ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第190号
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千葉市美浜区 小倉 久子
「ひれ~ひれ~(広い,広い)あのそうふけっぱら(草深原)が……」と始まる民話「そうふけっぱらのきつね」。この民話の舞台が、キツネも含めてそのまま残っているのが、印西市の千葉ニュータウン21住区です。江戸時代の牧(将軍の馬の放牧場)を彷彿させる松林や、オミナエシの群落、多種多様なトンボや水鳥が遊ぶ水辺、全国的にも希少な草地性植物の群生地など、首都圏では類を見ない生きもののサンクチュアリが出現しています。
かつて、そうふけっぱらの一部だったこの場所は、千葉ニュータウン事業地として40年前に一部の林を残して粗造成した後、草刈管理だけが継続された結果、50haの草地として残ったのです。
ところが、平成25年度末にニュータウン造成事業の終了予定となっているUR(都市再生機構)が、売れるあてもないこの土地の造成工事を始めたのです。すでに樹林地の伐採が始まり、草地のほうも,いつ手が入ってもおかしくない状況になってきました。
そこで、私たち亀成川を愛する会では、緊急に署名活動を始めました。キツネが住めるくらいに豊かな自然が残る「そうふけっぱら」を守りたいという私たちの思いに、どうぞ多くのご支援をお願いいたします。
私たち「亀成川を愛する会」は,名前のとおり,川を愛する会なのですが,なんで原っぱのことで活動するかというと,この川の源,すなわち水源涵養地が「そうふけっぱら」の一部なのです。原っぱというと,自然としての重要性があまり知られていない地味な存在なのですが,どっこい,そんなことはありません。昔はどこにでもあった,でも,今となっては大変少なくなってしまった草花や小さい虫たちが,今でもそっと暮らしているのが,ここ「そうふけっぱら」なのです。
署名では,売れる見込みもないままむやみに造成工事をせず,豊かな自然環境を活かしたまちづくりをするほうが千葉ニュータウン事業そのものに大きな付加価値をつけることができることを訴え,これ以上の造成を行わないで自然を活かした公園などの形で残してほしいと要望しています。 (亀成川を愛する会 小山尚子・小倉久子)
署名用紙はご指定の住所にお送りしますので、事務局(下記)までご連絡ください。会のHPからもダウンロードできます。
また,紙への署名のほか,近日中にインターネット署名も始める予定です。どちらか1回だけしかご署名いただけませんが,どちらでも同じように有効です。詳細はHPでご確認ください。ぜひ皆様のご支援をお願いいたします。
事務局: 080-3594-6267 kamenarilove@yahoo.co.jp
HP: http://www.kamenari-love.com/news.html
ブログ: http://blog.livedoor.jp/kamenarigawa/
千葉市緑区 網代 春男
(公財)日本生態系協会事務局長 関健志さん
関さんは標記地域づくりの過程と広域のネットワークによる取り組みの重要性やこうした事業の欧米諸国の自然保護の法律のあり方など豊富な知識と情熱で熱っぽく語られました。
平成20年国土形成計画(全国計画:国土交通省)の中のひとつに「エコロジカル・ネットワークの形成を通じた自然の保全・再生」が明示された。この計画に沿って、河川や農地等の水辺環境エコロジカル・ネットワークの指標ともなり、地域振興・経済活性化にも貢献する魅力的な地域づくりのシンボルとしてコウノトリ・トキの野生復帰を主要テーマとするネットワークによる自然の保全・再生が決められた。
多様な主体の協働による広域的な連携が必要となることから関東地方整備局・関東農政局。関係自治体による調査体制が組まれ、対象地域としてはコウノトリ・トキの係わりがある関東5エリアが設定され、モデル自治体として3県20市町村が検討に参加した。
この5つのエリア(渡良瀬遊水地エリア、荒川流域エリア、利根運河周辺エリア、北総(印旛沼・手賀沼)エリア、房総中部エリア)が対象地域間の連携を図りながら南関東から関東全域へ魅力的な地域づくりの展開を進めていくことになる。
欧米では開発行為によって生態系が失われる場合は、別の場所で同じかそれ以上の価値を持つ生態系を増やすことで相殺する代償の仕組みは法制化されている。国や自治体は「開発しても生物多様性の価値は実質的に減らさない」と言う目標を掲げ、代償措置などで自然を保護しようとしている。
道路などを作る場合も保護手段を先に講じないと工事は進められない。また、常に高次消費者の棲める環境を作ることを念頭に取り組む必要がある。
東京都はカラス対策に毎年多額の費用をかけている。今、皇居でひと番のオオタカがいるだけ。高次消費者のオオタカが住める環境を作らない限り、東京都はずーと多額の費用をかけ続けなくてはならない。
(有)らいすぼうい代表 三門増雄さん
佐倉の農家三門さんは、冬水田んぼの7年の取り組み結果をいいことも、悪いことも詳しく話されました。冬期湛水、無農薬で 収量が落ちないこと、湛水していても泥深くならないことなど驚きでした。8年目にして白鳥が来てくれた時の感動した話は聞いているこちらまでジーンときました。
<冬期湛水でよく言われる心配事について>
・地盤が緩み、元の泥深い水田に戻り、機械作業ができなくなるのではないか?
8年やって来てそのようなことはなく従来通り機械作業は出来ている。
・雑草の発生がどうなるのか?
夏の雑草は多くて困った。当初は除草剤を使った年もあった。取るタイミングが大事、湛水後は少ない。除草機を使って除草剤に頼らずに防除している。芽が出てからでは遅い。
・隣接地への影響?
隣接田への水漏れが防げなくて迷惑をかけたことがあった。
水の管理、隣接田への影響などやはり一か所だけでやるのではなく地域で取り組むことが大切。
・収穫量、品質など
無肥料(米ぬかは散布)でも米の収量は慣行農法と変わらなかった。
<冬期湛水の効果>
・天然の肥料
トロトロ層ができて天然の肥料になる。化学肥料を必要としない。肥料や農薬などの資材費の節約になる。
・水質浄化
硝酸態窒素濃度が減少し、水質浄化機能があることが判った。
・生物の多様性
多様性が増し,生態系の再生につながった。
・白鳥の飛来
8年目にした初めて昨年白鳥が飛来した。感動した。農業のイメージ向上になった。農業と生きものの共生、将来トキの飛来にも期待したい。
こうして生産したお米は5Kg 3,500円で販売。お金は二の次でやっている。理解してくれるお客様を自分たちで広げていく必要がある。
千葉県自然保護課生物多様性センター副技監(併任)県立中央博物館副館長
中村俊彦さん
まさに三門さんが話しされた冬期湛水結果の学術的裏付が印旛沼流域での試験結果で得られたとの話が発表されました。
いちはら里山クラブ代表 風間俊雄さん
市原市の風間さんは、臨海部の工場地帯に勤務しリタイアした方々も里山活動に参加し、市内で15をこえる団体が元気に活動し、行政も協力的であることが報告されました。市原市での活動団体のことには疎かったのですがたくさんの団体が活躍していることを知り心強くより連携が深められれば良いと感じました。今回のシンポジウムは大変内容の濃い充実したものばかりでした。それぞれの方々おひとりでひとつのシンポジウムとしても成立するものでした。
参加者は80人ぐらいでこれだけの内容は非常にもったいないと思えたシンポジウムでした。
千葉港ポートパークかもめのクリーン隊 千葉市中央区 谷口 優子
潮干狩りシーズンになりました。千葉県ではふなばし海浜公園、木更津の盤洲干潟、富津岬が潮干狩りで有名ですね。東京湾のアサリはスーパーで売っている愛知産、熊本産、北海道産のものにくらべて模様が非常にはっきりしているのが特徴です。夢をこわしては申し訳ないのですが、潮干狩り場では毎日大勢の人が貝を採りに訪れます。したがって他県産のアサリや中国産のシナハマグリが撒かれているのが現状です。
2010年に潮干狩りオープン前の観察会で採ってきた三番瀬のアサリ。2013年4月に千葉市内で買ってきた愛知県産のアサリ。
中央に1つ違う貝がまぎれ込んでいるのがわかりますか?ふつう内湾の干潟にはいない「オニアサリ」です。磯にすむ貝ですので市場で紛れ込んだものでしょう。愛知県では数は多くないですが市場に出回るようです。殻はアサリにくらべて厚く、食べてみるとアサリよりも苦みのようなクセがありました。
二枚貝には前と後があります。図のように砂に潜る足がある方を「前」、水管を出す方を「後」、それにしたがって左殻、右殻とよびます。
アサリの二枚の殻を蝶のように開いてみました。(2012年3月・千葉ポートパーク産)いろいろな模様があることにあらためて気づかされます。アサリの殻の模様はふしぎなことに必ずしも左右対称ではありません。左側の列に集めた「左殻の下の部分にだけ茶色い線が入るパターンのグループ」があります。この線は右殻に出ることはありません。
また、震災後に話題になったことがありましたが、アサリのすむ環境が大きく変わった場合にはアサリの殻に段がついたり、模様が大きく変わったりすることもあります。
アサリの殻は残念ながら熱を加えると色が変わってしまいます。熱を加えなくても1か月もすると美しかったブルーが茶色く退色してきてしまいます。
こうしてみてみればパックのアサリでも十分たのしめることうけあいです。
市原市 南川 忠男
昨年12月に長女が北本市に自家保有した時に3KWの太陽光発電の設備をプレゼントしました。当初の仕様では屋根にはなにも設置されない予定でした。ローンもきついし、切り詰めた設計になっていましたが、いいと判っていてもその設置費用の支払いのことを考えて、踏み切れなかったようです。電力会社への売りと買いの電力と発電量と使用量がメーターに表示されており、これがその家族のエコ意識を高めていました。
例えば昼間2.3KW発電中基礎電気使用0.2KWで差し引き2.1(以下数字のKWを略す)を売っている時に電子レンジで温める作業をすると、使用量が1.2に上昇し、同時に売電がみるみる1.1に落ちていきます。孫が「しまじろう」を見る時間になって、TVを付けると0.2変わります。電気ポットも沸騰開始すると1.0変わります。
又、東京電力との時間帯別価格では17時以降23時がやや安くなるので、夕食の準備で電気を使うのはその時刻以降の生活習慣になったようです。
私の家は築22年で太陽光発電を付けたかったが、その当時はまだ普及しておらず、かなり高価だったので、設置はしませんでした。今回、娘の家に設置して地球温暖化防止に貢献したと思います。金額的なメリットも1月は電力代が2千円で2月は6千円だった。今後夏至に向け太陽高度が上がるので設置角度は西面(南面だと良かった)だが、最大出力に近づくと思います。給湯もエコキュート(大気中のエネルギーを使用するヒートポンプ)を設置し、23時以降7時までの安い深夜電力で沸かし貯めしておき、夜のお風呂までなんとか一番安い電気で作った温水を使っています。
温水レベルが最低レベルになると昼間の高い電気で沸かすことになるので、最初のうちはストレスがあった。日本の太平洋側の日積算水平全天日射量は2000W・h/m2・dで曇り空が多く、緯度の高いヨーロッパと比べると倍の日射量があります。使う
2月の使用量:658 ,買電量:557,発電量:284,売電量:183 (単位:KWh)
オール電化になっているので、今まで調理とお風呂に使用していた都市ガス15m3(前年の2月)は電気に換算すると170KWhになり、電力使用量は増えた形になるが、ヒートポンプと深夜電力の使用と太陽光発電の組み合わせにプラス窓ガラスがペアグラスで断熱性能が良いので、空調用の電力使用は抑制されています。
周りを敵対国に囲まれたイスラエルは数十年前から法律で新築家屋は太陽光発電の設備を付けることが義務化されております。日本も補助金や買い取り価格優遇があるので、太陽光発電が普及してきました。
設置代は高くつきましたが、晴れた日は発電し、お出かけ中はエアコンなど電気を使う量が少ないので、売電が増えます。家族のエコ満足と今後の売電収入が年間で十万円くらいになり電気料金が削減できる見込みです。
ニュースレター6月号(第191号)の発送を 6月7日(月)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。
編集後記:今、千葉市では市街地内の多くの樹林地で保全活動が始まっています。宅地開発をきっかけに尽力された、一人の科学者なくしては、進まなかったものです。あまりにも早く旅立たれた小林節子さん。美しい緑を空から眺めていらっしゃることと思います。 mud-skipper♀