ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第188号
目 次
|
館山市 森岡 節夫
千葉県南房総の丘陵地帯に住む人々は、5月末から6月の半ば頃にかけて、周囲の低い山々の頂上部一帯が、目の覚めるような黄金色に輝くのを見ることができる。常緑樹の中では一番寒がり屋のマテバシイの新緑が萌え出すのである。
江戸の末期頃から昭和の前半期にかけて、南房総に植え続けられたこの樹は、薪炭材としてのほかに、たとえば富津市海岸での海苔養殖のソダヒビ、天津小湊町のサバ節の燻乾材、富浦町のビワの防風垣、白浜町の漁具材など、多方面に利用されて来た。
国内ではかつて、沖縄や薩摩にしか見られなかったこの樹は、北九州の守護大名らによって、薪炭材や果実の非常食料用として少しずつ植えられ始めた。生育が旺盛で塩害にも強いこのブナ科・常緑高木栽植の波は、次第に日本列島を東に向かって進み、いつのまにか千葉県が、2000ヘクタール越えるという国内随一の広さを持つ植栽地に育て上げられて来たのであった。
しかし時代に伴う各種器材の科学的進歩などによって、次第に無用化されていったこの樹は、昭和の半ば以後、長い間、山頂部などに放置され続ける運命にあった。それがいまここに来て、あらためて「活用すべし」の機運が盛り上がり始めているのである。
平成25年の1月末、南房総市の海発(かいほつ)に、植物の専門学者や関東各地の木材利用関連会社の経営者たちなどが集まった。自己紹介の後、「ドブ漬け処理とバイオ乾燥」という、マテバシイの保存と利用についての実験結果の報告が、日本不燃木材株式会社によって、実物を前にして行われた。
そして2月末には、2回目の会合が今度は東京都内で行われた。そこでは20名を越す関東各地の木材利用関連者らが集まって、「社団法人・マテバシイと森の普及推進協会」というものが設立されたのであった。ついでながらその会長は、これまでに国務大臣等の要職を多く重ねて来た人でもある。
またこれらの会合の発起人ともいうべき立場で活動を続けて来た、東京都に住む近藤豊三郎さんという建築デザイナーは、「200年以上の耐久性を持つ木造住宅づくり」という壮大な目標を掲げ、その実現をマテバシイに託しているのである。
長い間世間の目から埋もれたままになっていたマテバシイが、いまようやく、新しい感覚によって復活の道を得ようとしている。千葉県南房総の住人の1人として、今後の進展に強い期待をもって注目し続けたい。
東金市 中村 真紀
2月2日、ちば環境情報センターも実行委員会を務めた『シェーナウの想い』上映会&トーク(主催「自然エネルギーを広めるネットワークちば」)が開催されました。以下は、その時のNPO法人上田市民エネルギー藤川まゆみさんのお話を元に作成しています。
上田市のある長野県東信地域は、日射量(お日様からのエネルギー量)が全国でも豊富な地域で、太陽光発電にとても適している地域です。今回は、NPO法人上田市民エネルギーさんが取り組んでいる「相乗りくん」という市民発電について、紹介させていただきます。
「相乗りくん」とは、その東信地域の屋根にパネルを乗せてもらい、全国どこからでもだれでも太陽光発電に参加できる仕組みです。
例えば日当り抜群の上田市のAさんがパネル設置をする時にスペースが余るので、他の方が相乗できることになり、千葉からわたしも設置費用を出してパネルを相乗りさせてもらったとします。Aさんは昼間の電気は自分のパネルの発電分から使用するので、相乗り分は全量を売電できます。私は、実際にその電気を使うことはできないけれど、毎月売電収入を得ながら社会に自然エネルギーを増やすこができます。
Aさんはパネル設置の初期費用を割安にすることができ、千葉で借家で暮らしている私でも太陽光発電に参加できるというわけです。
国の再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の余剰電力買取を活用しており、42円/kwhで10年間固定で電力会社が買ってくれます。パネルオーナーの参加は10万円以上いくらでもOKです。例えば50万円の参加で1.13kwのパネルを取り付けた場合、1.13kw×1,200kwh/年(※)×10年間×¥42/kwh=569,520円。10年間で569,520円になることが見込まれます。(※1kwのパネルの年間発電量;全国平均約1,000kwh、上田市は約1,200kwh、相乗りくんは更に条件の良い所を選んでいるので1,300kwhを見込んでいる。1,200kwh以上発電した分はNPOの運営費となる。)
この数字にはそれ以上の意味があります。まず第一に自然エネルギーを増やしています。実際に自分でその電力は使えなくても、中部電力管轄のどなたかが使っているでしょう。毎月自分が設置費用を出したパネルの発電量の報告があるので、自宅の電気使用量のお知らせと比較して実感が持て、省エネ意識も高まると思います。第二に、もしこの50万円、貯金していたらどうなるか?ご存知の方も多いと思いますが、その銀行が運用として米国国債を買えばアメリカがやっている戦争を応援していることになり、日本国債を買えば政府のダムや原発を作るお金になってしまいます。戦争も原発も心から反対していても、お金の流れで応援していることになっちゃうんですね。第三に約20兆円というお金、毎年化石燃料費として海外へ支払われているそうです。自然エネルギーを生み出しただけその額が減って、しかも各地域を潤してくれたら・・・いいですよね。
上田市民エネルギー理事長の藤川さんという代表の方、まだお若くて笑顔の素敵な女性でした。今から約5年前に鎌仲ひとみ監督の『六ヶ所村ラプソディー』という青森県六ヶ所村にある核燃料再処理工場の映画を観て、電気にはゴミがあることを知り、上映会や勉強会等を重ね、3.11震災及び原発事故の後、自分でも何かしなければいけないという想いから「相乗りくん」をスタートされたそうです。藤川さんは講演会で「エネルギーシフトにはまだ答えがなく、隙間や可能性が沢山ある。自分たちは市民にもできることがあるということを示してミライへの起爆剤になりたい。」とおっしゃっていました。
「市民エネルギーには可能性がある」という藤川さんのお言葉に元気を頂きました。「相乗りくん」又は上田市民エネルギーさんにご興味をお持ち頂いた方は、上記HPをぜひ検索してみて下さい。
千葉港ポートパークかもめのクリーン隊 千葉市中央区 谷口 優子
3月3日はひなまつりです。おひなさまにははまぐりのうしお汁を作ってお供えします。二枚貝のはまぐりは一対になっている貝以外はぴったりと合うことがありません。そのため夫婦和合の象徴として結婚式の披露宴にも食されてきました。
ひなまつりは本来、旧暦3月3日(今年は4月12日)に行われる行事でしたのでちょうど水がぬるみ、海の潮が引く大潮にあたります。そのため磯遊びと深いつながりがあります。これは京都の老舗の雛菓子です。ひなあられとともにつくし、梅の花に加えイタヤガイ、アワビ、サザエ、巻貝などの干菓子が彩りよく添えられています。季節の和菓子は繊細でとても美しいものですね。
また、ハマグリの殻を利用した「貝合わせ(正式には貝覆い)」は裕福なお嬢さまの嫁入り道具でした。1年を意味する360組のはまぐりをばらばらにし、神経衰弱のようにして内側の絵を合わせる遊びです。そのため殻は白く、模様のない伊勢のものが良いとされました。娘が生まれるとすぐに貝合わせを注文した、といわれるほど大変な時間と費用を要したそうです。
ハマグリの学名はメレトリクス ルソリアといいますが、「遊女の 遊び」というとんでもない意味になっています。幕末に長崎の出島からオランダに持ち込まれたハマグリは「貝合わせ」に使った貝殻でした。お姫様がいつしか「遊女」と勘違いされてしまった鎖国時代の悲劇です。いまでもオランダ・アムステルダム大学の博物館に保管されている貝にはお公家さんのような(なぜか全員男性の)絵が残っています。
話は変わって、宮古島の北にある池間島(橋でつながっている)の沖に八重平瀬(やびじ)という広大な珊瑚礁の干潟があります。ふだん海面の下にある珊瑚礁が旧暦3月3日には潮が引いて幻の大陸となって姿をあらわします。サニツ(浜下り)といって島の内外からこのときは大勢の人が磯遊びを楽しみます。天然記念物に指定されましたが月11,12日の2日だけ船が運行され自然観察ができます。長年行きたいと思っていますがなかなか行けません。
千葉市若葉区 金田 洋子
2013年1月26日、八街市で有機農業を営まれている網代さんのお話を伺った。我が家は皆、大の野菜好き。普段の食事も弁当も、お皿の大半は野菜。味噌汁も具が泳げないほど野菜が一杯。だから我が家にとって安全で美味しい野菜は欠かせない。ところが、いざ「有機野菜ってどんな野菜?」と聞かれると、ハッキリ答えることができない。「一体本物の有機野菜ってどうやって育てるの?」という私の長年の疑問に網代さんは丁寧に応えてくださった。
漢字の「腐」にあまりいいイメージはない。しかし、有機農業のポイントは「腐植」にあるという。麦や落花生などの収穫残渣と土との間で、水と空気が良い仕事(腐植)をして豊かな土壌を作るとのことだが、これは自然界の原理と同じ。考えてみると野生の植物はそんな環境の中で美味しい実をつけてきたのではないか?文明の発達と共に「より早く、より多く」を求めた結果、一番大事な質(味)が置き去りにされたということだろうか?
網代さんは、ごく初期の苗に対しては草取りをするが、その後はやらないのだそうだ。「雑草に負ける野菜は要らない」とのこと。お話を伺った後、網代さんが育てた野菜を食させいただいたが、「美味しい土を食べて、元気に育ったぞ!」という野菜達の声が聞こえてきそうな力強い味だった。「自然の力を最大限に活かし、生命力のある野菜を育てる」ことが有機農業ということだろうか?
信頼できる有機野菜が近くで手に入ることが分かり、とても嬉しくなった。
市原市 南川 忠男
冬の底冷え感をなくしたいと家人から言われ、2012年10月末に我が家の窓をすべて二重窓に変えました。リフォーム代は高くつきましたが、1階は硝子会社大手の商品「インナーウィンドーmado2」に2階はペアグラスにしました。施工会社の方から「築20年だと、よく窓が水平でなくなり、工事がしにくいことが多かったが、この家は水平ですね」と誉められた感じでした。
日本の平均的な家では冬に48%の熱は窓から外に逃げ、夏は71%が入ってきます。熱貫流率がカタログでは従来サッシ(一重窓)と比べて1/3(2階は半分)。夜寝る前まで居た1階の居間は暖房を消して翌朝暖房をつけるまで窓ガラスから外への放射熱が少なくなり、2℃くらい以前より室温が高くなりました。昼間の太陽熱を跳ね返すので、冬は内側の窓を開け、太陽熱を室内に取り込んでおります。
出窓でシクラメンや蘭を育てていますが、ポカポカして気持ちよさそうに育っています。夏の暑さもしのげると思います。庭の落葉樹えごのきは1階への直射日光を遮るように植えたので今年の夏の冷房はいらないかもと期待しています。冬はガラスの結露が以前はあり、拭いていましたが、その結露が無くなりました。室内に洗濯物を干しても結露しないです。
熱貫流率とは熱の移動を表す数値。室内外の温度差が1℃の時、面積1m2あたりに移動する熱量(単位:W/m2・K)です。
気密性に優れた構造で、従来のサッシと合わせると、外の騒音(80 dB )を約40dBカットすることができるらしく、家の中の大きな声でのおしゃべりが今までは駐車場で聞こえたが、聞こえなくなりました。シジュウカラやメジロ・ヤマゲラが庭木に餌を食べに来た時、どれどれ観察しようと家の中で人が動くと感づかれたが、ガラスが二重なので、光が反射して家の中が見えないみたいで、2mの間近かでバードウォッティングできる楽しみができました。人間には虫がいるのかどうかわからないが、枝を突いてなにかアブラムシを食べているようなのです。
熱貫流率がカタログでは従来サッシ(一重窓)と比べて1/3(2階は半分)に下がります。
5分以上かかる侵入では泥棒の7割は諦めますが、窓が二重だし、内側のガラスには特殊フィルムが標準仕様で貼ってあるのでガラスを割って入るのは難しいし、補助錠とロックがあるので我が家には侵入できないでしょう。紫外線もほぼ81%(従来は26%カット)カットするので、カーテン・畳焼けや本棚の本の日焼けが少なくなると思います。
リフォーム代は高くつきましたが、家族の上記満足と今後の空調の電気代が年間で2万円くらい削減できる見込みを考えると良い省エネ工事でした。
米づくり講座日程変更のお知らせ2月号でお知らせした米づくり講座の日程で、5月18日(土)に予定されていた「田うえ」は 5月19日(日)に変更になりました。 |
ニュースレター4月号(第189号)の発送を 4月8日(月)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。
編集後記:大事に育てていたベランダの春菊。いかにもおいしそうな肉厚の葉っぱ。それが、いつの間にか消えてしまった。ヒヨドリのごちそうになったのだ。軸だけになってもまだ啄んでいる。茎にはびっしりアブラムシ。くわえてはひょいと上を向いて飲み込む。冬の大事な食料なのだ。 mud-skipper♀