ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第274号
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種子を守る千葉県条例制定を求める実行委員会 実行委員長 並木 道代
「主要農作物種子法(種子法)」は、米・麦・大豆の優良な種子を農家に安定的に供給できるよう1952年に作られた法律です。農業を守り私たちの食料を守ってきた種子法が、2018年4月1日に国会での審議も不十分なまま廃止されました。廃止の理由は「役割を終えた」「民間と連携し国際競争力をつけるべき」というもので、民間業者の参入を促す目的があると考えられます。これまで各都道府県において優良な品種を改良・開発してきたものが失われていく危険性は計り知れず、生産者、消費者ともに影響を受けるに違いありません。
種子法の廃止を受け、いち早く条例を制定したのが新潟県・兵庫県・埼玉県で、その後も各道府県で条例の制定がされています。千葉県は「要項」という形で種子行政を継続していくという姿勢でしたが、内部規定で簡単に廃止できる「要項」ではなく、議会の審議を経て決議し「条例」という形でしっかり種子を守ってほしい、という思いから2018年10月に「種子を守る千葉県条例制定を求める実行委員会(タネちば)」を発足しました。
「タネちば」は、県内2つの生協、社会福祉法人、生産者、市民団体を運営メンバーとし、活動を行っています。公開学習会やWEBサイトでの働きかけから主旨に賛同し、実行委員会に所属するメンバーは80人となっています。
実行委員会の活動として講演会、学習会、議員へのアンケート活動、千葉県水田利用研究所視察等を行い、リーフレットの配布やホームページでの呼びかけ、条例案の策定などを通して条例の制定をアピールしてきました。千葉県は全国4位の農業県であり、農業従事者はもとより県民の食料を守っていく「種子条例」は必須と考えられるからです。
このような活動が功を奏してか、この度千葉県において「(仮称)千葉県主要農作物等種子条例」が制定されようという動きがあり、パブリックコメントが募集されました(2020年5/17〆切)。私たち「タネちば」からも「条例制定への賛同」、「落花生が条例に加わることへの賛同」等のパブリックコメントを提出しましたが、同時に要望書として「条例の制定にあたり消費者の視点も加えること」、「目的に県民の食料供給の安定をはかり健康や安全保障に資する事を記載すること」、「優良種子の安定供給を図る事を強化すること」等を提出しました。
いま、新型コロナウィルスの感染拡大により世界情勢は大きく変わってきています。パンデミック状況の中で食料の輸出規制を実施する国も多くなっていくなか、食料自給率37%(カロリーベース)という低さの日本にとって憂慮すべき状況です。自分たちの手で地域の農業を守り食料を守ることが、いま求められています。今年の秋にも千葉県で種子条例が制定されようとしています。ぜひ、多くの皆さんに関心を持っていただき、より良い条例が制定されるようたくさんの声を行政に届けていきましょう!!
ちば環境情報センター代表 小西 由希子
ニュースレター272号,283号におきまして、トリチウム汚染水の問題を取り上げさせていただきました。現在、経済産業省において、多核種除去設備(ALPS)等で浄化処理した水の取り扱いについて、意見募集が行われておりますのでご紹介いたします。ぜひ意見を送ってください。(6月15日(月)締め切り)詳しくは経済産業省のウェブサイト「多核種除去設備等処理水の取扱いに係る関係者の御意見を伺う場
及び 書面による御意見の募集について」を参照ください。
なお、国際環境NGO FoE Japanのホームページに詳しく解説がありますのでよろしかったら参考にしてください。https://www.foejapan.org/energy/fukushima/200407.html#method
3月以降、新型コロナウイルス感染防止のため人が集まっての活動はすべて中止しました。その中で谷津田の維持のため最小限のことをスタッフで行ってきました。緊急事態宣言が解除され千葉市、千葉県の感染状況から6月以降は感染防止対策を講じながら、会員主体の自主参加で年間行事予定に従って行うこととしました。
小山町の2つの小学校の学校田んぼの活動も中止してきました。今後の活動については学校と協議して対処することになります。学校田んぼの記事の部分はニュースレターとは別個に作成して学校関係者に配布することになりました。
<谷津田観察会とゴミ拾い>毎月第1日曜日実施
3月1日(第242回),4月5日(第243回),5月3日(第244回)
集まっての観察会は中止しました。担当スタッフにより動植物の出現記録のみ取りました。今はウグイス、ホオジロ、オオヨシキリ、ホトトギスに加えキビタキが美しい声を響かせています。6月に入っても留まっていますので繁殖を期待しています。一昨年かけた巣箱のひとつでシジュウカラが繁殖しました。林縁ではヤマホタルブクロが咲き始めました。間もなくヘイケボタルも現れる季節になります。
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<YPPの活動>
3月20日 第246回「野草を食べる会」,4月4日 第247回「苗床作り・種まき」,5月9日 第248回「田起こし」,5月16日 第249回「田植え」)
いずれも中止しました。なお、米づくりや田んぼの維持に関してはスタッフで人数制限をし、日をずらせながら来年度の種籾を確保する程度の作業をしました。空いた田んぼの一部はマイ田んぼとして希望を募ったところ2名の方から希望があり、田植えをしていただきました。田んぼはメダカが群れ、シュレーゲルアオガエルのオタマジャクシがいっぱいです。畔にはニホンアカガエルの仔ガエルが跳ねています。
コシヒカリの田んぼ |
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<森と水辺の手入れ>毎月第3日曜日実施
3月15日,4月19日,5月17日 いずれも中止しました。なお、この間一部スタッフで次の作業を行いました。
・花澤さんが作ろうとしていた中川の水の一部を南側土水路へ流す水路掘りをしました。この水路が完成して懸案だった中川の水位が下がり緑米など古代米の田んぼの水位をコントロール出来るようになりました。
・キノコの新しいほだ木置き場を作り2月に植菌し伏せてあったほだ木や旧置き場のほだ木を移動しました。
<YPP 3月~5月の活動>
2月27日の学校休校要請以降活動を自粛し、目的に応じメンバー内による小規模な活動で田んぼの維持をしてきました。学校関係行事が先行き不透明な中、再開に備え、3月28日に学校田んぼの苗代を作成、4月11日にかけて古代米を含めたその他の苗代作りを終えました。5月17日からは小山町YPP各所の田植えを開始しました。学校田んぼについては畔の整備、草取りをコツコツと継続、5月半ばにはいつでも田植えが出来る状態を整えました。
小山町
3月以降の小山谷津では生物全体に活動開始が早かった印象です。3月28日、シオヤトンボの羽化が何頭も確認されたことは驚きでした。
下大和田
5月 1日 キビタキ、2日 オオヨシキリ鳴く
5月17日 ホトトギス鳴く
5月26日 エゴノキ、ウツギ、ガマズミ満開
谷津田ってどんなところ?と興味をお持ちの方、お米づくりを経験してみたいなと思っている方、谷津田プレーランドプロジェクト(YPP)のイベントには大人から子どもまで、初めての方も好きなときにご参加いただけます。家族で、お友達どうしで、もちろんお一人でも気軽にいらしてください。
主 催:NPO法人 ちば環境情報センター
連絡先:小西TEL.090-7941-7655 ,E-mail : yatsudasukisuki@gmail.com
ご注意: ・車で来られる方は必ず指定の駐車場に止め、農道などに置かないでください。
・近くにトイレがありませんので、集合前に一度済ませて置くなどご協力をお願いします。
・小学生以下のお子さんは保護者同伴でご参加ください。
・けがや事故のないよう十分注意は払いますが、基本的には自己責任でお願いします。
・第250回,第251回 下大和田YPP「田の草取り」
田んぼには様々な草が出てきます。草を取り稲の生育を助けます。
日 時:2020年6月13日(土),7月 4日 (土)9時45分~14時 雨天順延
場 所:千葉市緑区下大和田谷津
集 合:現地、初めて参加する方は駐車場や会場をご案内しますので事前に網代(あじろ)090-2301-0413までご連絡ください。
交 通:JR千葉駅 10番 成東あるいは中野操車場行きのちばフラワーバスで中野操車場バス停下車。
徒歩5分で現地。<千葉駅発8:25,8:40など、所要時間45分>料金は550円。
持ち物:弁当、飲み物、長袖長ズボンの服装、長靴、ゴム手袋、帽子、敷物など。
参加費:小学生以上100円
・下大和田 森と水辺の手入れ
林内の下刈りや水辺回りの手入れをします。
日 時:2020年6月21日(日)9時45分~12時 雨天中止
場所・交通・集合:同上
持ち物:弁当、飲み物、長袖長ズボンの服装、長靴、軍手、敷物、あればヘルメット。
・第246回 下大和田谷津田観察会とゴミ拾い
梅雨の最中ですが、アカネの仲間も羽化して生き物はますます賑やかです。
日 時:2020年7月5日(日)9時45分~12時 雨天決行
場所・交通・集合:同上
持ち物:筆記用具、飲み物、長袖長ズボンの服装、長靴、帽子、あれば双眼鏡、ゴミ袋、
午後まで活動する方は弁当、敷物。
共 催:ちば・谷津田フォーラム
・小山町 小学校田んぼの再開決定
6月10日、大椎小の田植えを皮切りに小学校田んぼの授業が再開される運びとなりました。再開にあたって、学校と活動の再開の方法と計画について打ち合わせを持ちました。小学校田んぼに係わる皆さんはじめ、医療・流通・販売・ライフライン等々、多くの関係方々の努力の賜物かと思います。心より感謝申しあげます。
・第186回 小山町 YPP
一般を対象とした活動再開は7月以降の予定です。ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解いただき度宜しくお願い致します。 (赤シャツ親父)
新浜の話28 ~ことはじめ~千葉県野鳥の会 市川市 蓮尾 純子2020年5月末。新型コロナウィルスの感染症拡大は、日本国内ではようやく収束のもよう。5月7日から全国に拡大された緊急事態宣言が25日に解除になった後も、第二次の感染拡大の不安は消えておらず、世界ではいまだ感染増加の一途。ウィルスとヒトが共存する段階は遠い先のことで、先行き不透明のまま、外出時にはマスク着用で夏を迎えることになるのでしょう。 一方、新・市川市立行徳野鳥観察舎の建設のほうは、遅れてはいるそうですが、まあまあ順調に進んでいるように見えます。オープンはいつになるのか。管理体制はどうなるのか。窓の開閉ができない密閉型の建物なのか。不安なことはあれこれありますが、わからないこと、手の出せないことにいちいち気をもんでも仕方ありませんね。やれることをやれる時にやって行くのみ。 徐々に緩和されるとはいうものの、いまだ外出自粛が呼びかけられているのをよいことに、せっせと半世紀も前の「東京湾カウント」のデータ入力に取り組んでいます。 さて、こちらの原稿は44年前、初代の行徳野鳥観察舎のオープン時代にこぎつけました。 プレハブ2階建て、13坪ちょっとの2階の観察室。前面はぜんぶガラス窓で、すわって見られる高さの観察台がありました。壁は白っぽい松材の柄、床は樺色のプラタイル貼り。とても明るい部屋でした。入り口は一段低くて、ここで靴を脱いで入っていただきました。窓越しに望遠鏡や双眼鏡をのぞくとガラスのために画像がゆがむので、望遠鏡を見る時は窓をあけるか、お客様が多い時は窓ごとそっくりはずして。窓から一望できる保護区には樹木どころか草も育っておらず、造成後間もない裸地の本土部分と海面、そしてみごとなスズガモの大群。 この大群を数えるのは私の仕事。それなりに大変でした。数取り器を1万回押すのには小一時間かかります。1羽ずつ数えたり、2羽毎、5羽毎、10羽毎に押したり。数取り器を両手に持って同時に数えたり、疲れると手を替えたりしていました。何年も後になってこれなら、と納得できる数え方を見つけました。少し高めの位置から群れを写真にとり、極細のサインペンで(黒ではなく、青か赤色)5㎜ごとに縦線で区切り、両端の5㎜幅部分をかぞえて面積で換算するというもの。5万羽くらいまでなら、誤差は5%に収められます。 2月15日の狩猟期明け後まもなく、スズガモの大群は姿を消し、海面はがらんとしてしまいました。それでもまわりの草原でヒバリやセッカが歌い、オオヨシキリやコアジサシも渡ってきました。お客様も確実に増え、近所の小学生たちは、すぐに毎日遊びにくるようになりました。 順風満帆とは言えないことも。最初の年、嘉彪と私は辞表を出したことがあります。新聞の取材で保護区の現状をお話した時に、「野鳥哀れ、欠陥干潟」という見出しで大きな記事が載りました。内容は誤りではなくても、保護区や観察舎を造った千葉県や市川市にとってはあまりにも非道な取り上げ方。この時は、「新聞はなんでも面白おかしく書くものだから」と慰留されました。関係各位の恩情に感謝。同時に、役所というもののいわば身内意識を強く感じました。良きにつけ、悪しきにつけ。 5月30日に実施した「総会」のご報告今年は三密を意識した開催になりました。正会員39名(総会員数151名)のうち、委任状22名,参加者4名で定足数20を超え、総会は成立しました。議案は全て承認され、新役員には新井桂二さん,小田信治さん、新監事には中島ふみ子さん,檜原扶紀子さんが新しく就任されました。新型コロナウイルス感染防止のため、例年どおりの活動はできませんが、新しい仲間を迎え、今年も楽しく充実した一年にしたいと思っています。よろしくお願いいたします。 代表 小西由希子【発送のご協力について】ニュースレター2020年7月号(第275号)の発送は7月8日(水)10時から千葉市民活動支援センター会議室(千葉市中央区中央2-5-1 千葉中央ツインビル2号館9階)にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。 |