ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第125号
目 次
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国立環境研究所 千葉市中央区 高橋 克行
1.都会の空気がきれいになってきた
12月になり、冬本番です。この季節、みなさんも歳の瀬であわただしいと思います。それは1年でも空気が一番汚れていたからです。今年は私も少し前までは、この時期が稼ぎ時でした。汚れの原因には自動車の排気ガスの窒素酸化物とか粒子状物質があります。ところが、冬の空気はこのごろ、きれいになってきました。
図1を見てください。千葉県の道路沿い(自排局)でも浮遊粒子状物質というとても小さなほこりのつぶ(大きさが10ミクロン以下。SPMともいいます)の量が、これ以上だとチョッと体に悪いよ、という量(環境基準)を超えることがなくなってきました。この要因についてはいくつかあるのですが、自動車の排ガスがきれいになってきたことは見逃せません。
2.ディーゼルエンジンの進歩
みなさんはディーゼル車というとどんなイメージを持っていますか?大きなトラックが黒い「すす」を吐き出して走る?ところが2003年にディーゼル車の運行規制が東京や千葉県の一部で導入されたのをはじめ、2005年には新長期規制と呼ばれる、世界でも最も厳しい水準の排ガス規制が行われています。その結果、新車のディーゼル車から排出される粒子状物質の量は1992年に導入された短期規制時よりも、2005年の新長期規制の車では約25分の1(0.7g/kwhだったものが0.027
g/kwhに低下)になりました。粒子状物質の検査はフィルターに粒子を捕集することで行います。以前はそれこそ「すす」で真っ黒になったフィルターですが、最近ではほとんど色がつきません。また、有害な化学物質も除去されており、「空気中のよごれを燃やしてきれいにしている」、と言っても過言ではありません。
3.ディーゼル車が温暖化防止に一役?
日本ではほとんど乗用車にディーゼルエンジンは使われていません。でもヨーロッパではディーゼル車が乗用車にも普及していて、メルセデスやフォルクスワーゲンでもディーゼル車を生産しています。日本でディーゼル車を販売していないホンダもヨーロッパではディーゼル車を投入しています。また、メルセデスは2006年からいち早く日本でディーゼル車を販売開始(850万円!)しており、ホンダや日産も今後、国内で販売することを表明しています。先日、幕張で開催された東京モーターショーでも各社のブースにはディーゼルエンジンがずらりと並べてありました。最近、原油が値上がりしていることも、ディーゼル車が注目されている理由のひとつと言えます。それはディーゼル車の燃費がよいからです。つまり温暖化ガスの排出量が少ないのです。おそらく自動車のエンジンは究極的には燃料電池になって排ガスを全く出さないことになると思います。いまのところ電池の開発にはもう少し時間がかかりそうです。それまでのつなぎ役としてハイブリッドカーがすでに実用化されていますが、ちょっぴり値段が高いです。ディーゼルも「スーパークリーン」はまだまだ値段が高いのですが、さらに技術が進歩して安く作れるといいですね。
4. 12月は大気汚染防止推進月間です
ところで12月は大気汚染防止推進月間です。今年は「そらエコ」というキャンペーンでみなさんから空を汚さないためのアイディアを募集しています。特別審査委員はアーティストのCharaさん、最高賞にはなんと星に名前をつける権利がもらえます。応募期間は12月14日まで。詳しくはこちらのウエブサイト(http://soraeco.com/)をご覧ください。
次回もどうすれば空気が汚れるのをふせぐことができるかということを、いちばん身近でいちばん影響の大きいクルマとの関係でみなさんと考えてみたいと思います。 (つづく)
2007年10月21日、千葉市若葉区中野町と緑区下大和田の谷津田・里山で、参加・体験型環境学習講座「里山で描く生き物まんが体験学習」(平成19年度NPOによる公募型環境学習事業:主催;千葉県,企画・実施団体;NPO法人
ちば環境情報センター)が実施されました。
はじめにグループに分かれて谷津田・里山の生きもの観察した後、発見したことを題材に漫画を描きました。漫画を描くこつなどは環境漫画家のつやまあきひこさんが指導しました。また、東京情報大学教授でナチュラリストのケビン・ショートさんには、生き物の観察の心構えなどを教えていただきました。最後は森の中にロープを張って作品をつり下げ、参加者全員で発表会を行いました。
当日参加した小学生から感想が寄せられましたので、掲載いたします。
東京都目黒区 小学校四年 狩野 友郎
ぼくが里山で一番印象に残った生物は、イナゴです。なぜなら、田んぼのほかの生物より、イナゴは一番多く、つかまえることもできたからです。
しかし、イナゴは、アゴがとてもふくざつなので、スケッチではイナゴはかきませんでした。スケッチでかいたのは、どんちゃんのお友達の「杉山君」と、前から考えていたキャラクターの「マジックリ」を表に、うらにはキャラクターではなく、カマキリと女ろうぐもをかいて、発表しました。
発表は上手くできたような気がします。他の人の絵にも、とても面白い物があって、四コマの人もいたので、とても参考になりました。
その後、ケビン博士の話で、木にことわってから、木から葉をとって、葉の絵をかいていたので、自然を大切にしているんだなと、おもいました。
最後につやま先生に「マジンジラ」というマンガをもらいました。その本に、念願のサインがもらえたので、すごくうれしかったです。ケビン博士にもサインをもらいました。でも一番うれしかったことは、つやま先生とケビン博士に会えたことです。
新米主婦のえこ日誌 D
山武郡大網白里町 中村 真紀 |
発送お手伝いのお願いニュースレター1月号(第126号)の発送を1月9日(水)10時から事務所にておこないます。 |
編集後記: 11月24日、つくば市で行われた街路樹シンポジウムに参加しました。高田さんが本誌120号などで指摘していますが、木陰も作れぬほど剪定された街路樹は、意味不明な緑としか言いようがありません。シンポジウムでもこうした問題点が討議され、これからの街の緑のあり方を考える良い機会になりました。 mud-skipper