ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第207号
目 次
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千葉市稲毛区 桜井 健
このたび、下大和田谷津田とちば環境情報センターの活動が第6回「関東・水と緑のネットワーク拠点百選」に選出されましたので報告いたします。
「関東・水と緑のネットワーク拠点百選」は、一般社団法人関東地域づくり協会と公益財団法人日本生態系協会が、都市化が進み多くの自然が減っている関東地方で、生物多様性の保全・再生に取り組んでいる拠点とそこで活動する団体を支援していこうとする制度です。
今回受賞できたのは、会員の皆さんの活動への参加と協力があってのことと感謝申しあげます。
これまでの5回で70箇所が選ばれており、今年のを合わせると合計83箇所になるそうです。他にどんな地域が選ばれているかは、
http://www.ecosys.or.jp/100select/list/index.html
をご覧ください。私たちの活動は
http://www.ecosys.or.jp/100select/list/6th/tiba_index.html に掲載されています。
百選に選ばれた結果、活動に対する補助金の支援、技術的な指導、活動の広報アピールをしていただけることも非常に大きな助けにはなりますが、個人的には、今回の百選選出によって、千葉市民や緑区下大和田町、若葉区中野町の地元に皆様にも、下大和田谷津田の大切さ貴重さを知っていただくきっかけになれば、と思っています。
私たちはこれまでの活動を通じて、下大和田谷津田の生物多様性の貴重さ、景観の素晴らしさを痛感していますが、残念ながら地元の方にとっては日常の当たり前の風景ですし、千葉市に住んでいる市民の方々にも政令指定都市である千葉市内にこのような貴重な環境があることはまだ十分には知られていません。
「水と緑のネットワーク拠点百選」は名前の通り、「水辺環境を守る活動」や「森林の緑を守る活動」を行っている拠点を多く選定して、一つ一つどれも重要な活動ですが、「水と緑」両方が一体となって存在する拠点で保全活動が行われている事例は関東でもそれほど多くはありません。
下大和田をはじめ北総の谷津田は水と緑が一体となっており、生物多様性にとっては非常に貴重な環境です。今回の百選選出をうまく活用し、その意味と価値と楽しさをアピールしていければ、と思っています。
なお、9月28日に神田にある関東地域づくり協会東京事務所で行われた授賞式には、今回書類作成など中心となって活動してきた当会メンバーの松阪剛廣さんが出席し、選定証を受け取りました。
千葉市稲毛区 平田 和博
釣り人は何らかの形で自然環境を壊している。その最たる例は、ブラックバスなど外来種の放流である。一部の心無き釣り人のために、琵琶湖や芦ノ湖など生態系が破壊されてしまった。ワカサギやニジマスなど、どれだけ被害を被っているか。それぞれの漁業組合で駆除を試みているが、難しいようだ。
次の例は、「まき餌(寄せ餌)」である。四国の足摺岬や西海などの荒磯では、寄せ餌に大量のオキアミがまかれている。一日一人当たり、中型のバケツ一杯はまく。このオキアミはクジラの内臓から取り出したもので、生臭い。釣り人の車に乗ると、その臭いで荒磯釣りをしているかすぐわかる。また黒鯛釣りに、赤土を同じくらいまく。赤土にサナギ粉やイカの油を混ぜるから、異様な悪臭になる。これらが海底に堆積し、海草を枯らしてしまうだけでなく、回遊魚に悪臭を移してしまう。そのため漁師と釣り人との争いが頻繁に起こっている。
三番目の例は、切れた釣り糸の放置である。海川を問わず、釣り人が行くところには必ず釣り糸屑が放置されてある。釣り糸が野鳥の足や口に絡み付いているのが、時々新聞で報じられる。釣り糸はナイロン製で、腐らないから困る。また、あゆ釣りにワイヤーを使う人もいる。ワイヤーは水切りがよく感度も良いが、キンクする(折れ曲がる)と切れやすくなる。釣り糸がついたワイヤーが川底に張っていると思うと、安心して川遊びもできない。
釣りは健康で楽しいスポーツである。数釣って喜ぶ人、竿を出しているだけで満足する人。さて、あなたはどちらかな。自然環境にやさしい釣りを心掛けたいものである。
鋸南町の環境と子どもを守る会事務局長 田久保 浩通
千葉県は基本理念で、『日本一暮らしやすいと感じ「千葉で生まれ、住み、働けてよかった」と誇りに思える、千葉県を実現します。』と言っていますが、今回の汚染土壌埋立事業は、この基本理念に反し、鋸南町町民の民意を無視した一部業者の利益を優先させた行政運営です。
千葉県が採石場の深掘り埋戻しを適切に検査、指導しなかったため、採石場に約48万㎥の大穴をあけさせてしまいました。その上に岩石採取認可違反を繰り返している事業者に対し、採石場の違反を他法で許可されればよいとする、採石法の脱法的解釈を行い、違反の是正は計画書の届けだけでよいとする不当な運用を行っています。
採石法認可では「表土等の場内だけの土砂で埋戻し、廃棄物その他の有害物質を搬入しないこと、稙栽して森林に戻すこと」と規制しておきながら、採石法では、「埋戻し材には規定がなく、許可されれば埋戻材は廃棄物でもよい」とする解釈はあまりにも矛盾していませんか?千葉県は、この約48万㎥もの深堀を埋め戻せない悪質な認可違反を軽微な変更として、重く受け止めていません。
このように、千葉県は県民の生活を守るどころか自治事務行為違反と取れる許認可権が不当に行使されている現状に怒りを覚えます。
県は、平成25年12月に土壌汚染対策法に基づく事前協議終了の通知を町と事業者に持ってきました。町は町民の合意が得られていないということで突き返しました。平成26年5月、あまりにも一方的な県の進め方に対し、「事前協議が終了した経緯を、町に来て説明する義務があるのではないか」と詰問しましたが、県(水質保全課、生駒課長)は、説明する必要は十分承知しているが、「混乱を招くので、来町はできない」と繰り返すだけ。このように県は事業者側にたち、住民に対し丁寧な説明をするどころか、住民無視の行政を推進しています。採石法の脱法的法解釈と運用、土壌汚染対策法の不当な事前協議終了には納得ができません。
管理型廃棄物処分場と同等の施設なので、指導要綱に準じて指導しているとしながら、環境アセスも行なっていません。
県の岩石採取場立ち入り検査表を開示してみてみると、「深掘部は計画に従い早期に埋め戻すこと」・「深掘部の埋戻し作業を進めること」という指示事項が、H22.2を最後に、いっさい書かれることはありません。これは何を意味しているのでしょうか?
㈱高田造園設計事務所代表取締役 千葉市緑区 高田宏臣
準備会議の模様報告を兼ねて、これから私たちがこの日本で始めるダーチャサポートプロジェクトの目指すものを少々ここで紹介させていただきます。
ここ、五風十雨農場では、農場主の向山氏はじめ、賛同する多くの方々と共に、放置された山林、耕作放棄された農地を再生すべく、様々な面白い取り組みやイベントが開催されています。
水を張って田植えを待つ、五風十雨農場の3枚の水田。ここでは毎年田植えイベントが開かれ、今年もたくさんの方々と泥んこになって田植えされます。この田圃はもちろん無農薬無化学肥料で自然栽培され、生き物豊かなかつての水田の環境を再生しながら、安全でおいしく、いのちの力溢れる本物のお米が収穫されます。
農場の周囲に広がる耕作放棄地。緩やかな傾斜地に、棚田を営んだかつての暮らしの名残が残ります。この田んぼがこれまで幾世代の暮らしを支えてきたことでしょう。農地山林はいのちの源です。豊かな大地は数千年という悠久の時間を超えて、永続的にいのちの糧を生み出し、そして同時にたくさんの生き物の循環を育み続けてきたのです。
緩やかな傾斜地ですが、この棚田を開墾し、永続的な命の財産を後世に残した先人の営みに思いを馳せるにつけて、先人の汗を大地に刻み込んだ素晴らしい農地をこれ以上減らしてはならないと、強く感じます。そして、豊かな大地を守り伝え、いのちの循環を再生するべく、いまこそ動き出さねばならない、そんな志を一つに、この農場に人が集まり、そしてダーチャサポートプロジェクトがここでスタートをきりました。
この地が日本のダーチャ村、スタートの地となるのです。前途多難な道のりかもしれません。しかし、今のような時代だからこそ、本当に変えていかねばならないというエネルギーも情熱も高まるものです。
震災後の日本、この国の、今という時代に生きることへの不安、将来の子供たちの未来への不安を感じる人が非常に増え、そしてそれはかつてないほどに切実さを増しているように実感します。
そんな中、いざという時、お金に頼らず、既製のライフラインに縛られることなく、自活して生きてゆくことのできる土地、大災害や戦争等、様々な社会不安の際の避難地を得ることを考えられる方が、私の顧客の間でもますます増えてきました。
決して持続できない今の社会。本当の意味で永続的に自活して生きてゆく術は、身近な自然との絆を取り戻す中にしかありえません。自然の循環の中でしか決して持続的に生きていけない私たちは今、あまりに自然からかけ離れてしまいました。
すでに多くの日本人が、生活の糧を身近な大地から得る術すら忘れつつあり、お金を得ることですべての日用の糧を賄っているのが現状です。
そこまではまだ仕方ないかもしれません。しかし、既製のライフラインを人質に取られ、お金の奴隷となってしまっては、善悪の判断までもがたった一時のお金の流れにすり替えられ、流され、そして、持続可能な豊かな未来のために本当に大切なこと、その正しい判断をも見失ってしまいます。
自然を再生しつつ持続的な循環を暮らしに取り戻し、自活する術と避難地を求める方々を、私たちNPOダーチャサポートが支えていきます。
普段は都会に暮らしながらも、週末を自然の中で自給的に暮らす、そんな場を、30代40代の普通の子育て世帯が手の届く金額で提供し、そしてその暮らしを必要に応じ、NPOとしてさまざまサポートし、あるいは学びの場を提供していきます。
自給的な暮らしにあこがれ、必要を感じながらも、それぞれ仕事や生活に追われてなかなか実現できずにいる方はたくさんいることでしょう。また、どうすればよいか、分からぬままに、「老後の夢」へと封印している人もたくさんいます。
しかし、私は今こそ、しかも自然を知らない今の子供たちが活気を持って遊び、健全な自然観を育ててゆくことができる、そんな場が必要に思います。子供ばかりでなく、いのちの循環に気づかせてくれる大地とのかかわりが大切なことは大人も同じです。(つづく)
生き物コミュニケーター:市原市 南川 忠男
メダカの学校ではお誕生会は4月から9月まで開かれますが、寒くなってくると、メスは卵を産まなくなるので、10月から3月までお誕生会は残念ながらありません。ぼくは下大和田の緑米の田んぼの横の小川のヨシにママが6月頃に産んでくれた卵から10日くらいで孵化し、田んぼや土水路でミジンコなどのプランクトンやアオミドロなどの藻を食べて大きくなってきました。ぼくたちの大祖先がこの下大和田にやってきたのは、江戸時代でここが開墾されて、田んぼができ、日当たりもよくえさが多いので繁殖してきました。でも世間では1999年に絶滅危惧種Ⅱ類に指定されるくらいメダカの数が減ってきました。この下大和田も休耕田が増えてくると、小川と田んぼの行来きができなくなります。オスは繁殖期になると体の色に黄色味が増え、尾ビレの筋も黒くなってきます。オスは尻ビレにいぼいぼがあり、メスを横から包みこむように抑え寄り添って泳ぎ、刺激で出てきた卵に精子をかけます。ぼくは9月に初めて意気投合したメスに卵を産んでもらいました。しばらく卵はメスの体にぶら下がっていますが、やがて水草にこすりつけます。
昼間怖いのは静かにじっと水の中に立ったままカエルや魚を狙っているサギです。夜は泥の中にいるトンボのヤゴなどに食べられないようにしています。たくさんの仲間が食べられましたが、ぼくたちは途中で食べられなければ1年ちょっとは生きられます。6月生れのぼくは寒くなってきたらじっとして、翌年3月頃アカガエルの一平が田んぼにやってくる頃にまた泳ぎ始めます。
この前の稲刈りの時にコシヒカリの切り株の水たまりに取り残されたメダカをすくって、小川に返してくれた小学生どうもありがとう。
貝のよもやま話 18
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千葉港ポートパークかもめのクリーン隊 千葉市中央区 谷口 優子 |
ニュースレター2014年月11月号(第208号)の発送を11月7日(金)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。
編集後記: 10月6日朝、台風18号が965hPaという強い勢力を保ったまま浜松市に上陸しました。そして千葉県西部から茨城県沖に抜けていきました。これほど低い気圧のまま日本に来たのは、近海の水温が高かったからでしょう。御嶽山の噴火もそうですが、自然が牙をむくと、人間はどうすることもできません。これ以上牙を大きくさせないよう、エネルギー問題など人智を尽していきたいものです。 mud-skipper