ちば環境情報センター > ニュースレター目次 > ニュースレター第149号
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千葉市緑区 小田 信治
■ブリジストン・オープンから
私の住んでいる千葉市緑区には、袖ヶ浦カンツリークラブ(袖ヶ浦コース)があり、毎年ブリジストン・オープンが開催される。今年も10月24日(土),25日(日)の決勝ラウンドは、JR鎌取駅から近いこともあって、多くのギャラリーで賑わった。特に女性(おばさん)の参加が目立った。これは、高校生ゴルファーでハニカミ王子こと石川遼(18才)が参加しているためだ。残念ながら、石川遼は20位に終わり、優勝は池田勇太(千葉県出身23才)で、優勝賞金3000万円を獲得し、石川遼を抜いて賞金ランクトップ(1億4997万円)に立った。
私は、袖ヶ浦カンツリークラブでのゴルフ観戦や、ましてやプレーなどはしたことがない。このゴルフ場の裏手には平山の谷津があり、今は廃棄物の投棄や埋め立てで見るも無惨な状態になったが、松戸市から緑区へ引っ越してきた15年前は、美しい谷津田が広がって、よく自然観察に通ったものだ。サシバが毎年飛来し、ヘイケボタル、アズマヒキガエル、シュレーゲルアオガエルなどはたくさんいて、竹藪でクマガイソウの群落を見つけたり、オオタカの幼鳥が地面を歩いているのを見た時はびっくりした。いつも発見があり、谷津田と出会った最初の場所である。
■日本のゴルフ場
さて、生物多様性にゴルフ場が貢献している!?、そんなアホな、ゴルフ場は自然破壊そのものではないかと叱られそうだが、まず、ゴルフ場の実態をみてみたい。
日本全国にゴルフ場は2,320箇所あり、都道府県別では、北海道(169箇所)、兵庫県(155箇所)、千葉県(154箇所)の順となっている。※1 その総面積は約22万haで、18ホール規模のクラブ数が約7割、1ゴルフ場が占有する平均面積は約100haで、芝地が46%、林地が54%となっている。※2
ゴルフ場は、企業の接待に多く利用され、バブル期に建設ラッシュを迎えた。1988年に施行された総合保養地域整備法(リゾート法)もそれを後押しする形となり、1990年代には日本のゴルフ場の総数は2,000を超えるまで増加した。また、ゴルフ会員権は、ゴルフのプレイを楽しむ権利としてよりも、投資対象やステータスとしての会員権売買が盛んとなった。この時期、ゴルフ場開発は森林の伐採や大規模造成、農薬の使用が社会問題となり、自然破壊の象徴として扱われた。バブル崩壊以降、ゴルフ場利用者は激減し、会員権の相場も急激に落ち、倒産や他企業に買収されるゴルフ場も少なくなかった。
■ゴルフ場の生物多様性実態調査
(社)ゴルファーの緑化促進協力会 http://www.ggg.or.jp/ は、2009年5月19日、調査報告書「豊かな生物多様性をもつゴルフ場」を公表した。これは、全国2,320のゴルフ場に動植物の生息状況についてアンケートを出し、400のゴルフ場からの回答結果を亀山章東京農工大名誉教授の協力を得てとりまとめたものである。
(以下、調査報告書から)
調査結果から、樹木では針葉樹65種、広葉樹239種、果樹83種、その他14種、合計401種、哺乳類では45種、鳥類では209種、昆虫類では135種、魚類では86種が確認され、ゴルフ場には多種多様な動植物が生息しており、特に樹木・哺乳類・鳥類の種数が多いことが明らかにされた。 例えば、樹木ではスギ、ヒノキ、アカマツ、クロマツなどの常緑針葉樹が多く、広葉樹では紅葉する樹木や美しい花が咲く樹木が多い。鳥類では、オオタカやハヤブサ、クマタカといった猛禽類の他、カワセミやクマゲラ、哺乳類ではキツネやタヌキ、イタチ、ウサギ、イノシシ、そしてカモシカまでいた。キタキツネは北海道のすべて、タヌキは全国の84%、ウサギやイノシシは半数以上のゴルフ場で確認され、わが国の主要な哺乳類が生息していることが明らかにされた(図1)。
昆虫ではカブトムシとクワガタムシがともに6割近いゴルフ場で確認されており、里山が少なくなった現在では、このような里山の昆虫がゴルフ場で保全されていると考えられる。動植物の出現種のなかには環境省のレッドデータブックの絶滅危惧種があり、動物では哺乳類が5種、鳥類が16種、昆虫類が6種、魚類が4種、植物では広葉樹が8種、果樹が1種、草本が7種であり、合計47種が確認された(表1)。このことから、ゴルフ場は絶滅危惧の動植物の生息・生育地に利用され、避難地となっていると考えられる。
秋の深まり、谷津田も少しずつ冬支度をはじめています。今年度も半年が過ぎました。ちば環境情報センターの活動の中心である環境情報の収集と発信や谷津田の保全としてのYPP,小山町YPPの活動も定期的に行いながら、様々な事業を実施してきました。
<ちばし手作り環境博覧会>
実行委員として参加。展示・クラフト(6月6,7日)
<千葉市生涯学習センター市民自主企画講座>
(1)「パパとママの環境講座」
20代から30代の子育て中のパパやママに、子たちが今おかれている自然環境について共に学ぶ場として開講しました。生活の中の大気や化学物質といった身近なものが、いかに子たちに影響しているのか。また自然に触れることの大切さも含めて、市内の川や里山で自然を体験しました。自分の実践しているエコ生活や普段疑問に思っていることなど、参加者同士意見交換しました。環境について初めて知ったことも多く、これからの子育に役立ててもらえることでしょう。
第1回 学習会「子どもを取りまく現代の自然環境」(7月16日)
第2回 水を知ろう「川遊び講座」 (7月20日)
第3回 自然を観察しよう「谷津田観察会」(8月 2日)
第4回 学習会「暮らしの中の化学物質」(9月15日)
(2)「農業を知ろう。米作り体験」開催中
第1回 稲刈り体験(10月24日)申込19家族
第2回 学習会「有機農業を知ろう」(11月 7日) 講師:網代農園網代和宏さん
第3回 エコクッキング(11月17日)
第4回 収穫祭と古代米の餅つき(12月19日)
「パパとママの環境講座」参加者の感想より
第1回「子どもを取りまく現代の自然環境」
・難しい講義よりも、生活に沿った目線の内容だったので、より自分のこととして考えられました。
第2回「川遊び講座」
・なかなか自然に親しませたくてもなかなかできないため、とても貴重な体験をさせていただきました。
第3回「谷津田観察会」
・豊富な自然を実体験できたことが満足です。自然の豊かさが旅行で行った他の地方よりもすばらしかった。
・幼少時代を思い出しました。子供にも同じ経験をさせてあげたいと思いつつも、公園でしか遊ばせていませんでした。家の素敵に素敵な 場所があったなんて感動しました。親になり遊ぶだけでなく、自然環境などについても深く考えさせられました。ありがとうございました。
第4回「暮らしの中の化学物質」
・講座を受けて化学物質の恐ろしさを改めて確認した。製品に何が含まれているのか気にしていきたい。またお友達にも知らせて行きたい。
・自然の大切さを改めて感じました。今後自分でできることから、本などで情報を集めながら環境にやさしい生活を事項したいと思います。
・合成洗剤から影響の少ないものへの切り替え、まずは自分自身の知識を深める。
・企業の売りたい都合で化学物質が使われていることがわかった。これからは
1.有機野菜を買う
2.化学物質が入っているものを買わない
3.子供たちに化学物質の恐ろしさや生態系の話をする。自分で選択できる力をつけさせる。
・ほとんどの人が化学物質のことを知らなかったり、知っているけどどうしたらいいかわからなかったりしていると感じました。
・消費者が考え選ぶことの大切さを学びました。
全体を通して
・今後の暮らしの中で自分がやってみて良かったこと(エコライフ)を友だちや家族など、少しずつ広げて伝えていければ、周りの人がもっと環境に興味を持ってもらえると思いました。
・もっともっとエコを楽しむ←子供にエコの楽しさを見せる。
・講座を通して自然に触れさせてやれてよかった。もっと機会を増やしてやりたい。身の回りには体によくないものもあることがわかり身にしみました。
<公民館環境教育講座>
・「ペットボトル工作」
誉田公民館(7月25日) 小学生10名
松が丘公民館(8月 1日)小学生22名
・「草木染め講座」
川戸公民館(8月 9日) 小学生12名
椎名公民館 (10月 7日)大人17名
<千葉市エコ体験スクール>
生き物と遊ぼう「里山体験とかかしづくり」
市内多くの小学生が夏の里山を探検し、たくさんの発見をしました。(8月22日)小学生40名(申込)
<千葉県中央博物館市民企画展>
私たちの暮らしと生物多様性「谷津田・里山のめぐみとまなび」(8月25日〜31日)
谷津田の写真・生き物図鑑・草木染め展示
<エコメッセ2009>
幕張メッセ(9月 6日),展示活動紹介,晴天祈願お札・生き物カルタ販売
<セブンイレブン助成金事業>
こども環境講座「里山で描く生き物まんが講座」
環境まんが家つやまあきひこさんとケビンショートさんと一緒に谷津田の生き物を絵にしました。(10月18日)小学生13名,大人10名
君津農林振興センター 宮原 秀一
1.参加動機
自分が仕事上でも感じている、環境問題の課題解決方法を行政・農業サイドではなく違った視点・角度から考えてみたいという点、またNPO活動への理解を深めたいという点が受講の動機だった。
2.研修の内容
10月24日谷津田観察会と古代米の稲刈り。
3.研修成果
環境問題は、行政・住民それぞれだけでできることには限界がある。僅か1回限りの研修であったが、こうしたNPOの活動との連携の必要性を感じることができた。合わせて多くの人にNPO活動を理解してもらうことの必要性を痛感した。
(1) 情報発信の重要性
環境問題を考えてもらうための活動の仕方に興味があったが、インターネット、レター等を通じて情報発信を積極的に行っていた。また初めての人にも参加できるような雰囲気づくり・組織作りを行っていた。情報発信・雰囲気作り・組織育成について
参考としていきたい。
(2) 環境を守るために
環境を守る活動を行っている「ちば環境情報センター」のような地道な活動が多くの人々に知られ、社会的に認められることが地域環境の保全には重要となってくる。活動への参加者を増やす試みと共に、こうした活動との連携を考えてみたい。
(3) 一緒に考える
行政からの見方に固執せず、いろんな角度・視点から関連する課題の解決方法を考えることが重要である。普段の活動のあり方を考え直す機会となった。
4.おわりに
環境問題をなんとかしなくてはと本気で考える人の存在に感動した。こうした団体には活動資金などでの支援をもっと行っていってよいのではと思えた。 研修という形でなく、もっと早くこうしたNPO活動に自主的に参加したり、活動に参画したりするべきであったと反省した。わずか1日であったが今回のセミナーは大変有意義な研修となった。
(NPOとの交流セミナー NPO活動体験レポート集より)
ちょこっと工夫でエコクッキング その2
千葉市緑区 江澤 芳恵 |
発送お手伝いのお願いニュースレター1月号(第150号)の発送を1月6日(月)10時から事務所にておこないます。 |
編集後記:今年の流行語大賞が「政権交代」に決まりました。言葉自体に新鮮味はありませんが、膠着した時代を変えてほしいとの願いが込められているのでしょう。事業仕分けなどにより、隠された部分が次々とあぶり出されるのはいいのですが、環境や福祉など一筋縄ではいかない問題が山積です。未来に繋がる政策に期待しましょう。 mud-skipper