ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第247号
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千葉県野鳥の会 市川市 蓮尾 純子
新浜とのかかわりは、1964年にさかのぼるので、もう半世紀をこえたことになります。1967年からは「新浜を守る会」として、そして1975年12月からは夫嘉彪(よしたけ)とともに千葉県行徳野鳥観察舎の住み込みの管理員として、年を重ねてきました。
これからしばらくの間、かつての新浜から現在に至るまでの様子を書く機会をいただきました。みなさま、どうぞよろしくおつきあいくださいますよう。
1月22日の大雪は思いのほかあっさりと消えかけて、見事な青空がひろがっています。北風が冷たく、これから冷え込んでくるのでしょう。
この冬はカモが少なくてぱっとしませんが、タカ類は多く、1月10日には「緑の国」で、なんと獲物にされてきれいに食べられてしまったハイタカの羽が見つかっています。下手人はオオタカか、もしかしてダークホースのノスリか。チュウヒやミサゴもよく見かけます。かつてはこれほど猛禽類を見ることはなかったのですけれど。
昨年からは純ボランティアとしてかかわり続けている行徳野鳥観察舎。耐震診断の結果を受けて、2015年12月28日から無期限休館中です。毎日曜・祝日の保護区の観察会をはじめ、行事のあれこれは継続しており、小学校等、団体のご案内もやっています。行事等の時はトイレを使わせてもらいますが、レクチャーはお天気がよければ戸外で。雨天時はあきらめるほかありません。
建物の解体工事は来年度にも行われるとのこと。しかし、更地にした後のことについては、千葉県と市川市が協議して進めるとは言われているものの、前進の気配が見えません。前市川市長の大久保博氏は、無期限休館後、いち早く観察舎の再開を県に要望され、任期を終える直前の昨年11月にも要望を繰り返されました。千葉県は、2016年6月に行政改革審議会によって観察舎を継続しないとの答申が出された以上、公共施設を再開することはできないという姿勢です。この答申に対して、全国から多数のパブリックコメントが出されましたが、回答は一律「これから市川市と跡地利用について協議を進めるに当たり、参考とさせていただきます」でした。
昨年11月26日、市川市の市長選が行われました。唯一「行徳野鳥観察舎の再建」を掲げた候補の方が、最高得票数だったことはとてもありがたいことでした。しかし、5名の候補者の中で有効票の4分の1に達した方がおられず、再選挙、更には不服申し立てが出され、再度の市長選は4月以降と言われています。市長さんが決まらないことには、県と市の協議も再開できないようです。
宙ぶらりんの立場の中、昨年に続き、今年も鳥インフルエンザの警戒レベルが3に上がりました。11月に島根県で発見されたコブハクチョウに続き、1月に香川県で鶏舎、同月に大田区のオオタカが高病原性と確定されたためです。野鳥病院では鴨類、カモメ類、一部の水鳥に次いで、猛禽類の受け入れも止められました。昨年の解除は5月、今年もそうなるのでしょうか。
行徳野鳥観察舎の存続は危うい状態にあります。行徳鳥獣保護区の管理運営と野鳥病院は継続と千葉県が明言した以上、完全に火が消えるわけではないでしょう。それでも、輪をひろげ、続けてゆくことができるのかどうか。
かつて江戸川と江戸川放水路に囲まれた一帯ぜんぶを指した呼び名「新浜(しんはま)」は、全域にひろがった水田や蓮田、湿地、アシ原という状態から、ほぼ全域が密集した住宅地に変わりました。それにもかかわらず、ほんの一角ではありますが、江戸川放水路の干潟と行徳保護区の一帯は自然の景観が育っています。タカ類の多さもそれを示すものと言えるかもしれません。希望を託したいところです。 (つづく)
<編集部より>今月号のニュースレターに、「行徳野鳥観察舎の再開と存続を求める」署名を同封いたしました。もしご賛同いただけるならば、お手数ですが、署名して(できればたくさんの方に署名していただいて)、署名簿にある送り先またはちば環境情報センター(〒260-0013千葉市中央区中央3-13-17)までお送りください。よろしくお願いいたします。 |
千葉市緑区 網代 春男
1月19日に下大和田の東屋の後の木にいる2頭の※ニホンリス(以下リス)を目撃しました。
リスについては濱中修さんが本誌に「千葉県に住む哺乳類」を連載、その8,9回(2015.9.7発行218号、2015.11.8発行220号)で解説していただきました。その中で、「かつてリスがたくさん住んでいた地域で絶滅が危惧されています。
九州では、リスが既に絶滅したようです。環境省は中国地方でのリスの絶滅を危惧しています。」と、そして、「1980年代までは千葉県全域で見られたリスのフィールドサインが千葉県北部では、最近、それが見つかりません。
リスは松林に住む動物で千葉県北部のアカマツ林が雑木林に替わって、松林が消失したのに伴ってリスもいなくなりました。」「当面は緑地公園などとしてリスが住める広いマツ林を千葉県北部に計画的に造成していくことが必要です」(要約)と述べられています。
こうした中で、今回、下大和田で姿を目撃したことは貴重なことと思いますので記録し、報告します。
生息確認記録
① 確認日時:2018年1月19日 11:41~11:43
② 確認場所:千葉県千葉市若葉区中野町(緑区下大和田町と接するところで便宜下大和田谷津と称しているところ)
③ 3次メッシュ:5340-22-82
④ 経度緯度:N35.6 E140.3
⑤ 標 高:53m
⑥ 確認方法:目視及び撮影
⑦ 確認状況:2頭が一緒に出現、地上には降りず樹上をつたわって西側へ消えた
⑧ 確認した環境:落葉広葉樹、スギ、サワラの混交林。50mくらい離れた所に貧弱だが実をつけているアカマツが2本ある
⑨ その他:食痕や巣、スギの樹皮はぎ痕は見つかっていない
⑩ 他の記録
・2014年4月5日 米作り「苗床作りと種まき」の日に1頭現れて複数の人で見た。
・日時不明だが2名で目視したことがあった
生息記録以上
リスの食物はマツ類の種子、オニグルミ、ブナ、クリの堅果、タンニンの少ないスダジイのどんぐりくらいということです。リスがドングリを食べている絵がよくありますが、タンニンを含むクヌギやコナラのどんぐりは食べないということです。下大和田の山林にクリは自生していますのでリスの食べられるものはクリだけという事になります。
溝ぐされ病で枯死したスギのあとにクヌギや、コナラが出てきて雑木林が形成されつつありますが積極的にクリを混ぜて育てることにより、当面リスの生息にほんの少しですが手助けになるのではないかと思い、具体化したいと思います。
※編集部より
ニュースレター211号から234号まで、「千葉県にすむ哺乳類」について投稿してくださった、哺乳類研究者の濱中修さんに写真での同定を依頼したところ、以下の回答をいただきましたので掲載いたします。
大網白里市 平沼 勝男
昨年暮れ12月24日、日曜日でしたがサバのおそらく年内最後の大漁漁獲があるとの情報があり、行って見ることにしました。場所は千葉県銚子市にある漁港です。銚子市には漁港が3つあります。
漁法の違いで分けています。私が向かったのは第二漁港。主にまき網物の水揚げがある港です。CEICの忘年会の次の日でしたが、眠たい目をこすりながら向かいました。日曜の朝、まだ静かな銚子市内を通り抜け、第二漁港に入るとそこは別世界でした。
360度すべてが荒々しい水産の世界でした。大きな魚船が何隻も岸壁に横付けされ、獲ったサバをトラックの荷台に降ろす作業をしていました。どの船もサバで満載でした。その日の漁獲物の資料を見ましたが、ほぼすべてがサバ。それを獲ってきたまき網船団の数は28。サバの数量は7,350トンというすごい量でした。漁場は茨城県鹿嶋沖。ここ銚子から船で2時間もあればいけるような距離です。
前日の17時から漁を開始しています。鮮度が良いサバであることがわかります。相当大きなサバの群れが茨城県沖に存在しているようです。その群れの一部を掠め獲り、私の目の前で水揚げしているのです。そして7,350トンのサバを捌く市場の機能がまさに働いています。
鮮度が落ちやすいサバはスピードと温度管理がとても重要です。市場関係者は皆きびきびと、間違うことなく働いていました。(次号に続く)
蘇我地区に計画中の石炭火力発電所で
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蘇我石炭火力発電所計画を考える会 代表 小西 由希子 |
【発送お手伝いのお願い】 ニュースレター2018年3月号(第248号)の発送を3月7日(水)10時から事務所にておこないます。 発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。 |
「蓮尾さんが中心になり、1967年に新浜を守る会がつくられた。この運動は全国最初の干潟保全運動だった」。これは第21回三番瀬円卓会議で、千葉の干潟を守る会の大浜清さんの発言です。その蓮尾さんが今月から新浜干潟保全の経緯や現状、問題点などについて執筆してくださることになりました。乞うご期待です。 mud-skipper