した房総ホタル調査会の大和田さんは、『これまで調べた東日本のヒメボタルの生息地の中でも最大級ですよ』と話してくれた。また他の東日本の生息地は、標高が1000mを超える山地に限定される傾向にあり、その意味でも標高150m程しかない内浦山県民の森の生息地は興味深い。『東日本にこんな観察しやすいヒメボタルの生息地は他にないでしょうね』大和田さんは付け加えた。  奥谷林道は、すでに舗装が完成しているがゲートで一般車両の乗り入れを禁じている。このことがヒメボタルの生息地を守るのに大きな役割をはたしてきたのは疑いない。ヒメボタルの恋のシグナルは、人工的な光をあびると機能しなくなるからだ。この林道が2005年1月より一般車の乗り入れ可能となるらしい。車のヘッドライトの光を浴びて、動けなくなるヒメボタル。発生個体数の激減や絶滅のおそれさえある。  ホタルを街おこしの起爆剤、観光資源として活用している自治体は全国に数多くある。その中でもヒメボタルは人気が高くヒメボタルサミットというイベントや市民が中心となったヒメボタル研究グループなどもあるそうだ。ヒメボタルは、その生態的な特性から決められた日にウワッと出てくる類いのホタルではない。その意味で大きなイベントに対応できるような生き物ではない。しかし通って、見守ることで地域の連携が深まったり、観光資源となりうるだろう。これを失うのは残念だ。  現地調査に同行した新聞記者が帰る間際に語った言葉が印象に残っている。彼は、午後8時から午前1時まで林道に立ちつくしていた。肉体的には相当疲れていたと思う。彼の口から出た言葉は意外だった『今日は、いいものを見せていただきました。明日からまた頑張れそうな気がします』耳を疑った。『とても癒された気がします』この言葉を聞いた時、なぜ人がここまでホタルに魅せられるのか少し分かった気がした。

“みどり”と“みず”の分科会は

環境シンポジウム2004千葉会議第3分科会長 市原市 山口 由富子 

環境シンポジウム2004千葉会議の第3分科会は、9月23日(木・祝)東邦大学習志野キャンパス学理部3号館で、総勢128人の参加者を得て開催しました。
今年がちょうど10周年目にあたるところから、分科会のテーマを今後の10年を見据えて決めるようにとの統一指令が本部事務局からあり、あれこれ審議した結果、「地域経済をまわす“みどり”と“みず”の力」としたのです。


それは、従来のシンポジウムが「みどりは大切だ」「こんな保全活動を行っています」という、いわば啓発と自己評価に終始していたのに対し、これからの10年で取り組まなければならないのは、持続可能な社会作りに向けてNPOが活動のための経済力を身につけることと、地域自体に力をつけること、そしてもの言わぬ“みどり”と“みず”にも経済的な力があるのだということを認識し、活用しなければならないという、その具体的な方策をこれから練って行くのがこれからの課題なのではないかと考えたのです。
しかし、このテーマでの講師依頼をしたとき、テーマが重すぎるとのことで、数人の方から辞退宣言を受けてしまいました。
折しも、何故かリーフレットに印刷されていた文字が「地球経済をまどわす“みどり”と“みず”の力」となっていることに気づいたのです。「まどわすとはもっての他」と、印刷し直すのを機に「地域経済と“みどり”と“みず”の力」とトーンダウンし、「お得意の分野でお話し下さい」と言いつつも、言葉の端々では「地域経済に結びつけた方向性を少しでもいいですから出していただきたい」と、ジワジワと締め付けたものです。
アンケートの中にも、評価してくださる方と食い足りないと不満を述べる方がいましたが、今まで避けてきた経済問題をあえて直視したという、10年を見据えての第一歩が踏み出せたのではないかと自己評価しています。
全体会は、11月14日。今回の話し合いをもとに第3分科会としての宣言文を採択します。また記念誌には、歴代の分科会長のひとことやこのシンポジウムから派生した様々なエピソードなどを記載したいと考えております。ぜひ、ご購読を。


11月14日は「環境シンポジウム千葉会議」へ

環境シンポジウム千葉会議実行委員 佐倉市  寺田 純子 

今年は環境シンポジウムが誕生して10年となります。10年前と今では私たちを取り巻く社会情勢は大きく変わりました。その1つに昨年から県内の各市町村にNPOのサポートセンターが設立され、NPOとの協働が大きくクローズアップされたことではないでしょうか。そこで環境シンポジウムの果たしていく役目や役割を考えていかなければならないと考えます。今年度を記念大会とし、記念誌の発行と、これからの10年にむけての宣言文を採択します。9月に、第1から第5分科会まで日程と場所を変えて行い、延べ420名の方が参加されました。本大会は11月14日に、日本大学生産工学部津田沼キャンパスにおいて開催いたしますので、今年のテーマである「地球のあしたに向けて千葉からアクションを!」をみなさんと共に力強く前進させていきたいと思います。今年度開催されました分科会をご紹介いたします。
   第1分科会テーマ ふみだそう地球を冷ます第一歩
   第2分科会テーマ 捨てるから活かす
   第3分科会テーマ 地域経済をまわす?みどりとみず”の力
   第4分科会テーマ 子どもの未来のための環境教育
              〜地域の力で明日から出来ること〜
   第5分科会テーマ 循環型社会を目指して
ひとりの力では、環境を変えていくことは出来ません。しかしひとりひとりが手を携えていかなければ解決していかないのも環境問題です。市民・行政・企業・大学の枠を超えて様々な環境問題に取り組んでいます。みなさんのお力を借りてよりいっそう基盤を強固にし、発展していきたいと思います。ぜひ皆さん、お誘いあわせてご参加ください。


「楽しかった谷津田運動会」−こぼさないように−

あすみが丘小学校3年 千葉市緑区 江澤 千春 

10月16日に田んぼで、運動会をやりました。まず、こぼしちゃだめよレースをやりました。わたしは、秋はこうようがきれいだし、食べ物が、おいしい季節なので、秋チームに入りました。秋チームは、ほとんどが子供で、大人は、すこしでした。わたしは、最終走者になって、冬チームのふかだくんと対けつしました。わたしはそっとおわんの水をペットボトルに入れたけど、ふかだくんは、こぼしながら入れていました。だから秋チームが勝ちました。決勝戦で、春チームのこだまくんと対けつしました。今回は、わたしも、こだまくんも、そっと入れました。だけど、1cm5mmの差で勝ちました。今までにないくらいうれしかったです。

次に、丸太切りをしました。わたしの記録は、去年よりはやくなりました。記録は、14秒でした。
今回は二種目しかなかったけど、もっとやりたいので、わたしが八種目考えています。だから、今年中にまたやってほしいです。


10月19日COCCO『Heaven’s hell』上映会 ご報告

八日市場市 萩原 真紀 

COCCO(コッコ、歌手)の素直さや正直さ、子供達の笑顔、沖縄の綺麗な日差しに感動しました。中には2/3は泣いていたとおっしゃる男性もいました。上映後はゲスト五十嵐秀雄さんにご本人が昨年の7月9日から毎朝45分間続けられているという地元千葉市中央区松ヶ丘でのゴミ拾いについてのお話を、ご本人の日記と供に聞かせて頂きました。涙が止まらなくなってしまったという経験もおありの様でしたが、それよりも何よりもゴミ拾いには一石二五鳥という位良い事があるそうです。中でも挨拶を一番大切にされておられ、行き交うサラリーマンや子供達に元気をあげる挨拶をされているそうです。元気をあげる挨拶ですから、相手も元気に挨拶してくれますね。
雨の中わざわざ上映会に参加して下さったのは計16名。遠くは都内や富津から、今回は情報センターの会員以外の方も多かったです。上映後のピーストークや懇親会では初顔合わせで情報交換等を楽しみました。「毎日やってえらいね」「お一人でなんて、私には出来ないわ」と口にする前に私も自分の足元に目を向けないと。
尚、私たち「映画班」では12月18日(土)14:00〜18:30、ちば環境情報センターの事務所を抜け出して、千葉市生涯学習センターで大上映会を企画しています。
『107+1 〜天国はつくるもの』という元気いっぱいの一本です。現在、上映会を一緒に盛り上げて下さる方大募集しています。詳しくはhagimaki@yahoo.co.jp(萩原)までご連絡下さい。合言葉は“動けば変わる!!”よろしくお願いします。


化粧品の動物実験禁止は世界の流れです

NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)代表 
千葉市緑区 BRUCE KEITH 優子 

みなさんご存知でしょうか?きれいな広告の影で推定年間30万頭もの動物が、口紅やシャンプーなどと引き換えに、実験で殺されています。うさぎの目をクリップで留め、拘束器で頭を固定し、化粧品の原料を点眼して目が腐敗していく様子を観察する「ドレイズテスト」という代表的な実験があります。麻酔がない為あまりの痛みから大暴れし、首の骨を折り死んでしまうこともあります。この実験は非常に残酷であり、データが研究所によって数百倍も差がでるなど「非科学的」であることや、この様な実験をせずとも安全性が確立された成分が6〜8千種類もあることから、オランダ、オーストリア、スイス、英、独などでは過去に禁止に、またEU内全域において禁止の法案が承認されました。米でも80年代にレブロン、エイボンをターゲットにした消費者のボイコット運動により、大企業が停止宣言をしました。しかし、日本では未だ大企業が、新規成分配合の商品が売れることによる利潤追求の為に、動物実験を止め様としません。そこでJAVAではこの実態を知ってもらい、次の様な行動を皆さんに広めています。@今使っているメーカーが実験していないかどうかチェック!,A動物実験しているメーカーの製品を買わない。そしてその意志をメーカーに手紙か電話で伝えよう,B動物実験していないメーカーの製品を選ぶ,Cまわりの人に伝える! わたし達人間の生活は、動物の犠牲の上で成り立っています。それならば、人間の行動で少しでも犠牲を減らすことができるはずです。またJAVAでは動物実験していないメーカー64社掲載した「コスメガイド」を200円で提供しています(売上は全て動物の為の活動費に充当)。ご希望の方は住所/お名前/電話番号を明記、290円分の切手を同封の上、〒108-0023 東京都港区芝浦 4-9-18-411    「コスメガイド係」まで封書でお送り下さい。


楽器や学用品が喜ばれています

NPO法人ネットワークハーモニー 柏市 田口 和江 

NPO法人ネットワークハーモニーは、1998年より現在までに12回のタイスタディーツアーを実施し、東北部ウドンターニ県と北部チェンマイ県の山岳地帯の子ども達に毎回約500sの楽器や学用品を贈りタイの子ども達と交流を行っています。これらの楽器や学用品は、柏市内及び近隣の小学校等に協力をお願いし生徒会や児童会が中心となり集められたものです。
タイの東北部やチェンマイ県の山岳地帯は貧困であり、文房具は食料品や日用雑貨に比べ高額で特に定規やコンパスなどを手に入れることは困難です。タイの先生が子ども達に好きな学用品を選ぶようにと声をかけても、ものを選んだことがなく、どれにするか迷って何十分もかかり手にするのだと教えてくれました。鍵盤ハーモニカやリコーダーは、学校の音楽の教材として大変貴重ということで先生方にとても喜ばれています。スタディーツアーの際、簡単に弾けるチューリップやちょうちょの楽譜を作って持っていき、タイの子ども達に弾き方を教えております。練習を重ねるうちに弾けるようになり、どの子もとても楽しそうです。中には、終わった後もずっと練習している子どももいます。このように学用品や楽器はタイの子ども達にとってとても貴重なものとなっています。
お子さんが大きくなられたご家庭では、頂き物のノートや鉛筆・鍵盤ハーモニカやリコーダーなど不要となり押入の奥で眠っているご家庭も多いのではないかと思われます。タイでは、これらのものが必要とされています。是非ともご協力をお願いいたします。連絡先 田口和江 TEL・FAX:04-7146-0247,E-mail:harmony1998@hotmail.com


編集後記:11月3日、下大和田で古代米の稲刈りを行いました。今年は例年になくスズメが大発生、手塩にかけて育てた4色の古代米はほとんど彼らの胃袋に収まってしまいました。特に黒米は味がよいのか壊滅状態。緑米も穂が軽く、直立した有様でした。今冬はわずかな食べ残しを我々が頂くことになりそうです。 mud-skipper