ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第185号
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千葉市緑区 県立高校2年 江澤 千春
わたしは9月23日に仙台で開かれたマラソンの大会に参加してきました。この「パラカップ仙台」というマラソンは、参加費の一部が被災地に寄付されるチャリティーマラソンです。また、競技方法も少し変わっていて、5人で1チームを組みリレー形式で3時間の制限時間内に何㎞走れるかを競うものです。私のチームの名前は‘ワンダーバレー’で、そのメンバーは両親、両親の友人、わたし、そして私の友人の5人です。
当日の朝空港に着くと、ロビーはマラソンの参加者でごった返していました。空港の中はとてもきれいで1年と少し前に大地震にあったところとは思えませんでした。受付を済ませてからコースの確認をかねて大会コースをみんなでジョギングしていると、津波の爪痕がまざまざと残っているところがたくさんありました。橋の柵がゆがんでいたり、街灯が真っ二つに折れていたりしたのです。また、墓石が落ちて砕けているのも見られました。空港内の整然とした感じとは大違いです。やっぱり復興していくのに優先順位が付けられているんだなと感じました。また、コースの近くに「奇跡の祠」というものがありました。この祠は、津波が来た時に一度浮いて流されかけながらも、周りの木におしとどめられて元の位置に戻ったのだそうです。わたしはその流されなかったという『奇跡』もすごいと思いましたが、この大きさの祠が津波の力に打ち勝てないのかと恐ろしく思いました。もちろんこれまでテレビの映像などで祠よりも大きな家が流されたり壊れたりしている映像は見たことがあったけれど、わたしにとってそれは画面の中のできごとであまり現実味がなかったのです。それがこのとき祠を目にして津波の力の強大さを実感しました。
レースが始まると、会場周辺は応援の声に包まれました。少し前から雨が降ったりやんだりの天気だったのにもかかわらず、沿道には地域の人や大会役員さんがたくさん立っていてハイタッチで励ましてくれました。走る前はチーム戦ということもあって少し緊張していましたが、笑顔でハイタッチをしながら走っているとその緊張も薄れていきました。また、たまっていく疲れに負けず最後まで全力で走ることができたのは、「頑張れー!」といろんな人が言ってくれたおかげだと思います。
レースの後、仙台に住んでいる両親の友人の車で仙台駅に向かったのですが、そこで見た光景をわたしは鮮明に覚えています。道路沿いにある囲われた土地にがれきが山積みになっていたのです。車で通りすぎただけなので見たのは一瞬でしたが、その量の膨大さに唖然としました。思い返してみれば、マラソンコースのところまで津波が来ていたはずなので、震災直後はがれきでいっぱいだったはずですが、それはかけらも残っていませんでした。心の隅で「あぁ、がれきはもう処理されたんだな」と何気なく考えていたのですが、それはただ一か所に集めただけの一時的処置なんだとわかりました。あんな風にたくさんのがれきが沿岸地域の各地にあるのだろうから、それをすべて処理しきることはできるのかいうのはすごく心配です。ずっとがれきが残ったままでは復興に支障がでると思うので、一刻も早く解決策が見つかることを願います。
このマラソンを通じて、私が被災地に何かすることができたのかはわからないけれど、震災復興の現状を自分の目で見て知ることができたという点でとても大きな意味があったのではないかと思います。
ちば環境情報センター秋の特別企画「きのこの観察会」が10月22日に吹春俊光さんを講師に迎えて下大和田で行われました。吹春さんはきのこ研究者として千葉県の第一人者でいらっしゃいます。千葉県立中央博物館に、この4月からは房総の村でお勤めです。当日はきのこに関心を持っていると言うよりはきのこ大好き人間11名が参加しました。
観察会と言っても勉強会の位置付です。きのこの生態系の中での比較的最近分かってきた役割についてのお話しをしていただきました。ご存じない方もおられると思いますので要旨を記します。お話しの後は実際に山に入って採集したひとつひとつのきのこについて解説していただきました。その内容を簡単に紹介いたします。
1.毒きのこの見分け方
毒きのこの特徴と言うものはない。人の顔を覚えるようにきのこひとつひとつを覚えることしかない。
2.きのこの食べ方
美味しいきのこでも食べ方によって美味しくなくなったりするので、それぞれのきのこに合った食べ方を知っておくと良い。食べるときは新鮮なものを食べる。古いもの、雨にあったようなものは避けること。
3.きのこの働き
きのこは森の掃除やさん。植物を作っている植物体―建物で言えばコンクリート・鉄筋部分-の主成分であるリグニンやセルロースは化学的に分解できにくいものであり、単独で分解できるのはきのこだけ。
きのこは有機物を分解すると言う役割は広く知られているがそれは腐生菌によるもの。植物遺体(材や落葉)や動物遺体を分解して生活するものでシイタケやヒラタケなど。きのこを作る菌にはもうひとつ菌根共生の暮らしをする仲間がある。
4.植物との共生・菌根菌
きのこ(菌類)は植物と共生している。4億年前植物が乾燥と重力に逆らって陸上にあがるとき、根は吸収・分解が得意な菌類と共生することにより進出したと思われる。一方、植物はパートナーである菌類に光合成産物の何割かを与えていると考えられている。
こうしたことは農業上大切なことであり、共生工場の研究が進められている。共生の仕組みが知られるようになったのは最近のことで30年くらい前には菌類屋(研究者)はいても、菌根屋は数名しかいなかったが、現在菌根をやる人は非常に多くなった。
5.内生菌根と外生菌根
菌根菌に内生菌根と外生菌根とがある。根そのものの中に菌糸が入っている内生菌根と根に靴下をはいたように菌糸が根を覆っている外生菌根があって植物と菌が共生している。
内生菌根は植物が陸上に上がったときすでに共生していたことが根の化石から分かる。熱帯雨林では多くは内生菌根である。植物は外生菌根に根を覆われることで寒さなどに強くなって寒冷な地域や山地への進出を助られたと考えられている。=防衛共生とか栄養共生と言う。このようにきのことの共生は植物にとって相当なメリットがある。
根から見ると北半球の植生はブナ(どんぐり)、マツ(マツぼっくり)、カバノキの仲間で外生菌根である。私たちがきのこと言っている大半は外生菌根だ。栽培植物は内生菌根。公園の樹木やスギ・ヒノキは内生菌根。
山の稜線では山崩れなどもあり、水分ストレスが多い。スギやヒノキは水分ストレスに弱いため湿潤なところを好む。スギは野生では大面積では出てこない。ブナ林の微地形(水分の多いところ)などに出てくる。植林するときの原則でスギやヒノキは稜線には植林しない。屋久島などは雨が多いためスギも多いと考えられる。植物は単独では生きていけない。熱帯雨林で植林するときは菌根をつける。
6.森は大きな有機体
周りを見てみよう。きのこはどんな森に生えているんだろう。森の状態は?、生えている木は? 森を見ることで想像できる。一見きのこはないように見えるが、どこも菌のないところはない。地面の中に菌糸=きのこの本体=がある。
きのこは胞子をつくるための特殊な器官。胞子をつくる器官は顕微鏡的なものから目で見えるものまであって肉眼的なものをきのこと呼んでいる。
胞子は湿度や温度が十分なところに着地すると発芽し菌糸を伸ばして生活が始まる。マットが重ならないように菌糸を伸ばして成長する。
樹木は芽生えるとすぐに外生菌根と共生する。森の中の外生菌根のネットワークにつながり、山全体がきのこの菌糸によって結びつき大きな有機体となっている。森の植物を支えているのは菌類である。岩石や樹皮などに生える地衣類も共生体。大部分は菌類で藻類を取り囲んでいる。ラン科植物は菌と共生しないと発芽しないと早くから知られていた。
ツチアケビは1939年に日本人が中に入っているのは木材腐朽菌のナラタケと言うことを発見した。ギンリョウソウ、シャクジョウソウなど無葉緑の植物も共生系の中の寄生者である。 (文責:ちば環境情報センター 網代春男)
千葉港ポートパークかもめのクリーン隊 千葉市中央区 谷口 優子
この夏、環境省から「第4次レッドリスト2012」が発表されました。ハマグリが「絶滅危惧Ⅱ類」に掲載されたことでかなり衝撃的な話題になりました。「絶滅危惧Ⅱ類」は例をあげれば爬虫類だとアオウミガメ、昆虫だとタガメ、ゲンゴロウ、両生類だとトウキョウサンショウウオ・・・・が掲載されています。生きものなので“同じくらい貴重”などとくらべることはできませんがかなり危機的な状況だということがわかります。
環境省 RDL | 九十九里の地ハマグリ(チョウセンハマグリ) | 東京湾のハマグリ いなげの浜などの人口の浜などで 古い殻はいまでも時々ひろえます |
実はすでに2000年に発表された「千葉県レッドデータブック」でハマグリは「絶滅種」になっています。かつてハマグリは東京湾の干潟に多く生息していました。昭和30年代ごろまでは幕張にあった親戚の家の裏の浜ではざくざくとハマグリが採れたそうです。その後の高度成長時代の埋め立てと川の汚染でたちまち名産だった千葉のハマグリは絶滅してしまいました。埋め立て地にいなげの浜や千葉ポートパークのような人工の浜をつくりましたがアサリは戻ってきても、汽水を好むハマグリは戻ってきませんでした。
鮮魚コーナーでは最近「木更津産のハマグリ」が多く出回るようになりました。「江戸前のハマグリ復活」と数年前に新聞記事になりました。このハマグリは微妙なところですが生まれは千葉ではありません。熊本では現在でもハマグリが採れるので稚貝を台湾へ持っていって育て、ある程度の大きさになったら木更津で撒くそうです。昔から東京湾で採れるハマグリは独特のフォームをしています。DNAが違うのでしょうね。千葉市内のスーパーではシナハマグリは店頭から姿を消しつつあります。実家のあるさいたま市ではあいかわらずシナハマグリが並んでいました。これも土地柄なのでしょう。
12月1日の読売新聞朝刊・京葉版に「三番瀬ハマグリ放流」という記事が載っていました。「9月下旬に発生した青潮でアサリが壊滅状態になったのでハマグリを放流した」そうです。毎年放流しているそうですが三番瀬産のハマグリって・・・・?船橋に行けば売っているのかしら。アサリさえいなくなった場所に放流しても生きていけるのでしょうか。アサリが獲れないということは漁業者にとっては死活問題ですがなぜハマグリなのかちょっと不思議に思いました。
つい最近、九十九里浜の「地はまぐり」が千葉産ブランド水産物認定品になりました。こちらはチョウセンハマグリという外洋性のハマグリで絶滅したハマグリとは別種です。殻が厚く、荒い波にも耐えられるように少々筋肉も硬いようです。小ぶりなものがおすすめです。
東金市 中村 真紀
「新米主婦のエコ日誌」から5年、今回は脱原発に向け、自分ができることを調べて実践し、ここに報告させて頂きます。連載予定ですので、またまた宜しくお願いします。
まず初回は電話1本でできる、“電気のアンペアダウン”です。
家庭での契約アンペアによって電気の基本料金が変わるってご存知でした?東電に電話すると予定を確認して数日後に来てくれ、ほんの10分くらいでやってくれます。我が家のような借家でも問題ありません。お金もかかりません。
アンペア数に応じた基本料金は以下の通り。
20A:546円,30A:819円,40A:1,092円,50A:1,365円,60A:1,638円
我が家では30Aから20Aにダウンしてみました。すると、
30A819円-20A546円=273円
273円×12ヶ月=3,276円
なんと、年間3,276円もお得。東電の供給義務は家庭との契約アンペア数の合計がベースなので、アンペアダウンをする家庭が増えると供給義務がその分軽減されるそうです。
ちなみに我が家では夫婦2人と1歳4歳の4人家族。夫は仕事で不在がち、2階建ての一軒屋です。月の使用量がだいたい130kwhとかなり少なく、20Aにした後も電気が落ちたことがなかったので試しにどこまでいけるかやってみました。精米機・テレビ・ホームベーカリー・ドライヤー・コタツ・電子レンジ・加湿器・冷蔵庫・2部屋照明・・・と我が家の電化製品を動員しましたが、大丈夫でした。私の友人家族は15Aで頑張っています。
アンペアの変更はネットでもFAXでもできます。場合によっては有料になることもあるそうです。やってみたいけどちょっと不安という方はアンペアチェッカーなるものでお家の電化製品をチェックするか、東京電力のホームページ「わが家のアンペアチェック」でも試算できます。
20Aにしても全く以前と変わらない我が家の暮らし、こんな節約&省エネ法もあるんですね。
脱原発についてのおしゃべり会を企画しました。お子さん連れも大歓迎です。興味のある方は、どうぞいらして下さい。
げんぱつを語ろう会日時 : 12月13日(木)10:00~12:00会場 : 大里総合管理株式会社(千葉県山武郡大網白里町みやこ野2-3-1) 参加費 : 無料 主催 : 「子どもと一歩の会」 連絡先 : 中村090-4754-5629 終了後、会場がレストランに変わります。 お時間のある方はご一緒にランチ(800円~)いかがですか? |
ニュースレター 1月号(第186号)の発送を 1月 7日(月)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。
編集後記:空気がすっかり冷たくなってきました。先月、ベランダの鉢に今年も春菊の種をまきました。土に触れる作業は癒されますね。人は土なくては生きていけないのですねえ。そういえば、あのラピュタも土を捨てたから滅びてしまった、と言っていましたっけ。 mud-skipper♀