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ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第242号 

2017.9.8 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. グリーンインフラと生態系インフラ-持続可能でレジリエントなコミュニティづくりのために-1
  2. 電力自由化、要注意!価格競争で安さが求められると・・・
  3. 米作りキャンプ
  4. 夜の虫観察会に参加して & 地球マン連載再開

グリーンインフラと生態系インフラ
-持続可能でレジリエントなコミュニティづくりのために-1

東京情報大学 総合情報学部 環境情報研究室 原 慶太郎 

はじめに
 最近、グリーンインフラという言葉を目にする機会が増えてきました。鉄道や道路、水道、電気やガスなど私たちの生活に欠くことのできない基盤をインフラストラクチャー(略してインフラ)といいます。緑のインフラ、このグリーンインフラとはいったい何なのでしょう? 似たような言葉に生態系インフラという言葉があります。こちらはまだごく一部の人にしか用いられていないようですが、共通するところもあり、また目指すところが少し違うようでもあります。
 日本は、2005年頃を境に人口減少社会に突入しました。これからは、これまでのような右肩上がりで人口が増え、経済が成長するという構図ではなくなり、成熟社会に入ったことを意味します。また、このところ大地震や大津波、そしてゲリラ豪雨のような自然災害が多くなってきたようです。そのような出来事に対して対応可能なたおやかさが求められています。レジリエンス(回復力・復元力)などという言葉が聞かれるようになったのも、そのことの表れでしょう。持続可能でレジリエンスを高めた社会をどのようにつくっていくか。グリーンインフラが世の中で広まっている理由は、そこにあるようです。本稿では、原(2017a, b)をもとにしてそれを少しずつ繙いていきたいと思います。

グレー・グリーン・生態系のインフラ
 仙台で学生時代を送った私は、2011年3月の東日本大震災後に、仙台湾岸の被災地の生態系調査に関わることになりました。在仙の友人と一緒に、復旧・復興事業の進め方を目の当たりにしながら、生態系を活かした防災や減災の在り方を考えてきました。図1は、仙台湾岸で復旧事業として進められたコンクリートの新しい防潮堤です。

   

堅牢で高波や一定以下の津波は確実に防ぐことができるでしょう。ただし、建設費に加え維持費がかかります。このようなインフラは「グレーインフラ」と呼ばれます。図2は、稲むらの火で有名な和歌山県広川町の広村堤防です。安政元年(1854年)に発生した安政南海地震の後に、濱口梧陵によって築造されました。現在の堤防はその後に改築されたものですが、コンクリートの基盤にマツが植林されている。コンクリートの基盤の上に植物の緑で補強したようなかたちになっています。これは「グリーンインフラ」と呼んでもよいでしょう。東日本大震災では、大津波によって仙台市の沿岸域のマツ林のほとんどが消失しましたが、一部のマツが流出から逃れ、その近隣には震災前から芽生えていたマツの実生が生育しています。在仙の一部の研究者の努力によって、再生してきたマツを活かしながら防災林を再生させようとしています(図3)。これは「生態系インフラ」としてとらえることができると思います。

 

 2010年の生物多様性条約第10回締約国会議(CBD COP10)の名古屋での開催を前に、2008年には生物多様性基本法が制定され、持続可能な社会の実現に不可欠な生物多様性の保全と利用を図る指針を共有しました。持続可能で自然災害に強いレジリエントな社会の実現のために、グリーンインフラや生態系インフラをどのようにとらえたらよいのでしょう。まずは、これらのアイディアが誕生してきた背景と、歴史を振り返って見ることにしたいと思います。

グリーン/生態系インフラが案出された背景
1)持続可能性(サステイナビリティ)
 1992年、ブラジルのリオ・デジャネイロで開催された国連環境開発会議(UNCED)で、世界の環境問題の解決に向けた大きな理念として、持続可能な開発(発展)(Sustainable Development)が掲げられました。ここで持続可能な開発とは、将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発を指します。このためには、1) 現代の技術や社会のシステムが、現在および将来のニーズを生み出す可能性に制約を課すことがありうることを明確に認識し、2) 将来の世代の「ニーズの充足(満足)」を現世代の満足と同様に重視する、ことが必要となります(WCED, 1987)。
 持続可能性(サステイナビリティ)を考える際に、経済、社会と生態系の関係を説いたFischer et al. (2007)らの指摘は参考になります。経済的な持続可能性は社会的な持続可能性に支えられ、社会的な持続可能性は生態系の持続可能性、すなわち自然環境と人間の良好な関係があってはじめて確保することができるのです(図4:Fischer et al. 2007; 鷲谷 2010)。

 

 2015年には米国ニューヨークで国連持続可能な開発サミットが開催されました。そこで公表された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」のなかで、持続可能な開発目標SDGs(Sustainable Development Goals)が示され、目標の実現に向けた取り組みが始まっています。

2)人口減少
 日本は2005年に総人口が減少に転じ、2008年からは連続して減少が続くという人口減少社会に突入しました。千年単位で現象をとらえると、日本の人口が急激に増加したのは明治維新からで、この百年で駆け上がってきた総人口の曲線が、それと同じ勢いで下っていきます。どのような政策がとられるかによって減少の程度は変わりますが、それを留めることは不可能なようです。人口の減少とともに問題となるのは、人口構造の変化です。とくに65歳以上の高齢人口の割合を示す高齢化率をみてみると、欧米諸国と比べて、1990年までは、日本の高齢化率は最低でしたが、その後の10年で、世界の一位に上り詰めました。何事も急な変化は歪みを生み出します。この急激な高齢者の増加は、現在、我が国の社会に様々な課題を投げかけています。
 世界の環境問題の根源は人口問題であるといわれます。人口が減少することは、地域の環境問題には総体としてマイナスではなくむしろプラスの効果が想定されます。しかし、わが国では全体としては人口減少に転じても、止むことのない東京への一極集中など、人口の偏在化は大きくなっています。人口減少によって、地域の在り方が大きく変わらざるを得ない状況を作り出しています。都市に目をむけると、コンパクトシティと拠点をつなぐ交通網の整備を進める「立地適正化計画」が各地方自治体で策定が進められ、ストックの再配置が計画されており、それによって都市域の緑の在り方も変わろうとしています。       (次号に続く)

電力自由化、要注意!価格競争で安さが求められると・・・

国際環境NGO FoE Japan   吉田 明子 

 電力自由化で、一般家庭も電力会社を選べるようになりました。しかし良いことばかりではありません。競争が生まれることで、各社とも「少しでも安く」販売しようとし、そのために安価な電源を求めています。そこで、電力システム改革の議論が始まった2012年以降、燃料費が安いとされる石炭火力発電の新規建設計画が相次いでいます。2017年8月現在、45基(うち2基はすでに稼働)、原発約20基分(約2000万kW)にも相当する計画が日本全国にひしめいています。石炭火力発電は、SOx、NOxや水銀、PM2.5の排出で大気汚染・健康影響が懸念されます。また温室効果ガス排出も、「高効率」といわれるものでも天然ガスの約2倍です。

 一方で世界は、脱石炭、気候変動を止めるために省エネ・再生可能エネルギーにシフトする方向に動いています。2016年11月にはパリ協定が発効し、日本も批准しています。パリ協定では、世界の気温上昇を2100年までに2℃未満、できれば1.5℃以下に抑えていくために、いま各国が出している目標を5年ごとに見直して強化することが合意されています。
 仮に日本で40基以上の石炭火力発電所がこれから建設されるとすれば、国際的にも先進国としての責任を放棄することとなってしまいます。電力業界は、「非化石電源」を活用し、発電1kWhあたりの温室効果ガスの排出を天然ガスレベルに抑えていくとしていますが、この「非化石電源」には原子力が含まれます。この大義名分により、原子力の再稼働や40年超の運転も推進されようとしているのです。日本では石炭火力発電の新規建設と原子力とがセットで推進されるという構図が鮮明で、パリ協定を受けて動く世界の流れとはまったく逆行しています。

 千葉市蘇我にも、中国電力とJFEスチールが石炭火力発電所の建設を計画しています。東京湾にはほかにも、袖ケ浦市、神奈川県横須賀市にも計画があり、首都圏に住む私たちも他人ごとではありません。

 消費者の「安さ」の選択が、石炭火力建設を後押ししてしまうかも・・・でもまだ遅くありません。市原市での石炭火力建設計画は2017年3月に中止になりました。事業者も、世界の脱石炭の流れを横目に、計画を見直すことは十分に考えられます。
電気の選択は、安さだけでなく再エネを重視する電力会社に!

   ▼パワーシフト・キャンペーン http://power-shift.org/
   詳しくは、ちば環境情報センターへ。

米作りキャンプ

千葉市稲毛区   檜原 よしすけ 

 8月4日から5日にかけて、南川さんと石井家親子と檜原家で去年と同じ場所でキャンプをしました。南川さんはたき火を一生懸命起こしてくれました。肝試しは雨が降ったので結局中止になりました。僕はあんがい怖がりなので、ちょっとだけホッとしました。

 

 ご飯は僕たちでカレーライスを作りました。まあ、ぼくは火の番をちょっとしただけですが、がんばりました。カレーライスのご飯は、かつみくんのお父さんがはんごうでたいてくれました。夜は、火の番とカブトムシの仕掛けを作りました。仕掛けは、バナナと35度のお酒をネリネリしたものをネットに入れてヒモで背の低い木に結びつけました。そこには夜は1匹もカブトムシがいませんでしたが、朝になるとおどろくことにたくさんカブトムシがいました!オスもメスもいました。1匹もいない木でもこんなに集まるなんて、この仕掛けが本当に効果があるなあと思ってびっくりしました。
 カブトムシをとった後、昨日のたき火の火ダネからたくさんの火を起こしました!南川さんにたき火の木の立て方や新聞紙の入れ方を教えてもらいました。これが一人でできるようになりたいとぼくは思いました。朝ごはんは、お母さんのピザと昨日のカレーの残りをたくさん食べました。朝ごはんの後は南川さんは、みんなのために1時間15分くらい田んぼの草取りをしていました。ぼくはえらいと思いました。が、ぼくはカブトムシを取るのに熱心だったのでぜんぜん手伝いませんでした。南川さんゴメンナサイ。
 来週のカカシ作りには行けないので、南川さんにぼくが作った弓矢をたくしました。弓矢をカカシにつけてくださいとお願いしました。カカシが弓を構えているようにしてほしいです。
 米作りキャンプは今回で2度目でしたが、やっぱりすごく楽しかったです!!

      

夜の虫観察会に参加して & 地球マン連載再開

     習志野市   つやま あきひこ
 8月26日(土)下大和田で行われた夜の虫観察会に参加してきました。最初は何の虫が鳴いているのか必死に調査を試みようとしたのですが、足しげく通われておられる網代さんの足元には到底及ばず、初心者のボクは全く持ってよく分かりませんでした。が、途中から虫の音色を聞いているだけで心地よい気分になり、どんな虫が鳴いているかより”これぞ風流!”と思うようになりました。キャンプして虫の音をおつまみにビールが飲みたいと思いました。下大和田のそばの高速道路を走る車の音が邪魔でしたが。
 平安時代とか昔の人達は今のように夜の喧騒もなく、虫の音に耳を傾け、様々な想像(創造)を巡らせていたのでしょうね。あと昔、購入した白熱球の頭に付けるライトを持っていったのですが、世の中、進歩していて田中先生や平沼さんが持たれていたLEDのライトのなんとまあ明るいこと。
 9月にも夜の観察会が行われるそうなので、新たに参加される皆さんはLEDのライトを持参された方がよいと思います。ボクも早速、新規購入しました。
そして2ヶ月、間が空きましたが4コママンガ「がんばれ!地球マン」の連載を再開します。今までは他で連載したものの転用でしたが、このニュースレター向けに下大和田や小山町などで体験したことを元にオリジナルのマンガも描いていく予定ですので、乞うご期待ください!


フレンドシップキャンプへのご寄付 どうもありがとうございました。

おかげさまで8万円ものご寄付が集まり、主催者の千葉YMCAさんにお渡しすることができました。ご協力くださいました方々に心より御礼申し上げます。紙面の都合上、ご報告は次号にて行わせていただきます。
                 

【発送お手伝いのお願い】

  ニュースレター2017年10月号(第243号)の発送を10月6日(金)10時から事務所にておこないます。 発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。

 
 

編 集 後 記

ウオーンウオーンと2台の携帯電話から異様な音が流れました。8月29日の早朝、ニセコのペンションでの出来事でした。それがJアラートであることなど全く理解できず、宿の目覚ましかと思ったほどでした。戦争は最大の環境破壊です。無益な争いの足音が聞こえてきそうな今、愚かな行為に走らせぬよう行動していきましょう。  mud-skipper