ちば環境情報センター
2005. 5. 6発行    ニュースレター第94号
代表:小西由希子

目次
  1. 公の施設の管理と指定管理者制度
  2. 「原子力発祥の地」で環境を語ろう!〜第13回環境自治体会議ご案内〜
  3. 旅と環境 その10 「熊の行列」    
  4.  ペットボトルやアルミ缶を集めて自治会・団体の活動費に活用しませんか
  5. 2004年度の広報を振り返って
  6. 『新米村長誕生!』〜長柄DASH村奮闘記vol.1〜

公の施設の管理と指定管理者制度

NPO法人千葉まちづくりサポートセンター副代表 千葉市美浜区 栗原 裕治 

 2003年9月2日に地方自治法の一部が改正され、3年の期限付きで(2006年9月1日までに)、現在管理委託をしている公の施設や今後新しくつくられる公の施設は、指定管理者制度か行政の直営の二者択一となりました。
ご存知のように、全国には公の施設が過剰につくられており、これらをつくるための負債と毎年の管理運営コストは地方自治体の財政を圧迫しています。指定管理者制度の導入に熱心な行政は、民間企業や市民団体を導入の理由に維持管理費のコストダウンとサービスの向上を掲げていますが、ことはそれほど単純なものではないようです。
公の施設にもいろいろあります。行政の出資している法人等が既に管理委託している施設には有料施設が多く見られます。これら文化施設、スポーツ施設、福祉施設、教育施設などはかなり広域からの利用者があり、管理運営に民間のノウハウやネットワークを生かせる可能性が高い施設です。民間企業はこうした施設やPFI事業等での新設施設の指定管理者になるための事業部や新会社の設立に動いており、営利企業と現在管理委託業務を行っている行政の出資法人が、行政からの委託料に加えて利用者の負担も収入にできる指定管理者に確実になっていくと思われます。こうした施設の指定管理者に市民団体はなぜなれないいのでしょうか。
全国のこれまでのNPOが参加した指定管理者の公募状況をみると、事業の企画力は地元の実情や地域・市民のネットワークを持っているNPO等の市民団体が勝っていても、事業者の安定性、実績等を含む総合評価で低い評価になっているようです。こうした評価手法を見直さない限り、NPOは指定管理者になかなかなれません。
もう一つの指定管理者制度への移行の大きな問題は、不特定多数の人に十分に活用されなくなっている公の施設や利用者負担を求めにくい施設が多いことです。こうした施設は従来の規則や慣習に縛られて管理運営が形骸化している場合がほとんどですが、これまで総合的な点検や評価がまったくといっていいほど行われてこなかったことが、そうした原因をつくってきたように思われます。ここ数年、こうした施設は行財政が厳しい中で毎年の維持管理費が定率でカットされているようです。きっと行政の担当課や施設の内部では話し合いも行われているのでしょうが、そうした情報は市民に聞こえてきません。極端に言えばくさいものに蓋をしてしまっているような状況です。こうした運営の難しい小規模な公の施設には、民間企業は参入しません。
行政直営の公の施設は、来年9月までに指定管理者制度に移行しなければならないわけではありません。しかし、行政は財政逼迫の中で直営施設も指定管理者制度に移行させてコストを削減したいと考えていることでしょう。もし十分な評価が行われないままに指定管理者制度に移行するとしたら、行政の対応はどこが傷物なのかを消費者に十分に説明せずに商品を売ろうとしている不誠実な企業にどこか似ている気がします。傷を見抜けないようでは指定管理者の資格がないという居直りともとれる意見もあるようですが、市民団体の中には、傷を十分に認識せずに、指定管理者に手を上げるところもあり、今後大きなトラブルに発展することが懸念されます。
地方分権は、今後自治体内分権、市民分権の方向に向かうと思われます。指定管理者制度もその一つで、こうした制度に市民やNPOが関心を持ち、周りの公の施設の点検や評価を求めそれに参加し、維持管理を担うようになることが必要と思われます。


「原子力発祥の地」で環境を語ろう!
〜第13回環境自治体会議 東海村会議のご案内〜

環境自治体会議事務局次長 千葉市美浜区 増原 直樹 

 2005年5月25日(水)〜27日(金)環境自治体会議が、茨城県東海村にて開催されます。
環境自治体会議は、環境政策に積極的に取り組む自治体、全国62市区町村で構成されており、自治体や団体間のネットワークづくりを促進し、情報を共有し合うことによって、政策のさらなる推進をめざしています。第1回池田会議(1992年、北海道)開催以来、毎年全国の市町村で約1000人の参加者を集め、開催されています。自治体の長・職員や議会議員の方々はもちろん、環境団体や学識経験者、企業の環境担当者など、幅広い分野からの参加者が見込まれており、環境に関する最新の知見が得られる絶好の機会です。

写真1. 東海村の風景 海,山,原発 写真2 東海村、住民・職員混成の「キャラバン

このたび、「原子力発祥の地」である茨城県東海村(前ページ写真1)にて、13回目の環境自治体会議「東海村会議」を開催することになりました。開催にあたって、地域の住民、事業者などから構成される実行委員会が昨年7月に設立され、企画委員会も含めすでに10回以上の会合がもたれました。会議のメインテーマや3日間の日程、分科会のテーマなどについて、白紙段階から実行委員、企画委員の方々と村、環境自治体会議事務局の3者共同で検討してきました。会議の各場面で住民のパワーを感じていただけることと思います。住民パワーのあらわれの一つが、会議史上初めて誕生した住民・職員混成の「キャラバン隊」です(写真2)。昨年から今年にかけて、茨城県内のほぼ全市町村を回り、会議の広報をしました。
3日間の会議の流れを紹介します。初日(5月25日)は開会式、全体会があります。全体会の中心は首長パネルディスカッションで、全国から元気な首長が11人集合します。テーマは2つ。「元気な自治体集合!〜日本の地域・その新しい方向を語る」と「環境自治体最前線 〜農でがんばる自治体からの報告」です。初日の夜には、前水俣市長(吉井正澄氏)と東海村村長による対談(特別セッション)があります。行政の信頼回復と地域の再生という課題に、水俣は、そして東海村はどう向き合ってきたのか、じっくり語ってもらいます。
2日目は、いま旬のテーマについての分科会、横断的な手法別の分科会を合計11個開催します。分科会の中では、全国の最新事例の報告をきき、第一線で活躍中のコーディネーターの進行で、参加者と話題提供者が相互に議論します。一部の分科会では、フィールドワークも予定しております。分科会の後は、大交流会で全国からの参加者、東海村の方々と情報交換ができます。参加費はお一人2万円(会議資料代、村内の移動交通費、1,2日目夕食、2日目昼食費を含みます。宿泊費は含んでいません)。参加案内は環境自治体会議ホームページからダウンロードできます。必ず事前申し込みをお願いします。http://www.colgei.org/


旅と環境 その10 「熊の行列」    

千葉市稲毛区  平田 和博 

 8年前の3月、スペインを旅行したときのことである。マドリードで、「夕方、熊の行列がありますよ」と意味ありげな添乗員の話に興味を抱き、ホテルの近くにあるマヨール広場へ出掛けた。広場では大勢のカップルがウインドウ・ショッピングするでもなく、そぞろ歩きしていた。広場をぐるりと囲むほどだったから、500組以上はいただろう。
驚いたことに、コートが要らないくらい温かな気温なのに女性がみんなキツネやミンクなどの黒っぽい毛皮のコートを着ていた。それが、添乗員の言った熊の行列なのである。スペインでは昼食をしっかり取って夕食は軽く済ませるため夕方になっても奥さんたちは暇なので、夫婦そろって散歩する習慣があるようだ。また、女房に高価な毛皮のコートを着せて歩くのが男の甲斐性だと思っている。
そういうことで、野生動物保護を訴えても聞いてくれそうもない。困った習慣もあったものだ。ホテルに戻ったら、同行の人がほかの大通りでも熊の行列があったと話していた。


 ペットボトルやアルミ缶を集めて
自治会・団体の活動費に活用しませんか

千葉市若葉区 井上 健治 

 自治体で実施している、資源回収とは別回収になります。回収予定地域/千葉市・四街道市・市原市,その他地域はご相談下さい。
・4円/1kgの協力費になります。(目安:2リットル容器で約20個)
・1回で750/kg(4tトラック1台分)の回収になります。
・45リットルごみ袋で約3kg(目安:60〜80個)になります。(750kg/250袋)

<対象廃棄物>
●ペットボトル:飲料用、しょうゆ、お酒(焼酎)、みりん、酢、台所洗剤
●アルミ缶
<収集方法例>
たとえば、各家庭で45リットルごみ袋に収集→集団回収の要領で、業者回収日に回収場所へ持参→業者積み込み
「ごみ」は立派な資源です。捨てるから活かすへ
ペットボトル・アルミ缶を回収して資源として活用しましょう。
<連絡先>井上健治 FAX 043-207-7515,e-meil kinoue@bi.wakwak.com


2004年度の広報を振り返って

NPO法人 ちば環境情報センター事務局 

 当センターが法人化してから約2年、いろいろなメディアや他団体の会報誌で取り上げていただく機会が増え、私達も積極的にそれらに対応してきました。おかげさまで、多くの県民の方に団体名や活動の内容を知っていただくことができ、また、それが会員の意欲や励みにも繋がり、活動もますます活発に、拡がりをみせてきています。
2004年度の広報面の特徴としては、他団体の会報誌に当センターのことが紹介される機会が多くなってきた点です。また、割りばしリサイクルプロジェクトが「身近に取り組めるリサイクル活動」として、行政サイトの機関誌にもいくつか取り上げていただきました。
活動のフィールドとして使用している下大和田の谷津田には、豊かな自然や動植物,元気に遊ぶ子どもたちの映像を求めてテレビ局が収録に来ることもありました。
これからもニュースレターやイベント情報を介した環境情報の発信や、参加体験型環境学習の充実など、常にオープンで、信頼される活動を皆さんとともに進めていけるよう努めて参りますので、今後ともご協力,ご支援よろしくお願い致します。

・下大和田谷津田の自然の紹介(NHK情報ネット県庁1F県事業紹介スクリーン用)
・環境学習風景の写真採用(ボランティア用語辞典 出版:GAKKEN)
・NPOの八日市場歩き(こうほう八日市場,2004年8月1日)
・「県委託事業カヌー体験」掲載(千葉県NPO活動情報誌「さぁNPO」,2004年8月号)
・割り箸リサイクルボランティア(千葉市ボランティアセンター2005年1月号)
・お〜いNPO「ちば環境情報センター」(ベイウェーブVol.10号,2005年2月10日)
・割り箸な午後 使ったらポイ?身近な事から環境を考える(地域新聞vol.239 千葉東版2005年2月18日)
・環境ボランティア紹介:割り箸(千葉市若葉区ボランティアセンター2005年2月)
・使い終わった割り箸を資源に(クリーンネットちばNO56 2005月3月15日)
・割り箸も木だから紙になるんじゃない?(いちはら・ごみ端会議通信No13 2005年春号)

個人情報保護法が4月に施行されて約1カ月余りがたち、個人情報の管理に関して社会的関心がますます高くなってきています。当会では会員の皆さんからお預かりした個人情報については、厳重に管理しております。会員の個人情報は、当会のニュースレターの発行やその他イベントの案内などで使用する以外、いっさい転用はいたしませんので、ご安心ください。
ニュースレター発行の際使用する使用済み封筒も、情報部分を黒で消し、個人が差出人となっている封筒は使用しないなど、個人情報の流失がないよう配慮しています。何かお気づきの点があれば、事務局までご連絡ください。

『新米村長誕生!』  〜長柄DASH村奮闘記vol.1〜

千葉市少年自然の家 茂原市 中村 彰宏 

 平成17年4月1日より、千葉市長生郡長柄(ながら)町で「千葉市少年自然の家」が産声をあげ、さっそく千葉市内の小学校5,6年生の移動教室をはじめ青少年団体やご家族の方々の利用がスタートしています。
 CEICの理事でもある僕は、今年1月よりプログラム指導・利用者支援および谷津田担当として、この自然の家をPFI事業で委託された千葉YMCAに所属し、念願の仕事としての環境活動に就くことになりました。

谷津田をかける虹も歓迎してくれました(見えるかな?) 子どもたちからは「そんちょ」と呼ばれています

 今回から連載(予定)の「長柄DASH村奮闘記」では、谷津田地形にある自然の家の谷津田エリア(田んぼ、畑、ビオトープ)を「DASH村」と考え、ここの新米村長として七転び八起きする僕の活動をお送りします。
 さて、時はすでに5月。実は長柄DASH村はもう田植えを迎えました。しかしそこまでの道のりには、目の回るような数々の試練がありました。特に今年が初年度の田んぼ。「田んぼがちゃんと機能するか?」「土が造成したてで硬すぎる!」「なんだか水が赤い!鉄分?生きものへの影響は?」「田んぼの高低差がひどい&排水路が高くて稲が水没する!」「トラクターが田んぼに沈んだ!」「子どもたちが泥んこになった跡に足を洗う所は?」「ってゆーか生きものはいるの?」なんて問題が次から次へと、まるで谷津田の湧き水のように出てくるわけで。。。
 でも自然ってすごいですね。一度は機械が入って生きものたちを追いやってしまっても、みんなを歓迎する準備ができれば、それを待ってたかのように季節と共に1匹、1羽、1本ずつ、生きものや植物たちが顔を出し始めてきたんです。気がつけば谷津田は、カエルやらドジョウやらヤゴやらカモやらセリやら何やらかんやらがまるで同窓会のように、「いやぁ〜、やっと工事終わったね。ヒキガエル君は隣の谷津田にホームステイ?僕はずっと種のまま土で眠ってたよ。」なんて聞こえてくるようなにぎわいにビックリ!
 そんな「復活の春」と、そこに目をキラキラさせながら虫捕りやザリガニ釣りに走り回る子どもたちの笑顔を見たら、何だかうれしくてピョンピョン跳び回ってしまいました(笑)。
 先日、バタバタしながらも小学校のみんなと田植えをすることができました。これから収穫までどんな難関が待ち受けてるやら・・・乞うご期待!


編集後記:5月1日、里山シンポジウム「生物ビオトープ分科会」のイベントが下大和田で実施されました。70名もの参加者が、午前中観察会、午後は谷津田・里山遊びを堪能しました。「遊び」を企画したのは小さい頃から谷津田に親しんだ中1と小4の子どもたち。谷津田が子どもも育んでいたのを実感した1日でした。mud-skipper