ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第195号
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千葉市美浜区 田原 真司
9月5日から8日にかけて、熊本市と水俣市で開かれた「第2回 環境被害に関する国際フォーラム」に参加してきました。副題は「水俣病・失敗の教訓を将来に活かす」。日本を含む6カ国・地域から環境問題の研究者、環境汚染の被害者、NGOなど支援グループの代表が集まり、各地の汚染の実態や地域社会への影響を報告するとともに、「公害の原点」と呼ばれる水俣病の教訓をどうのように世界に発信し、後世に伝えるべきかを議論しました。
参加者は聴衆を含めて約120人。私は聴衆としてではなく、中国から招聘した講演者をサポートする裏方としての参加でした。講演者を空港へ迎えに行き、フォーラムのスケジュールに合わせて誘導し、事務方との連絡を取り持ち…等々、有り体に言えばガイド兼通訳です。
各国の環境被害に共通項
どうして私がそんな役目を引き受けたのか。実は2年前、ひょんな偶然から北京の清華大学の調査チームによる水俣現地調査をお手伝いしました。その時、熊本で受け入れの労を執ってくれたのが熊本学園大学の水俣学研究センターでした。同センターは水俣病の研究と患者救済に生涯を捧げ、昨年6月に亡くなられた故・原田正純医師が1999年に設立。水俣病について環境汚染や健康被害の視点だけにとらわれず、地域社会や経済への影響、海外との交流など、学際と国境を越えたユニークな研究に取り組んでいます。
そして今回、同センターが7年ぶりの国際フォーラムを主催することになり、センター長の花田昌宜教授から「中国からの招聘を手伝ってもらいたい」との打診を受けました。2年前の清華大の現地調査では、原田先生が病身をおして熊本のご自宅から水俣に足を運び、調査チームのために特別講義をしてくださいました。そのご恩に報いるため、二つ返事でお引き受けしたわけです。
前置きが長くなりましたが、私は中国語が多少話せるだけで、環境問題に詳しいわけではありません。そんな私から見ても、フォーラムでの各国からの報告は衝撃的であり、深く考えさせられるものでした。
海外からは、カナダ中北部の河川の水銀汚染と先住民の健康被害、中国の淮河流域の水質汚染と「癌の村」の実態、タイのマプタプット工業団地の公害と住民の健康被害、韓国で2012年に起きた化学工場のフッ化水素酸漏出事故の顛末、そして台湾の化学工場跡地のダイオキシン汚染と住民の健康被害について。国内からは、福島第一原発事故による帰還困難・居住制限区域の被災者の苦境、熊本水俣病および新潟水俣病の救済運動の現状について、詳しく報告されました。
それぞれの詳細は紙幅の都合で省きますが、すべての報告には時代や国境を越えた明確な共通項がありました。例えば、問題発生の初期において企業や行政が(意図的かどうかは別にして)情報公開を怠り、結果として被害の拡大を招いたこと。また、科学的・法的に因果関係の立証が難しい被害について、企業や行政が責任回避に終始し、結果として問題の解決を長期化させていることなどです。
水俣病は1956年の公式確認から既に57年が経過しています。当時の日本は戦後復興の真っ只中で、環境関連の法規は整備されておらず、市民の環境意識も成熟していませんでした。ゆえに公害の発生を防げなかったと考えるのが一般的な認識でしょう。中国やタイなど現在の発展途上国で起きている環境問題についても、私たちは同じ認識で見ていると思います。
ところが、福島原発事故では今日の日本で、半世紀以上前の水俣と瓜二つの問題の構図(情報公開や加害者責任のあり方)が再現されています。また、環境法規や人権保護の先進国であるはずのカナダでも同様の問題が発生し、解決の糸口は見えていません。私たちは結局、過去や他国の失敗の教訓から何も学んでいないのではないか――。こうした事実を次々に目の前に突きつけられると、環境問題は経済・社会の発展段階とは必ずしも関係なく、人類が抱えている宿痾なのだとすら思えてきます。
“草の根”の力を再認識
とはいえ、希望の光もありました。報告を行ったすべての国・地域で、環境被害の実態を明らかにし、被害者を支援しようという“草の根”の運動が立ち上がり、地道で粘り強い活動を続けていることです。
例えば、私が招聘をお手伝いした中国の霍岱珊氏(環境NGO「淮河衛士」代表)は、1998年にたった1人で淮河の汚染防止と「癌の村」の救済運動を開始。地元企業や自治体による妨害や圧力にも屈せず、運動の輪を着実に広げ、今や中国環境保護省が一目置くほどの成果を上げています。中国のように言論の自由や人権保護が不十分な国でも、草の根の力で環境問題の流れを変えられるという事実は、フォーラムのすべての参加者に勇気を与えていたと思います。
ちば環境情報センターの活動もまた“草の根”です。目標は違えど、運動を長期に継続し、参加者のモチベーションを高め、よりよい環境を次世代に引き継いでいくためにはどうすべきか、という視点で、国内外の環境被害のケースから学べる点は多いのではないか。また、互いに連携できることがあるのではないか。千葉へ帰る道すがら、そんなことを考えていました。
千葉市稲毛区 桜井 健
ちば環境情報センターでは、これまで平日を中心に森の手入れを行ってきましたが、今後はフィールドを拡大し、活動もより充実させていこうと「ちば里山くらぶ」プロジェクトを立ち上げました。現在、林野庁の「森林・山村多面的機能発揮対策交付金」を申請中で、斜面林の手入れや、植生や生きものの調査、それらをプロットしたマップの作成などに取り組んで行く予定です。
10月14日(月祝)には、ちば里山くらぶ第一回の活動として、10:00~14:00の予定で、林のマップ作りのための調査、木の名前の名札づくりのための準備、今後どのあたりを整備していくか、現地を見て歩きながらのご相談など、行いたいと思います。
また、同日16:00(予定)からは、場所をちば環境情報センター事務所に移して、「ちば里山くらぶ」キックオフの会を(実費会費制)設けたいと思っています。ふだんは作業が終わったらあわただしく帰宅してしまいますが、たまにはお酒も交えて、夢を語り合いたいと思い、キックオフにかこつけての飲み会という感じですので、昼間の森の活動に間に合わない方も、普段なかなか谷津田に来られない方も、ぜひキックオフの会だけでもご参加下さい。
NPO法人ちば環境情報センター 代表 小西由希子
福島の子どもたちを迎えての「フレンドシップキャンプ」(千葉YMCA主催) へのご協力をお願いしましたところ、大変たくさんの方がお応えくださいました。おかげさまで目標額を超える417,000円 (ちば環境情報センター分は98,000円)となり、全額を無事お渡しすることができました。ここにあらためて皆様に感謝申し上げ、キャンプの様子をご報告いたします。
放射能から子どもを守る会 in 千葉 千葉市花見川区 宮田 敬子
8月19日から22日まで、千葉市少年自然の家(長柄町)で、福島県伊達市と千葉市の小学生のフレンドシップキャンプが行われた。福島の子どもたちの費用負担が少しでも軽くなるよう、4つの会(千葉市民測定室,ちば環境情報センター、子どもを放射能からまもる会in千葉、子どもと一歩の会)が寄付を募り、417,000円を集めることが出来た。
キャンプはプール遊び、キャンプファイヤー、野外炊飯等のプログラム。私たちは21日午後、フクダ電子アリーナでの「サッカー体験」を訪問し、寄付の目録をお渡しした。伊達市の三つの小学校の3年生から6年生26名、中学生2名、保護者の皆さん、校長先生、千葉市の小学生(4,5,6年)18名、大学生のリーダー、少年の家の所長さんはじめスタッフの皆さん、と大所帯。
キャンプですっかりうち解けた雰囲気が伝わってきた。ジェフのコーチの指導で、子どもたちはたちまちサッカーが上達し、コートを走り回ったり、コーチを囲んで楽しそうにおしゃべりしたり、キャンプを満喫している様子に、私たち大人も解放感を味わった。福島の子どもたちが思いきり遊べて本当に良かったと思うと同時に、千葉の子どもたちにも意義ある体験だと思った。
このキャンプは来年も行われるそうだ。ご寄付くださった皆様にお礼を申し上げるとともに、来年も多くの方のご協力をお願い致します。
東金市 中村 真紀
ちば環境情報センターの研修会で地元山武杉で出来たお家を見学させて頂いてから5年、遂に私たち家族もそんな憧れのお家に住めることになりました(予定)。
山武フォレストや里山シンポジウムでご活躍の稗田設計士に全面的にご協力頂き、吹き抜けがあって夏でもクーラーのいらない様な、地元の木材を贅沢に使った木目の美しい私たちらしい家になる予定です。更に、できる限りのエネルギー自給を目指し、スイッチ1つで便利な生活…ではないけれど、いくつかの仕掛けも考えています。
今回、そんな地産地消の私たちの新居建築をニュースレターに載せ皆さんにも見守って頂けるという事で、完成までの少しの間、お付き合い頂きたいと思います。今はまだ草ボーボーの新天地、今後どの様になるのか、どうぞお楽しみに。
漂着物学会 南房総大会へのおさそい
会員には海辺で漂着物を研究している大学教授もおられますが海で拾ったものでアート作品を作るシニアもいたりします。マニアックではありますがたのしい学会です。ことしは11月16~17日千葉県南房総市大房岬青少年の家をメイン会場に大会が行われます。1日目は基調講演として「たてやま海辺の鑑定団」の竹内聖一氏、それにつづいて研究発表が行われます。2日目は館山市沖ノ島でビーチコーミング&鑑定会があります。会員でなくても1000円の会費で参加できます。 千葉ポートパークのテニスコート脇の管理事務所にはポートパークで拾った漂着物のコレクションが展示してありますのでぜひご覧になってください。お手軽な参考書として「海辺の漂着物ハンドブック」浜口哲一 文一総合出版(1200円+税)がおススメです。 漂着物学会HP http://drift-japan.net/?page_id=99 |
ニュースレター 11月号(第196号)の発送を11月6日(水)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。
編集後記:10月6日、トンボの専門家の互井賢二さんを講師に、下大和田で観察会を実施しました。アカトンボ類が中心でしたが、以前普通に見られたアキアカネがほとんど見つかりませんでした。互井さん曰く、ネオニコチノイド系の農薬が原因で幼虫のうちに死んでしまうとか。世界的に問題となっているこの農薬。一刻も早い規制が望まれます。 mud-skipper