ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第241号
目 次
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国際環境NGO FoE Japan 吉田 明子
2016年4月からはじまった電力小売全面自由化。
震災・原発事故を受けて決まった電力システム改革の一つのステップであり、市民・消費者にとって大きな変化です。
2016年3月末で、電力会社を切り替えた家庭・事業所は5.5%と発表されています。しかしそのほとんどはガス会社や携帯電話会社など、安さをアピールする大手への切り替えです。
再生可能エネルギーや地域貢献の視点で選択したい消費者にとってはどうでしょうか。再生可能エネルギーを重視する事業者や地域の事業者も、当初は家庭向け販売を開始しているところは多くはありませんでした。今、ようやくその状況が変わりつつあります。すでに販売を開始していて、エリアを拡大するところもあります。またこれから出てくる地域電力会社も複数あります。
一方で、各地では続々と、再エネ重視の電力会社が登場しています。自治体系、生協系、地域密着系、全国再エネ事業者系など多岐にわたり、それぞれユニークな工夫をしています。ただ現状、規模も宣伝力も大手とは圧倒的な差があります。
また再エネ重視の電力供給にはまだまだ大きな壁があります。
一つは再エネ調達の壁です。日本で再エネの設備要量はまだようやく増えてきたものの全体の約7%(2015年度、大型水力をのぞく)です。しかもそのほとんどを東京電力などの大手電力が持っているため、再エネ新電力は調達に大変苦労しているのが実情です。ビジョンを持ちながらも現状で再エネを十分に調達できていない会社も多数あります。
もう一つ、顧客獲得の壁があります。大々的な広告宣伝ができず、価格競争では大手にかなわない中、どう差別化するか。再エネを重視する顧客に出会うのは、通常は容易ではありません。ほかにも、制度変更への対応や煩雑な手続き、家庭向け供給は利幅が薄いなかでどう利益を確保するか、など多くの困難の中で試行錯誤する電力会社が多くあります。だからこそ、消費者、環境団体などが再エネ新電力を応援していくことが欠かせません。
ともかく、具体的な選択肢がようやく広がった2017年。パワーシフトを行動に移すのはこれからです。
http://power-shift.org/
*パワーシフト・キャンペーンのウェブサイトで再生可能エネルギーを重視する電力会社を紹介しています。
2017年7月17日、第22回「都川川遊び」(主催:NPO法人 ちば環境情報センター)が、都川多部田橋上流で実施されました。参加者は、幼児8人,小学生17人,高校生10人,大学生2人,大人30人の合計67人でした。4名の方から感想が寄せられましたので掲載いたします。
千葉市稲毛区 新井 桂二
7月17日(祝)、海の日ではあったが、同僚の田中氏の勧めで都川川遊びに参加することになった。会場は以前の職場にほど近く、時々訪れることはあったが、当時はゴミが多く、河岸も脆弱で、正直、趣味の釣りが出来るような環境に無いと判断し、足が向かなかったフィールドだ。まあ、この川遊びの会は子供たちを中心にした行事であるとのことだったので、それならば、教育的意義も大いに期待できる...というか、私のようなお魚バカ予備軍をつくれると思い、お手伝いすることにしたのであった。
15日、準備作業ということで草刈りに参加した。千葉駅10番乗り場から中野操車場行きのバスに乗り東金街道をしばらく走ると右手に田園風景が広がってきた。都川の川面は夏草に遮られて時折しか見えないが、川岸は確認できる。なにやら勤めていた頃よりヨシやマコモが多い気がする。“良いところがあるんだ”とは聞いていたが、果たして大丈夫なんだろうか?と思いつつ北谷津のバス停の到着。平和公園入り口の橋から上流を眺めると、作業は既に始まっているようだ。慌てて作業部隊と合流し草刈りを始める。
予想通りここも川岸はヨシとマコモに覆われている。田中氏によればここ数年で一挙に繁茂したとのことで、水生動物にとっては隠れ家が多く都合の良い環境であろうが、採集(主にガサガサ)にとってはマコモはともかくヨシはネットの邪魔となって採集効率が低下する。参加者は川岸の除草だけでは無く、川の中に入ってガサガサが出来る程度に刈り、さらに川への出入り口を作っていく。自分も無数の羽虫に悩まされながら刈り取りの後始末をしていると、ふと懐かしさがこみ上げてきた。子供の頃はよくこうして川遊びをしたものだ…と。当時のフィールドは千草台団地裏の葭川であったが、今は見る影も無い。都市生活と引き替えに子供の遊び場が減っていき、果ては“絶対安全”を口実に川遊びを禁止する傾向さえある。それでも20年以上もこの会が継続しているということは、それなりに需要があるんだろうな、と思いつつ作業を続けていると終了の時刻となった。早朝ならともかくこの炎天下、いくら水は冷たいとはいえ毎年この作業を行っているのかと思うと、頭が下がる思いであった。
さて当日17日、寝坊助な私は用心のため、集合時間より30分早く現地に赴いた。そんな柄にも無いことをしたせいか雨が降ってきてしまった。幸い短時間で止んだので水量にも変化が無く一安心。しばらくして定刻になると続々と参加者が集まり総員70名弱となりレクチャーが始まった。参加者の多くが小さなお子さん連れのご家族で、小学校上級生を予想していた私にとって予想外だった。
草刈りの時発見された深みにはロープが張られているものの、人員の配置が必要ということで、先に川に入ることとした。深みの入り口で待っていると、レクチャーを受けた子供たちが喜々として進んでくる。皆一心にガサガサに興じているが、如何せんヨシの奥まで足が届かない。役員が補助してはいるが、人数が足りない。安全管理には問題ないが採集補助までは手が回っていない。親御さんも数人入っているが、岸にいる方も多いためだ。もっとも全員入ってしまったら大混雑になっていただろうが…。そこで私も10人前後の子供たちのために、短い足を駆使して追い出し役になり、網の構え方、上げるタイミングを教えながら楽しい時間を過ごしたのだった。もちろん、この人数でこの狭い川をガサガサすれば、あっという間に泥川となり小魚もヨシの奥に隠れてしまうが、それでも何とか追い出して 獲物を手にしたときの子供たちの顔は、前述の葭川での友人たちの笑顔と何ら変わりなかった。
元気のよい子は2周目に突入していたが、終了時間となり、皆残念そうに川を上がっていった。子供たちの撤収を確認した後、汗をぬぐってヨシの間から見上げた夏空は50年前のそれと重なっていた。
採集終了後は田中氏による講習が待っている。
魚類5種、甲殻類3種,両生類2種,昆虫類5種が確認できたが、昨年より種類数は少ないらしい。講習では雌雄の見分け方、飼育の方法などが紹介された。子供たちは目を輝かせて参加し、田中氏を質問攻めにしていた。親御さんたちも飼育法などを熱心に尋ねていた。そのような姿を拝察し、もう少し落ち着いた場所、例えば公民館や学校などでの講習会がセッティングできれば、さらに効果が上がるような気はしたが、まあ、単純に楽しむことに重点を置いた会としては充分なのかもしれない。終了後、家族でお出かけも可能であろうし。
こうして第22回都川川遊びの会は終了した。感想を述べさせてもらえば、このような小さな催しでもこれだけたくさんの参加者が集まったことは正直驚きであったし、参加者の皆さんの自然教育に対する熱意と向学心の高さに心を打たれた。このような会がそこここで有志によって催されるようになれば、教育的にも、環境保全や水質改善の啓蒙活動としても大いに効果があると思われるが、如何せん私も含めて有志の高齢化(失礼!)が問題であろう。“来年も参加しよう。しかし、早急に若い衆を巻き込む必要があるな。”と思いつつ、お魚バカな私は次の現場(調査点)へ向かったのであった。
千葉市美浜区 黒川 真人(父)
家族4人で、初めて川遊びに参加させていただきました。7才の娘は生き物が好きで、虫取りやザリガニ釣り、小学校のプール掃除でもらったヤゴを飼って羽化させたりと女の子と思えないほどなので、是非体験させたいと思いしました。5才の娘も川に入りたいというので一緒に参加しました。
川の水は冷たく気持ち良く、家族全員熱中してしまいました。妹の方は腰のあたりまで水に入り、網の使い方など教わり順調に採取していました。それを見ていた姉は悔しがっていましたが、次第にコツをつかみとても楽しそうでした。川から上がるときも、名残り惜しそうでしたが、その後自分たちの捕まえた生物の説明を聞いて、改めて興味がわいたようです。
私自身も千葉市の身近な川に、こんなに多くの生物がいるとは思わなかったので勉強になりました。また、初めて川に入った娘たちには楽しく貴重な経験になったと思います。最後に準備段階から当日まで安全管理をしてくださったスタッフの皆さんに感謝いたします。
黒川 弓月(ゆづき)7歳
いくまえは、もっとひろい川だと思っていたけど、そうぞうとちがっていてびっくりしました。
やっているときは「ぜったいどじょうは、とれない」と思ったけれど、とれてうれしかったです。えびやめだかやザリガニや、こおいむしもとれました。
ザリガニはいえでかうことにしたので、たのしみです。また、いきたくなるような川あそびになりました。
黒川 史夏(ふみか)5歳
はじめは、おさかなとれるかなあとおもっていた。かわにはいったら、きもちよかったし、おさかなもざりがにもとれてよかった。
昨日の朝ですが、下大和田に行きました。ウシガエルの鳴き声を聞きました。確かにウシガエルですが、やや変わった感じ、まだ成熟していないような鳴き声でした。場所はYPP緑米田んぼのすぐ横の川です。近づくと鳴き声はしなくなり、二度と鳴きませんでした。姿は見ることはできませんでした。どなたか、捕獲する方法を知りませんか。
(平沼勝男 2017年 7月31日)
昨年もウシガエルの声が聞かれ、オタマジャクシ捕獲の目的もあって8月の観察会で川の生きもの調査を行いました。今年も8月の観察会で同様調査をすることにしています。ウシガエルの産卵は5月から9月で、卵塊は50×50cmのシート状になって浮かび、産卵数は6,000~40,000個とすごいものです。カエルになるまで1年くらいかかりオタマジャクシで越冬します。
したがって卵塊の状態で見つけて取る事とオタマジャクシの状態にあるうちに取る事が効果的。成体は警戒心が強く捕獲しにくいが夜間の方が効率よく捕獲できる(以上、国立環境研究所 侵入生物データベースより)。上記のことを下大和田に関わるみんなで理解して、水回りでは常に卵塊に注意しましょう。声がしばしば聞けるようであれば夜の成体の捕獲もしなくてはならないと思います。大草では声を頼りに夜捕獲しました。
(網代春男 2017年 8月 1日)
今年も千葉YMCA主催で、福島の子どもたちを千葉市少年自然の家に招いてちばの子どもたちと交流する「フレンドシップキャンプ」が開催されます。震災以降、福島からのバスの費用の一部にと、皆さまにご寄付のお願いをさせていただいてきました。今年も以下の通りご連絡をいただきました。振り込み用紙を同封させていただきましたので、ご寄付をよろしくお願いいたします。
「今年度もフレンドシップキャンプを8/16(水)~19(土)で実施いたします。今年度は募集地域を昨年までの伊達市梁川地区から伊達市全域に広げ、72名の応募がありました。バスの都合上、抽選で45名の子どもたちを招待する準備を進めております。初参加の優先で招待するため、今回は全員が初参加となります。よろしければご協力ください。よろしくお願いいたします。
(千葉市少年自然の家 プログラムディレクター鶴岡 義久)
ニュースレター2017年9月号(第242号)の発送を9月8日(金)10時から事務所にておこないます。 発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。
編集後記 下大和田谷津田で、ウシガエルが確認されました。アライグマもすでに13頭捕獲され、外来種にとっても住みよい環境なのでしょう。元々ヒトが持ち込んだこの動物たちに罪はありませんが、在来の生態系にとっては脅威で、駆除しなければなりません。罠にかかったアライグマを見ると、身勝手な人間の犠牲者だとつくづく思います。 mud-skipper |