ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第201号
目 次
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千葉港ポートパークかもめのクリーン隊 千葉市中央区 谷口 優子
3月18日に東京湾・浦賀水道で貨物船衝突事故が起きました。一方は船の先端が損傷しましたが、もう一方のパナマ船籍のベーグルⅢは沈没してしまいました。沈没した船には400トンの重油が積まれていました。船から流失した重油は海流に乗って富津沿岸に流れ着き、さらに南下して23日には館山市の海岸にも漂着しました。連休最終日に貝拾いをしようと思っていたのですが、あまりの惨状を目の当たりにして重油回収作業をすることにしました。
岩場にはちょうど刈り取り時期のヒジキがたくさん生えていました。まだこの場所には重油は来ていませんでした。波しぶきがかかるような海の外側にヒジキは生えます。これを茹でて干したものがふだんわたしたちが食べるヒジキです。漁業権が設定されているので一般の人が刈ることはできません。富津市の萩生漁港付近では壊滅的な被害が出ているそうです。12月に行ったときはおばちゃんが芽ひじきを干していました。
漏れたばかりの油はまるで黒い水あめのようでした。べったりと海藻や漂着物に付着していて非常に重いのです。海岸に打ち上げられていた漁船の名前が入っている大きな容器に入れたのですが、回収するのには体力を消耗しました。
手持ちのビニール袋を手袋替わりにしたのですが、手にべったりと油がついてしまって落ちません。石鹸で洗ってもダメでした。家へ戻ってからクレンジングオイルをつけてみたらみるみる落ちました。これにはおどろきました。
海岸にいたのはわたしたちだけではないのにだれも回収作業をしていませんでした。事の重大さがわからないのかもしれません。ふと震災の時、千葉港に流出したアスファルトを何度も回収に行ったことを思い出しました。
今回、漁協には保険会社が処理するので手を出さないでほしい、との連絡があったそうです。
大きな被害が出ている富津市をはじめ館山市でも回収ボランティアは募集していません。25日現在三浦半島を廻って反対側の逗子海岸にも重油ボールが漂着しているそうです。船からの油の流出は続いています。しかも被害はどんどん広がっているのに現在は見ているしかないそうです。館山市から今回の重油対策についてお知らせがHPに載りました。
館山市役所
https://www.city.tateyama.chiba.jp/shoukan/page100130.html
今回の事故では乗組員8名がまだ行方不明のままです。
千葉市緑区 網代 春男
いきものを育む谷津田の米作りについて、各月の作業や行事に加え、谷津田での米作りの意義、谷津田保全への取り組み姿勢、行動規範なども述べていて、下大和田谷津に関心のある多くの方々に是非ご一読いただきたい冊子です。また、生息する生物の写真もたくさん取り入れて、見るだけでも楽しくなるように心がけました。
冊子をご希望の方にはお分けいたしますので、同封の会費振り込み用紙に希望冊数を書いてお申し込みください。
なお、作成費用は「県民の環境活動支援事業助成金」によって半額助成をいただく予定ですが、残りは会で負担しております。
送料82円に加え若干のカンパをいただけると大変ありがたいです。どうぞよろしくお願いいたします。
東京情報大学総合情報学部 原 慶太郎
津波が海岸エコトーンに与えた影響(続)
3.11の大津波によって、仙台湾の海岸エコトーン(浅海域から海浜、海岸林、後背湿地にかけての推移帯)は大きな影響を受けました。津波による物理的な破壊力は凄まじいもので、海岸林のマツは、高木は根倒れや幹折れによって流亡し、低木は陸側に押し倒されたりしました。防潮堤があるところでは、洗掘といって深く土砂がえぐり取られ、さらに水田など耕作地の土砂と海水が一緒になって内陸側数キロメートルまで押し寄せ、引き波で海岸近くまで押し戻されました。また、この地域では土地が数十センチメートル沈降し、大規模土地開発以前の地形に戻ったような状況となりました。
津波からの海岸エコトーンの再生
かろうじて残ったマツ林から海浜までの区域に調査区を設定し、樹木個体の被災状況や植物や昆虫などの再生状況の調査が始まりました。 津波の襲来が3月初めで、東北地方では、まだ植物が活動する前だったため、地下茎や種子で越冬していた植物など、我々の当初の予想以上に自然の再生が進みました。もともと生育していた植物に加えて、シロザなど引き潮によって内陸側の耕作地から運ばれてきたと思われる植物も目立ちました。また、ハリエンジュ(ニセアカシア)やヨウシュヤマゴボウなどの外来種が優占したのも大きな特徴でした。海浜では、植物の生育しているところは限られましたが、ハマエンドウやコウボウムギなどが出現しました。翌、2012年の調査では、マツの実生(芽生え)や幼木が多数確認され、コナラはドングリを結実させていました。
砂浜域に生息する昆虫には、この津波は大きな影響を与えたようで、2011年には地表性の昆虫がほとんど姿を消し、種数・個体数ともに大きく減少しました。その空いた生活空間に、限られた種、たとえばマツヨイグサの仲間を食草とするセスジスズメの幼虫が大発生するなどの現象がみられました。2012年には、植生の回復とともに、食植性の昆虫やそれを捕食する昆虫が増えてきました。これらの詳細については、南蒲生モニタリングネットワークのWebサイト
(https://sites.google.com/site/ecotonesendai/)をご覧ください。
海岸エコトーンにおける復旧・復興事業
被災した仙台湾沿岸域では、防潮堤の復旧工事は国交省、防潮林の復旧工事は林野庁が中心となって進められています。仙台空港を抱えた仙台平野では、津波の再来による被害防止が急務ということで、これまでに例の無い急速で大がかりな工事が始まりました。これらの事業は、数百年から千年に一度という大津波を乗り越えた生きものたちに取り返しのつかない影響を与えつつあります。(続)
緑区下大和田の中央土水路に在住 生き物コミュニケーター:市原市 南川 忠男
わたしは下大和田に住んでいる7歳のクサガメの女(メス)の亀子です。4年前の稲刈りの時にちば環境情報センターの方に初めて出会いました。 20歳くらいまで生きると甲羅の長さは20cmくらいになるんです。カメ類があるって思っている人がいるが爬虫類ですよ。動きが遅いので外敵から身を守るのに甲羅をつけるようになりました。臭腺があり、独特の臭いを出すので人間は臭いカメをもじり、クサガメと言い始めました。クサガメって言っているけど、イシガメ科に属するんですよ。公園の池でよく甲羅を干しているのを見かけますよね。
写真:網代春男さん(下大和田にて) |
甲羅の色はその住む環境で変わり、この中には血液が流れているんです。知らなかったでしょう。脊椎と一体になっているのです。女の方が成長するにつれ、頭が大きくなるので、わたしは初めて水路で出会っても相手が男か女かわかります。2回目の産卵をしたいのですが、下大和田の谷津田ではめったに男の子に出会えないので、どうしているか知っています?カメは他の爬虫類と違って、3,4年の間、相手の精子を体に蓄えることができるので、オスに出会えなくても卵がしばらくは産めるんですよ。人間がこうなったら大変ね。
卵は去年一番水温が高い8月に人間に踏まれない土水路の南の地面を掘って9個産みました。10月に男の子3匹、女の子6匹の子ガメが誕生しました。1円玉くらいの小さな子供は大きくなって、今頃無事冬眠しているかしら。性染色体をもたないので、孵化するまでの環境温度で男か女か分かれ、地球温暖化で地面の温度が上がってきているので、女の子が生まれる割合が増えて困っています。4月末頃に目が覚めたら、餌も増えるのでこの谷津田を動き回ろうと思います。食べているのは水の中にいる昆虫、小さな魚、ミミズ、水草です。食べた後は早く消化できるように体温を上げるため陸に上がり、甲羅を温めています。わたしたちの仲間の数がだんだん減ってきたのは きれいな水辺が減ってきたからです。わたしが長生きして20歳の時(2027年)にも出会えることを楽しみにしてますよ。亀子より
東金市 中村 真紀
さて、今月は我家の最大の秘密道具を紹介します。 “ウッドボイラー”なるもの、環境にご興味のある皆さんでも、ご存知の方、現物をご覧になった方、果てはお持ちの方なんてあまりいらっしゃらな
いのではないでしょうか。
“薪ストーブ”は暖をとるものですが、このウッドボイラー、暖をとるのに加え、 お湯を沸かしてお風呂に使ったり、台所に温水を運んだりしてく れます。しかも、投入する木材は薪のように細かくしなくても、ボイラーに入る適当な長さ
(80センチ位)であれば、丸太のままでも乾燥していなくてもOK。むしろ大 きくて少しくらい湿っている位の方が、良いそうです。また、乾燥した葉っぱや草、もみ殻なども入れられるのはウッドボ
イラーの一番の魅力です。
ボイラーの仕組みは、ボイラー中に水のタンクがあり、燃焼で暖まったタンクのお湯が、熱交換器というチューブを通した水を温めてお湯にします。タンクの水を使わないので清潔。我が家ではこのお湯を居間の壁から温水コンセントを通
して温水マットにめぐらせてホットカーペット替わりにします。さらに温水の 熱を通したファンヒーターでクリーンな温風が出ます。お風呂は思い切ってガス給湯を無くしてボイラーのお湯だけを使います。…どれだけの電気ガスが節減できるか想像頂けますか?
我家では稗田建築士に勝手口からウッドボイラー室を作ってもらい、必要な時に木材をポイッ。実際に使用している先輩の話では、1日に丸太3本位で用足りるそうです。最初の設備投資はかかりますが、私たちの新居予定地山武市は木材豊富な土地なので、木材提供などでご協力頂ける方を探して、光熱費カット
し、願わくば山林地帯の環境整備にも繋がって欲しいと思っています。
ただ1つ、問題が。灰となった木材には放射能物質が凝縮され高濃度になる可能性があります。以前だったら良い肥料になっただろうに・・・。 処分方法についてはこれからきちんと考えなければいけません。
チェーンソー講習を終えて①千葉市中央区 田崎 稔2014年3月15,16日に、チェーンソー取扱いと安全面強化の為の講習会(主催:ちば環境情報センター)が、ちば環境情報センター事務所2Fにて開催されました。 講師として木村正敏さん(千葉県森林組合君津支所)が来てくださいました。その時の感想を短いですがまとめてみました。 まず今回のチェーンソー講習を、勝手に3時間×2日だと勘違いしてまして、前日桜井さんからのメールを開けてビックリ8時間×2日!とは…。翌朝出かける際コンビニで眠気覚まし飲料を購入し講習に挑みましたが、木村先生の第一声『はい!じゃーあ』の歯切れの良い大きな声を聞いて、『この音量じゃ眠れないな 笑』と思いました。しかも1番前だし。いざ始まると木村先生の擬音と模写を含めた講座はとても面白く、分厚い教科書もズンズン進み、さすがに終盤のビデオの時はコックリしてましたが…、とても分かりやすかったです。 そんなこんなを経てのおっかなビックリ初伐倒!3mほどの欠頂木(途中で折れてしまって頂きが無い木)であっても僕にとっては立派な大木を『伐倒方向よし!』まず受け口から切断。ビィーーン、ビィーーン(斜めに切れてます。)次は追い口のビィーーン(これも斜め)。ツルを残してチェーンソーを引き抜いて『倒しまーす』と手で木を押してやるとズドォォォンとは音はしなかったものの初めての伐倒は成功したのでした。 そのみんなで森の整備をして欠頂木と根腐れしていた木は一掃され、下草にも木漏れ日が落ちるとても良い森になりました。ただ花粉症の私には、つらい1日でもありました。 今回講習を受けた感想としては、チェーンソーも研ぎながら使う事とは知らなかったので、力技ばかりのマッチョな気がしてたチェーンソーも印象が変わり、とても便利で危険で繊細な道具ということを認識出来たとても良い両日でした。
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ニュースレター2014年5月号(第202号)の発送を5月7日(水)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。
編集後記: 今年も桜の季節になりました。 東京靖国神社の標本木は3月25日に開花、平年より1日早かったそうです。佐倉城址公園のソメイヨシノは、3月31日には一分咲き程度でしたが、翌日には一気に咲きそろいました。いよいよ春本番。下大和田の谷津田では、シュレーゲルアオガエルの大合唱が聞かれるようになりました。 mud-skipper