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ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第236号 

2017.3.8 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. 地球にやさしい手洗い洗浄剤を自治体でも!
  2. いまなぜ石炭火力発電所なのか? その2
  3. 魚採りと自然の変化   前編

地球にやさしい手洗い洗浄剤を自治体でも!

千葉市若葉区 岩﨑 明子 

排水口のその先を考える
 あなたは、どんな手洗い洗浄剤を選びますか?固型か液体か、殺菌成分の有無、価格の安さ・・・等々。何を優先するかはそれぞれだと思いますが、それが公共施設のトイレとなるとどうでしょう。
 洗浄剤は、汚れと水と一緒に排水口から下水処理場へ行き、そしてその水は海へと流れます。「きれいな水環境をめざします」と宣言しながら、排水口に流すものに無頓着であるとしたら、自治体としていかがなものでしょうか。
 化学物質過敏症やアレルギーのある人も増えているなか、不特定多数の人が使う図書館や公民館などのトイレでどんな洗浄剤を使っているか。また千葉市として、洗浄剤購入時に何を優先しているか気になり、2016年12月の議会の一般質問に取り上げました。

市民参加で公共施設の洗浄剤を調べてみると
 市民の皆さんにお願いし、皆で手分けして身近な公共施設を訪問し、洗浄剤の製品名、選んだ理由、誰が選んでいるのか、調査をしました。市内44カ所の公共施設からの回答を集計すると、合成洗剤を含む実に様々な洗浄剤が使われているとわかりました。さらに、誰が選ぶかという質問には「施設の清掃委託業者に任せている」という回答もありました。

 

「グリーン購入」推進方針があっても・・・
 千葉市では、環境負荷ができるだけ小さい製品を優先する「グリーン購入」を推進しています。210の対象品目の中には「せっけん(手洗い用)」も定められ、その基準には「廃油または動植物油脂を原料としていること」とあります。しかし、合成洗剤に含まれる化学物質の取扱いなどには全く触れられておらず、十分な基準とは言い難いのです。
 <別表>はいずれも洗浄剤の成分表示ですが、A社には「ヤシ油脂肪酸」、B社には「パーム核油」とあり、どちらの原料も植物性油脂です。しかし、A社の製品に含まれる「EDTA」は、PRTR制度*で第1種指定物質に指定されているものです。市の「グリーン購入」推進方針ではA社製も使えますが、そうすると、人の健康や生態系に有害なおそれがある化学物質=EDTAが公共施設の排水口から垂れ流されてしまうことになります。

地球と体にやさしいせっけんを使おう
 表でもわかるように、たくさんの成分が含まれているA社に対し、B社は「石ケン素地」のみです。A社の洗浄成分は合成界面活性剤、B社は純石ケンなので、このような違いがあるのです。
 化学物質過敏症の子どもへの配慮から、千葉市教育委員会では養護教諭に純石ケンの利点を説明し、徐々に学校での切り替えが進んでいます。そこでこの取組を全市的に広げるため、①「石ケン素地」や「純石ケン」表示のものを使うこと、②EDTAや香料・着色料未使用であること、と購入基準に追記すること、また、外郭団体や委託清掃業者等に購入基準を周知徹底すること、を議会で要望しました。

*PRTR制度:人の健康や生態系に有害なおそれがある化学物質について、環境中への排出量及び廃棄物に含まれての移動量を事業者が行政庁に報告。行政庁は報告や統計資料を用いた推計に基づき排出量・移動量を集計し公表する制度。 

いまなぜ石炭火力発電所なのか? その2

(仮称)蘇我火力発電所を考える会 小西 由希子

千葉市の家庭の電力消費は発電量のわずか5.8%
 
 日本は世界第5位のCO2主要排出国で、温室効果ガス排出の削減目標を、2030年度までに26%、2050年に80%(2013年度比)としています。各自治体でも削減目標を掲げており、エコドライブや省エネ家電への買い替えなど、市民・県民にその取り組みが求められています。

 

 千葉市内の一年間の電力消費量は、部門別にみると左表のようになっています(2016.10発表 千葉市地球温暖化対策実行計画より)。
 一方、現在千葉市内で稼働している火力発電所(LNG)は、下記とおりです。

 市内で発電している電気の何割が市内で消費されているのか知りたいと調べてみましたが、そういう資料は見当たりませんでした。そこで、既設の発電所の設備利用率を7割と仮定して計算してみることにしました。
 その結果、千葉市内の1年間の発電量は、合計出力548.1万kW×24h×356×0.7で、336億949万2千kWhとなり、発電量に対する市内消費量は25.9%、家庭部門だけならわずか5.8%であることがわかりました。

千葉県でつくられる電気の73%は県外向け

 次に、千葉県の発電量を調べてみましょう。
稼働中の火力発電所(LNG)は18基、出力合計が2161.7万kWですから、設備利用率を7割と仮定すると、一年間の発電量は、 1325億5746万kWhとなります。(右表は現在稼働中の火力発電所の出力合計)

 一方、千葉県内の2013年度電力消費量は、357億9181万kWh(統計年鑑より)となっており、単純に計算しても県内発電量のわずか27%しか県内で消費していないことがわかります。すなわち残りの73%は他県のために発電しているのです。

計画中の石炭火力発電所 千葉県は全国1の規模

下の表は現在全国で計画中の石炭火力発電所です。千葉県が他県と比べていかに大規模かがわかります。
さらに下段の表は、千葉県内に現在計画中の石炭火力発電所の建設予定市と出力です。原発一基がおよそ100万kWですから、いかに大きな発電所が計画されているか理解して頂けると思います。
先に書きましたように、市内、県内消費量の何倍もの発電がすでにおこなわれているのですから、これ以上の発電所建設は必要ないと言わざるを得ません。

 
  平田仁子氏/気候ネットワークより
   
 
東京湾の火力発電所(既設と計画)
参照:HP 石炭発電所建設ウォッチ
    作成:森口ゆかり


千葉市の大気の汚れはどうなっているのでしょうか

①黒い粉じん
 千葉市では中央区の臨海部を中心に、黒い粉じんへの苦情が役所に多く寄せられています。
市の調査では、それは粒子の大きな「降下ばいじん」で、南西系の強風時に高いことがわかっており、市環境規制課からは以下のように報告されています。
 南西の風の日、大気を吸引して粉じんを調べた結果、総粉じん量、元素状炭素、有機炭素、鉄、カルシウム、マンガン、クロム、ランタン、セリウムが、臨海部で値が高く、内陸部に向かって低下する傾向が確認された、とのことです。グラフを見ると、蘇我地域で特に高いことがわかります。(千葉市環境規制課ホームページより)

 

②降下ばいじん
 降下ばいじんについては、中央区臨海部を中心に、水平分布や垂直分布の調査がおこなわれています。千葉市の環境目標値は概ね達成しているものの、問屋町、フェスティバルウォーク、アリオ蘇我方面でやや高い値が確認されています。また、マンションのベランダでの調査では、地表付近の粉じん量が多く、上の階にいくほど減少し、最上階でやや上昇する傾向が確認されたそうです。
 千葉市臨海部のあるマンションで、2015年「大気環境に関する住民意識調査」(133戸)が行われ、以下のような結果がでています。(回答数71件)
 「日常生活での「粉じん」問題について」
    ①大変困っている・・・63件
    ②時々困る事がある・・・8件
    ③それほど気にならない・0件
    ④気にならない・・・・・0件
 これは一部の例ですが、現在も南西方向からの風に乗ってくる黒い粉じん(降下ばいじん)に多くの住民が悩まされているのです。

 

③千葉市の大気測定結果から(千葉市環境規制課HPより)
 下表は千葉市の大気測定結果の経年変化です。
測定結果からわかるように、二酸化窒素、微小粒子状物質(PM2.5)は、2015年ようやく全測定局で市の環境目標値を達成しましたが、まだ厳しい状況です。また、光化学オキシダントは全測定局で目標値を達成できていません。
 ようやく取り戻しつつある青い空を守るためにも、地球温暖化防止の視点からも石炭火力発電所の建設は到底受け入れられるものではありません。

 

兵庫県赤穂市では計画を断念

 今年2月1日、兵庫県赤穂市では、関西電力の火力発電所で石油から石炭への燃料の変更について、県や環境団体の指摘を受け計画を断念したとの報道がありました。
 石炭火力は今後採算がとれるのか不透明とも言われています。2月号でも書きましたように、(仮称)蘇我火力発電所の計画段階環境配慮書の内容は誠実さを欠いており、今後十分な環境配慮が行われるとは思えません。
 市民・県民にとって電力は十分足りており、事業者のお金儲けに千葉の空を売り渡すわけにはいかないのです。にわかに動き出した石炭火力発電所計画をより多くの人に知っていただきたいと、やむにやまれず行動を起こしました。専門家ではないため間違いも多くあることと思います。ぜひご指摘、ご指導いただければありがたいです。よろしくお願い致します。


魚採りと自然の変化 前編

  千葉市稲毛区 石橋 紘吉  
 わが故郷は筑後平野の真中に位置している。南に耳納連山、北に背振の山を見ることができ、2㎞ほど先には筑紫次郎が流れている田園地帯である。
 そのわが家の前には、川幅が10m足らずの農業用水路がある。5月の田植え前に水が用水路を流れ始め、秋の収穫時期の前に水が落とされる。10月から翌年の5月までは川底に少しの水が溜まっている程度になるが、小鮒などが泳いでいた。
 この農業用水路がわれら子供等の格好の遊び場であった。水浴びに魚採りにいそしんだ。夏になれば、朝は日が昇り8時には泳ぎ始め、夕方まで何度も泳ぎ、疲れれば岸辺で甲羅干しをしていた。
     
 この用水路の川岸は、石垣や木の杭を打ち真竹を横に渡して土止めをしたもので、魚などの生き物にとって棲み易い環境であった。水はけして綺麗ではなかった、むしろ汚い方で生活排水も流れ混んでいた。
 初夏にはホタルが飛び交い、川面にはメダカ、アメンボウ、水中にはゲンゴロウがいて、水面上をトンボが飛び、時々卵を産み落としていた。
 この用水路には川入れ場と呼ばれる所があり、馬などを水浴びさせるため傾斜した川への入口があった。
 この用水路は水が流れると、小型の鯉,鮒,鯰,ハヤ...が棲息し魚影も濃かった。これらの魚を取るのが、わが子供等の楽しい遊びであったし、当時の田舎での蛋白質の補給源でもあった。   (つづく)

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   口座名義:特定非営利活動法人 ちば環境情報センター代表 小西由希子
                 

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 編集後記 : 職場の近くのビルの屋上で囀るイソヒヨドリ。今年も盛んに鳴いています。頭から胸、背、腰までの青藍色とお腹の赤褐色の姿も魅力的ですが、ビルが建ち並ぶ街の中で、澄んだ声に毎日癒されています。 mud-skipper♀