代表:小西由希子
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中野学園(知的障害者更生施設)職員 臼井真澄
昨年10月23〜24日外房線土気駅前の商店街で「ふれあい福祉フェスティバル」を開催しました。今回で5回目となります。テーマとして「やさしさ ふれあい おもいやり」をかかげて、福祉関係団体に参加を呼びかけ、障害を持つ人たちとふれあう場としてたくさんの人たちと出会いを想定しておこなってきました。「五体不満足」の乙武さんも言っていますが、「慣れ」は学校教育の中でハンディーを持った人と出会うことがない、今の日本のシステムの中ではなかなか身につけることはむずかしいと思います。(欧米では中・高校生の多感な時期に、ボランティアを通してハンディーをもった人と出会うことができます。やっと日本でもその必要性が唱えられてきましたが…)まず、出会いの場をつくり、彼らを知ってもらうことから、「心のバリアフリー」をめざした第1歩としたいのです。また、今回は初めて環境問題をテーマとして選び、テーマの中に「地球にやさしく」を新たに加えました。福祉施設の中では日中活動として、アルミ缶のプレスを施設を利用している方々と一緒におこなってきていて、リサイクルに一役買っています。このフェスティバルの場でも一般の方にも体験という形でアルミ缶プレスをやっていただきました。環境問題のコーナーでは、ちば環境情報センターに協力していただいて、日用品の中に環境ホルモンがどれだけ含まれているのか、プラスチックを燃やすことによって発生するダイオキシンの有無などについて、実物を展示してのアピールをしました。会場で小学校の先生が資料をいただきたいとお話にきてくださり、少しお役に立てたかなと思っています。
私自身、環境問題はさほど気にしていませんでした。できあいの食事はなるべくやめて、安全なものをなるべく食べようとする程度でしか関心がありませんでした。そんな中、ネイチャーゲーム(自然の中で五感を通して、心と体で自然を感じ、自然と自分が一体であることに気づくことを100種類ものゲームを通して体験する)を経験して、改めて自然のすばらしさを実感しました。当然ながら、自然の大切さを身をもって感じてわが子たちも巻き込みながら、さまざまな観察会や自然観察に顔を出すようになりました。そして、自分の住んでいるすぐ目の前に、貴重な谷津があることを知り、施設の利用者を連れて出掛けるようになりました.感じるところは彼らも一緒で、我々と何にも変わりありません。カワセミをみて感激し、メダカやシジミ採りに夢中になります。そして今は、この恵まれた環境をどう保護していけばよいのか、開発を阻止する手立てはないのか、思案にくれているところです。
ところで私の勤務している施設に、環境問題の視点で見てみると、ゴミの問題が気になります。特にイベントで模擬店などで使用する使い捨て容器が山のように出てしまいます。しかし、愛知県の同じ施設では、使い捨て容器を一切やめて陶器のお皿にしたり、搬入の業者にも段ボールは持ち帰ってもらったり、トレーの使用をやめるように協力してもらっています。施設内の残飯も極力減らして、堆肥として再利用しているのです。まず実践は足元からというこの取り組みは、施設職員の意識改革が大きな背景をなしているといえます。
福祉の世界は介護保健法導入の影響を受け、社会福祉基礎構造改革が検討されています。実施となれば、福祉施設が選択淘汰される時代が間違いなくやってきます。そのためにも、今までの福祉の枠にとらわれない、利用者の側に立った斬新な発想が求められています。ところで、施設そのもの自体、なかなか街中では存在できずに郊外にあることが多いという現状があります。ある意味で、地域と隔離された世界を形成していることも否定はできません。(この批判に答えるため、施設を出て、もっと街中に小人数で暮らしていける場(=グループホームといいます)を全国展開で作り出してきています)しかし、その存在場所を逆手にとってまだ、残されている恵まれた自然に囲まれているからこそ、地域の自然をどう守っていくのか、問題提起の発信源として、施設が役割を担う意義はあるのではないでしょうか?
市原市 南川 忠男
ちば・谷津田フォーラムの最初の会報が届いて読み進めていくとこの会報の内容の豊富さや関係者の熱意に打たれ、近くの谷津田らしい所を調査し調査票を提出しようと思い立ちました。
自宅のある市原市国分寺台の北1kmにすばらしい谷津田があり、その美しさに惹かれました。村田川の1本南の水系で地図には川の名前は書かれていませんが、村田川の河口の南1kmの八幡運河につながる水系の上流に今回紹介する能満谷津があります。この水系には南北に三つの谷津が平行して存在しておりその中の最も長いのが能満谷津です。
最奥部の500m西の台地には県立市原緑高校があり、南には千葉県子どもの国、山倉貯水池があります。下流近くで県道が横断しここより水路は中央の1ヶ所に集められ1mも深いコンクリート製の水路にかわり生活排水の流入が見られます。上流の巾は50m、下流は100mで全長3kmくらいで上流に近い所に周囲200mの溜め池がひっそり静かに湖面に青空を映しておりました。こさぎがせせらぎでえさを探しています。
池の半島の大きな木の下に水神様が奉られておりこの谷津田がずっと生き残るように手を合わせてきました。水神様の所にじっとしていると小鳥のさえずり、せせらぎの音とそよ風にゆれさざめく枝や木の葉の音しか聞こえず全く人工的な音が遮断され、米国自然保護の父ジョン・ミュアの言葉を引用しますが自分が自然の一部に吸収されて一体化してしまうのではないかという気がします。小鳥たちも人間の存在を忘れたのか2mくらいの近くまでやってきてきれいな羽根の1本1本を見せてくれます。 耕作されていない田の割合は約15%と低いのは中流、上流から土の農道が谷津の両側によく整備されており重い農機具が入りやすいからでしょう。
私にはリラックスできる外の場所が近くに2ヶ所あり、時々自転車で出かけます。両方とも農村の原風景です。この能満谷津も「とっておきの場所」に追加することにしました。 土水路のフチの底には落ち葉が堆積しており、透明な冷たい水が流れ、この水の下で春を待つ水生昆虫類や魚類がいるのでしょう。夏になれば雛がかえり、蛙が鳴きとんぼが飛び交うビオトープになることでしょう。ホタルもいるのでは?ヤナもよく整備されており維持されている農家の方々の労苦を思いました。後継者不足で谷津田が放棄されないようなにかヤナ刈りなどのお手伝いできることがあればしたいものです。私が見ている同じ雑木林を見て、もう何百年も連綿とこの谷津で自給自足の生活を続けてきたのだろうなと考えました。便利になっていく生活は自給自足ができる力を我々都市生活者からすこしづつ奪っていくかもしれませんがこの場所にくると元気がでてきます。
アクセス:内房線五井駅より小湊バス「山倉子どもの国」行きに乗り終点(15分)下車 歩いて5分(車の場合はR16を八幡宿でR297に入り3.5km先の郡本交差点を左折し、県道に入り1kmでこの谷津を横断する。)
1月16日(日)千葉市緑区にある大藪谷津観察会が開催され12名が参加しました。大藪谷津は角栄団地の先にある長さ約200mの小さな谷津ですが湧水が多く、まだ健全な姿を残しています。現在も5〜6枚水田が耕作されていますが、かなりの湿田のようで観察会当日も水田には水が溜まっていました。その状況から2〜3月頃のアカガエルの産卵や6月〜8月頃のホタルの観察に来たくなる谷津です。
谷津の最上部には2カ所湧水池があり、それぞれいくつかの小さな吹出し口から砂が舞っているので水が湧いているのがわかります。湧き出た水は土の水路を流れホトケドジョウ、カワニナ、モノアラガイ、マルタニシが見つかりました。ホトケドジョウは絶滅危惧種にランクされほど珍しく貴重な生息場所となっています。谷津の最奥部の急な斜面を登り台地の上の情況も観察しましたが、まだ畑と林がほとんどで谷津の豊富な水の供給源になっているのがわかります。ここが宅地などに開発されずに農業が続くことを祈るばかりです。水生生物以外に鳥ではアオジ、カシラダカ、モズ、ツグミ、タカが確認されました。その他イタチの足跡、ウサギのフンも見つかりました。斜面林に生えている杉の健康度も5段階評価で1または2と判断され総合的な環境の良さが解ります。
最後に参加者全員で目の前の大藪谷津を見ながら谷津調査票を記入しました。その結果から谷津調査表の問題点など今後の参考資料とする予定です。また昼食後はネイチャーゲームを楽しみ親睦を深め次回の参加を楽しみに解散しました。
大薮の谷津を眺めながら「おおやぶいけ」という文字を全部使って、参加者みんなが感じたことを詩にしてみました。題して「バーチャルぽえむ・おおやぶいけのうた。
おおいなる自然の中で |
おおやぶの谷津 |
おだやかな時を |
おおきな木 |
おきなわのマングローブを思い |
おおやぶの |
おや |
佐倉市 田中 正彦
佐倉市に畔田(あぜた)という第一級の谷津(谷戸)があります。そこに通称畔田沢というホトケドジョウの棲む土水路があります。畔田沢は手繰川に注ぎ、手繰川は印旛沼に流れ込んでいます。
この畔田沢が手繰川に注ぎ込んでいるところに50cmほどの段差があり、魚類を中心に生物の下流域と上流域の行き来が分断されています。多くの谷津で見られるこの段差を何とかしたいとかねてから考えていたところ、佐倉自然同好会の小野由美子さんのお骨折りにより、今年1月7日、畔田沢段差の事で佐倉市土木部土木課排水整備係の松崎良和係長らと懇談することができました。懇談には小野さんはじめ、地域で熱心に環境保全活動を行っている百目木純子さん,嶋津雅照さんも同席し、1時間以上にわたり熱のこもった話し合いが行われました。
その中で松崎係長は、畔田の自然環境が重要だということをよく理解していて(彼は佐倉自然同好会が市に提出していた報告書を読んでいたそうです)、段差をなくす方向で考えたい、と約束してくれました。ただし段差ができたいきさつや設置者がわからないのでそれをまず調べること。予算がないのでお金のかかる大規模な手直しはできない。工法については検討事項が確認されたあと、皆さんと相談して決めたい。ということでした。工法の検討や段差が無くなったときの生態系の混乱−たとえば畔田沢にブルーギルやブラックバスが上がってくる可能性がある−も考えられますが、一つのテストケースとして検証していけばいいと思います。
今後どういう展開になるかまだわかりませんが、重要なのはこうした「ちっぽけな問題」を役所が取り上げ、改善の方向を示したこと,地道な市民活動によって作られた報告書を役人が目を通し、理解してくれていたことではないでしょうか。それと、なにより大切なことは、この問題に声を上げ、実際に行動したおばさん,おじさん(失礼)達がいたことではないでしょうか。
CEICをはじめとして、市民活動は一人一人がそれぞれの持てる力を少しずつ出し合うことによって成立しています。これからもみんなで協力して「次代に残せる環境づくり」を目指していきましょう。
編集後記: この冬、東京など都市部でフクロウの越冬が報告されています。森が増えて環境が良くなったからたからではなく、餌が豊富にあるからではないかと言われています。これも人間活動の影響でしょうか。 (mud-skipper)