ちば環境情報センター ニュースレター 

ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第193号 

2013. 8.7 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. 棚田のこと
  2. 都川 その素晴らしき世界  ~少年時代の忘れものを求めて~
  3. 「たのしい草木染-かわいろ染め物」講座に参加して
  4. 夏休み工作教室の報告

 

棚田のこと

千葉市稲毛区   桜井 健 

 最近、ちば環境情報センターのスタッフのお手伝いをさせていただくようになりました桜井です。
 下大和田の谷津田には娘が小さい頃から何度か遊びに行かせていただいていましたが、その他にもう一つ、鴨川市の「大山千枚田」にも田植え、草刈り、稲刈りのお手伝いに行っていました。 棚田との縁は、私の大学時代の恩師の中島峰広氏(早稲田大学名誉教授)が、棚田学会の会長(現在・顧問)、NPO法人棚田ネットワーク代表を務めている関係から始まっています。
 中島氏は私が現役の大学生だったときには、まだ棚田研究の分野に入っておらず、1990年代から棚田を研究対象とされたのですが、他に棚田を研究をしている人もおらず、自然と棚田の第一人者になっていきました。
 わたしは元々学生時代から、里山の農林業と生物多様性の関わりや、環境問題やエネルギーの持続可能性の問題には興味があったのですが、棚田や谷津田のお手伝いはもっと単純に、土に触れることが気持ちいいから参加させていただいていたに過ぎません。
 現在は、ちば環境情報センターのお手伝いと並行して、恩師を通じて以前からスタッフとも面識があった「NPO法人棚田ネットワーク」の事務局のお手伝いもさせていただいています。
棚田地域は、千葉の谷津田も同様ですが、圃場整備が出来ず、大型農業機械も入らないため、非効率な田んぼで、減反政策が行われた頃からに真っ先に耕作放棄されはじめました。
 しかし、棚田には水を貯めてゆっくり流す「緑のダム」としての機能があり、耕作放棄されて畔(くろ)が維持管理されなくなると、元々水の集まりやすい傾斜地であるために土砂災害の危険も高まります。
 単に景観の美しさを鑑賞したり、先人たちの苦労を忍ぶ文化的価値だけでなく、維持することは防災面でも重要なのですが、農地としての生産性は低いため、なかなか地権者農家だけの力で守っていくことは難しいのです。
 そして千葉の谷津田同様、農家の高齢化が大変問題になっています。
 7月6日,7日には棚田ネットワークのスタッフも関わってきた、西伊豆・松崎町の石部という集落にある棚田の草取りボランティアに参加してきました。

 

 1999年に農林水産省が「日本の棚田百選」というものを選びましたが、伊豆の石部の棚田は駿河湾を挟んで南アルプスと富士山を背景にする素晴らしい棚田であるにもかかわらず、百選には選ばれませんでした。 それは、「日本の棚田百選」の選定当時、棚田の90%以上が耕作放棄され、藪や大きな木も生える原野になっていたからです。
 石部集落の地元の元漁師で鮮魚店・民宿を経営される方(棚田の地権者・耕作者ではありません)が発起人となって、強力なリーダーシップのもと有志を募り、棚田保全推進委員会を設置し、地権者や行政の協力も得て、有償無償のボランティアによって、2000年に元々の5ヘクタールの棚田のうちの放棄田12アールを復田。2002年度からは復田された棚田のうち85アールを利用したオーナー制度を開始、現在では棚田のほとんどが都市住民によって耕作されています。
富士常葉大学の環境防災学部の学生が大学の研究の一環として作業の大変な時期に毎回50名~60名来ており、実質的に貴重な戦力となっています。
オーナー制度は実施主体は石部地区棚田保全推進委員会が、オーナー募集の窓口業務は松崎町企画観光課が行っています。1枚の大きさに関わらず
石部という集落は、松崎の中心の松崎から南に岩地、石部、雲見と3つの浦が続くわけですが、海水浴場としては北隣りの岩地の方が砂浜が美しく、南隣りの雲見には立派な温泉旅館のある温泉街がある中でこれといった観光資源がなく、じり貧的に民宿の数も減り、危機感を募らせていました。
 そうした藁にもすがる思いの中で、棚田をなんとか活用できないか、ということから始まった復田活動でした。

 

 一般に東日本の棚田は土坡(どは)で作られたものが多く、西日本の棚田は石積みで組まれたものが多いのですが、江戸城の石垣のほとんどが伊豆半島から運ばれたものであることでもわかるように、伊豆半島には古くから石材の産出と加工技術があり、石部の棚田は非常に立派な石積みで出来ており、見ごたえがあります。
 経済性優先の農業、営農者の高齢化という状況の中で、なかなか行政の目と支援は届かず、有志の「思い」と都市住民が関わることの刺激が大きな推進力になっているのが現状です。
 全国の棚田地域では、通年の責任を負うオーナー制度以外にも、田植えや稲刈りだけ一回限りでの飛び込みでの応援を歓迎しているところもあります。(保険の登録などの関係から事前連絡は必要) 観光旅行を兼ねて訪ねてみるのも一興かと思います。また、どうせ行くなら、ただ風景として眺めるだけよりも、田んぼに入って作業した方が楽しいのは言うまでもありません。ご興味ありましたら、お気軽にお声かけください。http://www.tanada.or.jp/

都川 その素晴らしき世界  ~少年時代の忘れものを求めて~

千葉市稲毛区 佐藤 輝光  

 去る7月21日の日曜日に、ちば環境情報センターさん主催の川遊びに参加させて頂きました。場所は誉田町付近に水源を発する都川、東金街道と平行して流れる平和公園入口付近です。このあたりは千葉駅周辺の市街地から車で15分程度とは思えないほど水田が多い。私は東京から千葉市内に移り住んで5年になります。引っ越してきた当初は趣味の自転車でよく東金街道をサイクリングしていたのですが、ある日の夜中に北谷津付近を走った時に聞いた蛙の大合唱が今でも忘れられません。あの日に胸いっぱいに吸い込んだ酸素がどれだけ美味しかったことか、そして肌で感じる風がどれだけすがすがしかったことか、今でも昨日のことのように思い出されます。
 さて、今回その水田を縫うように流れる都川で川遊びができる機会に恵まれたわけですが、恥ずかしながら私はそもそも都川という川をキチンと認識していたわけではありませんでした。総延長距離は15km程度の二級河川。千葉港に注ぐ河口付近こそそこそこの川幅ですが、東金街道を平行して流れる辺りからは川の周りは草木が生い茂り、一見したら見落としてしまう程の小さな流れとなります。しかし、その小さな流れの中でこれほど多くの種類のいきものに出会えるなんて!!
 今回参加する子供達が安全に川遊びをできるように、スタッフの方が事前に準備して下さったはしごを使って川の中へ一歩足を踏み入れるとそこはまるで別世界。さっきまで畦道から見下ろしていた風景から一転して鬱蒼と生い茂る草木を見上げる視点に切り替わり、大人は太もも、小さな子供達は胸ぐらいまで川につかって上流へと網を持って一歩一歩進んでいきます。
 まず私の目に飛び込んできたのは緑色の金属光沢がある体色が美しいハグロトンボ。ヨシの葉に止まって羽を休めるその美しい姿に夢中になってカメラのシャッターを押していると、その内、あちこちから子供たちの歓声が聞こえてきました。

   

 「ザリガニ捕まえた!!」「メダカが採れた!!」「蛙が泳いでる!!」様々な歓喜の声。川のいきものは網で追いかけるように掬うのではなく、網をヨシの根元に固定してその網に入るように足でいきものを追い込んでいき、サッと網を上げるんだとスタッフの方々に教わり子供たちは見よう見まねでチャレンジする。そのようにして自分の力でいきものを採取できた時の喜びは格別だ。
 ホトケドジョウ等ドジョウの仲間、タモロコやモツゴと言ったすばしっこい小型魚がたくさん網にかかりました。網に入ったときはメダカだと思っていた魚が陸に上がってからプラスチックケースにいれてよくよく観察してみるとグッピーによく似たカダヤシであることもわかりました。
 今回は驚くことに海と河川の間を回遊するモクズガニも採取されました。決して汽水域ではない上流域にまで回遊してくるとはその小さな体のどこにそんなパワーが秘められているのか感心するばかりです。
 そして今回参加者に最もインパクトを与えたのが大きなウシガエル。スタッフの方にわしづかみにされた頭部からビローンと伸びた足先まで、優に30cmはあったのではないでしょうか。ぎょろっとした目がまるで「そんなに見るなよ恥ずかしいじゃないか」と訴えているようでした。私自身、「ブオー、ブオー」という泣き声は聞いたことがあったのですがマジマジと姿を見たのは今回が初めてだったのでとても感激でした。
 結局1時間程度の散策でしたが、子供たちが採取したいきものは、アメンボやマツモムシといった水生昆虫から、ザリガニ、エビやモクズガニといった甲殻類、メダカ等の小魚、アマガエル等の両生類と様々で、用意されたバケツは無数のいきもので埋め尽くされました。
 全部家に持ち帰って水槽に入れて観察したい衝動を抑えつつ、家で飼育する数は最小限に抑え、大半のいきものは元の都川へリリース。今後は、今回のようなイベントに参加者として参加するだけでなく、いきもののユートピアであるこの都川を後世の子供たちにいつまでも引き継いでいけるよう環境保全の活動にも参加していきたいと意を新たにした一日でした。

「たのしい草木染-かわいろ染め物」講座に参加して

 7月24日、都川の河川敷に繁茂する植物で草木染を体験する講座「たのしい草木染-かわいろ染め物」(主催:ちば環境情報センター)を実施しました。可愛い感想が届きましたので掲載いたします。

 

千葉市稲毛区    小2 きむ みんちぇ 

 わたしは、ママと妹といっしょに、くさきぞめをしに行きました。くさきぞめをする教室にいたかたが、くさきぞめをするよういをしておいてくれました。はじめに、やりかたをせつめいしてくれました。そしてぬのをワゴムでしぼりました。つよくしぼるところがすこしむずかしかったです。わたしはくわでそめました。おなべににて、あらってワゴムをとったら、ワゴムをまいたところだけ、色がそまらないで白くもようができていました。思ったよりきれいにできてうれしかったです。やる前はむずかしそうと思ったけど、やってみたら、あまりむずかしくないし、おもしろかったです。


千葉市稲毛区    小2 勝目 美優(かつめ みゆ) 

 わたしは、小西先生に草木ぞめを教えてもらいました。まず、もようができるようにゴムでしっかりむすびました。とてもきつくむすぶのがむずかしかったです。つぎに、ミョウバンのえきに布をつけたときに、ぬのをたたくのがとてもたのしかったです。さいごに、ゴムをはずしてもようを見たら、ドーナツみたいなかたちだったのがおもしろかったです。また、ちょうせんしたいとおもいます。ありがとうございました。

夏休み工作教室の報告

千葉市緑区   渋谷 雄二

 7月26日(金)、午前10時~12時まで「生浜公民館」から「ちば環境情報センター」への依頼を受け、夏休みの工作教室を実施しました(スタッフ3名)。
 参加者は小学3年生~6年生までの19名(男子7名、女子12名)。あらかじめ準備した基本キットを組み立て、小枝やドングリなどで飾り付けをして楽しく椅子型の小さな写真立てを作りました。参加した子どもたちは基本キットの組み立て方の説明を受けた後、さっそく作業にとりかかりました。


組み立ての順番は次のとおりです。

 ① 座板下面に4本の脚を取付ける。  
 ② 座板上面に2本の背もたれを取付ける。  
 ③ グルーガンを使い、小枝やドングリで飾り付けて
  完成です。
 

 飾り付けになると子どもたちの表情がさらに真剣になった事がとても印象に残りました。子どもたちはそれぞれの創造力を発揮して個性あふれる芸術的な作品を完成させました。

 

【発送お手伝いのお願い】

 ニュースレター9月号(第194号)の発送を 9月 6日(金)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。


編集後記:先日埼玉県内を車で走っていたときのこと。ふと見たら、電信柱のほとんどが歩道ではなく民有地内に建っていた。電線も街路樹の樹幹から少しはずれている。ここまで徹底して歩道から電信柱を除いている例を今まで見たことがない。mud-skipper♀