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ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第159号 

2010. 10.6 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1.  雨水利用① 「雨水利用の視点と屋根づくり」
  2. 野生のマナティに会いに行く!―フロリダへの旅― 後編
  3. 感覚で知った、生き物の存在
  4. もうすぐCOP10!(生物多様性条約第10回締約国会議)
  5. ちょこっと工夫でエコクッキング   その12~「ちょこっと」をたくさん集めよう~

 雨水利用① 「雨水利用の視点と屋根づくり」

千葉市中央区 角川 浩

 はじめに
 日本人にとって雨は身近なものであり、雨水利用も多くの人に行われています。私は、以下に述べる視点から雨水利用を考え、関連装置の製作を行いました。幸い、2010年3月には出版されて、公立図書館に納入されだしている状況です(「初めての雨水利用」パワー社)。ホームセンターで市販されている部品を使って低廉予算でできるものですので、多くの人に雨水利用を始めてもらえればとそのポイントを紹介させていただくことになりました。
 なお、以下の発想には、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が、オーストラリアではじめようとする屋根や路面に降った雨水を集めて浄化し、飲料水として利用する実証事業にも共通するものがあると思われます。

<雨水利用を行うに際して心した点> 
1.屋根材の素材吟味は必要ないか                         
 さいたま市で高価な盆栽が屋根に降った雨水の影響で枯れる事件が発生しました。また、2010年8月、9月、再生砕石にアスベストが含まれていることが話題となりましたが、ここでのアスベストには一般家庭で最も多く使われている屋根材スレートかわらが含まれます。スレートかわらには比較的最近までアスベストが含まれていたので雨水利用に際しては注意が必要です。
2.実効性のある初期雨水排除装置を作りたい
 水質を考えて初期雨水の排除が必要とされていますが、解説書に書かれている内容は漠然、としてわかりにくく、また、アマチュアがよく製作するペットボトル使用のものでは実用性に欠けます。何とか安価で実用性ある装置を作りたいところです。
3.貯水容器の拡大を
 小さなポリバケツ一個ではすぐなくなり、貯水タンクは開店休業の日々となります。何とか低廉予算で容量拡大を図りたいものです。
4.飲料水にもっていく努力が必要ではないか
 日本では高度な水道システムが機能しているせいか、飲用水化までを考える人はほとんどいません。
が、大震災で水道がストップしたときや発展途上国では不衛生な泥水同然の水を飲用していることを考えると飲用水化を踏まえることは意義あるものに思われます。 

<屋根をつくること>
 屋根の水を集めたくても、屋根がない場合(屋上、野山など)、屋根があっても塗料成分が溶け出していたり、アスベストが含まれているスレートがわらを使用している場合は困ります(*1)。そんな時のため、移動可能で、洗浄も簡単な屋根相当部分を作ることにしました。2枚で寄せ合って自立するタイプ(*2)、平置きするタイプなどがあります。

 *2 杉の角材で骨組みを作り、それにポリカの波板を張って1枚のパネルにします。2枚のパネル上部をボルトと蝶ナットで任意の角度に締めて自立できるようにします。蝶ナットを緩めればたたんで運ぶことも簡単です。

 *1 自分の家の屋根材にアスベストが含まれているか、気にかかるところですが、これについてはクボタ松下電工外装(株)による「石綿(アスベスト)に関する見解書(第4版)」という文献が参考になります。当見解書はネットで公表されていますので、気になる方は参照することをお勧めします。
    (http://www.kmew.co.jp/kenkai03/kenkai.html)

 最後の写真は人があまり入り込まないような箇所の地面表面に採水のための小道をつくったものです。なるべく土を殺さないようコンクリートではなく遮水シートを敷いてその上に小石を敷いています。道全体が取水装置となります。一見泥が混入して汚いかにも思われますが、化学物質の漏出よりはろ過しやすいものでしょう。

野生のマナティに会いに行く!
―フロリダへの旅― 後編

埼玉県北本市 柳沼 薫  

 「マナティ」という水中に住む哺乳類に出会いに、2010年1月末にフロリダに出かけた話。156号からの続き

翌日は別のポイント「ホモサッサ」へ
 透き通った水と白い砂、そしてたくさんのマナティたちとの出会いが印象的だった「スリーシスターズ」とは別のポイントにも出かけた。そこは、傷ついたマナティーを保護するための施設もある州立野生動物公園のすぐ隣で、一帯が湖のように開けている場所だった。水は茶色っぽく濁り気味。やや不安に思いつつエントリーしてみると、視界が悪い理由は、マナティが水底の泥を巻き上げているためだということがわかった。前日同様ブイで囲まれた立ち入り禁止の保護区があって、たまたまそのエリアから出てきたマナティと私たちとが対面ができる。しかし、マナティたちの行動は、昨日とはまったく違っていた。ものすごく、フレンドリー!! マナティの体はさわり放題(表面はざらざらと硬いが、見た目どおりたぷたぷしている)、気が向いた個体はしばらく一緒にたわむれてくれて、ついには私の手をもぐもぐと甘がみするものまで・・・。遠くフロリダまで出かけてきてマナティに直接触れることができた興奮の一方で、想像していたより過剰なふれあいに複雑な思いもした。

マナティ以外の自然系のおたのしみ
 現地滞在2日半のうち、マナティに会いに行ったのは半日×2回。オプションでこの現地ショップに手配をお願いしていたのは、「レインボーリバー」という湧き水が豊富な川でのダイビング。ボートでいったん上流に向かってから、2時間ほどかけて自然豊かな川を流れ下って帰ってくるというもの。たくさんの水草が生えていて深さや流れに変化があり、本場のブラックバスやブルーギル、ガーパイク、淡水にすむカメなどに出会うことができた。ここもエリア全体が保護区になっていて、ゴミになるような容器などの持ち込みができないことなどの説明を受けた証に、手首にバンドを着けるというシステムになっていた。

 そのほかのフリーの時間に出かけた、宿から片道徒歩40分の「州立公園&ビジターセンター」、ビジターセンター主催の「キングス湾サンセットクルージング」、宿からは車で20分ほどの「ホモサッサ州立野生動物公園(自然豊かな動物園)」は、フロリダの自然を満喫するのにおすすめ。散策中にたくさんの野鳥にであうことができた。が、アメリカの車社会も痛感した(ビジターセンターまで歩く人などおらず、他のサンセットクルーズに乗り合わせた人たちから奇異な目で見られていたことが判明。当然のように、帰り道は宿まで送ってくれた)。 

おまけ
 行き帰りの飛行機はアメリカの航空会社を利用した。ヒマな時間はひたすら映画を見て過ごすことにしたら、偶然「The Cove」を見てしまった。この初夏に話題となった、日本のイルカ漁がテーマのアメリカ映画である。後になって日本では、公開の是非とか、一部の登場人物にモザイクをかけるとか様々な問題が巻き起こった訳で、飛行機の中もアメリカだったのだと深く納得したのであった。

感覚で知った、生き物の存在

長野県岡谷市 河西麻衣子 

 つやま先生の大ファンである小6になる娘の将来の夢は、漫画家になることです。尊敬する先生と一緒に漫画が描ける機会など滅多にあることではないと、夢のような企画に親子共々心躍らせて参加させて頂きました。
 我が家は娘の小学校入学を機に、都内から主人の実家の長野県の都市部に引っ越しをしました。先生の連載漫画「里山どんぐり」を愛読しながら生活を送るうちに、娘はすっかり自然あふれる環境が大好きになりました。

 実際に漫画を描く前に、スタッフの方と散策した際に目にした光景は驚くことばかりでした。ちょっと足を踏み入れただけで跳ね回る沢山の虫やカエル。巣に掛かった自分より大きな獲物を、瞬時に糸でグルグル巻きにして死に至らしめるクモ。いつもは小さな存在にしか感じていなかったクモをとても大きな生命体に感じ、“命”を“感覚”で感じた気がしました。
 そしてそれをコミカルな絵にして人に伝えるということは、とても大切な価値ある作業なのだなと思いました。
漫画家になりたいという娘に、「沢山漫画家になりたい人はいるけれど、何を伝えたいかが大事だよ」と教えて下さったつやま先生と、魅力的に生き物の話をしてくださったケビンさん、そして企画し、貴重な体験をさせて下さり、温かく接してくださったスタッフの皆さんに心から感謝致します。

もうすぐCOP10!(生物多様性条約第10回締約国会議)

(事務局) 

 9月8日、地球環境パートナーシップオフィスで行われた「生物多様性に関する地域対話(関東ブロック)」に参加しました。生物多様性条約COP10を契機に、生物多様性に関する関心が高まっている中、生物多様性問題やCOP10に関して理解を深めるとともに、NPO/NGOの活動や個人の暮らしがどのように生物多様性の問題とつながっているか、どう保全すべきか、など考える機会となるものです。当日は環境NPO他市民、研究者、環境省の職員40名ほどが参加し、COP10に関するレクチャーと、関東地域4団体の事例報告、ワークショップが行われました。

 事例報告としては近郊:(特活)よこはま里山研究所(NORA)、山:西多摩自然フォーラム、都市:(特活)銀座ミツバチプロジェクト、海:(特活)サンクチュアリ エヌピーオーが、多様な生態系の中での保全活動を伝えてくれました。それぞれの場所にあった活動が、個人の暮らしと生物多様性の問題をつないでいることがよく分かりました。しかし、単に生き物の種類が増えることが生物多様性につながることではないことも、理解のベースに必要です。
10月18日から開催されるCOP10において、どのような話し合いがされるのか、私たち市民も関心を寄せておきたいですね。


    

ちょこっと工夫でエコクッキング   その12
~「ちょこっと」をたくさん集めよう~

                   千葉市緑区    江澤 芳恵
  十数回にわたってエコに結びつきそうなちょっとした工夫を紹介してきましたが、どれかひとつでも試してみていただけたでしょうか?私自身、他の人から聞いたり本で読んだりして知ったエコ情報は、「ちょっと面倒くさそうだなぁ」と思っても、なるべく試してみることにしています。やってみると、思っていたより簡単にできることも多いので、このチャレンジ精神が大事かなと思っています。
 例えば、生ゴミを庭に埋める取り組みもそのひとつです。最初は「狭くて日当たりの悪い我が家の庭に生ごみを埋めても分解されないのではないか」と半信半疑でした。でも、庭に穴を掘って埋めて、いっぱいになればお隣に穴を掘って埋めて、を繰り返し、一巡してまた同じところを掘ってみた時、生ゴミはなくなりフカフカの土に変わっていたのには感動しました。生ゴミを埋めるようになり、自治体に出すゴミもうんと少なくなりました。
 魚拭き用布巾もやってみてよかった実践のひとつ。さばいた後きれいに水洗いした魚の水分を拭き取る時、布巾を使うのにはちょっと抵抗があったので、以前はキッチンペーパーを使っていました。でも、魚拭き専用の布巾を用意しておけば、洗って繰り返し使えますし(色はついてしまいますが)、キッチンペーパーより厚手で使いやすいことがわかりました。このごろはキッチンペーパーはほとんど買っていません。 キッチン掃除用に重層水を用意しておくのも簡単に実行できておすすめです。水200㏄に重層小さじ1を混ぜ、霧吹きに入れておくだけです。ガスレンジ周りの油汚れが気になったら、重層水を吹きかけて古布でさっとひと拭きすれば、あっという間にきれいになります。分量比がなかなか憶えられなくて何となく面倒だったのですが、霧吹きに分量を書いたシールをペタッとはってみたら、重層水がなくなった時にもすぐ作り足せるようになり、便利になりました。
 
   さて、エコに関して、もうひとつ私が感じていることがあります。主婦は毎日食事作りをしているわけですが、少し先のメニューまで決めておくことがちょっとしたエコにつながるということです。朝、青菜をゆでる時に、夕食に使うこんにゃくの下ゆでもしてしまうとか、朝の洗いものが終わった後、洗いおけに残っている水で夕食に使うじゃがいもを洗っておくとか、夕食のカレーを朝のうちに作って包み物グッズに包んでおくなど。。。特に保温調理は早めに取りかかることを心がけてみてください。
 仕事や子育てに忙しいみなさんは食事作りや後片付けに多くの時間はかけられないでしょうし、エコを意識する余裕もないかもしれません。でも、ちょっとした工夫ひとつがたくさん集まれば大きな力になっていくはず。みん  ながそんなふうに思って何かひとつでも実行できたらいいなと思います。そして、新しいエコ情報がありましたら私にも教えてください。いろいろチャレンジしてみたいと思います。

発送お手伝いのお願い

ニュースレター 7 11月号(第160号)の発送を11月 8日(月)10時から事務所にておこないます。
発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。


編集後記:10月2日、中央博でおこなわれた千葉市環境基本計画の勉強会に参加しました。今後10年間、千葉市の環境政策の要となる重要な計画ですが、生物多様性保全について等、まだ不十分と思われます。今後のパブコメの際には、皆さんもぜひ意見を出してください。 mud-skipper