ちば環境情報センター

1999.1.1 発行 ニュースレター第19号

 編集責任者:古川美之


目次

  1. 佐倉市の市民参加型事業を紹介
  2. 「公園を作るならビオトープにして!」
  3. 貧乏徳利のは・な・し
  4. 「流域と水系」
  5. 「仁戸名(にとな)市民の森」

佐倉市の市民参加型事業を紹介

佐倉市 小野 由美子

 佐倉市内自然探訪のための、ネイチュアトレイル(自然観察の小道)の設定と推薦を、佐倉市自然同好会の一員としておこない、一つの冊子にまとめることができた。これは、市の「さくら夢のまちづくりさぽーと事業」により補助を受けておこなったものである。
 佐倉市では、平成9年度より「夢のさぽーと事業」が始まった。市民参加の有り様が模索されている中で、このように大胆で斬新な市民参加型事業が実施されていることを、一市民として歓迎している。
この事業は、市民のアイディアを市民自身が実現していくことに対して、市が補助金を出して応援し、市職員もお手伝いをする(プラスワン職員)ものである。市民の主体性と自主性を尊重する画期的な事業といえる。選定は公募委員が主体となり担当する。

□補助総額:約200万円、一事業:20−80万円の限度内。ハードとソフト部門がある。
□平成9 年度の応募状況:一般部門34件、小中学生部門4件、合計38件
□平成10年度の応募状況:一般部門21件、小中学生部門3件、合計24件
□選定事業例:[小中学生部門]
☆ランプシェード制作 :上志津中学校ランプシェード制作クラブ
☆地域の河川等水質調査 :根郷中学校科学部
☆街角美術千代田小学校区百景作成:千代田小学校計画委員会
☆外国のお友だちと絵を交換しよう:和田小学校
[一般部門]
☆飯野フラワーロード事業:      飯野コスモス組合
☆セピア色の佐倉のまつり佐倉の秋祭り 今と昔:    佐倉の秋祭り実行委員会
☆親子で作る野鳥のオアシス:街の職人と一緒に巣箱を: さくらカーペンターズ
☆ネイチュアトレイル(自然観察の小道)の設定と推薦: 佐倉自然同好会

小中学生部門の選定理由には「身近な自然の再発見により、まちを愛する気持ちが生まれ、その輪が広がっていくことが期待される」とある。この事業をきっかけに、小中学生の自主的な活動が育って欲しいと願う。
私たちの事業である「ネイチュアトレイル」は2年継続して選定された。筆者も2コース程度関わったが、佐倉自然同好会として日常の散策という蓄積があるから可能な作業である。貴重な植物をどの範囲まで公表するか、私道を地図に載せるかどうか等、微妙な問題もあった。
選定された事業の中から、市の事業として取り上げられるものも出る可能性を秘めており、そうした期待もあって開始したようである。その際には、プラスワンとして活躍した職員が、ノウハウを蓄積していることが生きてくるであろう。また、事業主体となったグループが参加することで、真のパートナーシップが発揮されることを期待している。


「公園を作るならビオトープにして!」

関さんの森を育む会  山田純稔

本当は森を残してほしかったのです。しかし、すでに伐られた今となっては「せめて公園をビオトープにして」というのが精一杯。これだって「だめでもともと」の気持ちでの要望でした。でも、開発業者は私たちの要望を受け入れ、開発地域内に作る小さな公園を"ビオトープ"として整備する事を決定。新松戸駅から歩いて6分の、松戸市幸谷(こうや)の住宅分譲地内の公園に、ビオトープが実現することになりました。
その後は、松戸市を含めた3者で何回か協議し、ビオトープ実現に向けて動き出しました。池作りなどのハード面は業者、植樹などのエコアップは地域住民(関さんの森を育む会)が担当することになり、98年11月23日に『幸谷ビオトープ』がオープンしました。この日、近くの小金高校ビオトープからのメダカを放流したり、近くの森からとってきた樹木をみんなで植えました。
……メダカが泳ぎ、トンボが育つ池。野鳥が囀り、カブトムシがいる森。チョウが舞い、バッタが跳ねる草むら。幸谷ビオトープは、生き物たちに生息する空間を提供すると同時に、生き物たちを観察するための公園です。失われた自然、姿を消した生き物たちを少しでも呼び戻すために…。
これは幸谷ビオトープの看板に掲示した文章です。松戸に普通に生息する、多様な生き物たちを呼び戻す。地域住民みんなで作り、みんなで観察し、みんなで管理作業する。この2点を幸谷ビオトープの理念として位置づけました。小さな公園の小さな取り組みですが、生き物たちの交流の場(ビオトープネットワーク)となると同時に、生き物たちに優しい街づくりを目指す人たちの、集いの場になることを願っています。


貧乏徳利のは・な・し

市川市 亘理篤

 寒く暗い夜道に燗酒が恋しくなる季節になりました。それで徳利かというと残念ながらそういう話ではなく、ここで話すのは貧乏徳利=通い徳利の話。
つまり酒を温めるための徳利でなく、持ち運びのための徳利。江戸時代には自前の徳利(今風に言えばマイボトル)を下げて酒屋に酒を買いに行った。そのうち店がもって客に貸し出す徳利も出るようになり、明治以降醸造元等が小売用に貸し出す徳利が普通となったようである。
 これが姿を消すのはガラス瓶が出てきた大正以降。ご存知の通りガラス瓶もそれまでの習慣もあってずっと回収されてきたが、最近では回収率もさがり、また持ち運びに便利な紙パックまで出てきた。(以上「とっくりのがんばり」与倉伸司他著 紀伊国屋書店より)けれど飲兵衛の心境からは、紙パックは味気ないし、もし徳利で売ってたらいいなと思う。徳利が飲む方にせよ売る方にせよ所有権が主張されたのは、それなりにコストが掛かったからだろう。紙パックに所有権を主張する人はいないもんな。とは言え高い容器包装にしたところでそれがリターナブルされる仕組みがないとしょうがない。デポジット制は安いものに擬似的に価値を与え仮の所有権を生む仕組みと考えることもできるかもしれない。私は容器包装リサイクルの先にリターナブル制度の復活が見えてきてるような気がする。酒飲みとしては、いつか酒屋で大徳利を持って「その酒5合入れて」とか言って酒を買ってみたいな。


川野博士の豆知識2

「流域と水系」

生徒:博士、このまえ一級河川と二級河川の違いのところで「水系」ということばが出てきたけど、水系って何ですか。
博士:それを話す前に、ちょっとこの千葉県の河川地図を見てごらん。青い線が川を表しているんだけど、1本の川が途中で枝分かれしているのがわかるね。
生徒:本当だ。なんだか上流に行けばいくほど枝分かれが多くなっているみたい。
博士:いいところに気がついたね。そうなんだよ。
高いところに降った雨が集まって川ができるんだけど、一番高いところにある川を「渓流」っていうんだ。そして、渓流が集まって「支流」となり、支流が集まって「本流」になるんだ。
たとえば小櫃川というのは本流の名前で、その支流に笹川,槍水川,大森川,御腹川,七曲川,武田川,派川武田川,松川があるんだ。そしてこうした地上に降った雨が一つの本流に流れ集まる範囲をその川の「流域」といい、この範囲の面積を「流域面積」というんだ。
生徒:な〜るほど。でも、流域と水系はどう違うの。
博士:同じ流域にあって、水源から河口にいたるまで支流を含めた一つながりの河川網を「水系」というんだよ。木にたとえれば、根元が河口だとすると幹が本流でそこから広がった枝が支流,そして木全体が水系だと考えればいいんじゃないかな。建設省が管理している水系だけでも全国に109水系もあるんだ。
生徒:ということは、一級河川の水系も109あるということね。
博士:お、学習できてるな。
生徒:えへん。


市民の森ガイド その3

「仁戸名(にとな)市民の森」

千葉市 小西由希子

千葉市中央区には、仁戸名・川戸・松ヶ丘・石橋山と4つの市民の森があります。 きょうは我が家から歩いて7〜8分のところにある仁戸名市民の森(昭和54年指定、広さ35590m2)をご紹介しましょう。
コナラ・イヌシデ・アカマツ・クヌギ・ムクノキ・エノキなどからなる森には、「かのえ塚古墳群」があって、ずうっと昔の人々の息づかいが感じられます。春は真っ白いコブシの花ではじまり、夏には蝉時雨、秋は色とりどりの木の実や不思議なキノコ、冬はやっぱり落ち葉をふんで日なたぼっこ、かな…。フジのつるでブランコもできるし、コゲラがつんつんって木に登っていくのも見られます。
1月には松ヶ丘小学校5年生の親子150人で、「森で遊ぼう!!」をやりました。落ち葉探しをやっておもしろいことを発見したよ。―――ヤマザクラの葉っぱが見つからない・・コナラやイヌシデの葉っぱを何枚も何枚もめくってやっと見つけた。木によって葉っぱの落ちる時期にちがいがあるんですね。皆さんもぜひ一度おいで下さい。ご案内しまーす。


お 知 ら せ

(1)千葉県自然保護連合の岩田氏より「房総の自然と環境 1999」をご寄贈いただきました。センターにおいてありますのでぜひお読み下さい。


編集後記

冬の森はとても明るく心暖まるところでした。冬でも元気。大人も子供も。(古川)


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