ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第147号
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千葉市稲毛区 佐久 実千代
千葉市稲毛区小仲台8丁目のマンションが立ち並ぶ一角に、小さな規模ですが斜面緑地が残っています。かつてこの緑地は浅間神社より小仲台9丁目に続く緑の帯として田園地帯の生活に結びついた樹木でありました。現在小中台幼稚園から南小中台保育園の前に広葉樹林として続いており、今や市街地に残る数少ない貴重な緑となりました。私たち小仲台住民にとっても、大切に残さなければならない場所です。
ところがこの斜面緑地を造成し、5階建てマンション建設計画の看板がたてられたのは、平成12年6月6日のことでした。この計画に重大な影響を受ける近隣住民は反対の署名運動をはじめ、4,748名の署名が集まりました。その署名をもとに施主および建設業者と折衝をした結果、平成13年2月にマンション建設計画は事業主より白紙撤回されました。
一方、私たちはここの緑地を開発から守るため「小仲台の緑を守る会」を平成13年7月に設立し、見学してきた八王子市の斜面緑地保護の事例紹介などをしながら、千葉市による公有化、または条例の見直しなどを市に提言してきました。しかしその間も、土地は不動産・開発業者間で何度も転売されるという状態が続いています。業者としては宅地造して売るか、建売住宅にして売りたいのですが、北側急斜面という土地の特殊性から開発に見合う採算性が見込めないゆえ、このような転売が繰り返されているのです。しかし、もし、業者が開発を進めたいと思えばこの斜面林の樹木は、誰からの許可も必要とせず業者は自分勝手に伐採を行うことが出来るのです。近隣に実例がありますが、斜面緑地を開発のため樹木を伐採してから、何らかの理由により開発途中で中止してしまうような場合があります。こうなると斜面は無残にも丸坊主となった上に、がけ崩れの危険性さえも残り、近隣住民への影響も大きなものがあります。
斜面緑地に問題が起きてから9年、未だ解決策は無く、先が見えない状態が続いています。同様な問題に直面している近隣の団体と情報交換したり、地元住民への宣伝活動など地道な活動をしながら、更なる運動の輪を広げ、粘り強く千葉市に公有化を迫るべきか、自分たちで斜面林を買い上げるための活動をすべきか、これからの活動をメンバー間でよく話し合っていきたいと思っています。
千葉市中央区 高橋 克行
9月9日にPM2.5の環境基準が告示されました。基準値は1年の平均値で15μg/m3、1日の平均値で35μg/m3です。
PM2.5は「ぴーえむにいてんご」と読みます。PM2.5というのは直径が2.5マイクロメートル以下のとても小さなつぶのことです。マイクロメートルは1ミリメートルの1000分の1です。図1に空気中にあるつぶの大きさを比べてみました。PM2.5は雨とは比べものにならないほど小さく、花粉のおよそ10分の1です。
PM2.5はこんなに小さいために、私たちの健康を悪くする(かもしれない)のです。
図2をみてください。これは人間が吸い込んだつぶがどこまで届くかを示したものです。花粉は鼻の奥で引っかかって、気管から先には進みません。でもPM2.5など小さいつぶは体の奥まで吸い込まれることがわかるでしょう。
空気中のPM2.5の量(濃度)が高い都市では、人間の死亡率も高いという研究結果がアメリカで1993年に発表されました。日本のある先生はこの論文で大気汚染物質が死亡と関係があることに大変驚いたとおっしゃっています。
このためアメリカではいち早く1997年に基準が作られました。世界保健機構WHOでは2006年にガイドラインを作り、ヨーロッパでも2008年に基準が作られています。
日本では大阪、名古屋、川崎、東京などで続いた大気汚染の裁判で、PM2.5を測定して住民の健康に配慮するように求められていました。また環境省では1999年からPM2.5の環境基準の制定のための研究会をつくり、大気中にどれくらいあるか、人間の体にどんな害があるかを研究してきました。そして今回の環境基準の告示となったわけです。
環境基準を作るということはPM2.5が体に悪い(かもしれない)からです。ところがこの文章中「かもしれない」が多いように、実は健康との関係ははっきりしません。そのため環境基準を作るまでには多くの議論が必要でした。米国との研究に比べ国内の研究事例が少ない中で、健康との関係をどのように考えるべきか、また、基準値はもっと厳しくするべきではないかという意見がありました。一方、設定まではもっと慎重に議論すべきではないかとの意見もありました。
これまでの観測によると今回決まった環境基準は日本のほとんどの地点で守れない可能性があります。つまりほとんどの地域の空気は健康への問題がある(かもしれない)ということです。しかもその低減対策はかなり難しいことが予想されます。
みなさんは今そこにある空気のことにどれくらいの関心がありますか。水と違って目に見えないので実感として空気の汚れに気づくことは少ないかもしれません。また、空気の問題で取り上げられるのは温暖化に関係する炭酸ガスとかメタンとかが多いです。このところ日本もアメリカも温暖化防止に一生懸命です。
でも私には温暖化よりも身近な環境問題であるPM2.5のほうが大事に思えてなりません。環境基準は決まりましたが、対策が始まるこれからが本当に大変と思っています。皆さんにもこのニュースレターを機に、今そこにある空気を見つめていただきたいと思います。
(注:図1は環境庁大気保全局大気規制課浮遊粒子状物質汚染予測マニュアル(1997),図2は東京ダイレックホームページhttp://www.t-dylec.net/products/ja/an_200.htmlを参考に筆者が作成した。図2の体内のイラストは「人体の不思議展こどものページ」http://jintai.co.jp/kids.htmlから引用した。)
千葉港ポートパークかもめのクリーン隊キャプテン 千葉市 神宮 千恵子
かもめのクリーン隊とは
私たちは、2007年の5月から今日まで千葉市にあるポートパークの人工海浜で2ヶ月に1回、定期的に海岸の「クリーンアップ」を行っています。といってもかもめのクリーン隊のクリーンアップは、単なるゴミ拾いではありません。毎回同じ調査票に基づいてゴミを分別・カウントしています。また、夏休み春休みには、海辺の「自然観察会」を行っています。海に親しみながら、地球環境を考えていきたいと思っています。
エコ体験スクールを開催して
今回2009年7月30日の開催した第13回クリーンアップは、「千葉市エコ体験スクール」という千葉市の委託事業として実施しました。これは小学生を対象にした体験学習で、私たちとしてははじめての試みでしたが、市内各地の小学校から23名もの参加がありました。
当日は8:45にポートパークの広場で受付開始、9:00からスタート。スタッフ紹介、趣旨説明の後、海岸に下りました。海辺で講師の先生たちから貝類、魚類などの生き物の話を聞いて、実際に自分たちで観察しました。子どもたちの中には腿まで浸かってサカナを追いかける子も出るほど夢中になっていました。10:00になるとポートパークにあるレストハウス「パティオ」の会議室に集合して小休止。千葉県観光公社さんから差し入れのかき氷をいただきながら生き物観察のまとめと、クリーンアップの説明を受けました。10:30から元気いっぱいになって海岸に出て、大小さまざまなゴミを拾いました。拾ったゴミは、各自区分けされたカゴの中に分別していきましたが、あいかわらずタバコや花火のゴミが数多く見られました。この作業で子どもたちはゴミについての関心がいちだんと深まったようです。最後に、再び会議室に戻りJEAN(ジーン)クリーンアップ全国事務局の大倉よし子さんによる、「世界の漂着ゴミの問題」の講演があり、参加者たちはパネルにうつされた海洋生物たちの悲惨な写真を真剣な眼差しで見つめ、熱心に話を聴いていました。小さなゴミが世界につながっていることを知り、自分たちの暮らしのあり方に思いをめぐらせたことでしょう。
プログラムとしては、夏場なので、海岸と屋内を交互に使うようにしたりして、参加者の皆さんの体調管理には大変気を使いました。無事に終了して安堵しています。また、自然観察・クリーンアップ・講演といったように、盛りだくさんのメニューでしたが、子どもたちはもちろんのこと保護者・スタッフも、みんな楽しみながら学習ができたと自負しています。
楽しくって、安上がり☆日常のエコ実践3
千葉市花見川区 伊原 香奈子 |
発送お手伝いのお願いニュースレター11月号(第148号)の発送を11月 6日(金)10時から事務所にておこないます。 |
編集後記: 2016年のオリンピック開催地かリオデジャネイロに決まりました。貧困や治安をスポーツを通してに改善したいというブラジル人の熱き思いが世界を動かしたのでしょう。日本は多くの人が開催を疑問視していたにもかかわらず、マスコミはその声をほとんど取り上げませんでした。最近八ッ場ダムでも建設反対の声があまり伝えられなくなりました。何か意図的な匂いがしませんか。 mud-skipper