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ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第246号 

2018.1.10 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. お魚の話   -北海道の秋さけ-
  2. プラスチック汚染のシンプルな解決策
  3. 伐採面積150ha、東京ドーム32個分の広さのメガソーラー計画が!

お魚の話 -北海道の秋さけ-

大網白里市 平沼 勝男 

 「秋さけ」という魚はもちろんご存知ですね。学問上の名前(標準和名)はシロザケと言います。他に流通する主なさけ類にはベニサケ(アメリカ・ロシア産やや高級)、ギンサケ(チリ産、養殖、スーパーで普通に売られるようになりました)、これらはシロザケとは種類が異なります。
 シロザケは秋になると生まれた川に帰ってくる生態のため、河口付近で漁獲され、利用されてきました。そのため「秋さけ」と呼ばれています。かつては20万トンも漁獲され、荒巻鮭をはじめ、朝食の塩焼きの鮭、お弁当の食材として、最近ではサケフレークとして瓶詰に入ったりもします。卵はイクラや筋子として利用されていることもご存知ですね。何しろ縄文時代から利用されている日本人には最も重要な水産資源、それが秋さけです。
 2017年10月初旬、私は秋さけを見るために北海道の羅臼を訪ねました。やや内陸部にある中標津空港から車で2時間、知床半島を目指しました。ちょうど季節は紅葉の時期、広大な牧草地の風景と美しい紅葉が目を楽しませてくれました。
   
 次の日の朝、羅臼港にある市場に入りました。この時期は秋さけ漁の最盛期です。数年前にも来ましたが、その時は市場中に所狭しと水揚げされた秋さけの入ったタンクが並び、溢れんばかりでした。次々にセリが行われ、どんどんタンクが運び出されます。場内は運び出すトラックやフォークリフトが行きかい、買参人やその関係者、市場関係者が作業に追われてごったがえしていました。凄い場所にいると思ったものです。しかしその日は違いました。水揚げされる秋さけが少なく、値段も驚くほど高い。買参人はたくさんいますが高すぎて一部の人達しか買っていないようです。粛々とセリが行われている、そんな印象を受けました。
 それもそうです、羅臼では凶漁と言われた一昨年のわずか30%ほどしか水揚げしかありませんでした。この日上場された秋さけは150トン。数年前に来たときは500トンを超えていました。昨年、道内に水揚げされた秋さけの入札価格の平均はキロあたり1037円でした。一昨年は635円です。63%も価格が上昇してしまいました。一昨年の635円も我々水産関係者の常識からすると驚異的な高値でした。それが1000円を突破するとは想像を絶しています。イクラもキロあたり14000円もします。超高級食材になってしまいました。
 
   
 グラフをご覧ください。全国的に秋さけの水揚げ量は年々減っています。特に北海道の落ち込みは酷いです。以前は北海道だけで15万トンを越えていました。昨年に至ってはわずかに5万トンです。秋さけ漁業は今後どうなってしまうのでしょうか。今回の羅臼市場の視察で一番気になったのはセリの内容でした。買参人は40~50名がセリに参加していましたが、地元で大手と言われる2社で半分以上の秋さけをセリ落としていました。他の買参人は最低限の数量を分け合うように落としていました。私の想像ですが大半の人はこんな驚異的な価格の魚を買いたくない、資金的にも営業的にも。ただ工場を遊ばせるわけにいかないから買うしかない。もし売れ残れば大きな損になってしまいます。水揚げ減少に伴う悪弊です。
 過去を振り返ると、北海道の水産業は大きな過ちを繰り返してきました。起源を江戸時代にさかのぼるニシン漁。明治・大正から昭和にかけて盛んでした。食料としてはもちろんですが、肥料として大いに利用され(にしん粕)、中でも綿花の収穫量が増えたのは北前船で運ばれてくる北海道のニシンのおかげでした。かつて100万トンを超えていたニシンの漁獲量は1960年代に激減し、2016年にはわずかに7000トン。スケトウダラもかつては100万トン以上ありましたがこれも2016年には12万トンです。今や大半のスケトウダラはアメリカからの輸入品です。ホッケも急激に漁獲量を減らしています。かつては10万~20万トンあった漁獲量は2016年では1万7000トン。今我々が口にしているホッケはアメリカ産のシマホッケです。ホッケを食べるときに皮の方を見てください。縞模様が見えるはずです。
 
 秋さけが獲れなくなった原因ははっきりしませんが、温暖化の影響は大いにありそうです。
 帰りの道中に川に寄り、眺めていたら、ぼろぼろに傷ついたシロザケが懸命に川を昇る姿が見えました。この風景が永遠に続くことを願い、知床半島を後にしました。

プラスチック汚染のシンプルな解決策

グリーンピース・ジャパン  林 恵美 

 海がいま、プラスチック危機を迎えています。海に流れ出すプラスチックは、年間1270万トン(*1)。その影響をダイレクトに受けているのは、海の命です。ウミガメの1/3が、プラスチックを食べたことがあると考えられています(*2)。
 衝撃的なレポートも発表されています。このままのペースでプラスチックゴミを出し続ければ、2050年には、海には魚よりもプラスチックの方が多くなってしまう というのです(*3)。
 想像したくもないデストピアが現実的にありうる。そんなところまで私たちは来ています。
でも、解決の道は明らか、そしてシンプルです。今日、私たち自身の手で、使い捨てプラスチックをやめることができるからです。あなたや私、一人ひとりが、解決策になることができます。
 海に流れ出すプラスチックの8割が、レジ袋やストロー、コーヒーカップのフタなど、数分(時には数秒…)使われただけで捨てられる使い捨てのプラスチックだというデータもあります(*4)。

 

 エコバッグをカバンに入れておく。勇気を出して「ストローはいりません」と言ってみる。コーヒーショップでは店内用マグカップにしてもらって、テイクアウトならボトルを持参する。そんな私たちの小さなアクションこそが、この問題の解決策です!
 スーパーではエコポイントがつくし、コーヒーショップではボトル持参で値引きされることもあります。
 ためらうことは何もないはず!
 だから、提案があります。みんなで、2018年の抱負の一つを「使い捨てプラスチックをやめる」にしませんか? 何万人もの人が来年プラスチック・フリーをめざしたら、すごく大きなインパクトになると思うんです。あなたも今日、プラスチック・フリーをめざすことを宣言してください!
 来週、使い捨てプラスチックをなくすために簡単にできる習慣をメールでシェアします。
ぜひ参考にして、周りの人にも広めてくださいね。
 P.S. もちろん、なくてはならないプラスチック素材や、ずっと大切に使えるプラスチック製品もあります。例えば私のマイボトルのキャップはプラスチック製ですが、10年使っても丈夫で、まだまだ活躍してくれそうです。でも、レジ袋やストローなどの使い捨てプラスチックは、便利だけど必要のないもの。 2018年、一緒にプラスチック・フリーに挑戦しませんか?

  *1http://science.sciencemag.org/content/347/6223/768
  *2 http://www.huffingtonpost.com.au/2016/03/17/turtles-marine-plastic_n_9455496.html
  *3 https://www.ellenmacarthurfoundation.org/publications/the-new-plastics-economy-rethinking-the-future-of-plastics
  *4 http://sustainablecoastlines.org/

伐採面積150ha、東京ドーム32個分の広さのメガソーラー計画が!

鴨川メガーソーラー建設の中止を求める会事務局 今西 徳之 

 緑豊かな山々、変化に富んだ海岸線、澄んだ海は、私たち鴨川市民の心の故郷であり、当市を訪れる観光客にとってもかけがえのない宝でもあります。今、この大切な自然が壊されようとしています。
 鴨川市清澄山系の広大な山林を伐採(推計10万本)し、太陽光パネル50万枚(概算)を敷き詰める、日本最大級のメガソーラーが作られようとしているのです(事業面積は300町歩、東京ディズニーランドの3倍!)。計画予定地は、林野庁により「山地災害危険地区」に指定されている急峻な山林であり、開発されれば土砂災害、洪水誘発の恐れもあり、生態系の破壊や地域の農業、漁業に大きなダメージを与えると懸念されます。

 

 計画地の北に隣接する国有林には、千葉県の絶滅危惧種(最重要保護生物)にも指定されている「ヒメコマツ」2 個体が生育しています。房総丘陵の限られた地域でしか確認されておらず、環境の変化によって生存に及ぼす影響や、計画地内にヒメコマツがある可能性も否定できません。事業者が実施した環境調査でも、計画地内で「希少動物」の生息が確認されるなど、貴重な自然環境が残されている地域です。
 山林は土砂災害の防止、水源のかん養、良好な景観の形成、文化の伝承等、私たちが安全で快適な生活を送るために欠かすことのできない多面的機能と公益性をもっています。
 新たに山林を開発して建設するソーラー発電などというのはまったくの本末転倒であり、これでは再生不可能エネルギーです。現在、自然エネルギーの名の下、山林を開発するメガソーラー建設が日本各地で問題になっています。

        私たちは以下の理由から事業の中止を求めて署名活動に取り組んでいます。
  • 森林の大規模伐採で保水力が低下し,集中豪雨により土砂災害・洪水誘発の恐れがある。
  • 造成した土砂の流失等による河川の水質悪化によって、農業・漁業・観光業への悪影響の恐れがある。
  • 行き場を失った野生生物が農作物に被害をもたらす恐れがある。
  • 太陽光発電に対する法整備がなく、事業終了後に森林を復元し,自然環境を元に戻す保証もないので「広大なはげ山」が残される恐れがある。
  • これほどの山林を伐採し,造成するとどうなるのか、また50万枚(概算)のパネルによる影響など,前例がなく上記以外にも多大な影響があるのではないかと心配である。
 現在は林地開発許可申請の「事前協議」の段階です。自然環境保全協定の締結や経済産業省の認定、水路や河川の管理者との協議もまだです。
 私たちは昨年11月22日、手書き署名2571筆、ネット署名2330筆、合計4901筆を亀田郁夫市長に提出しました。ひと月ほどでこれだけの反対の声が上がっていることを市長も受け止めてくれると信じています。署名活動は引き続き続けていきます(詳しくはHPをご覧くださいhttp://kamogawa-ms.chu.jp/)。これからもさらに大きな流れを作っていきたいと思いますので、ご協力お願いします。

 活動資金のカンパにご協力ください。

  口座番号
  ゆうちょ銀行 ソーラーケンセツチュウシヲモトメルカイ
  他の金融機関からの場合 〇二九(ゼロニキユウ)店 当座0087368

【発送お手伝いのお願い】

 ニュースレター2018年2月号(第247号)の発送を2月7日(水)10時から事務所にておこないます。 発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。

編 集 後 記

 今年初めての谷津田の観察会。湧水に生えるセリや畦のミツバ、田んぼのタネツケバナをいただいて、七草粥をつくりました。野草のほろ苦さはスーパーで売っている野菜にはないもの。口の中に広がる香りは、今年2月で88歳になる母とセリを摘んだ幼い頃の景色を思い出させてくれます。  mud-skipper