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千葉市中央区 高橋 克行
私は昨年春から国立環境研究所(国環研)に来て都市大気エアロゾルの観測の仕事をしています。国環研では様々な環境に関わる研究に取り組んでいますが、
私が所属する研究室は黄砂をテーマにしています。ここではその研究内容を紹介しましょう。
黄砂とは中国のゴビ砂漠やタクラマカン砂漠の砂が強風で巻き上げられて、西風に乗って運ばれる現象です(図1)。
日本ではこれからの時期、主に西日本で観測され、空が薄く黄色がかってみえます。俳句で春の季語に「つちふる(漢字では「霾」と書きます)」というのがあり、
これは黄砂のことを表しているそうです。
図1 黄砂の発生地域(国環研HPより) | 図2 平常時(上)と大黄砂の時(下)の天安門の様子 (国環研HPより) |
このように黄砂というと春の風物詩で牧歌的な情景を浮かべる人もいるかと思いますが、中国や韓国ではそんな悠長なことを言っていられません。
状況は深刻です。北京では2002年の3月20日に空気中の粉じん量が1立方メートルあたり12mgを記録しました。
これはこれまで世界で観測された粉じん濃度でも最高に高い数字の部類です。これがどれくらいひどい状況かというと、100m以上先の物が見えないのです(図2)。
日本ではSPM(粒径が10ミクロン以下,1ミクロンは1000分の1ミリメートル)という粉じんについて環境基準が決められていて、
それは1立方メートルあたり0.1mgとなっています。単純には比較できないのですが、このとき北京で観測された黄砂は日本の環境基準を
はるかに上回るものだということがわかっていただけるでしょう。時には太平洋を越えて、アメリカにまで届く黄砂もあるといいます。
そんな空気を吸い込むことによって健康被害も心配されています。
国環研では黄砂がどこで発生し、どのように運ばれているのかなどを中国と共同で研究しています。これまでにレーザー光線を利用したレーダーで観測することで、
黄砂の飛来ルートが少しずつ明らかになってきました。また、黄砂の成分を分析することで、大気汚染物質が黄砂の粒子に取り込まれていることもわかってきています。
しかし、黄砂の健康被害との関係や、地球温暖化との関係などはまだよくわかっていません。
これからは黄砂の発生防止対策も含めてさらに詳しい研究が行われることになっています。もっと詳しいことをお知りになりたい方は
研究所のホームページをご覧ください。
http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/8/02-03.html
黄砂自体は自然現象で、その歴史は紀元前までさかのぼることができます。人は太古の昔から黄砂とつき合って来ました。
それが、問題視されるのも、私たちが快適性を求めすぎて、空気を汚したり、自然を破壊したりしたためではないでしょうか。
黄砂からも人間と自然のかかわり方の問題が投げかけられているようです。
千葉市緑区 高山 邦明
谷津田の保全と広く多くの皆さんの稲作体験を目指して始めた下大和田の米づくりも早5回目を数えます。
のべ1反歩を超える地元の方の田んぼで今年行った援農の米づくりの様子を振り返ってみたいと思います。
4月24日、さわやかな快晴に恵まれた田起こし。シオヤトンボが飛び始めた3畝のコシヒカリ田んぼは難なく起こし終えたのですが、
隣のカヤネズミ田んぼの草取りに難儀してみんなへとへとでした。
連休明けの5月7日の田植えはあいにくの雨。昨年の田植えで寄生虫による皮膚炎が発生したため、今年は長靴に手袋をはめての作業で泥の感触が楽しめないのは
ちょっと寂しかったのですが、子どもたちも混じってにぎやかな田植えでした。古代米の苗代を作り、籾まきもしました。
翌週14日には追加で手に入ったコシヒカリをカヤネズミ田んぼに植えました。
6月19日は古代米の田植え。広い古代米田んぼは餅つき用の緑米を、隣のマイ田んぼには赤米と黒米を植えました。苗代をカルガモに荒らされてしまい、
今年は紫米がなく、黒米もわずかでした。子どもたちはクワガタムシをつかまえたり、コガネグモを戦わせたり、生きものあそびに興じていました。
出穂は例年とほぼ同じ7月末。順調に膨らむ穂を守るために8月20日にかかしづくりをしました。今年は大小6体。昨年、スズメの食害がひどかったので、
鳥よけのキラキラテープも張り巡らしました。恒例の籾数を数える収穫量予測では、穂あたりの籾数がこれまでで一番多く、豊作への期待が高まりました。
9月18日のコシヒカリの稲刈りはNHKによる「レッツゴー!里山たんけん隊」の時に行われました。残暑厳しい中でしたが、
大勢の参加者のおかげであっという間にコシヒカリを刈り終えることができました。暑さがまだ残る10月2日に脱穀をしました。
今年は隣の大塚さんの田んぼをお借りして千葉大学のグループがコシヒカリを育てましたが、その分を含めて玄米で180kgの収穫がありました。
期待どおりの豊作です。
古代米の稲刈りは冬鳥ジョウビタキのさえずりが聞こえる10月30日でした。緑米は稲束がずしりと重く、11月23日に脱穀したところ100kgの収穫があり、
こちらも過去5年で一番の収量でした。
11月13日の恒例の収穫祭では新米を味わったり、谷津田運動会をしたり、晩秋の一日を楽しく過ごしました。そして、年末の12月23日には古代米の緑米を使って、
田んぼでもちつきをして、一年を締めくくりました。
田起こしから稲刈り、脱穀まで今年の米づくりに参加された方はのべ250人になります。ご協力いただいた皆さん有り難うございました。
米づくりが終わった田んぼでアキアカネが静かに産卵していました。ぽつりと立つかかしは役目を終えて心なしか表情が満足げに見えます。
今年も大勢の人に笑顔をもたらしてくれた田んぼに感謝。来年はどんな米づくりをしようかな?と早くも先のことを考えてしまいます。これからも皆さん、
よろしくお願いします。
田起こし(4月24日) | コシヒカリの田植え(5月7日) |
古代米の田植え(6月19日) | かかしづくり(8月20日) |
緑米花(9月11日) | コシヒカリの稲刈り(9月18日) |
NHKレッツゴー!里山探検隊「秋の巻」(9月18日) | 収穫祭と谷津田運動会(11月13日) |
古代米の脱穀(11月23日) | 古代米の脱穀(11月23日) |
古代米(緑米)のもちつき(12月23日) |
全国友の会 船橋地区 豊木 寛子
全国の友の会で、エネルギー使用量を減らそうと「鍋帽子R」の作り方や使い方の工夫を情報交換しながら、十数年前から積極的に使うようになりました。
鍋帽子Rとは、何分間か火にかけた鍋を、火からおろして、保温調理するものです。昔から似たものはあります。熱源に乗せておく時間は、
料理によりますが1/3位になりす。
鍋帽子Rは調理器具として便利重宝です。熱源のガス・電気の節約のほかに、換気扇も使わない、真夏でも台所に「冷房を」とは思わない。
そして何より鍋から吹きこぼれない、焦げ付かない、煮物はじっくり味がしみこむ、煮崩れしない、煮込みながら鍋のそばについていなくて良い、
など良いことがいっぱいあります。ぜひ、皆さんも、使ってみることをおすすめ致します。
今の季節、一番良く使うのは、やはり煮物です。おでん,シチュー,カレーなど、出かける前に仕込んでおくと、夕方帰ってきた時には、
じっくりと味がしみこんで、煮崩れもなく美味しくできています。
また、煮豆にも大活躍です。水に浸しておいた豆を、夜寝る前に火にかけた後、鍋帽子Rに入れておくと、朝にはやわらかくなっています。
豆によって、まだ硬いと思った時は、もう一度火にかけて又鍋帽子Rに入れておけば良いのです。甘煮にする時は、やわらかくなった豆に砂糖を入れて火入れして、
鍋帽子Rに入れておけばじっくり甘味もしみこみます。
ご飯を上手に炊いている人もいます。また、夜遅く帰ってくる家族にも、よい具合に温かく料理が保温できるのもうれしい事です。
あまり神経質にならずに、気楽に使っています。使い慣れると、鍋と料理と鍋帽子Rの相性もわかってきて、火にかける時間も、又どんな料理が得意かも判ってきます。
鍋帽子Rは自分で作れば、衣類のリサイクルもできます。一般には「通販生活」でカタログ販売もされています。鍋帽子Rについて、
詳しく知りたい方は下記へ連絡ください。
Eメール ichikawa-tomo03@crocus.ocn.ne.jp 全国友の会ホームページ http://www2.ocn.ne.jp/〜zentmo/ |
(財)千葉県環境財団 小泉 充
みなさんは、「こどもエコクラブ」をご存じでしょうか? 子どもたちの、子どもたちによる、子どもたちのための環境活動という理念に基づき、
「エコロジカルあくしょん」と「エコロジカルとれーにんぐ」を基礎に各クラブが活動しています。
対象となるのは小・中学生と、サポーターと呼ばれる大人の連絡代表者です。登録するだけで、ニュースレターなど活動に役立つものが送られてきます。
入会金・会費は、なんと無料!
活動の内容としては、環境に関する活動ならなんでもOK♪大切なのは、子どもたちの興味や関心、欲求から生まれ、自分自身の創意・工夫で造り上げられること。
結果も大切だけど、それまでの課程を大切にしてあげられる。そんな願いが込められています。
現在、千葉県では87クラブ、2,770名が登録し活動しています。そして、その活動の発表や交流の場として、「こども環境会議inちば」を2月4日(土)に
千葉市生涯学習センターで開催します。現在登録しているクラブはもちろんのこと、環境に関心のある小・中学生とその保護者などにも、
参加していただけたらと思います。今年は、イメージキャラクターの「エコまる」が遊びに来ます。みんなでエコまると、遊んじゃいましょう♪
申込・問い合せ:(財)千葉県環境財団環境活動推進チーム
電話:043-246-2180, E-mail:kankyou@ckz.jp
編集後記:あけましておめでとうございます。例年になく寒い年の瀬・新年を迎えましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
昨年の1月号は、スマトラ沖大地震直後の発行で、おめでとうが記せませんでした。
今年こそ、大きな事件・事故のない年でありますよう願ってやみません。本年もよろしくお願いいたします。mud-skipper