ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第211号
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我孫子市 為貝(ためがい) 和弘
練馬から我孫子に居を移して早4年、この地に家を建てるにあたり少しでもエネルギーの節約に貢献できればという思いで、当時は現在に比べてまだ高額であった太陽光発電システムを導入しました。
そして引越してすぐに、あの3.11の大地震があり、原発から石油・天然ガスへ移行せざるをえなかった東京電力の電気料金はかなり値上がりしましたが、その点も考慮してこの太陽光発電システム導入が単なるボランティアに終わるのかを考察してみたいと思います。
まず、最初に我が家の太陽光発電システムに関するデータを表1に示します。
東京電力による4年前の買取価格は48円/kwh( 10kwh未満 家庭用10年間 ) であり、現在の38円/kwhに比べて非常に条件のよい時期でしたが、太陽光発電システム導入費用の値下がりと変換効率の上昇( 20%に迫る製品もあります )を考慮すれば、システムの減価償却期間に関しての優位性はそれ程あるとは思えません。この後、実測値を元にして、その点についても述べていきたい思っています。
では最初に、実際の発電量と東京電力への売電量を比較するために表2をご覧下さい。
モニター表示発電量( 実際の発電量 )と東電購入電力量( 東京電力への売電量 )の値が異なるのは、発電時( 日中時間帯 )に使用している家庭内電気機器の消費電力量を差し引いたものが東電購入電力量となるためです。
発電量については、4年間を通じて年間で5,700kwh前後、月平均で500kwh弱の値を示しており、1kwhモジュール換算でも100kwh/月以上を確保しています。
この発電量が平均的な値なのか判断するために、パナソニックのホームページに載っていた最新太陽電池モジュールと比較してみたのが表3になります。
メーカーのデータは、場所が東京、方位が真南、傾斜角30度の条件での発電量となっていますが、我が家の発電量はかなり優秀な値を示していると思います。
続いて、発電量/売電量を金額に換算してみたいと思いますが、季節および時間帯によって東京電力に支払う電力料金が異なるので、まずその点について最初に説明します。
我が家の場合、東京電力との契約は7kVA、種別は電化上手という時間帯により料金が異なる契約となっています。契約当時と現在の電力料金については表4に示します。2011b以降から現在に至るまで、料金の段階的値上げはありましたが、それらは省きます。
この電化上手の電力料金を考慮して、次の表5を見て下さい。
Aのモニター表示発電換算金額というのは、実発電量を48円/kwhに換算した場合の金額で、Bの東電購入金額というのは、実際に東京電力から我が家に支払われた金額になります。また、Cの太陽光発電からの実消費換算額というのは、先に示した太陽光発電からの実消費量(kwh)に、電化上手の季節料金も考慮して昼間料金を乗じた値になります(
発電するのは主に昼間時間帯と仮定 )。
よって太陽光発電導入による収益は、おおよそ上記の表のBとCを和した値で概算可能と判断し、その値と、現在の買取金額38円/kwhで計算した場合の値を表6に示します。
我が家の場合、導入費用が248万円でしたから、これを太陽光発電システム導入による年平均利益で割ると、2,480,000 ÷ 241,403
≒ 10.27(年)で減価償却できる計算になります。また、現在の買取価格の場合でも、太陽光発電システムの導入費用が安い分、仮に同程度のシステムの導入費用が200万円(
実際は補助金がある程度でるので、もう少し安くなると思います )とすると、2,000,000 ÷ 203,786 ≒ 9.81(年)となり、システムの寿命を15年(
10年くらいでパワーコンディショナーの交換が必要と言われています )としても、十分に元は取れるのではないでしょうか。
以上のことから判断して、太陽光発電システムの導入は、短期に大きな利益をあげようという方には必ずしも向いていないが、長期的視野である程度の利益が得られれば良いという方には向いているのではないでしょうか。
しかしここまで読んでくださった皆様は感じていらっしゃると思いますが、太陽光発電システムを導入することで、6000kwh/年もの電力を10年以上にわたって提供し、少しでも自然保護に寄与できているという精神的満足感は、何事にも代え難いのではないでしょうか(
システムユニットの生産時にかかるエネルギーや資源、そして二酸化炭素の排出があるという意見はここでは無視して )。
今後は、蓄電装置を備えた独立型太陽光発電システムや、家庭用燃料電池コージェネレーションシステムであるエネファームのようなものも導入されていくと思います。また、バイオマス・地熱・風力を利用しての自然エネルギーの利用も進むでしょうし、人口光合成のような新しい技術も先が見えてきました。制御不能の可能性が否定できない核分裂原子力エネルギー、また反応が進む条件が維持できなければ停止するので安全だと言われている核融合原子力エネルギーもあります。
現在の基盤となっている化石エネルギーが枯渇する近い将来、多くの選択肢の中からBetterな選択ができるようアンテナを張り、また学び続けていきたいと思っています。
千葉市稲毛区 桜井 健
昨年6月のニュースレターで千葉での「市民発電所」の動きを若干ご報告させていただきましたが、その後、私や中村彰宏さんも加わり、県内の環境団体有志と、「市民エネルギーちば合同会社」という法人を設立しました。千葉県匝瑳(そうさ)市に、第1号の市民発電所を建設し、東電へ系統接続、売電を昨年9月から開始しまし、順調に発電中です。
この市民発電所は「パネルオーナー制」により、パネル1枚から市民発電所のオーナーとなっていただく仕組みを呼びかけ、現在190口ほどの申し込みをいただいています。
今後も1号発電所の増設、2号発電所建設にむけ、まだまだパネルオーナーの募集中です。
市民エネルギーちばでは、畑の上にパネルを設置する「ソーラーシェアリング」という方式でとっています。農地のまま発電を行えることがメリットですが、パネルの下の農地では20年間耕作することが条件になっています。写真の匝瑳第一市民発電所も建設前の農地は、雑草止めにサツマイモを作り捨てにしていた耕作放棄地でした。昨年はパネルの下で大豆を栽培、収穫。同地区の平均収量を若干上回り、作物の収量にパネルの影の影響が全くないことを実感しました。
このように、ソーラーシェアリングは、地域のご当地電力の担い手になるばかりでなく、耕作放棄地を減らし、地域活性化の救世主になり得ると期待されています。
ご興味のある方は、下記サイトをご覧いただきたく、また、現地発電所の見学も歓迎しています。「ちば」から確実に一歩、持続可能社会の実現に主体的に関わっていただけるように進めていきたいと思っています。
(ご参考 市民エネルギーちば合同会社 http://www.energy-chiba.com )
ちば環境情報センター事務局
1月25日(日)、ちば環境情報センターのメンバーである中村彰宏・真紀さんのお宅でウッドボイラーの見学会をおこないました。市民出資による太陽光パネルも設置されており、昨年夏に完成のお披露目をしましたが、ウッドボイラーの暖かさ、燃える様子を実感できる、この季節に見学会を開催することとなりました。
さんむフォレスト代表の稗田忠弘さん((有)稗田綜合建築設計事務所)設計による、山武杉を使ったお宅で、地元材の有効利用が随所に工夫されています。設計された稗田さんも来てくださり、山武地域でのバイオマス有効利用の実例を目の当たりにし、あたたかい木のぬくもりと、薪の燃える音など心安らげました。植樹もできてよかったです。
当日は、真紀さん手作りの昼食をいただき、おかげさまで楽しいひとときを過ごすことができました。
※さんむフォレスト:山武の木、山武の技術を守り、継承する手法を提案し、風土の再生・地域の再構築を目指して活動する建築関係者のグループ
哺乳類研究者 香取市 濱中 修
代表的な迷惑動物
私の少年時代には、ヒトにとって迷惑な動物といえば、ネズミでした。今は、アライグマとハクビシンでしょうか。ハクビシンやアライグマが屋根裏にすみついて起こる糞尿被害をはじめ、いろいろな被害がでています。
アライグマはどんな動物?
アライグマは、水辺で水中の動物を捕らえて食べます。この動作が手を洗っているように見えることから、「洗い熊」という名前がつきました。アライグマが捕らえる水生動物は、おもにオタマジャクシです。
転載禁止 |
1977年,「あらいぐまラスカル」というアニメが1年間にわたって放送され,日本の子どもたちの人気番組になりました。その影響で、北米原産のアライグマが,「ペット」として日本に輸入されました。
アニメに登場した「あらいぐまラスカル」は,主人公の少年と仲良しになりました。でも,本物のアライグマは野生動物で,どう猛です。飼い主になついたりしません。ペットにされたアライグマは,逃げ出したり,飼えなくなって野山に捨てられたりしました。
アライグマは,自然の中で繁殖し,数を増やしていきました。千葉県でも自然繁殖していることが、1990年代にわかりました。現在、県南部を中心に、県内に数千頭いると推定されています。
アライグマは特定外来生物
ヒトもアライグマも哺乳類です。アライグマも、ヒトと同じような「心」をもっています。アライグマにも、感情や知能があります。でも、「かわいそうだから、殺さないで
・・・・・ 」とはなりません。アライグマは駆除(殺処分)しなければならない。ヒトに迷惑をかけるからというだけではありません。特定外来生物だからです。
「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」が2005年に施行されました。アライグマは、この法律でいう特定外来生物の1つです。
特定外来生物が「生態系」の中に入りこんでしまうと、食物連鎖が変化したりして、もともと地域にいた生物が減少したり、稀少な生物が絶滅したりします。私たちには、地域の生物多様性を、もとの姿のまま子孫に伝える責任があります。
アライグマの場合、このまま放置しておけば、両生類が減少すると予測できます。千葉県にすむ両生類、すなわちアカハライモリ、トウキョウサンショウウオとカエルのなかまの多くは、県のレッドデータブックに掲載されている絶滅危惧種です。
編集部より
今月号から千葉県のほ乳類を連載します。著者の濱中修さんは、県立高校で生物を教えながら、ライフワークとして千葉県のほ乳類の生態調査を40年以上続けてきました。緻密な調査を通して明らかになった知見をもとに、千葉県に生息するほ乳類の生態をわかりやすく解説していただけると思います。
本文中に掲載される動物などのイラストは、濱中さん自身が描いたもので、その卓越した腕前を拝見するのも楽しみです。
ニュースレター2015年3月号(第212号)の発送を 3月6日(金)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。
編集後記: 昨年の11月号に同封したカレンダー「下大和田谷津田ごよみ 2015」、おかげさまで多くの方から高評価を受けています。県外からの問い合わせもあり、800部印刷しましたが配布終了となりました。これも会を支えてくださっている会員皆様のおかげと、スタッフ一同御礼申し上げます。来年のカレンダーも作成する予定ですので、ご協力よろしくお願いいたします。 mud-skipper