ちば環境情報センター
1999.7.6 発行    ニュースレター第24号
代表:小西由希子 

目次

  1. 〜国際環境会議を経験して〜 
  2. どうなる 三番瀬埋立て問題
  3. よみがえる上総掘り
  4. 若松台幼稚園の自然教室に参加して
  5. シンボルマーク「こだわってメダカって」とメダカ分布調査カード
  6. 第2回定例総会(6月6日)を終えて
  7. ホトケドジョウのバク

〜国際環境会議を経験して〜 

 地球環境行動会議(GEA) 星野 智子

 地球環境行動会議(GEA)と国連経済社会局(UNDESA)の共催による「グローバル・コモンズ世界環境会議'99」が6月3日から5日まで開催されました。会議は、モーリス・ストロング(地球サミットの事務局長)が議長を務め、ニティン・デサイ国連事務次長、クラウス・テプファー国連環境計画(UNEP)事務局長、マリッタ・コクベイザー国際自然保護連合(IUCN)事務局長ほか、国内外31名とGEAメンバーが参加しました。
 慢性疾患的な環境悪化が進行し、環境災害が増加している現状を、人類共有の財産(グローバル・コモンズ)が脅かされているとの視点に立って、国際的な共同の取組みが必要という認識のもとに、その具体的な方策を探求することを目的として、この会議は開催されました。
 会議では、グローバル・コモンズおよび地球安全保障を管理する環境と持続可能な開発のためのハイレベルな機構を検討すべきことや、革新的な資金メカニズムとしての「インターネット地球環境基金」構想等の検討を内容とする「グローバル・コモンズに関する東京宣言'99」を採択しました。
 私は事務局スタッフとして昨年10月より準備に関わり、国際機関や、地球環境問題に携わるトップレベルの方々の近くで仕事ができ、貴重な経験をしました。GEAは国会議員や、企業のリーダー、学者から成り、また、8省庁の協力を得て活動をしています。このようなパートナーシップの成果としても今回の会議が成功裡に終わったことは、これからのどんな活動にも参考になると学んだ気がします。自分も未来と足元の両方を見据えてこれからも活動に励もうと思います。
 グローバル・コモンズとは
グローバル・コモンズ(地球共有財)には、大気圏、大気圏外宇宙、国家の管轄圏外にある海洋およびそれに関連した環境、人類の生命を支えるのに寄与している自然の生命維持システムなどが含まれる。


どうなる 三番瀬埋立て問題

千葉市美浜区 佐々木 典子

6月9日、県は当初計画の1/7以下の101ha(船橋側11haと市川側90ha)に縮小する見直し案を発表した。この案に対して環境庁は、全面的な再検討を求めている。@埋立面積のさらなる縮小,A第2湾岸の地下トンネル方式の検討,B人工干潟の規模を最小限にするという3点だ。また政治団体や市民団体の反応も「評価する」「見直し」「白紙撤回を求める」と様々だ。
6月15日、市川側,猫実川の河口に立ってみた(このあたりは、公園,街づくり支援予定地となっている)。ヘドロ化しているようにも見えるが、ものすごい数の稚魚たちがすばしこく動き回り、小さなカニ達もたくさんいる。そして、スズガモの貴重な餌となる泥地を好むホトトギスガイもたくさんいるらしい。下水処理場予定地となっている護岸の真下は、小さな航路を作ったり、下水処理水の長年の流入などの人為的な負荷により、不自然な深さがあり、不法係留のヨットが、浮かんでいる。階段護岸に沿って沖へと進むと、砂地の干潟が拡がっていて、どこからこんなに大勢集まったのかと思うほど、家族連れやプロっぽい人々が、アサリを掘っている。
干潟保全の流れは全国的に進んではいるが、三番瀬は計画中止ということで終わらせてはいけない。そこから干潟の本来あるべき姿を求める市民の力,行政の姿勢が問われている。


よみがえる上総掘り

八千代市 山田 治

今から30年余り昔、私が小学生だったころ学校に行く途中に水の湧き出ている井戸が田んぼの中や、民家の前にあった。夏の暑い帰り道にこの冷たい水を飲んだものだった。家で、井戸を掘ってもらったことがあった。掘る場所にやぐらを組み、水車のような車を立て、スコップで穴を掘り、泥水を入れ、その中をノミを付けた竹ひごを使って職人さんが突ついて掘っていくのだ。そして、竹ひごをどんどんつなげて、何百メートルも深く掘ったらしい。水車のような車は、この竹ひごを巻き付けるためのひご巻き車だったのだ。何百メートルも掘ると、水が自噴してくる。家で掘ってもらった井戸は自噴する井戸ではなかったが。子供の頃よく見かけた湧き出ていた井戸はみなこのようにして掘ったようだ。この井戸掘りの技術を「上総掘り」ということを知ったのは、高校に入ってからであった。地理の先生が「久留里のほうには上総掘りという素晴らしい井戸掘りの技術があるのだ」と。
  上総地方に突掘りによる井戸掘りの技術が伝わったのは、19世紀初めの頃で、これを改良し竹ひごや鉄管などを使い考案開発したのが、君津市俵田出身の大村安之助である。明治15年頃、干害にみまわれるなど慢性的な水不足に悩む農民のために考えたそうだ。その後、戦前までは石油井戸や温泉の掘削などに広く使われていたが、現在は、動力機によるボーリングに押され急速にすたれ、井戸掘り師は数えるほどしかいなくなってしまった。
  この上総掘りが再び脚光を浴びるようになったのは、民族文化の記録映画を数多く手がけていた映画プロデューサー諸岡青人が、地域に伝わる道具の撮影で木更津市の県立上総博物館を訪れ、井戸掘り師の近藤晴次と出会ったことに始まる。諸岡は約10ヶ月かけて上総掘りの行程を撮影したが、これを映画にするのに資金がなかった。このとき、この資金を工面しようと奔走したのが当時袖ヶ浦町(現袖ヶ浦市)の町議だった私の父山田吉彦だった。映画は1982年に完成した。この映画をある研究者が見たことことから水不足に悩むフィリピンミンダナオ島で上総掘りで井戸を掘る話が持ち上がった。そこで上総掘りの技術を生かして島民に豊かな飲み水をとの目的で「アジア井戸ばた会」が結成され、山田が初代会長となった。会ではこれまでにインドネシア、ジャワ島、フィリピンネグロス島など海外に十数本の井戸を掘った。また、上総掘り発祥の地では、「すばらしい先人の知恵である上総掘りを後世に伝えると共に、悪水と水不足に悩む東南アジアの人々に、資金のかからない手作業の工夫を伝授し、彼らが彼ら自身の手できれいな水が得られるように」と「上総掘りを伝える会」(会長山田吉彦 )が発足した。会では井戸掘り体験実習や海外から研修生を招いて技術の伝授も行っている。
  このように、日本ではもはや使われなくなった上総掘りが、海を越えて東南アジアの国々でよみがえろうとしています。上総掘りの道具などは、袖ヶ浦市郷土博物館および木更津市の県立上総博物館に展示されています。


若松台幼稚園の自然教室に参加して

四街道市 牧之段 昌子

「はーい、みなさん、草の上に寝てみてください!」。自然教室のスタッフの方に言われ、初めての経験に子供たちはちょっと不安そうに、シートを広げて寝ていました。
 私は、子供の頃を思い出し、チクチクするかなぁと思いながら、草の上にじかに寝るとまったくそんなことなく、大地が私を受け入れてくれたような、とっても良い気持ちでした。土の冷たさとなつかしい草のにおいに包まれながら目を開けると、木漏れ日のキラキラとした光りの美しさ、本当に素晴らしかったです。
 こんな近くに自然の宝物があるとは知らないで、何年も(幼稚園へ通ってかれこれ6年目…)過ごしてきました。今、教えてくださったスタッフのみなさんに、深く感謝しています。ありがとうございました。

 はっぱのおねえさんへ
かわいいねじりそうをおしえてくれて、ありがとう。いえのまえのおばさんのしばふに、いっぱいでていました。おともだちに、なまえをおしえてあげました。もらってかえって、いえのにわにおとうさんおうえました。とてもたのしみです。
               まきのだん ふみえ


「こだわってメダカって」のシンボルマークと
メダカ分布調査カードができました

 シンボルマークは
川崎市在住の会員、松下優子さんがデザインしました。
これから
ちば環境情報センター(CEIC)の
メダカに関するイベントのシンボルマークになります。
お見知りおきください。

【こだわってメダカってカードとは】
このカードは、1999年2月18日に環境庁がレッドリストで絶滅危惧U類指定したメダカの、千葉県における分布状況を調べるためのものです。できるだけ多くの人にこのカードを野外にもっていって記入してもらい、それを集計して千葉県メダカ分布地図「こだわってメダカってマップ」を作成する、という目的で作られています。
 学校や地域社会における環境学習などでも使えるように、調査場所の環境や気がついたことなども記入できるようになっています。用語などは、小学生でもわかるように、できるだけ易しいものを使っています。また、野外での携行性を考えB6サイズになっています。
 裏面ではメダカとメダカによく似た魚類を区別できるように、区別ポイントを解説してあります。
【調査にご協力を】
 この調査に協力していただける場合は、カードをお送りしますので、下の連絡先までお申し込みください。カードの返送も下記にお願いいたします(FAX可)。なお協力していただいた方には、調査結果をまとめた「こだわってメダカってマップ」を送らせていただきます。
【連絡先・カード送付先】ちば環境情報センター 田中 正彦
             〒285-0025 佐倉市鏑木町 981−1−1703
                   TEL&FAX: 043-483-0027 、E-mail: QYK16306@nifty.ne.jp


カードの裏には「メダカの見分け方」がありますよ。


第2回定例総会(6月6日)を終えて

千葉市花見川区 伊原 香奈子

会が発足して2年半を経た今、会員数は193人に増え、環境活動の情報センターとしての機能がより充実してきました。ここまでの規模に発展してこられたのも、皆様のお力添えと、環境問題に対する関心の高まりがあったからと再認識致しました。
 会員による実践活動が増え、外部講師等の依頼も多くなり、着実に実績を積んできました。しかし活動の担い手を一部の会員に頼るところも多く、今後の課題ともなっています。 諸事情により、6月中旬事務所が千葉市文化センタービルのすぐ近くに移転しました。今後は事務局機能のいっそうの充実が必至となります。会員による主体的な活動の展開とともに、今年度も大きな転換を迎える年となることでしょう。
 総会に参加された方からの積極的な意見により、伸ばす点は伸ばし、直す点は直し、皆様の力を借りながら『ちば環境情報センター』は今後も前向きに進んでいきたいと思います。
 午後は、運営委員でもある、日本生態系協会 赤井裕氏による特別講演でした。子どもや市民から、環境意識を引き出す必要性、方法、それを持続させるための組織作り等を、進んだ海外事例を挙げながら解りやすく説明してくださいました。環境教育推進の必要性を再認識でき、今後の実践へのエネルギーともなりました。
 なお当日の資料をご希望の方は、資料代500円と送料200円、計700円分の切手を添えてお申し込み下さい。


ホトケドジョウのバク

川崎市 松下 優子

4月3日以来、我が家ではホトケドジョウを飼っています。ホトケの名前はバク。なんでバクかというと、バクバクいろんなものを食べるからです。意外と思うかもしれませんが、『ほとけ』のような温厚な顔をしておきながら、メダカやスジエビを追い払ったり、シマドジョウを蹴散らしたりと案外乱暴者。5月の初めにはせかっく作った浅瀬にぐいぐい入り込んできて、バシャバシャ暴れていていました。「本当に君は絶滅危惧TB類に指定された生物なの?」と聞いてやったけど、口に入りきらないミルワームを半分だしておとぼけ顔。
 しかし、数週間して暴れていた理由がわかりました。浅瀬にバクの赤ちゃんを見つけたのです。ふと考えると、谷津田ではホトケが安全な浅瀬を求めて田んぼに入り、産卵をする時期。そして自分たちはまた小川へ帰る・・・。水槽という小さな空間でも、バクは同じ行動をとっていたのです。感動と同時に土水路と田んぼとが行き来できる谷津田がどんなに大切なことかを教えられました。
 このバクの故郷は長生郡長柄町刑部(おさかべ)の谷津田。ホトケの天国で、今は田んぼには子ホトケ、小川には親ホトケがいて、ドジョウ鍋が何十杯も出来るくらい生息しています。しかしこんなのどかな谷津田を縦断する農道の計画があります。もう既に湧き水を支える山の頂上は削られており、今後は田んぼに盛土をして道路を通すのだそうです。本当にこの道路は必要なのでしょうか?農協と集落を結ぶ道路であると役場は説明していますが、道路の向こうにはゴルフ場しかないのです。何があったのか知りませんが、バクの故郷、どうなってしまうのでしょうか。


お知らせ
お母さんのための環境ホルモン講座
子育て真っ最中のおかあさんのために
解りやすく生活に役に立つ環境ホルモン講座を開きます
・環境ホルモンてなに?
・どんなものにはいっているの?
・その影響は? 学習障害児 ぜんそく あとぴー
・今の生活をどのようにすればいいの?
子ども達や家族にすぐに役立つ情報いっぱいです。是非参加して下さい。
いつ?   7月17 日(土)
どこで? 四街道市和良比自治会館(JR四街道駅南口徒歩10分)
時間?    9:30から11:30
参加費?  300円(資料代)
講師   南川忠男(環境庁環境カウンセラー)
主催 ちば環境情報センター 申し込み 043-433-0987 古川
前号のニュースレター23号でお伝えした君津の産業廃棄物処理場の見学会は、君津市婦人のつどい環境分科会の主催でおこなわれました。
私も参加し皆さんにお伝えしたかったので載せてもらいました。私達のゴミの行方を知ってほしかったので。その後どうなったかもお知らせしようと思います。(長)

編集後記

新事務所の電話番号が決まりました。      電話番号:043−223−7807 
このホームページの「ちば環境情報センターのご案内」に新事務所への地図が掲載されています。お気軽にお立ち寄りください!

  (まさ)

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