ちば環境情報センター ニュースレター 

ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第187号 

2013. 2.6 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. 貝のよもやま話4 -タコブネはタコのゆりかご-
  2. 先進的取り組み事例の発表会に参加して
  3. 原発をなくすには  ・  ・  ・  ・
  4. ちば環境情報センター「キノコ観察会」の記録(後編)

貝のよもやま話4 -タコブネはタコのゆりかご-

千葉港ポートパークかもめのクリーン隊 千葉市中央区 谷口 優子 

 先日、NHKが世界で初めて撮影したダイオウイカの生きた姿を見ました。10年追跡して撮ったというすばらしい記録です。大きさこそ違いますがダイオウイカもスルメイカもそんなにかわらないんだな、という印象を受けました。ダイオウイカはとても臭くて食べられないそうです。
 実はイカやタコも生物の分類からすると「軟体動物」といわれる貝と同じグループになります。

 タコブネの殻 タコブネの雌  タコブネの卵塊

 年明けの館山の海岸を歩いてきました。いつものように浜辺で貝を探していると長男が拾ってきたのは、なんと「タコブネ」でした。「タコブネ」は南の海を群れで漂ってくらす小さなタコの殻です。貝のコレクターにとってはあこがれの逸品なのです。よく見ると殻の中心から小さな透きとおったたまごがついているのがわかります。しばらくして波打ち際にタコが打ち上がっているのをみつけました。腕が手のひらのようになっているのですぐにタコブネのおかあさんだとわかりました。タコブネのメスは海で自分のからだの20分の1くらいの大きさのオスと出会って結婚します。おかあさんタコは殻をつくってそのなかに産卵します。たまごがかえるまでおかあさんは殻の中で生活します。ごくまれにオスが見つかることあるらしいのですが、オスがあまりにも小さいので最初は別種だとかんがえられていたそうです。いままでにいくつかタコブネの殻は拾ったことがありましたが、タコを拾ったのは初めてでした。せっかくなので持ち帰って標本にすることにしました。
 タコブネは体長が10センチほどで魚か鳥に足の一部食べられてしまっていました。殻にはごま粒よりもちいさなたまごがついていましたがアルコールに入れたとたん白くなってしまいました。(ちょっと罪悪感)タコのおかあさんの愛にこたえられませんでした。そのかわりみなさんにご紹介した次第です。
 タコブネは英語では「ペーパーノーチラス」(紙のオウムガイ)といいます。でも、殻のつくりは全く違います

先進的取り組み事例の発表会に参加して

市原市 南川 忠男  

 2012年12月11日にパートナーシップによる地域課題解決に向けた取り組み勉強会が、渋谷区の地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)の会議室で開催されました。約40名の方が参加されていました。アトリエマザリー代表で、ちば環境情報センター運営委員の土井麻記子さんの応援聴講が目的で行きました。

 

 はじめ、先進的な事例が環境省の水・大気環境局(発表者は写真の一番左)から発表され、その中で埼玉県のある製薬会社は、法違反の排出をした時に地域へ情報開示をしており、京葉コンビナートの事業所と違うなあと思いました。これは環境省が策定した「新しい地域パートナーシップによる公害防止取組指針」の内容と同じで、かなり進んでいる印象を受けました。また、環境省は地域の環境課題を解決するために、様々な形でNPO,事業者,行政の取り組み支援を行っていることが判りました。この指針では、地域の事業者・地域住民・地方自治体の三者による情報共有・相互信頼に基づいた 「公害のない、よりよい環境を目指した地域づくり」の在り方を示しています。
 平成23年度環境政策提言で「優秀に準ずる提言」に選ばれた土井さんの、その後の「製鉄所の粉塵問題にパートナーシップで取り組む」 は大きな展開を生み出す可能性があります。放出地での粒子の流動分布が判れば風速から距離別着地分布が計算できるので、網戸の粉じん採集地の情報と照合させると科学的にもアプローチ出来るでしょう。しゃべりがうまいし、声がいいので、聞き手は身を乗り出しやすい。プレゼンで聞き手は身なりや顔の表情・声の力に注目しているのでPR力のある話でした。今後の活動に期待したいです。
 聴きごたえがあり、よく理解できたのがリスクコミュニケーションの在り方を熱弁された、この分野の第一人者である横浜国立大学の浦野紘平名誉教授によるご講演でした。冒頭「私は環境問題の町医者です」と自己紹介されました。これがご活動の中心柱でもあったそうです。事業所が市民と接する時の心構えは「気持ちは対等で!」この言葉は会社の中でも使えると思いました。
 最後は西宮市の発表で(発表者は写真の右からニ人目)、甲子園浜に干潟が残っている理由は、住民の粘り強い保護運動によるものであるとの話が聞けました。
 スピーカーによるコメントの時間も45分近く取られ、更に詳しい話を聞くことができました。
 8年ぶりに表参道から地下鉄銀座線に乗りましたが、迷いそうになりました。JR新橋乗り換えも烏森口に行きそうになりましたが、この日の話を頭の中で熟成させながら、帰宅しました。

(文責:ちば環境情報センター 網代春男)

原発をなくすには… 

茂原市 松本 みのり 

 脱原発を願う人たちが集い、思いや情報を共有し、動きに変えられる場を作ろうと、友人と、月に1度の「げんぱつを語ろう会」をスタートさせました。
 特別なスキルも経験も持たない主婦二人が、「とにかく原発をなくすために、出来ることは何でもやってみよう!」と旗を揚げたまではよかったのですが、内心は、初めての会の運営に不安でいっぱいでした。けれど、腹をくくって始めてみると、強力なサポーターが現れたり、会にも、市民活動の実践者や、放射能汚染に関しての勉強を重ねているママ、市民の手で政治を変えようと動いている方やここで学んで自分でも動いていきたいという方など、たくさんの方が参加してくださり、その1人1人の思いを聞くだけで、自分も勇気づけられ、元気をもらって帰ることが出来ました。
 今、「げんぱつを語ろう会」では、「1人1プロジェクト立ち上げ」を呼びかけています。初めの予定では、参加者をいくつかのグループに分け、そのグループごとに、何かしらの脱原発のためのプロジェクトを進めていくつもりでいました。けれど、参加者それぞれのやりたいことは、微妙に違っていること。本当にやりたいことでないと続かないこと。グループの方が事がはかどるようで、実はグループ内の予定や意見をまとめるのに時間がかかって、逆に決められないこと。他にリーダーや、くわしい人がいるとつい頼りきりになってしまうこと。などから、思い切って、1人ずつ自分が本当にやりたい事のリーダーとなって動いてもらい、それをお互いにサポートし合う形にできないかと考えました。
 原発の問題も、「あれだけの事が起きたのだから、誰かがなくしてくれるだろう、何とかしてくれるだろう」と待ってみても、何も変わりませんでした。今は、1人1人が「こんな未来をつくりたい」と主体的に動いていって、その動きがつながって、初めて変わっていくものだと、思っています。自分が望む未来は、その人にしか作れない。脱原発の思いを同じくする1人1人が主体者となって、「その案、いいね、乗った!」「それとこの案は、こうつなげられるんじゃない」「こんな人がいるけど一緒にできないかな」とグループの枠をも超えてつながっていけた時、私の思い描く未来も近くに見えてくるかな、と思っています。
 ぜひ、あなたの胸にしまってあるプロジェクトにも出会わせてください。その日を楽しみに待っています。 

ちば環境情報センター「キノコ観察会」の記録(後編)

7.いい森は菌根共生系がしっかりしている
 千葉県はマツ林が多かった。もともとの植生であったシイ・カシを伐採して、選択的にマツを残し、また植えて、千葉県の里山の二次林としてマツ林になった。関東西部は主にコナラの雑木林。
 マツの炭は火力があり鍛冶屋が使う炭に良い。またマツ林に生える食用きのこ(ハツタケやショウロ等)欲しさに、幕府の直轄地でマツを植えさせてくれとの要望があったという記録が残っている。古い(江戸、明治、大正)時代の絵(浮世絵,絵葉書,地図)では千葉県は多くの林がマツ林になっている。
 里山のマツ林やコナラ林では、落ち葉を薪炭や堆肥に、また木材は建築材等に利用、落葉掻きを繰り返し、林は定期的に伐採され長い間マツ、コナラの山を守ってきた。マツ科やブナ科は外生菌根性の植物なので、言うなれば元来のシイ・カシの原生林もマツやコナラの里山林も外生根菌の世界であった。
 マツは有機物が嫌い、マツと共生できるきのこも有機物が嫌い。
 背負籠と熊手というシンプルな装置でマツやコナラの里山林の手入れを何百年もおこなってきた。里山林は下草刈りと落ち葉掻きをしないと成立しない。
 ハツタケもマツタケもマツと共生している。ハツタケは20年生くらいの若いマツが良い。マツタケは30年生くらいから共生菌類となる。樹齢によって共生するきのこが変化していく。
 浮世絵や絵葉書でみると、国府台~里見公園はマツ林なのだが、現在はシイ・カシ林になっている。100年くらい放っておいたためだ。千葉県では放っておいた林はほとんどシイ・カシ林になってしまう。
 マツ、コナラも薪炭に使われなくなり、有機質に富んだ山になりマツは衰退、ドングリのなるコナラの雑木林に代わってスギ・ヒノキなどの針葉樹が植えられて生息する菌の世界も変わってきている。
 スギ・ヒノキは内生菌根性の植物なので、スギ・ヒノキ林はきのこにとっては砂漠。山には何を植えるかが大事。
 里山は、完全に人口環境でありながら、持続的で、多様性に富む循環的な環境であったが変化を迫られている。
 以上お話の要旨でした。
 さあ、今度は山へ入って実際にきのこの採集です。それぞれ紙袋を持って思い思いの方向へ散らばって行きました。9月の末頃はたくさんきのこが見られたのですが一見したところあまりないのでどれだけ採集できるか心配したのですが、みんなたくさんのきのこを持って戻ってきました。
 こんなにたくさんあったのかと思うほどの種類が集まり、テーブル一杯に載せきれない程になりました。結局下大和田の狭い山の範囲であるにもかかわらず50種を超える程のきのこが集まりました。
 山のテーブルの上で同じ種類ごとに紙の上に置きます。それを片端から吹春先生が同定して名前を書いていきます。
 全員が戻り揃ったところで採集してきたひとつひとつのきのこについての解説です。似たきのこの見分け方やグループの特徴などについても説明していただきました。「・」のついているきのこが採集し、先生が種名或いは属名を表示したもので、一部についてコメントを要約記しました。食・毒の表示は先生が種名と共に書かれたものだけを記しました。口頭では食べられるとか毒と話されたものがありますがそれは記していません。

 

<キノコ観察の要点>
胞子の色が白、クリーム色
・シロハツ ヒダは密。柄とヒダの間が少し青っぽい。
・クロハツ 切ると切り口が赤くなり、時間が立つと黒くなる。実際に切って見た。このような色の変化が、類似の猛毒きのこニセクロハツなどとの見分けの要点。シロハツ、クロハツと共にベニタケ科、ベニタケ属。堅くもろい。乳液が出ない。ベニタケ科、チチタケ属は傷をつけると乳液が出る。ハツタケがそれ。乳液が緑青色になる。防風林のマツ林に出る。千葉の人はハツタケが好き。
・ウスヒラタケ(食)柄が偏る。ウスヒラタケは発生が早く夏から秋にかけて発生する。ヒラタケは遅く11月から3月頃までの冬のきのこ。
・ダイダイガサ 新しいときは傘にダイダイ色のぶつぶつがある。採取したのはぶつぶつがなくなっていた。
・ナラタケ ツバがある。傘の表面に黒いぼつぼつがある。
ダイダイガサ、ナラタケはキシメジの仲間で材の上にでる。 ナラタケモドキはツバがない。
・ツエタケ類 柄が長い。
・シロケシメジ これは仮の名前、正式な和名はまだない。食べている人もいる。ヒダが柄にすい生(流れるように)する。
・チシオタケ 赤い汁がでる。名の由来。クヌギタケの仲間の特徴がよくでている種。
・スギエダタケ スギの枝から出る。スギの山はきのこが出ないがスギエダタケだけはある。
・ドクツルタケ(猛毒)柄にささくれがある。ささくれのないのがシロタマゴテングタケ。両種ともに1本程度の量をたべると死んでしまう猛毒のきのこ。
・テングタケ 傘に白いぶつぶつ(ツボの破片)がある。ぶつぶつは平らたい。
・テングダマシダマシ 傘のぶつぶつが尖っている。テングタケとの見分けのポイント。
・コテングタケモドキ 千葉にあるのはモドキだけ。
シロトマヤタケorシロニセトマヤタケ 顕微鏡で見ないと見分けられない。トマヤは傘を古い茅葺き屋根に見立てた。

胞子がピンク色 食と毒で有名な2種を覚えましょう。
・ウラベニホテイシメジ(食)傘に指で押したようなあと(斑)があるのが特徴で、味は苦い。
・クサウラベニタケ(毒) 上記のような傘の上の斑は無く、味はマイルド。

胞子が褐色系
・フウセンタケ属 傘の裏が鉄さび色になる。
・チャツムタケ属

ヒダのない腹菌類
・ノウタケ 胞子は被膜におおわれたきのこの内側にできて、胞子が成熟するとともに表面が崩れて胞子を散布する。未熟な若いときは食べられる。
・エリマキツチグリ 成熟すると頂の孔から胞子を噴出する。裂開した被膜が襟巻き状となることからの和名。
・サンコタケ 臭い粘液を出す。その粘液の中に胞子があり、匂いにつられてきたハエが胞子を運び散布する。匂いは凄い悪臭。


・コフキサルノコシカケ
 倒木に径20cm位の子実体が出ていたが、倒木から養分を吸収できる間は成長する。ずっと倒木についたまま年々成長するのだが、胞子を出す時期が年に1〜2ヶ月あり、そのときまわりに胞子を散布し、その様子がココアの粉を吹いたようになる。

コメントを省略したもの(順不同)
・カラカサタケ ・ニクウスバタケ ・アラゲキクラゲ ・ガンタケ ・ホウネンタケ ・ユキラッパタケ ・ニガクリタケ ・キチチタケ ・アラゲカワラタケ ・ヒイロタケ ・ムササビタケ ・ヒトクチタケ ・ベニタケ属 ・ナガエノチャワンタケ ・チャツムタケ属 ・キツネタケ属 ・モリノカレバタケ ・ウラベニガサ ・サクラタケ ・アカチャツエタケ ・チチタケ属

個別の解説から見分けの参考になることをまとめてみました。
胞子の色 だいたい傘の裏の色と同じ。
傘の裏 ヒダか、網目状か。胞子はきのこの内側に作られるタイプか。
きのこの形態  傘、柄の色、大きさ、太さ。ツボとツバがある(テングタケ型)。ツボがあってツバがない(ツルタケ型)。ツボがなくツバがある。ツボもツバもない。など。

ツバの大きさ、つき方
柄のつき方 傘の中心。傘の側方につく(ヒラタケ型)。など。
ヒダの柄へのつき方 すい生して柄につく、柄の付け根につくなど。

等々たくさんのポイントがありました。ちょっとやそっとでは覚えられません。
 最初にも述べられましたが「きのこは人の顔を覚えるようにひとつひとつ覚えること」が肝要であることを認識しました。

 

(文責:ちば環境情報センター 網代春男)


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編集後記:韓国の米消費量が1972年135kg/人・年と比べ40年間で半減したそうです。日本は1965年度111kg、2010年度は59kg。戦後、映画が5円で米一升100円。今、映画は当時の200倍ですが、米は7倍。安すぎるなあ。八十八手をかけた田に今年もアカガエルがやってきました。  mud-skipper♀