ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第189号
目 次
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千葉市緑区 網代 春男
2013年2月17日「里山再生と生物多様性の力」と題して、里山シンポジウム分科会が市原市五井会館の大ホールで行われました(主催:ちば環境情報センター,ちば・谷津田フォーラム,里山シンポジウム実行委員会)。
佐久間市原市長の挨拶、中村俊彦ちば・谷津田フォーラム代表の趣旨説明、金親博榮里山シンポジウム実行委員会代表の挨拶に続いて基調講演が始まりました。
1.基調講演「トキの里づくりと生態農業」
蘇 雲山さん(環境文化創造研究所参与・首席研究員)の基調講演ではトキの辿ってきた歴史、中国・韓国・日本の保護、繁殖の取り組み状況、解決すべき課題など詳細に述べられました。トキ・コウノトリの導入を目指すにあたって大変参考になる事柄が多々ありました。
シンポジウムのパンフレット。 デザインは当会会員の松下優子さん |
(1) 中国のトキの保護、繁殖状況
本来の分布は中国南部から北東部、朝鮮半島、ロシア南東部、日本と広範なものであったが絶滅して行った。中国でも絶滅したと思われていたものが1981年5月に洋県で野生のトキ7羽が発見された。
中国ではこのトキを国家1級重点保護動物に認定、中央と地方政府、林業保護部門は研究者と共に野生個体群の保護を重点に人工繁殖も並行させた。生息域内では省、県がトキ保護を目的とした法規を発布し厳しい保護を実施した。
その結果、野生トキの個体数は1981年の7羽から2009年には760羽まで増えた。また人工増殖個体群は530羽まで増えた。増えたことにより、トキの行動範囲も広がり、周辺の県、市にまで広がって、問題も起こっている。
種の保存の観点からは現在の個体数では絶滅の危機にあるとされる個体数だ。もっと増やさなければならないが餌場確保の問題がある。
営巣地周辺の農薬や化学肥料使用制限を厳しく行っているが、それによる所得の減収に一定の補償金が支払われている。経済が発展する中で今までの補償額では農民が納得しなくなっている。営巣地域が拡大する中で補償の財源確保も難しくなっている。この問題の解決には地域住民の理解と協力・・生態農業(有機農業)・・なしには解決できない課題である。
人工繁殖も現在5箇所でケージ内飼育で行っているがケージの収容能力や予算不足から人工増殖は控えていて、早めに自然に戻さなくてはならなくなって各地で放鳥を行っている。
(2) 韓国の野生復帰
朝鮮半島はかってトキの分布域であつたが1979年に確認された以降、確認できていない。韓国政府と民間団体がトキ再導入の目的で準備を行い、2008年2羽のトキが贈呈され2009年に2羽が繁殖に成功し、2010年初頭で4羽が飼育されている。韓国でもトキ野生復帰が図られている。
(3) 日本の野生復帰の取り組み
日本では野生トキが5羽にまで減った時点で生育地の保護を断念、1981年に全鳥捕獲しケージ内の人工繁殖に踏み切ったが成功しなかった。1999年に中国から贈られたペアーによる人工繁殖が成功した。これを契機に近親交配を避けるためトキの貸出等中国の協力の下で2003年には39羽、2009年には153羽まで増加した。
2004年1月に種の保存法に基づくトキ保護増殖事業計画にトキの野生復帰を位置づける改訂がなされ、トキが生息できる自然環境づくり、地域社会づくりが進んだ。
野生順化訓練施設が2007年3月に完成し、飼育下のトキが野生でも生存できる能力をもたせる訓練が行われた。2008年には10羽、2009年には20羽と放鳥、野生復帰が始められた。
野生復帰と並行して、鳥インフルエンザを防ぐ目的で分散飼育が始まり、2007年多摩動物公園で、2010年には石川県いしかわ動物園で行われている。次の分散飼育地には島根県出雲市と新潟県長岡市が選定されている。
トキと共生する地域づくりを目標に自然環境修復や地域農業の見直しに着手した自治体は増えている。千葉県や群馬県でも地域づくり、有機農業推進、農業の多面的機能の啓蒙等の目的でその象徴となるトキ・コウノトリの再導入に動き出している。
(4)トキと共生する地域づくり
放鳥されたトキが生息しうるには生態農業(有機農業)への転換が迫られる。地域住民の生活がトキと共生しうる形に変わることが前提になる。トキ野生復帰で克服すべき最大の課題は二次的自然の中でトキの生息が保障されると共に、地域住民の生活が保障されなくてはトキの野生での生息は不可能になる。
コ ウノトリ米,トキ米など付加価値を持たせた農業経営、それを支える一般市民や国の支援などが必要である。
今いるトキは洋県の7羽から増殖したもので導入先だけで繁殖を繰り返すのは遺伝子の観点から好ましくない。中国、日本、韓国がネットワークを組んで協力して取り組むことが大事だ。
質問者のへの回答で「千葉県はトキの生息に適している」との嬉しい話もありました。確かに、解説された7羽のトキが発見された環境は千葉県の谷津田の環境に近いもので意を強くしました。
(次号に続く)
2013年3月17日、千葉市緑区下大和田の谷津田で「野草を食べる会」(主催:ちば環境情報センター)が実施されました。参加者の渡辺さんから感想が寄せられましたので、掲載いたします。
千葉市稲毛区 渡辺 誠
2ヶ月振りの下大和田町谷津。しかも「野草を食べる会」は初参加である。天気は良好、体調もよし。水路には元気に泳ぐメダカの姿。さっきまでウグイスも鳴いていたそうだ。
さっそく野草採りに出発・・・と、そこで私は気がついた。野草って何? 慌てて周りの会話に耳を傾ける。ノビル,ヨモギ,ツクシ,ニワトコなどなど。ツクシはわかるがそれ以外は未知の世界。そうだ、スマホでヨモギ画像を検索して同じ形の草を採ればいいのだ。
しばらくして網代さんに成果を見ていただく。「確かにヨモギですが紫っぽい色なので食べないほうがいいですね」とのこと。仕方ないさ、野草採りは経験がモノをいうのだ。そう自分を慰めている私の脇を、ノビルをいっぱい抱えた子供たちが「次は××を採ろうよ」と元気に駆け抜けていく。きみたち、スゴイよ。
そしてお待ちかねのお昼。野草の天ぷら、野草タップリ味噌汁、ノビルの味噌和えなどを頂いた。うまい。実にうまい。ついさっきまでこの地に根を張っていた野草を必要最低限の手を加えるだけでこの場で頂く。シンプルだけど贅沢なひと時。
自分と自分を取り巻く草木、水、空気との距離が少し近づいたような気がした。
千葉市緑区 中島 ふみ子
長年の懸案だった(大げさですが)アンペアダウンを行いました。つまり電気の基本料金の契約アンペアを80Aから40Aに下げました。1戸建て4人家族だった我家も夫は単身赴任、長男は独立して、現在は大学生の次男と2人暮らしです。2011年の福島第一原子力発電所の事故以降、何気なく使っていた電気について考える事が多くなりました。
1年前に東京電力の電気の点検があり、電力会社の方に尋ねてみると、我が家の基本料金は少し高すぎるということが分かりました。
ちなみに80Aというのは特殊契約といって、東京電力の契約は60Aまでだそうです。ですから今回の工事は26,000円を支払っての電気工事が必要でした。26,000円の支払いということで主婦である私は半年間悩んだうえでの決断でした。工事は東京電力が紹介してくれた業者により1時間ちょっとで、でっかいお弁当箱のようなものをブレーカーの下に設置して終わりました。最初の1週間くらいはブレーカーが落ちるのではないかとドキドキでしたが、普通に生活していても何の支障もないことに気がつき、高い基本料金を東京電力に10年以上支払ってきたんだと思いました。これで 1カ月の基本料金が2,184円から1,092円と半分になりました。
私がやっている節電は必要な部分しか電灯をつけない、衣類乾燥機や食洗機、コーヒーメーカー、電気ケトルなども使いません。しかし電球はついつい安いのを買ってしまうのでいまだにLEDではありません。電気製品も動かなくなるまで使っているので、古いものは節電になってないので、頑張ってはいるが成果が上がらないいい例かもしれません。
こんな私のお勧めは湯たんぽです。夜寝る前に暑いお湯を入れた湯たんぽは一晩中ポカポカしていて、朝はそれで顔を洗ったり食器を洗ったりしています。布団の中に入れた湯たんぽのお湯は一晩たってもちょっと熱いくらいです。昼間も使った分だけまたお湯を足して毛布にくるんでおくと、小さな炬燵のようにちょっとした暖房になります。それに災害時に電気もガスも止まっても、半日くらいはお湯が使えます。
もう一つ心がけていることは、我が家だけの節電ではなく、電力使用量が多い昼間にはなるべく電気を使わないようにしたことです。アイロンかけや、炊飯器でご飯を炊くのは早朝だけにしましたし、電力使用量が多い時は電子レンジやドライヤーの使用は控えました。
この原発事故がなければ「電気」について考える事も、「原発」についても考える事はなかったと思います。現在私達の暮らしは電気なしには考えられないくらいです。でも少し不便だと感じる暮らしになったとしても原子力発電所は徐々に減らしてゆきたいと思っています。きれいなネオンサインもいいけど見事な星空の方が私は好きだし、電車のホームにたくさん並んでいる自動販売機を見ると何とかならないものかとも感じます。
後戻りではなく本当の豊かさを考え直すいい機会かもしれません。電気製品の使い方を工夫すればもっとアンペアダウンは可能かと思いますし、家庭だけだはなく地域全体でも同じ考え方で、電力消費を計画的に行う生活が行われたらなと思っています。
いちはら里山クラブ 市原市 風間 俊雄
今年も又 山笑う季節(春)が一気に来たように感ぜられます。
ちょうど一年前のこの時期(春)に、第9回里山シンポジウムの全体会が市原市を舞台に開催されました。テーマは(里山の魅・力発見)~中房総の原風景を支える底ヂカラ~というものでした。たくさんの参加者の応援をいただき盛況裏に実施出来ましたことをまずご報告いたします。
このシンポジウムに先立ちまして4月,5月にかけて、ここ市原市で里山保全活動をしている市民団体の皆さんの協力を得て、自分たちが活動をしているすぐ近くで、普段見過ごされがちな里山の魅力を一般市民の皆さんに知っていただこうとの趣旨で、(中房総の小さな旅)(いちはら編)を企画・実施いたしました。
市原市は南北にとても長い市であり、また里山活動団体がたくさんあります。北は五井地区から南は養老渓谷地区までのなかで、6コースを選択し近隣で活動している里山保全団体が主体になり皆さんをご案内しました。全体会の席でこの成果を発表しまして、参加者から大いなる評価をいただきました。
その後、関係者の有志から「この成果を一過性に終わらせたくない」という提案があり、「(小さな旅)の冊子を作り後世になにかの形で残そう」と立ち上がりました。
冊子作成の要旨は、「一般の観光案内書には掲載されていない魅力ある場所、又 普段人目につかない魅力ある場所、又すべてを自分たちの手作りで」を合言葉に、資料集め,写真撮影,踏査(地図作り)を何度も繰り返し、編集会議・校正等を何回もおこないました。
この冊子には自分たちの思いが十分に込められています。そのため編集会議の席でも活発な意見が飛び交い(絶対に譲れない部分、譲歩できる部分)等々冊子をまとめるのに非常に時間がかかりました。
出来上がりはB5版28ページの冊子ではありますが、内容はいままで知らなかった中房総(いちはら)の魅力がたくさん盛り込まれています。多くの人たちがこの冊子を手に持って、「中房総の小さな旅」を満喫していただけることを期待しています。
なおこの冊子は春を主題に編集したもので、近い将来又別の季節をテーマに実現したいとも考えています。ここで冊子の作成・編集に携わった皆さん、協力して頂いた地元の皆さんに心より感謝いたします。
この冊子をお入用の方は下記にご連絡ください。
Tel 090-3286-0004 いちはら里山クラブ 風間俊雄
Tel 043-223-7807 ちば環境情報センター 小西由希子
<会費納入のお願い>日頃よりNPO法人 ちば環境情報センターの活動にご理解,ご協力いただきありがとうございます。新年度を迎え、会費納入の時期を迎えました。 2013年度会費の納入がお済みでない方は、同封した振り込み用紙の希望会員区分を○印で囲み、 会費(正会員5,000円,普通会員2,000円,賛助会員10,000円/1口)をお振り込み下さい。 宛名タックシールに会費納入状況が記載されていますのでご確認ください(行き違いの際はご容赦ください)。なお、年度については4月から翌年の3月まで、複数年度の納入歓迎いたします。 郵便振り込みの場合:郵便振替口座は00130-3-369499 銀行振り込みの場合:千葉銀行本店 普通 口座番号3627678, 口座名義:特定非営利活動法人 ちば環境情報センター 代表 小西由希子 |
ニュースレター5月号(第190号)の発送を 5月8日(月)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。
編集後記:最近ペットカフェというのが流行っているらしい。猫カフェやドッグカフェ,は虫類カフェや魚カフェなんてのもあるらしい。今朝テレビでフクロウカフェの紹介があった。客は「この子たちに癒される」という。しかしペットの方は体をいじくり回され、相当ストレスを感じているのではないだろうか。服を着せられた犬を見た時と同じ感想を持った。mud-skipper