ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第161号
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東京都北区 金子 是久
今から10年前の平成12年に栃木市を訪れたときのこと。市内を流れる巴波川を通りかかった際、ミクリ属等の水生植物の群生地を目にし、「街中に、このような環境があるのか」と驚かされた(写真①)。巴波川は、農業用水の他に、かつては舟運として利用され、周辺には豪商や武家屋敷跡の建物も残されている。このような巴波川の風景は、なぜか心を落ち着かせるものがあり、それ以降、年に3~4回は訪れている。
巴波川は、全長28.5km、流域面積213.6km2の一級河川であり、栃木市河原田町を起源として栃木市内を流れ、渡良瀬遊水地に流れ込んでいる。そして、確認された水生植物の中には、環境庁(2000)、栃木県(2005)のレッドデータブック掲載種も含まれている。
ミクリ属等の群生地は、東武線栃木駅の北口を降りて10分ほど歩いたところにある。ミクリ属は、湧水の豊富な水域に多く生育するが、地元の方からは「昔は至る所で湧水地があったけど、宅地開発などの進行で少なくなった」と言われ、将来は、減少するおそれもある。しかし、人力により設置された湧水地もあり、常時、湧水が流入している影響か(写真②)、それより数十m下流では、ナガエミクリ、ホソバミズヒキモ、カワヂシャなどの水生植物が繁茂していた。さらに、上流に向かうと、2面張りコンクリート護岸がしばらく続いた後、親水護岸、自然型河川へと変わった。親水護岸は、川幅を拡幅し、木杭型のコンクリートを護岸として打ち込んであり、人が水際まで近づけるように整備されていた。この区間は、他の場所に比べて水深がやや深く、流れが緩やかでミクリ、ナガエミクリ、マコモなどが生育し、人々が水生植物を最も間近にみることのできる場所であった(写真③)。自然型河川は、河道が蛇行し、瀬と淵が連続する自然河川の形態に近く、整備される前の巴波川の河川形態に近いと考えられる。この区間は、他の区間に比べて流れが速く、主にナガエミクリが流水状態で分布していた(写真④)。
また、巴波川の市街地区間では、上記の希少な水生植物の他にも、メダカ、ギバチなど、環境庁(2000)、栃木県(2005)のレッドデータブック掲載種の魚類も確認された自然豊かな河川であることから、人と自然が共生する街づくりを行う上で重要な河川である。(次回に続く)
大網白里町 平沼 勝男
午後3時、港を出たおよそ50隻のイカ釣り船が先を競うように進みます。やがて岸からそう遠くない場所で停泊し、暗くなり始めると集魚灯を点け始めました。漁火です。翌朝、羅臼の港の市場にマイカ(スルメイカ)が400トン上場しました。 昨夜の成果です。これでも月明かりの影響で少ない方でした。多い日では1000トンを越えます。後日1500トン上がった日もありました。400トンは少ないとはいえ相当迫力のある光景でした。イカは20キロの箱に入って競りにかけられるのですが、市場の中はイカの箱で溢れかえっていました。シーズン中は日曜を除くほぼ毎日数百トンのマイカが水揚げされます。
また市場では秋サケ(シロザケ)も見ることができました。この日は90トンの水揚げ量でした。すでに漁期の終盤に入っていることと、今年の羅臼の秋サケは原因不明の不漁で例年の半分ほどの量にとどまっています。しかし羅臼の秋サケは例年日本一の水揚げ数量を誇ることで知られています。最盛期には連日数100トンの水揚げがあり、多い日ではこれも1000トンを超えます。秋サケは全国のスーパーや加工メーカーなどへ出荷されます。最近増えているのは中国を中心に海外へ輸出されることです。中国では日本の秋サケを加工し、アメリカ・ヨーロッパなどへ輸出します。
この秋サケ、その名の通り秋に産卵のために自分が生まれた川に戻ります。その習性を利用し海の通り道に定置網を仕掛け漁獲します。漁師は毎朝、定置網の袋小路で行き場を失ったサケを引き上げ港に持ち帰ります。ちなみに昨夜見たイカ釣り漁はそのライトのもの凄い明かりのために莫大にエネルギーを消費する漁業で、一晩にドラム缶2・3本の燃料を消費するといわれております。それに比べこの定置網漁業は定置網を仕掛けた場所と港を漁船が往復し運搬するだけの漁業です。魚から網に入ってくれるためエネルギーの効率は断然いいのです。サケはオスとメスのどちらの値段が高いかお分かりでしょうか? 答えはお腹に卵を抱えているメスです。競りで落とされるメスはキロあたり500円前後です。オスは約半分の200円前後です。(金額は時期や質により違いがあります) キナ臭い話で申し訳ありませんが、一晩で一つの定置網に良いときは10トン以上のサケが入ります。オスとメスが半分ずつとしてどのくらいの金額になるでしょうか。それが連日続くとすると・・・・・。 私が羅臼で見たサケを運ぶ漁船はどれもピカピカの船でした。 イカ釣り漁船はそうではありませんでした。
スケトウダラも市場で見ました。刺し網といって、魚が泳いでいるうちに網に突き刺さり、エラのところで引っかかってしまう漁法です。スケトウダラはほぼ周年獲れます、よく流氷の上で漁師の獲ったスケトウダラのおこぼれをオジロワシやオオワシが取り合いをしている映像をご覧になった方も多いはずです。スケトウダラはすり身の原料や鮮魚として出荷されます。また鮮魚のまま下関までトラックで運ばれ、ここから韓国にフェリーで輸出されます。韓国ではチゲ鍋やキムチに利用されます。
詳細は省きますが、他にも羅臼を代表する魚はカラフトマス、マダラ、ホッケ、コマイ、キチジ、様々なカレイ類と豊富にあります。カラフトマスは秋サケより一足早く回帰し、川を上ります。ヒグマがカラフトマスを捕らえて食べるシーンもテレビや雑誌などで見られた方は多いと思います。この海には一体どれだけの魚がいるのでしょうか。驚くべき海なのです。世界遺産の登録地である知床半島はヒグマやシマフクロウが生息する豊かな森です。豊かな森と周辺の豊かな海は間違いなく密接に関係していると思います。我が国は水産大国ではありますが残念ながら水産資源管理大国ではありません。水産物は今や世界中で売り買いされている重要な貿易商品となりました。生物多様性の観点からも経済的な観点からも今後ますますこの豊かな森と海を守る必要性は高まっていることを感じました。
さんむ・アクションミュージアム 木下 敬三
バベルの塔の伝説?東京タワーからスカイツリーへと、人は高い所に憧れます。子どもの頃高い樹(木)の上から遠くを眺めたり、横になると神が来るのか?心が穏やかに成ります。宮本武蔵も幼少の頃一晩、木に吊るされた事で神が宿ったのかも?知れませんね。
椎の木の樹上15m、20mに登ると壮観です。それが実現しました。日本ツリークライミング協会認定のファシリテータとベーシッククライマー計3名の協力を得て『木登り体験会』を2010年10月23日に開催しました。10月を自然体験月間として、ちょうど23日日は『体験の日』にあたりました。
場所は、果樹園プレーパーク『しろ』です。11,000㎡の山林には数多くの椎・樫・コナラなどの高雑木が在り、その一本にロープを架け、体にはハーネスを装着して、自分の足で安全に登っていきます。「登りたかったんだ!!」と、ドンドン登る60,70歳台のオッサン達、未就学児不可、としていたが体格の大きな6歳の子どももスイスイ登ります。15mに設置したツリーボートには、お菓子・絵本・シャボン玉を用意しました。登った人は暫らく降りて来ません。登る前、降りた後にはクラフト工作やツル籠作りや谷津田では、マコモダケの収穫も出来て、参加者は大満足だったでしょう。
千葉県内での一般向けの体験会は、未だ未だ数少なく、初めて?だったかも。これからも体験会の開催とベーシック講習会も開催したいと思っています。また、7月には「海の日に里山で森林ヨガ」も開催しました。整備した里山の新しい利用法として、注目を浴びています。詳しくは日本ツリークライミング協会のホームページをご覧下さい。
フォトギャラリーのページにファシリテータ撮影の、リアルな樹上の写真があります。その他のページもついでに見てください。 ・
11月22日、第86回千葉市地域社会貢献として、ちば情報センターが表彰式に出席しました。
千葉市緑区下大和田谷津田のゴミ拾いと自然観察会が受賞の対象活動となっています。会の発足当初より、毎月欠かすことなく実施してきたことが、市より認められたことは、とても誇らしく喜ばしいことです。
観察会を行うために担当者が下見を行い、資料を作成し、毎月毎月丁寧に行ってきたこと、年末年始の粗大ごみの不法投棄にも、何度も市に連絡を取り、谷津田の自然を守ってきたことは、スタッフはじめ会員の皆さんの協力あってのことと、感謝しています。
表彰されたのは、他に福祉団体、子育て支援団体、国際協力団体、救命救急貢献者、寄付金協力者などでした。「市政は行政が担うだけでなく、市民の皆さん一人一人の協力なくしてはできません。」と熊谷市長は話されていました。これからも、今回表彰されたことを励みとして、谷津田の保全に努めていきたいと思っています。
会員の皆さまも、今後もどうぞよろしくお願いいたします。(事務局)
千葉県内の活動団体紹介 2
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ニュースレター 1月号(第162号)の発送を 1月7(金)10時から事務所にておこないます。
発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。
編集後記 12月4日、本埜村に白鳥を見に行きました。多かったのはオナガガモで、餌をまくとみんな食べてしまうと地元の方のぼやきが聞こえました。栄町の冬水田んぼでは羽を休める白鳥が6羽。よく見ると3羽がコハクチョウ、1羽はオオハクチョウで残りの2羽はアメリカコハクチョウでした。3種類の白鳥に出会えた1日でした。 mud-skipper