ちば環境情報センター ニュースレター 

ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第237号 

2017.4.7 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. 復活 お魚の話 <水産業を取り巻く問題>
  2. サイエンスカフェ「魅惑のシャジク藻」
  3. 魚採りと自然の変化 (中編)

復活 お魚の話 <水産業を取り巻く問題>

大網白里市 平沼 勝男 

 今から7年前の2010年10月末、私は北海道の羅臼漁港を訪ねました。大型の定置網で大量に水揚げされる秋サケ、刺し網で漁獲されるスケトウダラ、他にも様々な魚が水揚げされ、さすがに日本有数の漁港であることを実感しました。中でも一番すごいと感じたのはスルメイカでした。主役のイカ釣り船はもとより、定置網でも、刺し網船でも獲っていました。羅臼の海はスルメイカの宝庫でした。ここのスルメイカは身が厚くしかも刺身にすると甘みがありとても美味しいイカでした。主に鮮魚として出荷されますが、函館の塩辛メーカーやイカそうめんの原料としても利用されていました。

   

 昨年のある日、水産系の業界紙を見て驚愕しました。北海道の東部地域のスルメイカの漁獲量が対前年95%減と出ていました。東部地域のスルメイカとはまさに羅臼のことを指します。95%減とは全く獲れなくなったも同然です。このイカを漁獲していた漁師さんやメーカー・流通の人たちは大変な苦労を強いられていることと思います。どうしてこのようなことが起きたのでしょうか。上のグラフは全国のスルメイカの水揚げ量です(全漁連発表のデータより)。北海道東部ほどではないにせよスルメイカは日本全国で減っています。通常15万トンから20万トン漁獲されていましたが、ここ数年漁獲量が減り、昨年に至っては6万トン台にまでになってしまいました。かつての三分の一です。当然価格も高騰しました。イカが獲れなくなった原因は不明です。しかし水温の上昇など海の環境変化ではないかと言われています。そのうちにイカの塩辛やお刺身が食べられなくなる日が来るかもしれません。
 最近はサンマも水揚げが減っていると言われています。下の図は全国棒受け網漁業協同組合の出しているデータを基にしたグラフです。かつては20万トン獲れていたサンマですが最近は10万トンにようやく届くくらいの数量になっています。原因は回遊ルートの変化にあるようです。サンマの回遊は春から夏にかけてロシア海域でたくさんのエサを食べて成長し、それから南下を始めます。8月後半に北海道沖に、9月・10月に東北沖に南下し漁獲されていました。しかし最近は北海道東部海域で暖水隗といって水温の高い海域が現れ、それを嫌うため遠回りして回遊するようになりました。それと問題を複雑にするのは外国船の出現でした。日本の200カイリ外を回遊するようになったことから、中国や台湾船が大挙してやってきてサンマを漁獲するようになりました。ちなみに中国では最近、一般の庶民がサンマやサバをよく食べるようになりました。結果日本船と外国船の双方による漁獲がサンマの資源を減らしている可能性があります。
 他にもまだあります。秋サケはかつての半分の水揚げに減りました。イカと同様海水温や環境の変化が原因と言われています。加えて昨年は水揚げ時期に来襲する台風も甚大な影響を及ぼしました。
 北海道北部オホーツク沿岸や道東部は生食用のホタテのメッカですが、冬に発生する低気圧による被害(爆弾低気圧)が深刻で、たくさんのホタテが死にました。南部の内浦湾(噴火湾)も加熱用ホタテと輸出用の殻付きホタテの生産のメッカですが、ここでは貝の育成不良、ホタテ以外の付着により大幅に生産量が落ちました。垂加式の養殖をしているため台風による被害も深刻です。

   

 以前は台風が来なかったので台風の襲来を想定していない養殖方法なのでしょう。また全国的に海藻類も深刻のようです。ノリ養殖は水温の上昇から生産量が減っています。減少したノリの取り合いで価格も上昇しています。コンビニのおにぎりでは感じませんが、回転ずしでは軍艦巻きなどのメニューを減らしているという話を聞きます。昆布も良質な昆布が獲れなくなり高騰、羅臼昆布や利尻昆布などを使用する高級な日本食を提供するレストランや料亭が困っているという話を聞きます。
 世界中を見渡すとどこでも日本と同じ状況でしょうか。アメリカやヨーロッパではそれ程な深刻な話は聞きません。ニュージーランドや南米でもそうです。日本周辺、アジア地域では深刻な問題を多く聞きます。温暖化や自然災害は地球規模で起きている問題であるはずですが被害規模の大きさの違いは何でしょうか。私は資源の管理をしているかどうかがポイントになっていると思います。
 日本では残念ながら資源管理はうまく機能していません。漁業者への影響を考慮していることが最大の原因と思います、いわゆる既得権益。普段から漁獲量が多く、生物資源に対する圧迫が強すぎるとも言えると思います。比べてアメリカやヨーロッパ、ニュージーランドは科学者が生物学的な見地から漁獲量を決めます。持続可能な漁業をするためです。漁業者はそれを守ります。ひどいときは数年間漁獲を禁止することもあります。
 しかし数年後には再開し見事に復活して産業として成り立ちます。日本の問題で見逃せないのが周辺国との関係です。周辺の国々と水産資源について有効なルールを話し合うことができていません。これら多くの問題を日本の水産行は抱えています。一刻も早く解決しなくてならないことばかりです。海洋資源は漁業者のものではなく国民の財産、地球の財産であるはずです。

サイエンスカフェ「魅惑のシャジク藻」

我孫子市 為貝 和弘 

 我孫子のサイエンカフェ「Cafe 自愉時間」「~自分で愉しむ 自然を愉しむ~」をモットーに、カフェ開催中の禁止事項は、「発言しない事」だけという不思議なサイエンスカフェです。今回のお題は、超々マニアックな「魅惑のシャジク藻」こんなテーマで人が集まるのかと思いながら参加申し込みましたが、行ってみると居らっしゃいました超レアな方々が。まあいつもと違って、今回はテーマがテーマだけに学生さんの参加が多かったようですけど(シャジク藻と聞いてすぐにピンとくるような方は天然記念物級ですよねえ)。
 このサイエンカフェ、東邦大学准教授の西廣さんとその奥様(ご夫婦とも博士)が企画されていて、毎月1回、我孫子にある喫茶店(North Lake Cafe & Books)を会場に、定員15名の少人数で開かれています。今回で23回目の開催となりますが、毎回、超レアな方々が講師となり、参加者と一体となって発表を愉しむという素敵な時間空間です。
 今回の講師は、特定非営利活動法人日本国際湿地保全連合(Wetlands International)の加藤将研究員(理学博士)。大学の卒論で「シャジク藻をやりたい」と指導教官に申し出たところ「指導する人がいない」とあっさり却下されたとか。それでも挫けずに専門家がいる東大大学院野崎研究室の門をたたき、研究を続けたという凄い方です。偶然にも大学の後輩でしたが、私と違って学生時代にしっかりとした目的をもって勉強されてこられたからこそ今があるんでしょうね(^^;)。

   

 さて、このシャジク藻類、緑藻と陸上植物(古生代オルドビス紀に上陸)との間にある植物として有名ですが、この辺りの話も大変興味があったので、超レアな方々に交じって参加しました(そう言うあなたも超レアでしょという話はいったん置いといて)。 元筑波大学横浜康継教授著「海藻ハンドブック」には、「最近の説では、陸上植物の祖先は緑藻ではなく、緑藻との共通祖先から分かれた微細藻が淡水の湖へ移ってシャジク藻になってから、その内の1種が上陸した」と書かれています。この辺も最近主流の分子系統解析から明らかになってきたものだと思いますが、今日の話では「数年前に別の説の論文が発表されています」との説明がありました。ここの説明がよく理解できていないのですが「アオミドロやミカヅキモなどのZygnematales接合藻がそれに該当する(Wickett et al. 2014)」とか、緑藻は陸に上がった後、再度淡水に戻ったものがあるとかの話がありました。確かに、アマモなどの海草は、一度陸上にあがったものが色々と進化して再度海に戻ったと言われてますが、なんか頭がこんがらがってきて、よく理解できていません。詳しくは、(http://www.nibb.ac.jp/evodevo/tree/02_02_land%20plants.html)、(http://www.nibb.ac.jp/plantdic/blog/?p=778)
辺りを参照して下さい。
 このシャジク藻、水田、用水路、ため池、湖沼等に生息しており、海外の湖では水深120mの深さのところでも見つかっているそうです。分子系統解析の結果、浅所タイプと深所タイプに判別でき、これらは種分化の初期段階で分かれたのではないかと考えられています(日本各地43地域より、浅所産:41、深所産:32が確認されています)。確かに水田の水温と二酸化炭素は季節、日周により非常に不安定で、光も強い環境なのに対して、湖では水温と二酸化炭素は割と安定しており光は弱いので、それぞれその場所に適応できるように進化してきたものと思われます。これまで確認されている種類は、世界には400種類くらい、日本では86種類(シャジクモ属、シラタマモ属、ホシツリモ属、フラスコモ属の4属)ですが、レッドデータブックで絶滅危惧Ⅰ類に指定されているものも多く(57分類群)、非常に危機的な状況になっています。
 ここ我孫子の手賀沼にも10種類が生息していましたが現在は全て絶滅、近くの印旛沼の7種類も同じく全て絶滅しています(1990年代の調査)。あれだけ沼が汚れてしまえば当然ですが、他にも農薬使用、水路整備、管理放棄、干拓、水草除去のためのソウギョ放流が絶滅や減少の要因となっているようです。何れにしても、人がかかわっている事が絶滅、減少の原因ですね。それでも手賀沼の土を水槽や人工池に入れたところ9種類のシャジク藻が再生してきたそうです(ケナガシャジクモ、テガヌマフラスコモ、オトメフラスコモ等)。
 土の中にシードバンクとして眠っていたんですね。2年くらい前にカイボリをして池の水を抜いた井の頭公園でも、絶滅危惧種の水草「イノカシラフラスコモ」が再生しています。
 我孫子では、手賀沼トラストが有機・無農薬で米作りをしていますし、ちば環境情報センターでも同様な米作りをしています。夏に田んぼの水を抜く前に、シャジク藻調査でもやってみたらいかがでしょうか。浅所タイプのシャジク藻が見つかるかもしれませんよ。
 カフェの終了前に、深所タイプのシャジク藻は、「海藻の深所型緑藻と同じように光合成補助色素としてシフォネインやシフォナキサンチン等のキサントフィル類を含んでいるのではないか」と思って質問してみたのですが、抽出されなかったとの話でした(加藤研究員もそう思われて調べてみたそうです)。光量が弱く、光合成色素クロロフィルaやbの吸収スペクトル外の光しか届かない深所で、どう効率的に光合成を行っているのか疑問は深まります。 こんな感じで、あっというまの90分でしたが、なんかあまりにも不思議な植物で、一段と興味が湧いてきました。
 我孫子では、6月19日(月)に「ふれあい塾あびこ」主催で、「消えた植物を復活させる」という公開講座が開かれます(会場:アビスタホール)。講師は、「Cafe自愉時間」を企画されている東邦大学准教授の西廣さんです。手賀沼では、埋もれていた種子が発芽して絶滅状態だったガシャモクが再生したことがあります。この「土の中で生き続ける植物種子」をテーマに、未来に向けた可能性と、今実施すべき事を話されるそうです。失われた生態系の健全性を回復させる為に非常に参考になる内容だと思います。楽しみです。講座申し込みは、nobottaono@poplar.ocn.ne.jpへどうぞ。 


魚採りと自然の変化 (中編)

  千葉市稲毛区 石橋 紘吉  
① 流し釣り
 これは、一般に行われている釣りである。浮きを付けて流れに沿って、餌を解けた釣り糸を垂らす方法である。
 餌はミミズ、蜂の幼虫、さば虫、くり虫を使った。くり虫は高価なもので一度くらいしか使わなかった。蜂の子は足長蜂の巣を蜂に刺されないように横取りしてきた。多くは屋根に登って採り、時には刺されもした。さば虫はお猪口一杯10円程度であったが、自家製とした。鯖の頭を軒下に吊るしておくと、蝿が卵を産みつけそれが孵化し蝿の幼虫が生まれる。これがさば虫である。いわゆる蝿の幼虫である。竹筒でさば虫入れを作ったりした。
 この流し釣りではハヤ・小鮒が釣れた。魚を呼び集めるために、撒き餌をまいた。撒き餌は酒かす・米ぬか・土などを混ぜ合わせ中心に重りようの石を入れ、5cmくらいの饅頭型を作った。流し釣りではないが、クリークなどで大方の鮒などを狙う場合は、釣り糸も丈夫なものとし、釣り針も大きめのものとし、餌は縞ミミズを使った。

② 投げ釣り
 5m程の長さの竿に大き目の重りをつけた釣り糸の簡単な仕掛けで、主に川底近くにいる魚を狙う。鮒・鯉・ナマズなどよく釣れた。用水路の護岸近くの流れに沿って、数本の竿を仕掛けておく。魚がかかると竿の先がしなるのでわかる。
 雨が降ろうが半日くらい楽しんだ。成果は大魚が多かった。

③ 仕掛け釣り
 真竹を割って1mほどの長さの竿をつくり、先の方はしなるように加工した。1m程度のタコ糸に大きな仕掛け針を着けた簡単な釣具である。餌は小さなカエル・大きなミミズ・タニシなどで、クリークなどの土手に釣りざおを深く突き刺し、魚がかかったとき持っていかれないようにした。
 狙うは、大型のうなぎ・ナマズ・ライギョである。夕方仕掛けておいて、翌朝回収にいった。20本程度仕掛けたりしたが、成果はすくなかった。たまに糸が切られていることもあった。
 
④ 川エビ釣り

 これも独特の仕掛けである。細い1m長さの竹竿に、川エビ用の釣り針を1m程度の長さの釣り糸をつける。重りは軽くしてエビが掛かる感触を楽しんだ。
 川エビの釣り針は独特の形状をしており、餌はミミズを使った。川エビは用水路にはいなくて、近くの太刀洗川や筑後川の護岸の石組みの所に多く棲息していた。釣りの成果は多い時は100匹を越した。竿は数本用意し、順次引き上げてまわる方法である。揚げるタイミングがあり、掛かっても時間がたつと逃げられてしまう。
 川エビは美味で、わが家の食卓を飾ったものである。
                 

【発送お手伝いのお願い】

 ニュースレター2017年5月号(第238号)の発送を5月8日(�月)10時から事務所にておこないます。 発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。


 編集後記 : このところ3月中に咲いていたソメイヨシノが今年は4月を迎えてようやく満開になりました。谷津田の植物も成長が遅いようです。野草を食べる会でおなじみのニワトコも、天ぷらには小さすぎました。2~3月が冷え込んだせいでしょうか。今年は満開桜の下での入学式になりそうです。  mud-skipper