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ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第252号 

2018.7.6 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. ~環境配慮重視の企業訪問~ イオンモール幕張新都心
  2. 新浜(しんはま)の話  6   「探鳥会で」
  3. 三泊四日の台湾の旅報告 3 「台湾で出会った鳥」後編
  4. フィールドワーク「新浜湖のベントス調査」報告
   

~環境配慮重視の企業訪問~ イオンモール幕張新都心

埼玉県草加市 伊原 香奈子 

 千葉市美浜区のJR海浜幕張駅と新習志野の間ある全長1.5㎞にも及ぶ、国内第3位の巨大ショッピングセンター「イオンモール幕張新都心」。皆さんの中には、すでに何回も足を運んだ方もいらっしゃるのではないでしょうか?
イオン(株)といえば、環境配慮型の企業として大変有名です。そのグループ会社であるイオンモール(株)も、実に様々な工夫がなされていました。
 館内のLED照明、太陽光発電、雨水や排水の有効利用、電気自動車用充電サービス、壁面緑化などは、すでに当たり前のように設置されていました。ごみの分別も11種類以上に細かく分類され、それぞれの業者がリサイクル品として引き取っていく流れもしっかり整っていました(リサイクル率80%)。
 360店舗もの専門店が入っているイオンモールで、大勢の従業員に、ごみの分別を周知徹底させるのは、とても大変なことですが、ここでは、新人研修などで、徹底した分別研修が行われているそうです。また、店舗ごとに毎回ゴミの計量がしっかり行われ、きちんと分けられていないと指導し直したりすることもあるそうです。

   

 大量のゴミが集まってくるバックヤードでは、指導員が常時配置されていて、従業員が安全に分別できるよう、また、きちんと仕分けられているか、目を配っていました。リサイクルスペースでは、品ごとに大きな表示とカートが置かれ、仕分けやすくなっており、英語、韓国語などでも記されていて、外国人従業員への配慮も感じました。また、ごみや油かすなどは、冷房付きの換気室で管理され、悪臭の出ない工夫がされていました(写真1)。
 イオンモールの店内でも、来店時に気軽にリサイクルに協力できる工夫がされていました。ペットボトル(5本)や牛乳パック(10枚)、古紙(1㎏)などを持ち込めば、量に応じてポイントが付き、お店のお買い物時にお金の代わりとして使うこともできるのです。グランドモールとファミリーモールの1階に設置されているので、皆さんも、家庭で集めた資源を持ち込んで、楽しくリサイクル参加してはいかがでしょう。
 他にも、発泡スチロールやペットボトルのふたの回収、期間限定ですが、古着のリサイクル(ポイント付き)にも取り組んでいるようです。日常生活で使い終わったものを、資源として活かしていける循環の輪を、企業が工夫を凝らして後押ししてくれていることを、大変嬉しく思いました(写真2)。
 これほどの大型商業施設で、徹底分別のリサイクルに取り組んだり、LEED認証(建築物の環境性能を評価する認証制度)を取得したり、環境に配慮したオプションを付けることは、当然多額のコストもかかってきます。しかし、たとえ費用がかさんでも、それらをきちんと配備し、データー化して「これだけのことをやっています」とアピールしていかないと、今や、なかなか評価されない時代になってきているようです。たくさんの多角的な取り組みを試みることで、日本のみならず、海外からも評価されながら、さらなる高みを目指していく…。そんな企業姿勢を強く感じました。

新浜(しんはま)の話 6 「探鳥会で」

千葉県野鳥の会 市川市 蓮尾 純子

 1964年6月、宮内庁新浜鴨場のサギのコロニー見学会で、忘れ得ぬ鳥との衝撃的な出会いをした後、日本野鳥の会東京支部に入会した私は、あちこちの探鳥会に参加させていただきました。母が津田沼にあった国鉄(現在のJR)の診療所 の医師をしていた関係で、交通費が家族割引でとても安く済んだことも、せっせと出かけられたことにつながっていたのでしょう。同じく熱心に探鳥会に通って いた当時高校生の木藤(現四宮)楡里、楡里ちゃんの後輩の北元(現鈴木)裕子 とは、生涯の親友になっています。
 探鳥会では、年齢や立場による区別はいっさいありませんでした。大ベテランの高野伸二さんをはじめ、川田潤さん、清水徹男さん、引藤百合太郎さん、土川平次郎さん、山崎喜美子さん、西崎敏男さんといった両親や学校の先生方くらいか、もっと年長の方々が、私たちのような初心者の高校生を対等に扱ってくださったのです。鳥の魅力はもちろんですが、こうした探鳥会の雰囲気も、鳥にのめりこんだ理由と思います。
 手賀沼に行った時のこと。高野伸二さんが常磐線の北小金の駅を出たあたりで、「ほら、あそこの田んぼで、ケリが巣を作ったんだよ」と教えてくださいました。ケリは愛知県以西ではふつうに繁殖していますが、関東での巣作りは稀です。今はぜんぶが住宅地ですが、当時は斜面と谷津田がひろがっていました。北小金を通るたびに、その時のことを思い出します。
 楡里ちゃんは、お父様の木藤幸雄さんといっしょに探鳥会に来ておられました。後に東京支部の支部長をされた方ですが、印刷会社を経営されていて、新浜を守る会時代にもいろいろとお世話になりました。明治神宮、高尾山、多磨霊園、多摩川、上総一ノ宮、酒匂川、東京湾横断フェリー等々。日帰り探鳥会だけでなく、三宅島や軽井沢、伊豆沼といった泊りがけのものもありました。
 ひと足先に大学受験を控えた楡里ちゃんにかわって、裕子さんが相棒。ふたりが「親分」として慕っていたのは、保育園の先生だった竹下(現柳澤)かほるさん。最近何年か、裕子さんが中心となった植物班の指導者としてご自宅の入間市から行徳に通っておられます。
 熱心に探鳥会に出ているうちに、新浜に通って鳥の数をかぞえていた若手社会人の方々のお仲間に、みそっかすとして入れていただくようになりました。
 柳澤紀夫・広居忠量・故熱海浩・宇山大樹・今野紀昭といった中心メンバーが、塚本洋三さんに叩き込まれたシギ・チドリの識別方法を駆使して、毎週から隔週の日曜ごとに、3コースにわかれて新浜全域のシギ・チドリを中心に数をかぞえておられました。数百羽どころか、時には千羽をこすようなシギ・チドリの群れを、種類を見分けながら端から数えて行くのはたいへんなことです。それでも、ひよっこの私たちも、声に出して言われた種類と数を記録して行くことはで きます。識別の鬼のような先輩方にしごき抜かれたおかげで、今でも鳥を見ればともかく数をかぞえるというのが習い性になりました。
 3つのコースとは、本八幡駅からバスで行徳橋南詰に出て、江戸川放水路から丸浜養魚場までの放水路コース、新小岩駅からバスで浦安橋東詰に出て、境川から埋立地をまわり、丸浜養魚場に出る囲みコース、同じく浦安橋東詰から、境川(または江戸川本流沿い)と浦安の埋立地(通称「新大陸」)をまわる本流コースです。おおむねさいごは丸浜養魚場で集まり、本八幡駅前にあった不二家さんに寄って、その日の集計をすることが多かったと思います。

三泊四日の台湾の旅報告 3「台湾で出会った鳥」後編

大網白里市 平沼 勝男 

 チョウの捕獲は得意です。日頃から谷津田で捕虫網を使っていますから。気温が低くあまりチョウが飛ばなかった初日でさえ短時間で多くのチョウを捕獲して周囲の人を驚かせました。さっさとチョウにマーキングをして、私は鳥の撮影に専念することにしました。チョウを捕獲している最中に、ちょくちょく上空に現れる猛禽類に気が気でなかったからです。皆から少し離れて三脚をセット。数分で猛禽があらわれました。カンムリワシです。
 日本では沖縄地方の南部の島々でしか見ることができない鳥です。私にとって憧れの鳥です。この鳥を見るためにわざわざ台湾へ来たと言っても過言ではありません。撮影成功。見慣れぬ小型の猛禽類が突如現れました。大きさからしてハイタカと思いました。しかし尾羽の付け根の両脇に何やら白い羽毛のようなものが付いています。後で調べたら日本にはいない鳥で、Accpiter trivirgatusのようです。和名はないようです。

   

 東南アジアからインドにかけて生息している小型の猛禽類でした。やはりハイタカの仲間です。他にも、撮影した写真から日本に帰った後に気が付いたのがハチクマという猛禽類でした。撮影時はカンムリワシだと思っていました。この鳥はその名の通りハチの巣を襲ってハチの幼虫を食べる独特の生態を持つ鳥です。日本には夏鳥として現れます。これも始めて見ることができました。
 トビも現われました。これも猛禽類です。ということで、じつに今回の台湾滞在中に5種類の猛禽類の撮影に成功しました。出発前はカンムリワシの撮影ができれば良い程度で思っていたので大収穫でした。猛禽類の他にも台湾ならではの美しい鳥を見ることができました。宿の近くの森を始め至るところで出会えたこれらの鳥は日本では見られないものばかりで、鳥好きの私を大いに楽しませてくれました。
 種類の豊富さ、それぞれの鳥の美しさ、華麗な鳴き声、どれも新鮮な驚きがあり、興味が尽きませんでした。(これらの写真は網代春男氏の撮影したものをお借りしました。)

 

-小林村の惨劇-
 地元の人から、ここから小林村は近いです、という話を何度か聞きました。初めは何のことかわからなかったのですが、大雨のせいで巨大な崖崩れを起こし、麓の村のすべて飲み込んでしまったというのです。確かに何年か前のニュースが頭をよぎりました、記憶では台湾であったことも忘れていました。
 この原稿を書くにあたり、そのことも載せたいと思い調べてみました。クマタカを撮影した多能村。荒々しい渓谷でした。山は険峻で谷は深い。スケールが大きく迫力がありました。ここから北へ直進すること約50㎞、かつて小林村(行政上は小林里)がありました。写真で見る限りでは景観は多納の渓谷とよく似ています。
 2009年8月、台風8号が台湾南部を襲い次々と記録的な豪雨を各地に降らせました。小林村では6日間で総雨量3000mmを超えたそうです。そして幅800メートルにわたり地下の岩盤から崩れる巨大崖崩れが発生、これを深層崩壊と呼ぶそうです。その莫大な量の土砂は一気に麓の小林村を襲い、村ごと地の底に埋めてしまいました。400名以上の命が奪われました。今でも犠牲者は掘り出すこともできず、地下に眠っています。
 最近日本でも毎年集中豪雨が発生し、各地に被害を持たらしています。雨量が2000ミリを超えると日本でも深層崩壊の発生の可能性があるそうです。海水温が高くなり集中豪雨が発生しやすいと言われる昨今。小林村のこの惨劇は他人事ではありません。

フィールドワーク「新浜湖のベントス調査」報告

八千代市 福士 融 

 2018年5月27日、淡水から汽水そして海水環境が再生されている行徳鳥獣保護区内の新浜湖を会場にした干潟生物調査の研修会で、千葉西高校のサイエンス同好会の生徒さん(5人)や千葉高の卒業生(海洋大在学)も参加しました。行徳野鳥観察舎友の会主催のフィールドミュージアム「干潟生物調査」との合同開催のため親子連れの参加者も多く、講師の風呂田氏が子供たちにも楽しく分かりやすい解説をされていました。普段あまり干潟の生物に触れる機会の少ない会員の参加者にとっても内容の濃い研修会になったと思います。

 

 まず友の会(野長瀬氏)が埋め立て前の東京湾奥や行徳鳥獣保護区と新浜湖の成り立ちなど写真パネルを使って解説、調査用の道具(シャベル,ざる,不織布の袋など)が配られて保護区内に移動。保護区に入ったとたんにトビハゼが跳ね、カワアイ(巻貝)とヤマトオサガニがびっしりの水辺を眺め、クロベンケイガニがごそごそ動き、ハゼの仲間が素早く身を隠す流水をまたぎながら奥の調査地に向かいました。
 生き物探しが一段落したころ、砂泥中の生き物を定量的に調査するための枠取り作業です。毎回ほぼ同じ場所を調査するようにあらかじめヨシ原から水辺まで5か所のラインが決められており、そのラインに沿って起点(ヨシ原内の杭)から海水中まで5メートルごとに25㎝四方の枠を設けて各々約10㎝の深さまで砂泥を掬い取り、細かなメッシュ(1mm×1mm?)の袋に入れて、海水中で砂泥をふるって持ち帰ります。砂泥中にカキ殻があったりして砂泥掘りは重労働ですが、講師の風呂田氏ご本人が奮闘されていました。

        午前の部はここまでで、観察舎のあるところまで戻り、午後の部は皆が集めてきた生き物の集計です。貝やその他のベントスについて一種ずつ風呂田氏が種名を確認してその種の特性など解説を加えます。トビハゼやボラなど魚については田中正彦さんの出番です。元気なトビハゼのお腹を観察するのは難しいため、トビハゼに麻酔をかけてオスとメスの見分け方(泌尿生殖突起の先端が雌は平らで、雄はとがっている)を伝授してくれました。
 集計で特徴的なのはどの種が何匹集まったかだけではなく、参加者のうち何人が現地で確認しているか手を挙げてもらって調べます。その両方の数字から生息数を推計するのだそうです。
   
 というわけで確認されたベントスや魚類は以下の通りです。

クロベンケイガニ,コメツキガニ,チゴガニ,アシハラガニ,チチュウカイミドリガニ,マメコブシガニ,ユビナガスジエビ,ハサミシャコエビ,アナジャコ,ヨコエビの一種,タテジマフジツボ,オキシジミ,アサリ,マガキ,ヒメコザラ,ウネナシトマヤガイ,カワアイ,ホソウミニナ,アラムシロ,タマキビガイ,チロリゴカイ,ミズヒキゴカイ,ヒラムシ,トビハゼ,マハゼ,チチブ,ボラ,ニクハゼ,ニホンウナギ

 番外として海藻のオゴノリもほぼ全員が確認していましたが、子供たちを含めて大勢の目があると想像以上に色々な種が見つかってすごいと感じました。
 枠取りした砂泥中の生物のソーティング作業がまだ残っていますが、ここまで集計されたところでフィールドワークは一旦終了です。ソーティング作業はスタッフや有志が残ってやるとのことですが、我々もここで解散しました。暑い1日で講師の風呂田氏始め参加者の皆さんお疲れさまでした。


【発送お手伝いのお願い】

ニュースレター2018年8月号(第253号)の発送を8月6日(月)10時から事務所にておこないます。 発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。

編 集 後 記

 事業活動を通して環境保全に貢献しているパタゴニアが主催する、草の根活動家のためのツール会議に参加した。今回は特に「気候変動」にテーマを絞って、ソーラーシェエアリングや市民発電所などの再エネと石炭火力発電所問題で活動する仲間の交流だった。投資家への手紙など、効果的な戦略へのヒントをいただいた。  mud-skipper♀