ちば環境情報センター ニュースレター 

ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第245号 

2017.12.8 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. 佐倉市の残土産廃問題
  2. 野鳥観察会に参加しました
  3. 世界初! 割り箸細工発案者 小池正孝氏&アート教室
  4. 2017年米作り報告

佐倉市の残土産廃問題

佐倉市 大野 ひろみ 

 佐倉市の南のほうに神門(ごうど)という古い地区がある。以前は緑豊かな田園地帯だったが、今は耕作放棄地が増え、そこに押し寄せてくるのが、再生土!
 再生土とは?  もとは、産業廃棄物であるドロドロの建設汚泥。下水道工事やトンネル工事では、土をドロドロに溶かしながら掘削する。大量に発生する汚泥の処分に手を焼いた国交省は、石灰やセメントなど、固化剤を入れて固めて使うよう、全国にオフレを出した。道路の基盤材や、造成地の埋め立てに使われる。なので、この土は、再生土(あるいは改良土)と呼ばれ、産業廃棄物ではなく、資材となる!つまり、再生土は、産業廃棄物を取り締まる法律にはひっかからない。 
 

 自然の土を取り締まる残土条例にもひっかからない。どこにも引っかからないで、使えるのだ!というわけで、近年はこの再生土を使った埋め立てが、わが印旛地域でひんぱんに行われるようになった。その結果、野放し状態の埋め立てが増え、石灰を大量に含むものだから草木が枯れたり、異常なにおいが発生したり、トラブル続出。
 そこで、四街道市をはじめ、残土条例に「再生土埋め立て」の規制を盛り込む自治体が次々と出た。これが、その状況である。赤い丸が神門地区。佐倉市の周りの自治体は、ほとんど「再生土持ち込み禁止」。当然、業者は佐倉市になだれ込んでくることになる。
 昨年暮れに、市民から通報を受け、今年1月に現場に行くとこんな状況。(矢印が人)その後、このようにきれいに成形され・・・現在は、中古トラックの置き場となっている。面積は16,000㎡、土の量は48,000㎥。これだけなら NO PROBLEM だったが、問題はキョーレツな悪臭!屎尿臭とどぶの臭いと、化学臭がミックスされた臭い・・・鼻が曲がるどころか、息もできないほど。埋め立て地の上流からは、黒っぽい汚水がしみだし、流れ出し、側溝にたまる。側溝には濃紺の水が・・・。隣接する空き地は、ドロドロで、歩くのもはばかれる。
 残土産廃の専門家藤原寿和さんが「こんなひどい現場は見たことない!」と、悲しいお墨付き。再生土そのものも、どこで処理されたか、どういうルートで持ち込まれたか、届け出の書類を、額面どおりには到底受け取るわけにはいかない。

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 すぐ上部には民家が何軒もあり、住民の方たちは窓をあけることも、洗濯物を干すこともできない状況が続いている。
 9月議会では周辺住民の方から、環境改善を望む請願も出された。私は6月議会に引き続き、この問題を詳細に質問。悪臭の原因は再生土そのものにあるのではないか、再生土という肩書で、実質は産廃ではないか、と追求したが、佐倉市の見解は、もともと現地は田んぼだったので、そのときの有機物が腐敗して埋もれていたところ、再生土の埋め立て事業が始まり、掘り返されて悪臭が表面化したというもの。その後、「それら有機物が、再生土に含まれていたカルシウムイオンなどと反応し、アンモニアなどのガスが発生した」との見解も出された。
 質問した翌週には市長が現地視察し、至急、環境の改善を命じるなどスピーディーに対応。佐倉市の残土条例には再生土は原則、全面禁止という条項が入ることになった!しかし、住民が一番困っている悪臭の問題は依然として残っている。工場や作業所ではない埋立地の悪臭を取り締まる法律は無い。
 私は、佐倉市の環境保全条例の中に悪臭を発生し、排出し、又は飛散する場所の周辺の人々の多数が著しく不快に感ずると認められない程度に規制するという一文を見つけ出し、これで規制できないかと質問。これが功を奏し、どうやらこのくだりが、新条例に盛り込まれる見込みだ。
 市は、悪臭を抑える方法として、発生源の汚水を下水管に流し込む工事を予定している。
 しかし、こんな規模の埋め立ては、市ではなく千葉県の管轄だ。相変わらず腰の重い千葉県は、「こりゃあ、再生土ではなく産廃ではないか?!」と疑う佐倉市に対し、外見だけで「再生土に見えるから、これは再生土」と判断する。土壌検査をするというので、ボーリング調査を期待したが、ユンボで1メートルほど掘っただけ。底深くなんかが埋もれていても、分かるわけはないなぁ~と、半ば諦めていた。
 と、ここまでが10月までの状況だったが、10月末に事態が急変!なんと、県の土壌調査で、基準値以上の鉛とフッ素が出たので、産廃と認定し、全量撤去させるというではないか。
 やったー!と一時は喜んだ。だが、お立会い、これまで県が「全量撤去」を命じても、「はい、そうですか」と素直に応じる業者は皆無。これから、県と業者のイタチゴッコが始まる。最悪の場合は、県の代執行となる。つまり、私たちの税金で撤去するのだ。そうならないように願いつつ。


野鳥観察会に参加しました

大網白里市 平沼 勝男 

 2017年11月12日、船橋県民の森で実施されたフィールドワーク「都市に残された緑地と河川環境の野鳥」-身近な野鳥の不思議再発見-(主催:千葉県生物学会)に参加しました。
 この日は抜けるような青空、素晴らしい観察会日和でした。観察のコースは、最初は船橋県民の森の中を、次に外に出て近くを流れる二重川沿いの遊歩道をたどる全長5.2㎞のコースでした。私はちば環境情報センターに所属し、ずぶの素人ですが大の野鳥好き。今回の観察会に参加させていただいたのは、普段見ている地元の大網白里市や下大和田の鳥と、はたして違いがあるのか、そろそろ冬鳥たちが来ているのか、この日の講師である越川先生の専門的なお話が聞けること、などが理由でした。
 船橋県民の森は初めて行く場所でした。思っていたよりも周辺は緑地が多くて意外でした。公園内はとても広く、森に囲まれる形で運動広場やバーベキュー場・キャンプ場がありました。広場でボール遊びする親子、野外料理を楽しむ若い人たちを見かけました。その名の通り全体的に緑が豊富で自然公園の様相でした。コナラ・クヌギ・イヌシデなどが主体の雑木林、ヒノキや杉などが植林されたところもあり、植生は変化に富んでいました。下草も刈られ、歩く小路も整備されています。小路はそれほど人が多くはなく、野鳥観察には素晴らしい環境でした。

   

 歩き始めてわかりましたが、この日はあいにく鳥の出現は少ない日でした。ハシブトカラスやヒヨドリの鳴き声が聞こえますが鳥たちはなかなか姿を現してくれません。越川先生からタイムリーにヒヨドリの渡りについての説明がありました。鳥以外のお話も、この日は見られませんでしたが、ホソミオツネントンボとオツネントンボの違い、外来のムネアカハラビロカマキリが各地で見つかっているといった情報もありました。
 雑木林のゾーンに入りようやくヤマガラ、コガラ、シジュウカラ、エナガ、メジロの混群が現れました。しばらく双眼鏡で観察。ようやく観察会らしくなってきました。越川先生からエナガの中に頭部の白いタイプがいること、しかしそれはシマエナガとは異なること。シジュウカラの巣の特徴、警戒音についてのお話、衝撃的な黒化現象の写真も見せていただきました。メジロの舌の特徴なども面白かったです。それらの話に次第に引き込まれていきました。どの説明もラミネート加工された資料を用意してくださり、とても分かりやすくして頂いたのが良かったと思います。
 昼食後、船橋県民の森を出ました。あたりは農家の大きな家屋が目立ち、果樹園もあります。二重川は一級河川と聞いていましたが想像していたより細い川でしが、水は驚くほどきれいでした。遊歩道と言っても草丈が結構長く、歩きにくい道でした。周辺は開けた場所で、草むらが広がり、果樹園や林縁部にも接していました。そのためか遊歩道の散策では多くの鳥たちを見ることができました。川ではダイサギ、アオサギ、カワセミの姿を、ダイサギの足にはカラーリングが付いており、その説明をしていただきました。周辺ではジョウビタキ、ホオジロ、カワラヒワなどです。コースの最後に、上空高いところにオオタカとハイタカが現れました。オオタカにハイタカがモビングしているように見えました。その直後、やや離れてノスリも現れ、なんとほぼ同時に3種類の猛禽類を見る幸運に恵まれました。
 この日は鳥の出現が少ないと書きましたが、それを補うに余りある内容にしていただいたのは重ねて申しますが本日の講師である越川先生の資料を使ったご説明にあったと思います。特に印象に残ったのは最後に見せていただいたカワセミの羽の標本でした。なんでも数日前にこの観察会の下見に来た時に発見したカワセミの死骸を拾って、羽の標本をつくったとのこと。鳥の羽の色は構造色である、それは知っていましたが目のあたりにしたのは初めてです。角度によって色が違う。しかも色があるのは部分的であり、他の部分は地味な色でした。この羽たちの集合体であの美しいカワセミに姿になることが実に不思議でした。このような少人数の観察会はとても良いと思いました。説明を聞くにもわかりやすく、思い思いに質問をすることができ、他の参加者からも得意分野のお話を聞くこともできました。おかげさまで十分に満足できる観察会となりました。
 

世界初! 割り箸細工発案者 小池正孝氏&アート教室

ちば環境情報センター割り箸リサイクルプロジェクト 草加市 伊原 香奈子 

 「使い終わった割り箸がもったいない!」そんな思いをされる方も多いかと思います。
 私たちのように紙資源にリサイクルしたり、焚き付けや庭木の刺し棒に使ったりする人もいらっしゃることでしょう。
 でも使い終えた割り箸から、こんな素敵な芸術作品を考案される方は、“世界は広し”と言えども、千葉県四街道市に住んでいる小池正孝さん以外にはいらっしゃらないことでしょう!作り出されている作品は、どれも表面が作品寄せ木細工模様になっていて、見る人の誰をも、まちがいなく感動させてくれます。
 8年ほど前に、市長職の激務で倒れて以来、ご自分で作品を作るのは難しくなったものの、リハビリに励みながら、アート教室のお仲間にご自分の技術を伝え、今なお次々に作品が生み出されています。「水のない水族館」をつくりたいという小池さんの思いもあり、海の生物が作られることが多いですが、もちろん技術さえ取得すれば、ほかの作品も可能です。お仲間で、驚くほど繊細な龍を作られた方もいます。小池さんの考案された技術がたくさんの方に、しっかり受け継がれている様子を今回取材させていただき、新たな感動に包まれました。
   

 毎年、作品の展示会も開かれていますが、外部からの依頼にも応じているそうです。私たち「割り箸リサイクルプロジェクト」も、3作品ほどお借りして、イベントの出店時に、来客者に見てもらっています。
 今なお、作品は全て、捨てられる割り箸から作られています。日本人の「物を大切にする心」が、この素晴らしい芸術作品とともに、日本中に、そして世界中に広がっていくことを、切に願っています☆彡

  ~主な作品の展示先 ~毎年開催~
    ① 四街道駅 市民ギャラリー
       次回は2018年7/24-29で展示。
    ② 千葉市花の美術館
       3~5月頃。千葉県アマチュア美術展5月中旬。
    ③ 千葉ポートタワー1階
       常設2作品(年2回ほどギャラリー展示会も開催。
    ④ その他
       四街道駅コンコースや四街道社協まつりなど。

 割り箸回収ボランティア募集!

 千葉市ボランティアセンター(ハーモニープラザ)の割りばしを回収してくださる方を探しています。2か月に1回、集まった割りばしを箱詰めし(2~3箱くらいです)、ボランティアセンターから王子斎藤紙業さんへ(車で数分の距離)の搬入です。興味がある方はご連絡ください。     なかじまふみこ unescocook@yahoo.co.jp

      

2017年米作り報告

   ちば環境情報センター 千葉市緑区     網代 春男
 11月11日、千葉市農政センターで行った「もみすり」で今年の千葉市緑区下大和田での米作り作業の全工程を終了しました。
 収穫した籾の袋数が多く、作業時間が多くかかると予測され、例年より1時間早く集合、作業を始めました。いつものことですが「もみすり」は子ども達が熱中する作業で今年も大活躍してくれました。
 もみすり機からザァーと音を立てて籾を剥かれた玄米が流れ出てくる瞬間は一年の米作りの様々な場面が呼び覚まされ感慨も一入です。
 今年は長雨が続いたり、台風に見舞われたり、参加者が例年に比し少なかったことなど、気を揉む場面が多い年でしたが終わってみれば下表のとおり過去最多の収量となっていました。
 下大和田谷津田環境の維持、環境省も認める生物多用性を維持保全するためには田んぼの維持が最重要です。今年もたくさんの動植物が田んぼから育つことが出来ました。
 米作りに参加してくださった皆様、有り難うございました。子どもさんが自然の中で伸び伸びと遊び、学び、育つ環境が下大和田谷津田にはあります。
 来年は米作りや観察会にもっともっとたくさんの方々に参加していただきたいと願っています。
 もみすりに参加した小学生の中田こうき君から感想が寄せられましたので、以下に掲載いたします。
 

    もみすり     千葉市美浜区 小学3年 中田 こうき

 ぼくは、11月11日にのうせいセンターに行きました。さいしょは外でやっていたけど、とちゅうから雨がふってきて中でやりました。
 もみすりきの上からだっこくしたお米を入れました。一回目は米を入れるのがおそかったけど、二回目は米を入れるスピードがすごくはやかったです。いれるともみと米にわけられました。もみすりきは米を入れるとときどきつまるのでぼうでかき回しました。
 見ているのがおもしろかったので、ずっともみすりをやっていました。
                              

【発送お手伝いのお願い】

  ニュースレター2018年1月号(第246号)の発送を1月10日(水)10時から事務所にておこないます。 発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。 

編 集 後 記

 下大和田の谷津田に通うようになってもう20年以上になります。その頃はまだ農家の方が数件お米を作っていらっしゃいました。丁寧に手入れされた畦、メダカが群れる水路の美しさに思わず見とれたものです。地主さんの世代交代がはじまっています。誰がどう守っていくか、難しいけれど考えなければならない問題です。  mud-skipper