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ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第175号 

2012. 2.6 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. 毎日平和で くらしたい
  2. 水源地に搬入されている放射能汚泥、焼却灰
  3. 千葉市市民活動フェアに参加しました

毎日平和で くらしたい

福島市 阿部 一子 

 悶々と過ごした2011年に、一区切りつけて、新たな気持ちで2012年を迎えました。1年という「区切り」を作った遥か昔の祖先に心から感謝したいと思いました。
 思いも寄らぬ出来事は突然やってくるものなのですね。3月11日の大きな地震には本当にびっくりしました。でもその後の東京電力福島第1原子力発電所の相次ぐ爆発にはもっとびっくりしました。安全神話に洗脳されていたので、まさか本当に爆発するなんて思ってもいませんでしたし、想像すらしていませんでした。全てが初めてのことで、放射能とどう向き合えばいいのかも分からず、日々大きくなっていく梨の実はどうなるのか、不安ばかりが大きくなって行きました。

   

 収穫の頃になると、梨畑は、1~5センチメートルの表土に放射性セシウムが溜まっているので、梨の実に影響はないだろうと言われましたが、収穫した梨からは放射性セシウムが1kg当り10~13ベクレル検出されました。日本の暫定基準値が500ベクレルですから、それからするとはるかに低い数値です。いくら低いとは言え、ゼロではありません。安心して召し上がって下さいと言い切ることのできない梨を、送り出していいものか悩みました。悩んでも結論は出ず、それなら、その判断は食べてくださる方にお任せしようと、検出された数値を示し、これでもよろしければ注文して下さいと書いて、毎年梨を注文して下さる方、友人、知人にお便りを出しました。
 25年前、チェルノブイリの原発事故の後、子どもが小さかったので、欧州産のものは、全て拒否した身ですから、梨の注文は来なくて当り前と思うことにしました。ところが・・・届いたのです。福島を応援したいと思っている人の手に「農園だより」が手渡されて行き、沢山の人から梨の注文と共に応援メッセージをいただきました。今年は、ありがとうのお返しとして、応援してくださった皆様に甘えることのないように、皆様の体を放射線で傷つけることのないように、放射能ゼロの梨をめざします。

   

 1月16日、JA新ふくしまで、果樹農家を対象にした除染の説明会がありました。農業者の空間被爆を防ぎ、果実に放射性セシウムが検出されないように、梨の粗皮削りをして、その後、高圧洗浄機で洗い流すということでした。いつもは1月中にせん定を終え3月までかかって梨の枝を棚に結わえる仕事をしています。1本の木の粗皮削りに、どれ位の時間がかかるのかやってみました。1本に2時間。400本の梨の木を夫と2人で粗皮削りするとして、いくらがんばっても1日に10本。終わるまで40日。「君の行く道は果てしなく遠い」ですね。JAの目標は3月末までに全ての作業を終了すること。いつもの仕事に加えての除染作業。今、やるべきことに向かって精一杯前に進もうと思ってはいますが、体が悲鳴をあげそうです。梨の木は除染されますが、皮を削っている人間のヒバクは、大丈夫なのでしょうか。不安をかかえながら、粗皮削りが始まりました。

※阿部一子さんは、福島でおつれあいと二人で毎年手塩にかけた梨を育てています。以上は、宮城県仙台市の河北新報1月28日付「座標」に掲載されたものに一部書き加えたものです。原稿と共にお便りが寄せられましたのでご紹介します。
「寒い朝です。今日は、午後からフジテレビのディレクターの人が畑を見に来るそうです。1月21日小出裕幸さんの講演会で出会いました。夜の交流会で再び出会い直しをして・・・こんな汚染地域で除染して、どんな意味があるのかと問いかけられ、何も反応ができずに言葉につまってしまいました。何故この地でがんばるのか、畑に立って考えます。」

水源地に搬入されている放射能汚泥、焼却灰

木更津市 金井 珠美 

 昨年原発事故で撒き散らされた放射能は、私たちの生活を直撃した。
 放射能とは厄介な物質である。ひとたび撒き散らかると、回収不能で、これらを無害にする方法もなく、長い時間かからなければ無害にはならない。
 しかし、今これらの放射能が身近にある事が忘れかけてきているように思う。福島原発から200キロ離れた千葉県の一部は高濃度の放射能が検出されて入るが、それ以外の地域は、低濃度であり、生活、健康に影響は無いと政府は繰り返すばかりだ。

   

 放射能にピンクの色が着いていたり、くさいにおいが在ったならだれもが注意するに違いないと思うが、無色、無臭であるため、いつの間にか、忘れられてしまうことが怖い。
 例え低濃度といえ確実にある放射能の処分については、まったく納得できない形で処分が始まっている。
8000ベクレル/Kgまでの汚泥や焼却灰は管理型処分場で処分しても良いと政府は決めた。8000ベクレル以下のゴミは放射性ゴミではないということだ。
 そもそも、管理型処分場はゴムシートを敷いただけで、その上にサンドイッチ方式でゴミと土を積み上げていくだけだ。ゴムシートが破れて、汚染水が漏洩する事故は全国各地で起きている。また、場内から出る水処理にしても、放射能を取る装置などはない。そのような処分場へ放射性の汚泥や焼却灰を入れて良いはずがない。
  処分場は、ほとんどが山奥などの、水源地に近いところへ建設される事が多い。
 千葉県では現在、銚子、君津、富津の三箇所へ処分をしている。君津市の処分場は君津地域四市35万人の水道水源である小櫃川の支流である御腹川の水源地にある処分場だ。ひとたび汚染が始まれば、35万人の生命が危険に晒されるのだ。
 地域住民が「放射性物質から生命を守る市民の会」を立ち上げ、搬入をストップさせるよう千葉県に訴えている。
 秋田県は基準を4000ベクレル以下、横浜市は3500ベクレル以下と独自に基準を設けたが、千葉県は国の言う8000ベクレルという基準のままだ。
 11月に君津市と富津市の処分場を見学に行ったが、汚泥や焼却灰は場内ばらばらに埋めていた。まとめて埋めたらそこだけ濃度が高くなるという理由だった。
 放射性ゴミの処分はこれからも続いていく事になる。放射性ゴミは基本、国と東電が責任を持って管理させることを求めて行きたい。
 責任は原発を推進してきた国と東電にある事を忘れてはいけないのではないだろうか。

千葉市市民活動フェアに参加しました

 2011年11月18日、19日と千葉市きぼーるにて開催された、千葉市市民活動フェアに団体参加しました。市内70の活動団体の紹介と交流が行われました。当団体では活動紹介と、10月号に掲載した「夏の粉じん気になりませんか?」の記事を書いた土井さんが、ブースにて参加された方のお住いの粉じんについての意識調査を行いました。

 

 「そうなんです、夏はいつも床や網戸が汚れて窓が開けられないんです」(中央区在住者)や「粉じんが気になるなと思っていたら、原因があったんですね」(若葉在住者)など、実際に住む方に気になっているかどうかを地図にプロットしていただきました。
 今後は、さらにデータを集め今後の調査の参考にしたいと思っています。
 その他には、体験として重曹を使ったバスバブづくりも行いました。フェアを通して多くの皆さんに活動を知っていただく機会となりました。(事務局)

 

 短歌    志自岐百々代     


    駅前のすずかけの木の一本が 
        今宵はすずめのお宿となりぬ

    車止め 土手に礼なし一本の
        曼珠沙華折り行きたる女人



千葉県内の活動団体紹介 9

<団体名> 食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク
(食農市民ネット)   

                                        西分 千秋

 食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク(食農市民ネット)はMOP5市民ネットの後継組織として、主にカルタヘナ議定書担保法の改正に向けて、活動を行っています。前身のMOP5市民ネットは2010年10月に名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議・カルタヘナ議定書第5回締約国会議(COP10/MOP5)に向けて設立され、遺伝子組み換え生物の脅威から生物多様性を守ろうと組織された全国ネットワークです。
 MOP5では、遺伝子組み換え生物が引き起こした損害に対して責任と修復(救済)に関する国際ルール「名古屋・クアラルンプール補足議定書」が採択されました。これは法的拘束力をもつルールですが、国内法に委ねられる部分も多く、現行のカルタヘナ議定書担保法の改正や補足議定書に沿った国内法の整備が求められます。
 そこで、食農市民ネットではカルタヘナ議定書担保法の改正や国内法の整備に向けて、政府与党へ申入書の提出などを行う予定です。国内法に求められることは、「予防原則を明記する、生物多様性の構成要素を利用するすべての活動(農林水産業を含む生態系サービス全体)、ならびに人の健康への悪影響を対象とする、開発者、生産者、輸出者が責任を負う、金銭による賠償だけでなく原状回復を優先する」などです。遺伝子組み換え生物による被害から生物多様性を守るために様々な働きかけを行っています。
 
 さらに、この問題を広く知らせていくために、学習会や講演会、シンポジウムなどを開催しています。具体的には国会議員会館内において、市民による遺伝子組み換えナタネ自生全国調査の報告や昨年沖縄で起こった未承認GMパパイヤ栽培による被害など、現実に起こっている被害から見えてくる問題提起や農水省、環境省との意見交換を積み重ねています。今年5月には生物多様性の日に合わせたシンポジウムの開催を予定しています。
 また、遺伝子組み換え生物による被害は世界的な問題でもあり、国際的な連帯による取り組みが重要になってきますので、国内外の人々との情報交換や交流を深めていきます。

【発送お手伝いのお願い】

ニュースレター3月号(第176号)の発送を 3月 7日(水)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。


編集後記: 久しぶりに冬らしい冬を迎えています。日本海側の記録的な降雪と、関東地方のこの寒さ。2月3日、通勤途中の車外温度計は-7℃を表示しました。例年1月下旬に見られる下大和田でのニホンアカガエルの卵塊が、2月5日になっても1つもありません。でも、6日の午後からは暖かい雨になりそうです。春間近ですね。 mud-skipper