ちば環境情報センター
2005.11.7発行    ニュースレター第100号
代表:小西由希子

目次

  1. ナンナンデショウネ?
  2. 盛況だった「こども環境講座」
  3. 印旛沼わいわい会議in八街「生き残れる農業はこれだ!!」に参加して
  4. 食文明の危機をユーモア溢れる鋭いレポート「スーパーサイズ・ミー」上映会報告
  5. 昔ながらの生活に憧れて

ナンナンデショウネ?

都市鳥研究会代表 市川市 唐沢 孝一

「先生、葛西臨海公園って水族館だけじゃなく鳥類園もあるんですか。知らなかったな。野鳥の楽園なんて書いてある。面白そうね」
「なるほど、野鳥の楽園とありますね」「でも、チバコさん、書いてあるってナンナンデショウネ?」
「先生のいつものナンナンデショウネ? ですね。誰が、何のために書いたの? と言いたいんですね」
「その通り。楽園と書いてあるこの場所は、昔はね、東京湾の最奥で広大な干潟が広がっていた。一斉に水鳥が飛び立つと空が真っ黒になるほどたくさんいてね、ほんとに野鳥の楽園だったんだ。湾岸道路や京葉線が開通し、水族館やテーマパークができた。マンションも林立し、野鳥の楽園は埋め立てられてしまったんだ・・・」
「先生のいつもの口ぐせ、昔はね・・・ですね。でも、本当の楽園を埋め立てて、そこを野鳥の楽園というなんて、それってナンナンデショウネ?」
「あれ、こんどはチバコさんのナンナンデショウネ? ですか」「言葉が実態を反映していない、現実から浮き上がっている。その最たる例はテレビのCMですね。例えば、明るい農村という言葉もよく耳にします。でも、農村の未来が明るければそんなスローガンを掲げたりはしませんね」「地球にやさしいとか、環境にやさしいという言葉も、実に滑稽ですね。ヤサシイって、いったいナンナンデショウネ? 」
「先生、それって地球がやさしくして欲しいと思っている、ということでしょ?」
「地球も環境も、そんなこと思わない。そう思うのも、本当に困るのも人なんです。地球なんかじゃない」
「ということは、地球のためにではなく、自分たちのために環境を守る、ということですか?」
「さすがチバコさんですね。トキのため、コウノトリのために鳥を保護するように考えがちですが、実は、自分たち人のためですね。では、人のためってナンナンデショウネ?」
「えっ、人のためって、人に役立つってことでしょ?」
「そうなんだが、人って立場が変わると考え方や人格までちがってしまう動物なので、やっかいですね。それはそうと、せっかく野鳥の楽園と書いてあるところに来たんだから、バードウォッチングでもやりながら続きを話そうか・・・」

「先生、こんな海岸の埋立地にコナラやクヌギが生えているけど、これって里山の樹木ですよね。千葉県でも里山の自然がどんどん消えてしまっていると聞いたことあります」
「さすがは自然に関心のあるチバオくん、目の付けどころがちがうな。では、里山の自然ってナンナンデショウネ?」
「え〜と、里山ということは、都市でも奥山でもない、里や山のこと? 山や川があり、田畑を耕し、農道や人家もある。人々がそこで暮しているところ。自然と人工がミックスしている、半自然ですか?」
「半自然とはなかなか面白いね。では、人々がそこで暮している、というのはナンナンデショウネ?」
「山や川、田畑などの半自然の恵みを利用しながら生計を立てる。結婚し、赤ちゃんが産まれ、運動会や遠足、お祭りや縁日、お葬式もある・・・。人が暮すというのは、そういうことでしょうか・・・?」
「そうですね。人々の暮しがあって里山の自然は成り立っている。都会の人がたまに田植えやイモ掘りに来ても、里山の自然が甦ったとはいえませんね」
「先生、HHKテレビでみたんですが、田んぼにメダカを復活させるだけでも大変らしいですね。メダカが消えるということは、農家の人が水田を放棄したということですよね。それってナンナンデショウネ?」
「う〜ん、例えば農業収入が少なすぎる。若い人が都会に出て後継者不足。農作業やお祭り、消防や雪かきなどをやる村落共同体が維持できない・・・」
「先生、それって自然だけでなく、日本の社会問題のような気がしますが・・・」
「チバオ君は相変わらず鋭いとこ突くね。政治・経済、文化や宗教も関係しているでしょうね。世界中の多様な文化や言語が一元化され、消滅の危機にある。不毛の砂漠で誕生した宗教が熱帯多雨林にまで拡大している始末です。また、里山の自然の崩壊は都市の巨大化と表裏一体。都市の巨大化と資本の論理が里山の自然・住民・文化を丸のみにしてしまった。里山の自然破壊は都市問題そのものです」
「先生、里山の復活は望めますか?」
「江戸や明治の原風景をそのまま復活するのは困難でしょうね。復活ではなく再生。都会人との連帯による再生が課題でしょう。それにはですね・・・」

「あ、先生、あそこにいるのはセイタカシギですか。なんて優雅なんでしょう。 やっぱりここは野鳥の楽園と言ってもいいんじゃないですか?」
「ウ〜ン、そういう立場の人もいる・・・、ということでしょうか・・・


盛況だった「こども環境講座」

大網白里町 平沼 勝男

今にも降り出しそうな曇り空の下。重苦しい雲を吹き飛ばすかのように、小山町の谷津田のいたるところから子供達の歓声がこだましていました。この日、10月9日「こども環境講座」恒例の小山町谷津田探検がおこなわれました。子供たちを迎えてくれたのは、ホトケドジョウ,サワガニ,マルタニシ,アカガエル,アマガエル,ヒバカリ,赤トンボ,アケビ・クリ・イヌガヤの実,サンショウモ,キバナアキギリ・ナンバンギセル・イヌショウウマなどの秋の花,シュロの葉,など等、谷津田の主役達です。子供たちはスタッフの説明に耳を傾け、アケビの実を口にし、サワガニを捕まえ、ヒバカリを手にして感触を楽しみました。日頃ゲーム機などで遊んでいる子供たちもこの谷津田の楽しみは十分理解できているようです。子供達の喜びは我々スタッフの喜びでもありました。

アイスブレーキングは「つながり探し」 いよいよ谷津田探検のはじまりです

「こども環境講座」も今年で3年目を迎えました。過去2回は千葉県から「ちば・谷津田フォーラム」への委託事業だったため、NPO法人ちば環境情報センターは共催となっていました。今回初めてのCEIC単独主催です(千葉市教育委員会後援)。千葉市ユースホステルをベースに、近くの小山町谷津,昭和の森公園などを舞台に、10月9〜10日一泊二日の日程で様々な体験学習講座を繰り広げました。集まった子供たちは、千葉県内小学校4年生から中学校2年生までの31名です。我々スタッフは総勢23名。学生,主婦,会社員,教員などそれぞれの社会で活躍している人たちです。また、看護士の方1名と今回は特別に、小山町の農家から2名のご婦人がかけつけてくださいました
初日のスケジュールは、千葉市ユースホステルで受付後、子供たちを班に分け、その後スタッフによる簡単な挨拶と趣旨説明をおこないました。そして、子供達の緊張を解きほぐすためのゲームをおこないました。これが終わると子供達の雰囲気は一変します。まさにわき合い合いと言った感じになりした。そして最初に述べた小山町谷津田探検です。全員で15分くらいの道のりを歩き小山町の谷津田まで移動します。多くの子供達にとっては未知の谷津田なのですが、スタッフが率先して生物に触れたり、アケビや栗の実などを子供達と共に食べたりする事で、子供達はすぐに順応し、積極的に生き物を探し、捕まえてはスタッフに報告してきます。子供達の順応の速さと、自然を見る目には驚くべきものがありました。
その後ユースホステルに帰り、夕食を済ませた後、今度は昭和の森公園内の森林内を歩くナイトハイキングです。それが終わると入浴。その後消灯の10時までの約1時間スタッフと共に独楽まわし・めんこといった昔ながらの遊びをしました。自由参加ですが多くの子供達がスタッフとともに楽しい時間を過ごしました。

谷津田のヘビ「ジムグリ」を見つけてさわってみよう 農家の方が縄なえを伝授

翌日は6時から自由参加の早朝ハイキング。バードウォッチングをしました。朝食後、自然の素材を使った工作、ネイーチャークラフトを午前と午後の部に分けておこないました。ここで我々が特にこだわっているのが、子供達に刃物を持たせるという事です。最近は学校でも刃物は持たせないようですが、我々は刃物の使い方を最初に教え、実行させます。もちろん怪我をしては元もこうもありません。十分なスタッフの手配をし、怪我人が出ないよう最善の努力を試みました。幸い怪我人はありませんでした。「竹で箸を作る」「あっ君人形作り」「おはじき作り」「竹で笛を作る」「弓矢作り・弓矢遊び」「藁を使った縄ない」「草でバッタを作る」「リース作り」「ドングリトトロ作り」などです。昼食は野外において子供達と共同でカレーライスを作り食べました。
講座を通して我々は子供たちに谷津田や自然の素晴らしさ、大切さを理解してもらいたいと考えました。同時に、うまくすればこんなに上手に、そして楽しくそれらと接することが出来る、昔の人はこんな素晴らしいことをしていたのだ、という事をわかってもらいたい。それは子供たちに対して教育をしようと考えるのではなく、しかし学校や家庭ではおそらく教えられない大切なことを子供達に伝えたい。その一心でこども環境講座を開いたのだと思います。こども環境講座のスケジュールは過密でとてもハードでした、我々スタッフにとってもかなりハードなものでした。ましてや子供たちにとってはかなりのものだったかと思います。しかし苦情を言う子供は皆無でした。というよりも子供達のパワーにスタッフが圧倒され続けたといった方が正しいかとおもいます。今回集まった子供達31名中10名は昨年の参加者、つまりリピーターでした。我々は子供たちに対し、上から指示するのではなく、同じ目線で、一緒になって行動し、一緒になって遊びます。それが心と心が通う秘訣だと思います。来年もまた参加したい、そう思ってもらえることが我々スタッフに対する何よりの褒美でした。我々素人のスタッフが、真心を込めた手作りの講座。だから心が通じ合う。それが、ちば情報環境センター(CEIC)こども環境講座です。
スタッフの皆様、またスタッフを支えてくださいました皆様、ありがとうございました。

笑顔で全員集合

【初参加スタッフの感想】
初めて参加させていただき、最も印象的だったのは、子どもたちが生き生きと様々なことに積極的に取り組んでいる姿です。いっしょに過ごさせていただき、私もワクワクしました。テレビもゲームもない空間で谷津田の生きもののふしぎさを発見したり、竹やわら、どんぐりなど木の実を使って物をつくるおもしろさを実感したり、2日間でも足りないくらい充実していました。
「何もない」自然の中で、こんなに楽しく過ごすことができ、このような活動の大切さもわかり、今後の小山町YPPの活動をつづけていく原動力にもなりました。ありがとうございました。(千葉市緑区あすみが丘 松下恵美子)

私は今回初めてこども環境講座にスタッフとして参加させていただきました。そもそも私は自分が小・中学生の頃にこういった地元での自然観察会などに参加するのが大好きだったので、大学生になった今、今度はその楽しさを自分がこどもたちに伝えていく番だ!!という思いが参加のきっかけでした。
様々なプログラムがあるなかで、こどもたちはどれも積極的に参加し目をきらきら輝かせてながら興味津々という感じでした。特に谷津田たんけんやナイトハイクでは、何かを発見しては「〜見つけたよー!」と自慢げにみんなに教えてくれたりして、こどもの観察力にはただただびっくりするばかりでした。
私がこの2日間で一番嬉しかったのは、こどもたちが今までやったことのないことをはじめは「こんなのできないよー」とか言ってちょっとためらいつつも、最後にはちゃんとできるようになって「おうちでもやってみよーっと」とか言ってくれたときです。ここでの経験がこれからのこどもたちに何かしらの役に立つと思うと本当に嬉しい限りです。今頃、こどもたちがここで習ったことを「ほーら、すごいだろー」とか言いながら学校や家でやっている姿を想像してみたり…。世界中で環境破壊が進む現在、これから大人になってゆくこどもたちに自然の美しさ や大切さを教えることはとても意味があることだと思います。また機会があれば是非参加して、こどもたちと一緒に自然について学びたいと思います。
最後に、今回いきなり参加したにもかかわらず私を受け入れてくれたスタッフのみなさん、そして改めて自然のおもしろさを教えてくれたこどもたちにお礼を言いたいと思います。本当にありがとうございました。(千葉大学1年 飯塚 瞳)


印旛沼わいわい会議in八街
「生き残れる農業はこれだ!!」に参加して

東京都江東区 中瀬 勝義

2005年10月25日、印旛沼の水質の回復を目的とする「印旛沼わいわい会議」in 八街に参加させて頂いた。生き残れる農業はこれだという刺激的なネーミングである。深読みすれば、今のままでは農業は生き残れないということになろうかと思う。
果たしてそうだろうか? 個人的には全く逆だと考えている。今の産業の中では、農業しか生き残れないのではないかと考えている。中国やインド、ベトナム等がどんどん工業化してくる中で、日本が工業国として生き残れる可能性は少ないものと感じている。イタリアのようにデザイン性に富む高級品や特殊なハイテクしか生き残れないのではないかと思っている。それに対して、借金漬け財政の日本経済の中でも食糧は不可欠のものであり、農業が生き残れない等とは全く考えられないことである。
日本は明治維新後、欧米に追いつけ・追い越せと頑張り続けてきたが、国民がもうそろそろ日本の現状を真剣に考え、今後の日本をどうするべきかを根本的に考える時期に来ているかと思う。日本は資源もエネルギーも豊富ではなく、国土面積も余り多くない。この国土にあった生態的なライフスタイルを創り上げねばならないかと思う。
江戸時代には人口が2〜3000万人、食糧は自給し、金銀銅等を輸出していたと聞く。外国の資源に依存したライフスタイルではなく、循環型・持続可能な社会を創り上げていたと聞いている。来訪したオランダ人は田園都市として、美しい景観に驚嘆したと聞く。私の知っている戦後でも自然豊かな美しい日本が都会の真ん中にも残っていた。それが現在はシオサイトや六本木ヒルズに見られるような余りに人工的な不自然なまちづくりが進展している。環境に優しい持続可能社会とはとても考え難い。
私はささやかに自宅の屋上で菜園を作っている。約100個のプランターで野菜を作っている。土や肥料は、自宅から出る生ゴミを電気式生ゴミ処理機で作ったものを使っている。100%の自給率には及ばないが、2割位にはなっている。キュ−バでは、アメリカから制裁を受け、昔のソ連からの支援に頼っていたが、ソ連が崩壊すると、支援国がなくなり、肥料も買えないまま、有機菜園を実践し、今や有機農業都市として活性化していると聞く。先進国のアメリカやフランスでは食糧自給率は100%を超え、食糧輸出国でもあると言う。
日本もその真似をして、100%の自給率を確保することに努力すべき時期に来ている。今後、工業が中国やインドへ中心が移行しつつあること、世界的な資源不足と石油を買う金もなくなってくることが予想されることから、食糧自給のため国を挙げて努力する必要がある。また、外国の肥料・飼料と石油に依存した機械的農業は継続不可能になるかと思われる。それぞれの旬に合った野菜を食べる昔の時代に回帰するしかないかと思う。
自然の時間を無視した、人間の都合だけで成り立つ現代文明は最早卒業すべきである。生ゴミ以上に問題の多い、プラスティック包装容器は全廃すべきと思う。資源を大量に使用する自動車優先文明は、持続可能社会の優等生の自転車に転換すべき時である。
そのエコライフこそが、印旛沼の水質の回復を前進させるものと推察される。農業を再生し、持続可能社会を皆で創り上げようではありませんか!!!


食文明の危機をユーモア溢れる鋭いレポート
「スーパーサイズ・ミー」上映会報告

ちば環境情報センター「映画班」では、2005年9月17日に上映会を開催しました。監督自らがマクドナルドを3食1ヶ月間食べ続けたというドキュメンタリーです。今回は、当日ご参加頂いた2名の方に感想をお願いしましたので、ここに掲載いたします。
次回の上映会は来年の2006年2月4日(土)アーリー・バレンタイン企画を考えています。お時間のある方は私たちと一緒に素敵な午後を過ごしませんか?


東京都中央区 小林 未来

Unity のML情報で、NPO法人ちば環境情報センターを訪ね「スーパーサイズ・ミー」鑑賞会に参加する。鑑賞会と言っても、手作りケーキとオーガニックコーヒー、ナチュラルティーの会で、資料として良い映像を紹介する、みんなで見てみよう...的な会と言った趣旨。良い雰囲気で作品に見入ると、そこには現代の食文明を鋭くレポートする情報が満載されていた。
たんにマクドナルド(以下Mc)を一ヶ月食べ続ける実験の主筋のみでなく、USAの学校給食がピザやフライドポテトなど、子供は喜ぶが食生活として問題ある事をレポする。ようは商業主義と市場競争でブレーキの利かない現代...凄まじいコマーシャルが私達に食品として貧しい質のもの、しかしCMの力で思いっきり魅力的な食に見せてしまう。私達を含め子供達をどう守ったら良いのだろう?こういった給食を改善しようとする動きには、その業者筋が抵抗勢力として利権を守ってしまう。映画はこの他にも色々な側面に触れ、インタビューなども豊富である。情報量が多くて気が抜けない。アニメも効果的に使われていて、チキンナゲット製造シーンは、こわくてソレを食べられなくなる。映画によると奇形を起こしたブロイラーをさばくそうで、どこの部位を使ったのかも解らないシロモノだそうだ。
一ヶ月Mcに挑戦した主人公は、彼女がベジタリアンで、平均より健全な食生活をしていた。その彼が最初にスーパーサイズを食べて、あまりの量、おそらく脂肪が多いなどから吐いてしまうシーンは先行きの困難を予想させる。挑戦する前から終了まで、何人もの専門医にチェックしてもらうのだが、終盤が近づくにつれ彼の体調はガタガタ、「このまま続けると死ぬ」医者は中止を勧告する。上映後の参加者間のトークタイムでは、ネット記事によると、同じ挑戦をして異常なかったレポもあるそうだが、私はこの映画の信ぴょう性を支持したい。自分もファーストフードが続いた時は、異常感を感じたからだ。
関連して感じたのは、アメリカ人が第二次大戦後ファーストフードが登場してから、それまでと性質が変わっているような気がした。太平洋戦での兵士の質とベトナム戦での質の違い。それは今イラクでヘビーメタル・ロックをイヤホンで聴きながら機関銃をうちまくる米兵で極まってくる。食との関連を感じずにいられない。一ヶ月をどうにか終了した主人公は、彼女の健全食でリハビリするのだが、私は以前から家畜の生物的な危機を感じていた。ブロイラーのゲージ飼育、牛の肉骨粉(共食い)、本来の生命と違う事を何世代も今後続けていけば、食以前に種としておかしくなって行くのを、現状はまっしぐらに進んでいるのだ。この映画の内容はとても良かった。


インド人留学生 ムジュムダール・アシュトシ

“Der Mensch ist was er isst (Man is what he eats)”というドイツ語の諺がある。同じことを意味する諺は、他の言語圏にも存在するということに無理はなかろう。その意味を言葉通りに、何ら決定論に基づいて解釈しなくても、「なるほど」と言わざるを得ないか。理由は単純かもしれないが、恐らく私たち殆ど、それについてよく考えてはいないだろう。飲食物は物質であるが故に、体内の成分と相互作用し、対応した現象をひき起こすという可能性は否定し難い。

そういう事柄に赤裸々と目覚めてくれるのは例の『スーパーサイズ・ミー』という映画である。1ヵ月間3食マクドナルド三昧で自らの体を実験台に立ち上がらせ、よって起こる変化・異変を詳細に観察検査してもらい、それを実証するのが実験者のユニークな、しかも本気な趣旨である。映画が進めば進むほど、実験が進めば進むほど、その重みがじいんとくる。最初の数回、笑顔をもって、冒険的にマクドナルド食を始末するその人は、数日間が経つと様々な異変を起こしたりして、自分自身も驚くぐらい実験の行方や、回復不能かもしれない損害について懸念を表明するようになる。そこで、初めて、映画を観る私の表情も姿勢も変わった。やはり、そう簡単に片付けられない課題に直面しているのだ、と。
映画や実験のことをめぐって様々な反論や駄目出しが冷笑的に繰り広げられるだろうし、「いやっ、アメリカと比べれば自国は違うじゃ!」とか、「いやっ、マックたまにしか食ってないよ。」とかといって軽視する私たちであるかもしれない。しかし、それは、真の問題をきちんと理解せずに、その解決策やそれに対応した自分自身の思考・行動パターンの見直しを後回しにすると違いない。大量かつ安価というロジックは、他方、計り知れないリスクを伴い、よく無視されてしまう破壊を巻き起こしているだろう。考えさせる課題には切がないと思うが、とにかく友達、親戚、または初対面の方々と一緒にこの映画について語り合い、話し合いながら各々のライフ・スタイルのことを反省的に考えてみよう。真の始まりはそこにあるのではないか。Super-size me?!


昔ながらの生活に憧れて

東金市 江口 純一郎

私は現在、東金市に古い農家を借りて住んでいます、農家は百年以上も昔に建てられた物で柱、梁はとても太く黒光りして迫力があります、それから縁側がありそこから見えるのは畑や植木のある庭と、田んぼですが自分にとって何とも心が落ち着く風景です。

私が借りている築100年以上の農家

間取りは部屋が五つ有り、小さな部屋二つ(納戸)は大家さんの荷物が置いてあって使えませんが、十畳二間と八畳一間、それから自分がけっこう気に入っているのが土間で、民俗資料館や昔話でしか見ることの無かった土間が自分の住んでいる家に有るというのは、嬉しいです。土間を見上げると上半分は天井が貼ってありますが、もう半分は吹き抜けになっていて昔の屋根の造りが見られて面白いものです。
庭には自分の食べる程度のものですが有機肥料で野菜を作っています。朝収穫してその日のうちに食べると、大した味付けはしなくてもとても美味しく頂けます。また、お米はご近所の農家より買わせて頂いているのですが、このあたりはお米が美味しいようで、食べる事にはとても満足しています。
それから昔の農家は風通しが良くて冷房などの必要も無く、夏の暑さしのぎには最適です。
しかし良い事ばかりではなく、不安なところもあります、例えば柱が少し傾いている事や、柱と障子の間に隙間が空いている事などで、もし地震が来たらこの家に限っては早く外へ出た方が安全だと感じています。(電話で日本民家の専門家の方に質問したところ「昔の家はみんな傾いたりするものだから心配ないよ。」と言って頂き少し安心しました。)また、冬の寒さ対策は今から地道にやっておく事が、後で凍えないで済む一番よい方法だと感じています。
私がこの家に住みたいと思った理由は、人間が生活をする事自体が自然循環の一部であってほしいと言う願いからでした。現在の人間は生活すること自体が自然環境を破壊しているように感じますが、昔の人間の生活は自然循環の一部であったのではないかと思っています。ただ全く環境を破壊していないとは言い切れませんが、たとえ破壊したとしてもごく僅かで自然の力ですぐに修復できる範囲だったのではないかと思っています。
また建物以外でも、その土地に昔から受け継がれた形を大切にしたいと思っています、例えば食べるものや着るものなどは、どの国も地方も多かれ少なかれ違いはあると思いますがこの違いこそ、それぞれの風土にあったものでありそれぞれの場所でそれを受け継ぎ、また他の国や地方の文化の違いを認めあえれば、自然に地球と共生共存が出来るのではないかと思ったからです。
そう考えると自分に環境破壊の原因が有るのではないかと思い、この生活を始めました。もし近くに来られる事が有りましたら、寄ってみて下さい。

ご寄付どうもありがとうございました!
富士ゼロックス株式会社様と富士ゼロックス端数倶楽部様から、一昨年,昨年にひきつづき今年もまた沢山のご寄付をいただきました(本年は各10万円ずつ計20万円)。情報の発信や環境学習、また谷津田・里山の保全など、日常私たちが取り組んでいる活動に助成して下さったものです。さらに、今回は特に谷津田をフィールドにした「こども環境講座」実施にもご寄付いただきました。おかげさまで2,3ページにご報告の通り大変充実した活動になりました。心から御礼申し上げます。       (代表 小西由希子)
【発送お手伝いのお願い】
ニュースレター12月号(第101号)の発送を12月7日(水)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。

編集後記:1997年8月1日、ニュースレター創刊号を発行してから、今回100号をお届けすることができました。1回も休まず、発送予定日にも遅れることなくここまでこられたのも、発送作業の手伝いや使用済み封筒の提供など会員皆様のご協力のたまものと感謝しております。今後ともよろしくお願いいたします。  mud-skipper