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ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第153号 

2010. 4.7 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. 燃料電池の実験体験記
  2. マニラ紀行−近くて遠い国の人々の暮らしその3 出稼ぎ家族編
  3. ちょこっと工夫でエコクッキング   その6〜水を大切に。だから、「洗いおけ」〜

燃料電池の実験体験記

千葉市花見川区   岡村 淳輔

 1月23日、都内江東区塩見、エコルック江東にて行われた燃料電池の製作と実験に参加した。
 まずは初めて行く同所付近を簡単に述べる。JRなら武蔵野線塩見駅下車、あるいは地下鉄東西線の木場駅から都バスがわかりやすい。この付近は塩見しかり、夢の島、豊洲などの埋立地であり、それらの間は4ないし5か所の橋で結ばれている。間違えて入ると目的地が眼前に見えるも橋がなく逆戻りせねばならない。付近にはごみ焼却場、下水処理場が集中している所。必然的にここは環境問題に関心が深い。
 担当者曰く、我々が日々消費するものの1/4は廃棄されるという。可燃物、不燃物、再生可能品などを指すのであろう。はたまた水道水、ガス、石油類を含めてのことでもあろうか。それらに対しここでは3R運動としてリサイクル、リユース、リデユース(reduce?)運動を進めていると云う。今回体験する燃料電池は水素を用いたクリーンなエネルギで熱効率はデイゼルエンジン並の35%ぐらいとか。水素と酸素のゆっくりした酸化反応であり発熱する。この熱を利用して家庭用なら給湯に使えばトータルの熱効率は向上する。もっとも水素を得るためにエネルギを消費するであろう。また水素の貯蔵に注意が必要だ。燃料電池のオートバイがあったが水素ボンベを荷台に括りつけている。それは圧力容器であり、ガソリンタンクのような板金細工のようにはいかない。

 さて燃料電池は水の電気分解の逆、とか言われるがよくわからない。丁度それは高校時代に積分は微分の逆、と教えられ理屈抜きに覚えさせられたのと相通じる。
 今回フィルムのケースを用い簡単に燃料電池の実験が出来ると云う。別図のようにフィルムのケースに鉛筆の芯を電極として立て、ケース内には水道水8分目、食塩少々を混ぜる。食塩水を作ることにより電導性をもたせる(電解液となる)。まずは両電極間に9Vの乾電池をつなぐ。食塩水の電気分解である。容器は密閉状態にしておかないと折角のガスが無くなる。通電時間は僅か15秒である。この間に水素と酸素および塩素が生成される。酸素と水素の混合気体、考えてみれば危ない状態である。このため短時間内の操作である。後に自宅にて同じ実験を電流、電圧の計測、手作りマノメータで容器内の圧力計測を行ったり、はたまた少し時間をかけ行ってみた。しかし水マノメータに水柱の変化は全くなく、容器内の圧力はほとんど大気圧ということであった。この程度の装置ではそんなものであろう。
 次に電極に発光ダイオード(LED)を負荷としてつける。LEDには正負の極性がある。点灯しない時は極性を変えればいい。30秒くらいの間、点灯する。起電力は最大2.5Vもあり、点灯の初期には10mAも電流が流れ、したがって最大25ミリワットの電力でLEDは赤々と点灯する。
 実験はかように簡単なもの。参加者は総勢20人、ほとんどが小学生で大人は3人である。この実験で何よりも良かったことは始めに電気分解を行ったこと。これにより燃料電池がより良く理解出来る。いきなり酸素と水素で燃料電池発電をやられては理解しかねたであろう。だいいち水素をどのように入手し、どのように容器に導入したらいいか思案するであろう。実験はLEDを発光するだけの極めて簡単、いささか不満であったが、より詳しくは自分でやるしかない。たとえば電気分解と放電のプロセスの間、電流と電圧の変化を時々刻々データを取り、電流と電圧の積すなわち電力の時間変化をグラフにする。両グラフの面積の比から燃料電池の熱効率がわかるであろう。
 燃料電池では前述のように発熱して水が出来る。水素の有するエネルギの約60%は熱として費やされる。車両用として現有のディーゼルエンジンとほぼ同等のサイクル効率とかで、クリーンな排気ガスというメリット以外はエネルギの経済性はディーゼルエンジンと同等あるいはそれ以下のようである。ガソリンエンジンもハイブリッドの登場で燃費は向上している。車両用としてはいろいろ課題がある。
 久しぶりの実験であり、まずは部品の入手から手間取ったが出来上がった喜びを感じた。
 理科離れが云々される近頃である。作るより買った方が楽、安い、そんな風潮であるが、実際に体験することは貴重なこと。教科書にはない貴重な体験、そして意外な知識が得られる。

 物作りにチャレンジし、併せて省エネ、省資源に関心を持っていただけたらと思う。
 余談ながらクリーンでエコなエネルギ源としてバイオ電池がある。ジュースで発電しおもちゃのモータを動かせるようだ。果物に電極としてマグネシウム(リボン状のものがある)と銅を突っ込むと発電する。電極である金属材料のイオン化傾向の違いによるものとか。 

マニラ紀行−近くて遠い国の人々の暮らし
その3 出稼ぎ家族編

千葉市稲毛区  大倉 よし子 

 交通事情については、初めて行った頃と、変わったとは思いませんでした。相変わらずの無作法さ(車ばかりでなく、人も)に肝を冷やされたり、路線バスはほとんどなく、タクシーや「ジプニー」や乗り合いタクシー、果ては、自転車、馬車といった具合で、どこに行くんだか、いくらなんだか、土地勘のない旅行者にはきつい国です。ジプニーは行き先さえ分かればなんとかなるのですが(運転手に聞ける)、乗り合いタクシーはお客がアリのように群がり(しかも、ほとんど走っている車を無理やり止めるというようなやり方)、とにかく乗る!と言う感じで、ついていけません。止まったジプニーにホテルの名前を出し、行くと言うので乗ってみたら、「ここで降りて」と、ずいぶん離れた場所で降ろされました。「そっち方面の道路を通る」と言うだけなんですね。夜になると、タクシーはほとんど空車がなく、待てど暮らせど状態。そのうち、「ほら、タクシー来たよ」と空車が止まったので、乗り込むと、「こっちだって、家族を食わせてるんだ」と、呼び止めてくれた人からチップをせがまれてしまいました。さすがに、タイのカニさんはバンコクに住んでいただけあってしっかりものです。「メーター使って、ちゃんとメーター入れて!」と忘れず指図し、私は、領収書の請求も忘れる始末。一人でいたら、とても暗くなってからの行動は無理です。
 会議場へ行くには、高級ホテルからならシャトルバスが出ていました。私は、その高級ホテルが幾つもある中心部にいたので、ちょっと歩いてハイアットに行けばバスに乗れました。前回も、同じ地区のホテルだったので、周辺はなんとなく見覚えもありました。でも、なんだか少し様子が違って見えました。2005年の時は、朝早く街を歩くと、ごみだらけで、通りを掃除する人たちがリヤカーを引いて回っていました。今回は、親子連れ、それもほとんど母子が歩道にいるのです。まだ小さい乳児もいました。朝早く、何をしているのだろうと不思議でした。店を出しているわけでもないし。ツアーで隣に座った京都大学に留学していると言う女性にそのことを聞いてみると、農村部から出稼ぎに来ている家族だろうと言うのです。おそらく、父親は仕事を探し回っているか、別の場所で働いているのではないかと。そういえば、衣服もずいぶん汚れています。交通量の多いマニラは排気ガスで空気も汚れているので、路上にいる人たちの服も煤けていました。彼らは、夜は歩道で寝ているのです。同じ会議に出ていた日本人の知人は、街中に裸で座っている老人を見たそうです。ツアーの帰り、シャトルバスは私のいるホテルまでは行ってくれないので、ハイアットから歩いて変える途中、何組もの家族が、母親と子どもたちが、歩道に寝ている様を目にしました。外灯というより、建物や行き交う車の明かりでぼんやりとその姿が目に入りました。薄い敷物を敷き、身を寄せ合っているのです。所持品もない様子でした。

 マニラはルソン島にありますが、農村部でも、家は木造やコンクリートブロック造りで、最近は建設ブームのようで、あちこちに建築中の建物が見られました。「郊外化」が進んでいるのかもしれません。ミンダナオ島に行ったときは、暮らしぶりによってずいぶん差があり、バラックのような、ニッパヤシの屋根や竹で組んだ壁の小さな家がほとんどで、(村長や地主のような)村の裕福層は、木造やコンクリートの家で、窓ガラスも使っていましたが、学校には窓ガラスはありませんでした。昼間、バスの車窓から見ているときには、ルソン島、特にマニラ周辺は、ミンダナオ島に比べると経済的に優位なのだろうという程度にしか感じませんでしたが、ホテル街の歩道にいた親子が、実は、ホームレスだったと知ったときには、自分が置かれた立場とまるで違う世界を見てしまったという戸惑いと、でも、どうにもできないでいる無力さに、情けない思いがありました。
 シャトルバスで会議場まで送迎がつき、豪華な昼食もつき、フィールドトリップの間は(バタンガス州の中だけでしたが)、パトカー2台、白バイ数台がバスの走行中と、参加者があちこち訪ねる先に警護としてついていたのです。村の子どもの一人が参加者に近づくと、すっと間に入ってきました。警護の警察官たちはとてもスマートで、人当たりもよく、持っていた銃器を除けば、怖いという印象はありませんでしたが、外国人(参加者の一部はフィリピン人)を地元の住民より優先するという状況に違和感がありました。確かに、政情不安なフィリピンで、「国際的代表団」を守るというのは、国の評判も在るでしょう。何か起これば、国際的な会議などできなくなってしまいます。一部の参加者はNGOやNPOでしたが、中には、各国の政府機関の人たちも入っての行動でした。そのため、フィリピン側は相当の配慮をしていたようです。カニさんは、途中下車して、タイから来た友人と合流し、ダイビングに行く計画をしていましたが、主催者側は初め、いい顔をしませんでした。結局、「何が起こっても主催者側に非はない」と誓約書を書かされ、私が証人として署名し、許可されました。どうやら、その友人を待ち合わせ場所まで警察が連れてきて、そこでカニさんはバスを降りたようです。例の渋滞騒ぎの後半で寝こけてしまった私は、気が付きませんでした。
 最新のショッピングモールに集う大勢の人々がいる一方、堅いアスファルトの歩道で、身を寄せ合う出稼ぎの家族がいる。後者を見なければ、夜8時を過ぎても賑わうショッピングモールがフィリピンだと受け取って帰る外国人も多いのではないかと思います。東京が全てと思う外国の人々と同様に。ホテル探しや帰宅困難で悪戦苦闘しつつも、マンゴーが食べたいとか、きれいな貝殻が拾えたとかと大騒ぎした時の方が多かった自分は、では、どうすればいいのか。日本に帰ればそれなりの生活不安を抱えてはいるものの、路上生活など今のところは心配のない状況にいることは、幸せではあるけれど、そういう生活を見てしまった人間として、何か、後ろめたいような不甲斐なさを感じました。そうやって、マニラ空港で、ペットボトルの水を握り締めて所持品審査のゲートをくぐったのに誰にもとがめられずに飛行機に乗り、帰国しました。ばらばらのジグソーパズルは、まだまだつながりません。 


    

ちょこっと工夫でエコクッキング その6
〜水を大切に。だから、「洗いおけ」〜

                   千葉市緑区    江澤 芳恵
 今月は私が台所仕事をするのになくてはならないグッズ、「洗いおけ」のお話をしたいと思います。
みなさんは洗いおけをどんなことに使っていますか?食後の洗いものに?もしかすると、流しが狭くなるので洗いおけを置いていないご家庭も多いかもしれません。でも、この洗いおけがひとつあれば、ずいぶん水を節約することができるんです。 
 では、実際に私がどんなふうに洗いおけを使っているのか、ご紹介します。 まず、一日の初め。朝食とお弁当の用意をするために野菜を洗いますが、その時、流しの中に洗いおけをセットします。野菜を洗った水はジャージャー流してしまわず、洗いおけの中にためておきます。(ここでいう野菜とは泥のついていない野菜のことです。)お味噌汁に入れる大根、お弁当の炒めものにするキャベツやピーマン、デザートのりんごなど、次々に洗っていくと、それだけで洗いおけの中にけっこうな量の水がたまります。このたまった水を捨てないで食後までとっておくのがポイントです。この水は朝食を食べた後の食器の下洗いに使うからです。
 ごはんを一粒も残さずに食べたとしても、食べた後のお茶碗やお釜には薄いごはんの膜がこびりついています。それを洗いおけにとっておいた水につけ、ふやかしてからアクリルたわしでこすれば、下洗い終了です。おひたしの小鉢やお味噌汁のお椀も同様にします。次に、油もののお皿やフライパン。こちらは、古布でふいた後、ためてある水に軽くくぐらせ、やはり汚れをふやかします。朝一番に野菜を洗った水は、ここまで使ってお役目終了。この水を捨てても、まだまだ洗いおけのお役目は続きます。今度はやかんに沸かしたお湯を洗いおけに少量はるのです。そこに重層入り粉せっけんを溶いて油汚れのお皿を洗います。これで油ものの食器の下洗いも終了。
 最後はすすぎ。洗いおけのせっけん水は捨てて、(捨てる前に、大事な洗いおけもちょっとこすってやれば、洗いおけはいつもキレイ)下洗いを終えた食器をすべて洗いおけの中に入れたら、すすぎを始めます。お茶碗やお皿をすすいだ水はジャージャー流さず、これまた洗いおけにためていきます。ひとつめ、ふたつめの食器をすすいだ水が洗いおけの中にどんどんたまっていくので、三つめ、四つめの食器は自然とすすがれた状態になり、すすぎはどんどん簡単になっていくというわけです。これで、食器洗いは完了です!
 全部の食器を洗い終えた時、洗いおけには、またまた、たくさんの水がたまっていることになります。もちろん、この水もすぐには捨てません。食卓を拭いた台ふきをすすいだり、今度は、夕食に使う泥つき野菜の下洗いに使ったり。。。夏場だったら、沸かした麦茶をやかんごと洗いおけの水につけて、麦茶を冷ますことにも使っています。
 ジャージャー流してしまえば一度きりの水ですが、こうやって洗いおけに水をためることで、もう一度、その水を別のことに使うことができるのです。蛇口をひねれば簡単に出てくる水。でも、我が家の蛇口から水を出すためには、それなりのエネルギーが使われていることを思い、やっぱり、水は大切に使いたいなぁと思います。

発送お手伝いのお願い

ニュースレター5月号(第154号)の発送を 5月7日(金)10時から事務所にておこないます。
発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します


編集後記:今年の春は強風と黄砂で幕を開けました。3月21日に千葉市で最大瞬間風速38.1mを記録,全国で黄砂が確認されました。4月2日にも同32.9mの強風が吹き荒れ交通機関は大きな影響を受けました。これも移りゆく季節現象でしょうか。新芽の谷津田ではシュレーゲルアオガエルの声が響きます。いよいよ春本番です。 mud-skipper