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ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第199号 

2014.2.7 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. 台湾訪問記
  2.  海洋環境への影響の軽減という視点から見ると
  3. 旅と環境 その13 -尾瀬ヶ原が泥沼化している-
  4.  「地産地消の我が家建築物語④」 ~おひさまエネルギー~
  5.  「どんど焼きと昔遊び」  参加者の感想

台湾訪問記

NPO法人ちば環境情報センター 代表 小西 由希子 

 昨年夏、千葉の里山保全の現状を知りたいと台湾の公園関係者や研究者が来日しました。その際お世話くださった「いちはら里山クラブ」の風間俊雄さんからお誘いいただき、2013年11月28日から一週間台湾を訪問しました。目的は高雄市美濃で開催されるシンポジウムへの出席でしたが、国立公園の見学や市民団体との交流など大変内容の濃い体験をさせていただきました。

 


寿山国家自然公園
 高雄市は台湾第二の工業都市ですが、市の西南部寿山には、珊瑚礁が隆起した上に鍾乳洞があり、多くの鳥類や昆虫が生息する豊かな自然が残っています。先住民族の貝塚遺跡が残り、風光明媚で多くの観光客が訪れます。しかし、野生のサルがハイキング客の食べ物を奪ったり、危害を加えるなど課題もあり、人との共生が模索されています。
 こうした中、保全を望む市民の声があがり2012年台湾初の国家自然公園に指定されました。台湾にはすでに8つの国家(国立)公園があるのですが、寿山は面積要件を満たさないことから、新たに法を改正して保全することになったのだそうです。ここには日本統治時代の石灰石掘削やセメント工場跡地が残っており、将来ここに森林を再生して二次的自然のあり方を探りたい、そのため「里山イニシアティブ」に大きな関心を持っているとのことでした。国家自然公園が目指すのは、自然と人との共生です。

里山イニシアティブ
シンポジウム開催地の美濃は、市中心部から高速道路で1時間ほど。タバコ,椰子,小豆,大根畑などが広がる農村地帯です。客家文化の町として、また黄色いチョウでも知られています。シンポジウムのテーマは「里山イニシアティブ」。
 1日目は台湾大学大学院生による兵庫県豊岡の紹介、その後風間さんからボランティアによる里山保全、私は千葉県の里山条例と里山センターについて紹介しました。
 2日目は台湾の市民による里山活動紹介で、耕作放棄地再生を通じた環境学習と棚田再生でした。有機無農薬の米はブランド化し、高値にもかかわらずすぐに売り切れてしまうことや、二人の若者が農業を始めるようになったとの報告がありました。
 午後は、自給自足の地元芸術家が創作活動を通して多くの仲間と美濃の町の美しさを伝えている取り組みと、若手有機農業者が消費者を巻き込んで活発に交流している報告でした。

 

 台湾では米は年3回耕作可能(高雄周辺では、一期は米、それ以外は豆類等をつくっている)ですが、高齢化や若者が工場に働きに出て耕作放棄地が増えており、食糧自給率は30%と日本とよく似た状況です。しかし米はご飯以外にビーフンや餅など形を変えて食卓に出され、日本でももっと米を食べる工夫ができるのではと改めて考えさせられました。
 対話の中で、除草剤や農薬の使用を何とか押さえられないかという話題が何度も出て、環境問題に敏感な仲間での今一番の関心事のようでした。
 100名ほどの参加者は若者が多く、皆熱心にメモをとりながら真剣に話を聞いていました。また、日本語が堪能な若者が多く、日本が親しみを持って受入れられているように思えました。
 シンポジウムが開催された美濃は、1990年代市民による強力な反対運動でダム建設を止めたことで知られており、多くの住民が町に誇りを持っています。主催者の一人、地元NPO「美濃愛郷共進会」の邱靜慧さんは若くて有能、元気な女性で、美濃を国家自然公園にしたいと熱く語っていました。
 はじめて訪ねた隣国台湾で、同じように里山を守る仲間と交流し、互いに学びあうことで自らの課題に気づき、新たな動きを構築するきっかけをもらったように思います。
 最後に訪れた台江国家公園では、ラグーンに浮かぶ数百羽のクロツラヘラサギの群れに感動し、生き物には国境がないのだなと改めて感じ帰ってきました。この出会いを大切に次に生かしていきたいと思っています。

 海洋環境への影響の軽減という視点から見ると

鹿児島大学水産学部海ごみ研究室 藤枝 繁 

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律を読むと、その目的は「生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ること」とされるが、その手段は「廃棄物の排出の抑制と適切な処分」であり、言い換えると「廃棄物量を抑制する」ための法律となっている。ごみとなる製品が溢れる中、排出者による排出の段階で「抑制する」と、かならずそこから漏れ出すものがある。太い蛇口に細いホースを突っ込んで、漏れないようにテーピングするも、ぽたりぽたりと漏れるっていう感じだ。昨日、環境省による海ごみ対策事業の検討会があり、そこで「海洋環境への影響への軽減」という見出しのまとめがなされた。以前から引っかかっていたのであるが、この法律は「散乱ごみの抑制」のために作られたものではないということ。すなわち、ホースを細くすることにより、ホースの先から出る流量を落してバケツを長持ちさせる法律であり、ホースから漏れる量を無くして床を濡らさないための法律ではないということである。どっちも蛇口から出る水の量が同じであれば、溜まるところがバケツか床かという違いで結果は同じなのであるが。

 

 このまとめでは、化学物質汚染の専門家の先生方によるプラスチック悪説の意見がまとめられていたが、一方ではプラスチックは必要悪であるという意見もあった。私はプラスチックを使わざるを得ない消費者として、へーそうなんだと理解はしても直ちにプラスチック以外のもに移行するという行動がとれるほどできた人間ではない。ただ「海洋環境への影響の軽減」という視点で見ると、悪説や必要悪説の議論をしたところで、現在大量に使用され、また過去から大量に海洋に流出し、また未来に向けてもその流出がゼロになることはないことから、ただちにやらないといけないことは別にあると考える。すなわちプラスチックによる環境汚染問題に対しては、これまでとは違う早急な発生抑制対応が必要なのである。
 「散乱ごみの抑制」という視点から見ると、正規の処分ルートから外れたものをいかになくし、また外れないようにするか、すなわち「適切な処分の促進」を通じて「生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ること」を目指さなければならない。つまり接続するホースを太くしてしっかり蛇口に差し込んで、床に水を落とさないようにするか、または細いホースを使うには適切なジョイントを作ってしっかり接続するかということである。
 要するに製品が排出物になったときに如何に抵抗なく適切に廃棄されるか、または漏れなく廃棄されるインセンティブがあるかであり、この接続部分がしっかりしていない限り最終的なごみの行き場となる海のごみは減らない。排出者による廃棄物の排出の抑制への協力といのは、産業界に丸め込まれたごみ処分場の狭隘化や処理費用の高騰を抑えるためのいいわけであって、環境のためではない。環境のためであれば、ごみ処分場が狭くなろうが、処理費用が高くなろうが、正規ルートからごみが漏れ出さない仕組みを作るべきである。
 例えば、高速道路のサービスエリアのごみ箱。持込まないでという張り紙を見るが、逆に持ち込み歓迎とし、変なところに不法投棄させない(割引なんかせずとも高速道路に乗ればごみを捨てることができるっていうのも特典では)、スーパーに持込みごみの集積場所を設置する(分別すればポイントゲット)、とにかくどんどん捨てられる場所を作ってごみを回収するってどうだろう。もちろんこれには徹底したごみ箱の管理が必要である。一方で、そればっかりではいつまでたっても廃棄物量は減らない。減量は、製造者の責務。廃棄物量を減らすのは国民の責務ではなくて、製造業の責務とし、国民は発生の抑制はせずに適切な処分の実行のみとし、行政は適切な処分の促進を責務とする。これでどうでしょうか。  

旅と環境 その13 -尾瀬ヶ原が泥沼化している-

千葉市稲毛区 平田 和博 

 十数年ぶりに尾瀬へ行った。至仏山は残雪が多く登山禁止だったので、仕方なく尾瀬ヶ原を散策した。まず驚いたことには、人が多かった。ミズバショウが最盛ということもあって、8千人余りの人出とのこと。団体旅行者が多く、旗を掲げたガイドの指示に従ってミズバショウを写し、そして木道をせっせと歩く。それも、結構速く。彼らは軽装で、雨が降ったらどうするのかと心配になった。残雪の至仏山やミズバショウを眺めながら、のんびり歩きを楽しむ風情はなくなったようだ。

 

 もう一つ驚いたことは、カエルの合唱である。鳩待峠から下って山の鼻に着いたとき、カエルの合唱が聞こえてきた。そのうえ、小川にはヤマメの群れが泳いでいた。動物が生息できない高所寒冷地帯なのに、カエルやヤマメが群棲している。温暖化の影響もあるが、あまりにも大勢が訪れるからであろう。登山客の排泄物を浄化しているが、彼らの弁当などの食べ残しが栄養源になっているようだ。カエルやヤマメのような小動物、鳥や蛇のような中動物と生態系が徐々に変化し、尾瀬ケ原は破壊されそして確実に泥沼化していくだろう。この変化は、もう誰にも止められない。悲しいことである。

 「地産地消の我が家建築物語④」 ~おひさまエネルギー~

東金市 中村 真紀 

 1月24日に無事上棟式を終え、いよいよ土台&骨組みだけの我が家から、屋根や壁,各部屋が造られていきます。その屋根に我が家最大の特徴の1つ“太陽光発電機”を乗せることになりました。ソーラー用南向きに設計してもらった屋根に、4.9 kwhのパネルを設置します。
 ご存知の方も多いと思いますが、2年前から“再生可能エネルギーの固定価格買取制度”というものが始まり、家庭用に太陽光発電され、自宅で使い切れなった余剰電力は東京電力に38円/ kwh(平成25年度現在)で買い取ってもらい、他の人たち(主にご近所さん)に使ってもらえるようになりました。元々、消費電力の少ない我が家では、「発電量」-「使用電力」で月々2万円弱の収入が得られる計算になります。
 日中できる限り節電してお金を得ることも楽しそうですが、私はむしろ明るいうちに家事や充電をしてできる限り自家発電したお日様エネルギーで生活したいと思います。日中、我が家に遊びにいらっしゃる際は、ぜひ充電セットをお持ち下さい。
 次回は、晴天に恵まれ最高の1日となった我が家の上棟式について、報告させて頂きたいと思います。なお、屋根には載せられないけど、20 wのパネルとバッテリーなどからなるキットを使って携帯電話やPCの充電を賄える「20 w革命」を2月16日東金市で開催します。ご興味のある方、今月のイベント情報をご覧下さい。
 
 事務局より:中村家のおひさまエネルギーに関し、ちば環境情報センターでは“共同太陽光発電プロジェクト”という新しい取り組みで応援しています。ご興味のある方、お気軽にお問い合わせ下さい。


    

 「どんど焼きと昔遊び」参加者の感想

 2014年 1月11日、第157回 下大和田 谷津田プレーランドプロジェクト「どんど焼きと昔あそび」を実施しました。参加者の笠原さんと粟飯原さん親子から、感想が届きましたので掲載いたします。
   習志野市 笠原 亨
 普段焚き火をする機会の無い子供たちですが、焚き火に触れ、火の大切さ、楽しさや危なさを感じてくれたことと思います。また昔の遊びに夢中になる子供たちの姿を見て、時代は変わっても子供は変わらないものなんだなと興味深かったです。今回どんど焼きへの参加を通して、歳神様を迎え、そして送りだす日本の正月の姿や風習を、私自身も再認識することができました。お餅も美味しかったです。お誘い頂きありがとうございました。

習志野市 笠原 仁子(5歳)
 どんどやきに初めて参加しました。火をおこしたりしてなかなか火がおこらなくて、小学生のお兄さんたちの火がつきました。お正月飾りも燃やしたりおもちを焼いておしるこを2杯食べました。おいしかったです。弓矢大会やかるた大会に参加しました。弓矢とかるたで決勝戦にでました。両方とも負けました。くやしかったです。でも、どんどやきは楽しかったです。

船橋市 粟飯原 由佳
 火をおこすまで1時間近くかかり、その大変さを実感しながらも燃え上がる炎はあっという間でした。枝にさして焼いたマシュマロの美味しさと、その火で暖まった体はいつまでもポカポカしています。はじめて食べた緑米のお餅のおしるこに、その場で作って下さったはし、弓矢も矢もその場にある物で子ども達も自然の産物で遊びを工夫し世界を広げ楽しんでいる笑顔を見ると自然の大切さを改めて感じ感謝する一時でした。

船橋市  粟飯原 万依花(5歳)
 どんどやきで焼くのが楽しかったです。マシュマロとみかんをやいて食べて甘くておいしかった。みかんを焼き過ぎてみかんの皮がデロデロになってしまいました。おみそ汁もお汁粉もおいしかった。虫のかるたをお兄ちゃんたちとやりました。秘密基地を作って木を運んで階段を作って楽しかったです。

【発送お手伝いのお願い】

ニュースレター2014年3月号(第200号)の発送を 3月 7日(金)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。


編集後記:   2月4日は、午後から雪になりました。帰宅途中、木の枝に積もった雪が車のヘッドライトに照らし出され、白く光る樹形の美しさに目を見張りました。最近LEDによる電飾があちこちで見受けられますが、あの白い光には冷たさを感じて、心寂しくなってしまいます。やはり自然に勝るものはありませんね。 mud-skipper