ちば環境情報センター ニュースレター 

ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第144号 

2009. 7.6 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. 子どもの生活の中にある、自然と遊び場~プレーパーク~
  2. 野菜作りを経験して
  3. 無形の自然を大切に-プレゼントはDSより包丁を
  4. ケビンのオススメ環境学習マンガシリーズ! 
  5. 2009年度総会が行われました
  6.   楽しくって、安上がり☆日常のエコ実践2

子どもの生活の中にある、自然と遊び場~プレーパーク~

 四街道市 古川 美之 

 千葉県では「千葉県次世代育成支援行動計画」の施策として『まっ白い広場(プレーパーク)づくりモデル事業』を実施し、県内に10ヶ所のプレーパークを設置する計画を推進してきました。四街道プレーパークどんぐりの森も、平成17年度から3年間、『まっ白い広場(プレーパーク)づくりモデル事業』として実施されました。モデル事業終了後の平成20年度からは、市の単独事業として、引き続き四街道市健康福祉部児童家 庭課より委託を受け、行政と市民の協働でプレーパークを開いています。
まっ白い広場とは・・子どもたちの群れ遊びを再生し、遊びを通して子どもたちにコミュニケーション能力や社会性を身につけさせるため、子どもが自主性・創造性を発揮し、バーチャルでない本物の体験ができる遊び場を行政(市町村)と市民が実施するものです。規制のないまっ白な広場を子どもたちの手でいろんな色に染めていく遊び場という意味があります。現在は県内では八千代・銚子・いすみ市・市原市と開催場所を広げ、今年度は一宮や佐倉でも自主的に始まっているようです。(千葉市でも開催)全国的に注目されていますが、千葉県では自然との触れあえる里山や緑地公園に開設されているところが多いのが特徴です。
 子たちを自然の中で育てたい、生活の中に自然に触れ合えることが子どもにとってなにより環境教育になるという考えでプレーパークを始めましたが、なによりどろんこになり、はだしで森の中を駆け回る子をみていると、教育というよりも体験が子どもにとってはなにより大事であるかが分かります。

 年齢とともに自然のとの関わりも変化し、次第に学問的な自然にも目を向けることになります。どろんこになって遊ぶのはわずか10歳くらいまで。その間にどれだけ体全体で自然を感じるかが大事です。遊びを通し、自然を肌で感じ様々な生き物とも出会う。そして体を開放し、心も開放することになります。「遊びは心のエネルギー」といいわれるように。
 また自然は怖いものでもあることも体験します。森で遊ぶ子どもの脇をスズメバチが通り抜ける。栗のとげを足で踏んで大泣きする。熱い火を触ってやけどをする。自然の中には人間より怖いものもいるということを身もって感じることもできます。
 一方遊びの中ではケガをすることも失敗することもあります。小さな挑戦の連続です。そこで大事なのは大人の関わり。危ないと言ってとめてしまうのでなく、先回りして答えを出してしまうのでなく、しばらく様子を見る、必要にして最小限の言葉かけが子どもの成長を促します。
 遊び場で子どもたちと接していて感じるのは、子ども達は少しも変っていないこと。虫を追いかけ夢中で遊ぶ子どもがいます。変ってしまったのは現代の空間(自然も含めて)仲間・時間の減少と子どもを見守る大人の姿勢。うるさい、汚い、危ない子ども達のありのままをいかに受け入れ、地域で子どもを育てる姿勢を持つことが今、必要なのです。小さな活動ですが多くの市町村から視察にくることも増えました。多くの子ども達の身近にこのような場ができればなにより子ども達は幸せです。
 8月におこなわれる全国めだかシンポジウムでは、基調講演のあといくつかの分科会が開催されます。「子どもの育ちと自然」がテーマの第3分科会では子どもの育ちの中での自然の関わりや里山での保育の実践をテーマに事例提案をします。是非ご参加ください。詳細は以下のホームページを参照。
 四街道プレーパークどんぐりの森 http://www.dongurinomori.net/

野菜作りを経験して

 佐倉市 瓜生 達哉 

 この6月借りていた畑の引っ越しをしました。8年前に近所の八千代市勝田台で農家が耕作していた農地を借りて初めて野菜作りをした畑でした。
 我が家から麦わら帽子を被り背負子を背に住宅街を自転車で10分ほど走ると眼下に勝田川と田んぼを見下ろす丘に田園風景が広がります。はじめて種を播いて芽吹きを待った時は「エデンの東」でジェームズ・ディーンが畑を走り回る姿に自分を重ねてわくわくしました。大風や大雨、日照りの時にはパールバックの「大地」の王龍の苦労と大地への祈りが実感できました。そして収穫物満載の背負子に畑で育てた季節の花を差し入れ夕焼けを背に家路を急ぐ時にこの世の至福を感じます。
 畑には野菜の他、スミレ草、イヌノフグリ、オランダミミナグサなどの雑草やアブラムシやゾウムシ、カメムシ、コガネムシ、ミミズ、テントウムシ、オケラ、コオロギ、カブトムシと言った様々な虫たちがいて空を見上げればいたずら者で播いたばかりの種を食べてしまうカラスやすずめ、ムクドリなどの鳥たちがいて実に賑やかです。
 小さな畑でも命のやりとりが繰り返されます。雑草を取り野菜くずなどと溜めておけば虫やバクテリアなどが発酵と分解で堆肥を作り堆肥をエサにする虫が育ちます。日常生活や仕事で倦んでしまったり孤独や焦燥に駆られた時にも畑に行くと名前を覚えきれない大勢の友人がこころをほどいてくれます。
 畑を農家へ返す時には雑草や耕作物を抜き取り50cmほどの穴に埋めて更地にします。はじめはヤブ蚊の出ない好条件の畑への引っ越しで浮き浮きしながら雨水桶やマルチや肥料、トンネル支柱などの農業資材を片づけていました。ところが、畑を掘り起こし大きな穴に雑草など放り込んで畑が出会ったころの姿に戻っていくに従い目頭が熱くなり涙が溢れたのには驚きました。思えばこの8年間に30坪の畑から頂いた野菜はジャガイモ、サツマイモ各300㎏、里芋50㎏、なす、ピーマン、トウモロコシ、トマト、小松菜、ほうれん草、ラディシュ、ダイコン、にんじん、はくさい、キャベツ、レタス、ブロッコリー、きぬさや、インゲン、スナップエンドウ、枝豆、そらまめ、タマネギ、ネギ、にんにく、エシャレット、にら、いちご。我が家の食卓を賑わし3人の子供達の血となり肉となり、お裾分けした様々な家庭の話題に上った野菜たち。
 畑は単に野菜を育てる場所ではなく日々多くの「いのち」のやりとりや雨や風、気温、日照そして「実り」といいた「自然」の偉大さ有り難さを教えて、実感させてくれた場所でした。耕作地は一度返したらそこに見えていても歩いて数歩のところでも二度とその「土」を手にとることができません。他者が耕しはじめた畑はもう自分が関わってはいけない畑です。8年間の思い出が詰まったその空間。肥料を鋤込んだ地下30cmから自分の背丈の空間への愛着が沸き上がってきたことに農家の「土地」への思いはいかばかりかとも思いました。

無形の自然を大切に-プレゼントはDSより包丁を

    山武市   木下 敬三 

 私達が愛する『自然』には緑・草・虫・鳥・・目に見える物を愛しています。これを『有形』の自然とします。では『無形』の自然とは?
 人が人に集まり血縁・地縁の社会を作り『けもの』が『人間』として発展した。これを『無形の自然』と表現しました。その根底に『火』と『刃物』が在ったはずです。名だたる祭事に火が用いられる事で証明されます。

 子どもたちから火と刃物を取り上げて久しいですが、その頃から地縁のつながりが切れて来ました。里山の良さも無視され今が在ります。
 体験活動を通して、火と刃物に接する子ども達の目が、活き活きするのは皆さんも経験されているでしょう?怖いもの・危ないものを遠ざける事で危険が倍増している事実を認識したいと思います。
 ある会議で、子どもの未来の事で出た話が、私は最高の言葉だと感じました。
 『クリスマスプレゼントはDSより包丁を』
 電子ゲームを子どもに与えるより、包丁をプレゼントして家族で調理を楽しめば、家族の繋がりも、美味しい食事も出来ます。刃物や火をむげに振り回す電子ゲームで物足りず、無差別な殺人事件が多発する時代を早く終了したいものです。 
 有形の自然を愛すると同時に火・刃物を子ども達に戻し『無形』の自然取り戻しませんか?

           


ケビンのオススメ環境学習マンガシリーズ! 

~マンガでわかる環境問題  みんなでめざそう循環型社会 8巻セット~

東京情報大学教授 印西市 ケビン・ショート  

ニュースレターに「地球マン」を連載してくださっている環境漫画家のつやまあきひこさんが、「マンガでわかる環境問題 みんなでめざそう循環型社会 8巻セット」(Gakken,定価 \18,480)を出版しました。ナチュラリストで東京情報大学教授のケビン・ショートさんから書評をいただきましたので掲載いたします。
 

地球温暖化や生物多様性など、人類は実に深刻な地球環境問題に直面している。この地球環境問題についての意識を子供たちに伝えなければならないが、その伝え方がとても大事。この問題の深刻さを充分に理解してもらいたいが、子供たちに恐怖感を与えたり、自分の未来に絶望させたりしないよう充分に配慮しなくてはならない
 この「みんなでめざそう循環型社会」のシリーズは、魅力的なマンガを通して環境問題を分かりやすく説明すると同時に、日常生活の中で見つかるその解決案のヒントもたくさん紹介している。また、問題意識へのポイントをきちんと押さえながら明るい将来を描きあげて、子供たちに希望を与えていると思う。
 イラスト:ケビン・ショート

2009年度総会が行われました

 6月27日、2009年度 NPO法人ちば環境情報センター総会が千葉市中央区事務所にて実施されました。
 田中正彦氏を議長に選出し、正会員40名中、出席者16名,委任状10通(合計26名)で正会員の過半数を超えたことを確認。2008年度活動実績報告,収支予算報告及び監査報告,2009年度活動予定,収支予算が承認されました。また総会での議題を電磁的方法で議決できるなど、一部定款の変更も承認されました。
 会員の方には、関係書類を同封いたしましたので、ご確認ください。事務局


  楽しくって、安上がり☆日常のエコ実践2
~トイレの中の気になる音♪~

                  
                     千葉市花見川区 伊原 香奈子
 デパートやスーパーなど、外出先のトイレに入るたびに、いつも気になる音がある。他の人が使っているトイレの中から聞こえてくるトイレットペーパーを引き出す音だ。「カンカラ♪カラカラ、カランカラン・・☆」それは意外と軽快で心地良い音なのだが、私には、どうしても出せない音。どうしたらあんな音が出るのかと不思議だったのだが、ペーパーを勢いよく長~く出すと聞ける音だった。

 いったいどのくらい皆は使っているのだろうか?さすがに聞くわけにも行かず、いろいろ試してみた結果、トイレットペーパー(トレペ)を引っ張り出し、何回もぐるぐると勢いよく手に巻きつけ、聞き覚えのある長さ分を引っ張りだしたら、なんと、3メートルほどにもなった。長めの人だと4メートル近くにもなる。おかしい!絶対こんなに必要なわけがない!!シングル巻きのペーパーなら1メートルもあれば充分!ダブル巻きなら50センチ程で事が足りるはずだ。

 日本人の清潔好きがそうさせるのか、店側のペーペーだから家計に響かないと安易に使うのか、軽快な音に魅せられて知らず知らず長くなったのかは分からないが、1日5~10回も使用するトイレで毎回こんなに使われていたら、どれだけ無駄な資源が下水に流れていることでしょう?当然処理場での負担も増え、コストだけでなく、分解微生物として使われる生き物も大量に殺されてしまっているわけだ!日本中の女性がこのことに気がつけば、随分資源と資金の節約になるだろうが、使用場所がトイレなだけに、非常に話題にし難い。

 トイレ業界の人はおそらく知っているであろう。これだけの長さのトレペを大便時などは3回ほど巻き取られるのだから、当然詰りやすくなる。シングルペーパーにしたり、薄くてすぐ切れやすいペーパーにしたりと、いろいろ業界としても工夫しているようだが、使用する当人達が気がつかなければ、使用量はあまり減らない。一般の紙と違い、リサイクル資源にならないこの類の紙は、特にリデュースを意識していきたいものだ。

 最近トイレでも「節水にご協力ください」とか、「こまめな節電を」など、いろいろな節約ステッカーも見かけるようになった。この際、トレペの取り出し口にも『紙も大切な資源☆使いすぎにご注意☆』などと書いたものを貼ってみるのはどうだろう?女性達はそれを見て、自分の使用量の多さに気がついてくれるだろうか・・・。
 

発送お手伝いのお願い

ニュースレター8月号(第145号)の発送を 8月7日(金)10時から事務所にておこないます。
発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。


編集後記: 6月23日、三番瀬で生物調査をしました。干潟に盛り上がるカキ礁やマハゼの稚魚の群れ、地引き網が上がらなくなるくらい採れたアミ,新参者のホンビノスガイなど、生きものいっぱいの干潟は感動ものでした。新しい知事になってその行く末が気になりますが、この生命あふれる貴重な干潟を後世に残していきたいですね。 mud-skipper