ちば環境情報センター ニュースレター 

ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第152号 

2010. 3.8 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. たきびのまがりかど
  2. マニラ紀行-近くて遠い国の人々の暮らし  その2 フィールドトリップ編
  3.  3人子連れ母の谷津田体験記
  4. ちょこっと工夫でエコクッキング   その5   ~ポイッと捨てちゃうその前に。。。「1回使った後で捨てよう!」~

たきびのまがりかど

千葉市中央区 高橋 克行 

 ちば環境情報センター(CEIC)の恒例行事にどんど焼きがあります。これはお正月にお迎えした神様をお送りするという意味があります。CEICのどんど焼きではマッチやライターを使わずに昔ながらの木をこすり合わせて火をおこす方法をとっています。大人も子どもも夢中です。
 ところが昨今では法律(廃棄物の処理と清掃に関する法律)により屋外でものを燃やすことが禁止されています。もっともどんど焼きのような慣習によるものや、小規模な落ち葉たきは規制の対象から外れているようです。でもどうして規制されたのか理由を調べると次の3つくらいに集約されそうです。
  ・ ダイオキシンの問題:たき火をすることによりダイオキシンが発生する
  ・ 土や植物への影響:たき火の熱で土壌中の微生物が死んでしまう
  ・ マナーの問題:まわりの人たちの迷惑をかえりみない

 わたしもこれを調べて驚いたのですが、てっきりダイオキシンだけを問題にしているのかと思っていましたがそうではないのですね。プラスチック類を燃やさなければ、たき火で発生するダイオキシンの量はきわめて少ないことがわかっています(そもそも、ダイオキシンは毒性があるのかという議論も一部にはありますが、ここではそこに触れないことにします)。
 つまり本当に問題なのはダイオキシンなのではありません。土壌への影響にしてもいろいろな意見があるようです。ほかにも温暖化ガスの問題もあるかもしれませんが、結局、マナーの問題の問題にいきつくのです。野焼きによる煙や臭いに関するも苦情も多いため、ダイオキシンの名前を借りてたき火を規制しているようにも思えます。「有毒なダイオキシンがでるのでたきびはやめましょう」といっておくとカドがたちにくそうです。
 ところで大気汚染の仕事をしている私がたき火に関心を持っているのは何もダイオキシンや温暖化が理由ではありません。たき火から発生するつぶに関心を持っています。また、つぶのはなしです。
 以前、空気中に浮かんでいるとても小さなつぶPM2.5のことを書かせていただきました。このPM2.5の出どころ(発生源)として、今たき火に関心が集まっているのです。これまで空気を汚すつぶは自動車の排気ガスや工場の煙といわれてきました。ところが最近は技術も進歩して排気ガスや煙の中にあるつぶはとても少なくなってきました。そういう発生源からの寄与が小さくなったのでこれまで目立たなかった発生源に注意が行くようになってきました。また煙突から直接出てくるつぶのほかに、大気中でできるつぶもあります(たぶんこっちのほうが問題)。
 大気中のつぶを集めてどんな成分が含まれているかを調べると、どこから発生したのかを大体見当をつけることができます。
 つぶの約30%は炭素からできています。炭素にもいろいろな形で存在していて、すすや有機物があります。これらは大体が石油を燃やしたときに発生すると考えられていました。ところが最近の研究では実は都会でも植物を燃やすことや、植物が発生するガスからできている炭素がずいぶんあるらしいことがわかってきました。植物を燃やすといっても都会では禁止されているはずです。でもこっそり闇で燃やしている人がいるのかもしれません。そこで私たちはたき火から出てくる煙にどんな元素が含まれているか、その炭素がどんな性質なのかを調べています。
 もし、たき火からでるつぶが都会のPM2.5の大部分を占めているとしたら、そのときは本当にたき火が禁止されてしまうかもしれません。でも、素朴な疑問があります。どちらかが住みづらい世の中なんでしょうか。

マニラ紀行-近くて遠い国の人々の暮らし
その2 フィールドトリップ編

千葉市稲毛区 大倉 よし子 

 27日は、いくつかあるフィールドトリップから、マニラの北にあるバタンガス州を選びました。海辺をたくさん見られるのかと思ったのですが、前半は、州都パタンガスの庁舎を訪ね、環境への取組みなどの話や実験室を見学しました。ちょっと拍子抜けして、それでも、海岸へ行くことは分かっていたので、それに期待しつつ、こんどは東のサンフアンという町へ行きました。ここで昼食でしたが、その前に、また何か講演がある様子で、「う~ん、早く海が見たい」とそわそわの私。そこで気がついたのが、警察官がウロウロいっぱいいる...ん?なぜ?
 やがて、講演がはじまり、聞いてみるとウミガメの話でした。フィリピンの人たちはウミガメを食べます。しかし、今は乱獲で数が減っているので、自然に産みつけられた卵を別の場所に移してまとめておくようです。ただ、自然孵化のほうが生存確率は高いそうですが、最近は少しずつ上がっているとか。盗掘で食べられてしまうよりは、管理できる場所に移した方がいいということです。ウミガメそのものも保護し、猟師たちに孵化して海へ戻るところを報告してもらったりしているようです。問題は、村人たちの栄養をどう確保するかです。ウミガメは貴重な栄養源でもあったのです。
 そこで、バーミカルチャーに取り組んでいることを話してくれました。つまり、ミミズ農法です。このミミズは実はアフリカ産のものなので、ツアー参加者から「なぜ地元のミミズを使わないのか」と質問が出ました。答えは、地元のミミズは地中に潜り込み逃げてしまう(注:ブロックで囲った地表でヤシの葉などを被せコンポストを作っている)からです。アフリカ産のこのミミズはおとなしく、同じ場所で、せっせと腐葉土を作ると言うのです。このミミズでできた腐葉土で、野菜を育てようと言うわけです。

 また、バーミカルチャーを試みるもう一つの理由は、地下水の農薬汚染です。その周辺の地下水は飲料にできないのだそうです。まだまだ実験的な段階のようで、これからというところです。途中、まだ10歳そこそこの女の子が20リットルのポリタンクに井戸水を汲み家まで数十メートルを担いで持っていくのを見ました。井戸水は汚染されているのですが、彼らはまだ飲料としているのでしょうか。食器を洗ったり、洗濯には使うという話でしたが。店で売っているようなボトルに入った水を買っているのでしょうか。そういえば、水牛が大きなタンクを載せた荷車を引いていましたっけ。それが飲料水なのでしょう。
 このマングローブの森を抜けた村を訪ねる前に、サンゴが打ちあがった海岸に寄りました。人の立ち入りを規制しているようで、海岸へ降りる山道の入り口には背の高いゲート(フェンス状)が設けられていました。車はそのゲートを全開しないと入れません。少し高い位置にある人用の扉から中へ入り、坂道を降りていくと、細い気根がまっすぐに何本も垂れ下がり、いかにも熱帯の山道(の下り...帰りはきつい上りかあ...)を降りると、真っ白な海岸が見えてきました。ほとんどサンゴのかけらで、貝殻もいろいろ混ざっています。コンクリート製の、朽ちてほとんど柱だけの建物が見え、何人かはそこへ行って2階部分に上っていました。生簀なのか、船着場だったのか、戦略上の建物だったのかはわかりません。というのも、私はもう貝拾いに夢中で、その建物について聞くこともしませんでした。ふと、「そうだ、ごみは?」という思いがよぎり、あたりを見回すと、やっぱりあります。ペットボトルや櫛の壊れたもの、食品や飲料の容器類など結構あるではないですか。実は、砕けたサンゴがサンダルの間に入り込みひどく痛かったので、いい加減、貝殻を拾ったところで、われに返ったのでした。
 帰りにカニさんに見せると、「あのねえ、『とってくるのは写真だけ、残してくるのは足跡だけ』って、知っているでしょう?」と、しかられてしまいました。「生きたのは取ってないから」と言い訳し、内心ほくほくして、きつい上り坂もなんとか上りきりました。途中の植生や昆虫は写真だけです、もちろん。
 ウミガメの見守りをしている村の海岸は、遠くまで続く砂浜で、ヤシの実や葉、流木が大量に打ちあげられていました。この流木と植物を組み合わせたクラフトを村の女性たちが作っているのだそうで、東屋のテーブルの上にいくつか展示してありました。ごみは、サンゴの海岸以上にありました。サンダルの鼻緒の切れたもの、薬ビン、おもちゃなどが自然物に混ざっていました。ICCコーディネーターのジェリーさんの話では特にレジ袋のような袋類が多くなったと言っていましたが、この海岸では生活雑貨が多く見受けられました。残念ながら、ここにはサンゴの海岸にあったような「お宝」はなく、周りを見ると、カニさんがやはりごみの様子を見て回っていました。他の人たちは、特にごみに関心はなさそうです。ニコニコと私のほうに歩いてきたカニさん、「ほら、いろいろ見つけちゃった、クラフト作るのにいいと思わない」と、両手いっぱいのごみを見せてくれました。あれ、それはさっき私が写真に撮った、壊れた馬のおもちゃ...やっぱり、似たようなものに目が行くんだ。私は写真を「とった」だけでしたが。

 さて、「海の様子が見たい」という期待の半分はなんとなくはぐらかされたような気もしましたが、(ろくに説明も聞かず)貝殻拾いに熱中し、水牛がつながれた田んぼや、豚のお産、マングローブの森と干潟に休むサギ、屈託ない笑顔を見せる子どもたちと海ごみ事情などを垣間見て、そこそこの充実感を得て帰路に着いたのは4時ごろでした。6時半のお別れパーティーとカルチャーナイトにはちょっと遅れそうな時刻でしたが、皆疲れてうとうと。
 ふと気がつくと、なにやらバスの前で青い光がチカチカしています。なんと、渋滞に巻き込まれ、先導のパトカーやら白バイやらが必死でバスを進めようと頑張っていました。しかし、事態は収拾するどころか、マナーの悪いフィリピンのドライバーたちのおかげで、ひどくなるばかり。警官がようやく反対側車線を空けてバスを先導するのですが、3台のツアーバスが抜けるための車線に一般車両が連なってしまい大混乱。対向車線から来る救急車まで立ち往生。「いったい、何を優先しているのやら」と、こちらが困惑してしまいました。同行していたほかの日本人の参加者も「何もしなくていいのに」と、ぽつり。結局、マニラに着いたのは11時でした。お腹が空いたのも通り越していましたが、せっかく残しておいてくれた料理と、そのために残っていてくれた従業員にも申し訳ないので、適当に頂いて、30分ほどでシャトルバスでホテルに帰りました。さすがに、カルチャーナイトは終わっていましたが、その前日の夕食で、ジェリーさんが連れて行ってくれたフィリピン料理のレストランで、様々な民族衣装でのダンス(竹の棒でリズムを取る間に足を挟まれないようにして踊るものなど)も見ていたので、「ああ、舞台はすっかり片付いている」程度の印象だけでした。

 3人子連れ母の谷津田体験記

   大網白里町 舟生 和美 

 1月10日のYPP下大和田に初参加させて頂きました。出産・育児を機に、自然の中で過ごす事の楽しさに目覚め、子供達(6歳男・3歳女・7ヶ月女)と何か自然遊びができないかな?と思っていました。ただし我が家の場合、土・日が仕事の事が多いお父さんを頼れない為、私一人でどうしたらいいものか・・・、と考えていました。

 そんな時出会えたのがYPPでした。知人で、こちらの活動をしている中村真紀さんから谷津田の話を聞き、何か“ピン”とくるものを感じ、参加させて頂きました。YPPでは、赤ちゃんをずっとおんぶしての参加でしたので、体力的には厳しかったのですが、山・田んぼなどの自然に癒され、のびのびとした開放的な気持ちになり、体が疲れた反面、心は元気になりました。そして何より良かったのは、6歳の息子がとてもイキイキとしていた事です(彼は、体格が良く体力があり、土・日の体力発散が最近の悩みでした)。南川さんをはじめ、助っ人(?)の方々に遊んで頂き、山散・水路での舟遊び・谷津田カルタ・火おこし等々、とにかく夢中になって遊んでいました。初参加にして、帰るのは一番最後でした。
 自主性を大事にしたこちらのYPP活動には、本当に、宝箱のように大切なものがつまっていると思いました。自然・田んぼ・友達・多世代・親子で気軽に参加・体力発散。
 これから春になり、田んぼの米作り活動や動・植物達との出会いがとても楽しみで、ワクワクしています。


    

ちょこっと工夫でエコクッキング   その5
   ~ポイッと捨てちゃうその前に。。。「1回使った後で捨てよう!」~

                   千葉市緑区 江澤 芳恵

 1、2月は食べものを「なるべく捨てずに」食べきるエコについてお話してきました。今月も引き続き「なるべく捨てずに」のお話ですが、食べものについてではなく、食べものが入っていたパッケージについてお話したいと思います。
 私たちがお店で買ってくる食べものは様々な入れ物に入っています。袋だったり、トレーだったり、箱だったり。。。新婚の頃はこれらをすべて捨てていましたが、今は、牛乳パックや発泡スチロールトレーなど、お店の回収ボックスに出せるようになりました。私が住んでいる千葉市では、何年か前から、お菓子やカレールーの箱も回収してもらえるようになりましたから、新婚当初と比べれば出すゴミの量は少なくなったように思います。それでも、やっぱりゴミは出ます。納豆が入っていたパックやイチゴが入っていたパック、お刺身にかぶせてあったプラスチックのふた、野菜が入っていた袋、お菓子が入っていた袋、などなど。。。自治体によって多少違いはあると思いますが、私が住んでいる千葉市では、これらはみんな「燃えるゴミ」扱いです。結局のところ、私もこれらをゴミとして捨ててしまっているのですが、ただ捨ててしまうのではなくて、1回使った後で捨てるようにすれば、少しはエコにつながるのではないか。。。そんなことを考えて、あれこれ使ってみています。
 たとえば、水洗いしてとっておいたイチゴのパックは、肉に下味をつける時や、ワンタンの具を混ぜる時などに使います。少量ならボールを使わなくてもイチゴパックで十分です。1回使い終わったら、洗わないでそのまま捨てます。
 小麦粉が入っていた袋は、たたんでとっておいて、フライや唐揚げを作る時、粉をまぶすのに使います。袋の形のまま使うこともあれば、袋を開いて使うこともありますが、まぶし終わった後は、イチゴパック同様、そのまま捨てるだけなので、洗剤も使わなくて済みますし、手間も省けます。
 干しシイタケや煮干しなど乾物が入っていた袋は、生協で買ったバラ凍結の肉を必要な分だけ解凍する時に使ってみたり、野菜の肉巻きを作る時、開いてまな板代わりに使ってみたり。。。
 どれも、もともとは食品が入っていたパッケージですので、汚いものではないですし、使ったらそのまま捨てるだけです。ちょっとだけ便利で、洗剤も使わなくて済むから、ちょっとだけエコ。。。それとも、ちょっとセコイでしょうか?もし、ご賛同いただけた方がいたら試してみてください。

発送お手伝いのお願い

ニュースレター4月号(第153号)の発送を 4月7日(水)10時から事務所にておこないます。
発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します


編集後記: 2月27日に発生したチリ地震、800名近くの犠牲者を出し、日本にも翌28日に津波が押し寄せました。幸い千葉県では大きな被害はなかったようですが、東北地方ではカキやワカメの養殖施設が大きな被害を受けました。ただ、避難指示がありながら従わなかった人が多かったというのは気になります。油断は禁物ですよ。 mud-skipper