ちば環境情報センター
2000.8.7 発行    ニュースレター第37号

代表:小西由希子


目次
  1. 柏の葉さわやかちば県民プラザ:「夏休みこども環境講座」で初めてスタッフをやりました
  2. な〜んて谷津田10 −船橋市金堀・坪井の谷津−
  3.  水資源開発公団 千葉用水印旛沼開発事業を見て
  4.  諫早干潟緊急救済本部代表 山下弘文さんを悼む
  5. こども環境講座を終えて
  6. 旅と環境 その2 一見きれいな梓川
  7. ちから強い味方だよ!『こども環境相談室』

柏の葉さわやかちば県民プラザ:「夏休みこども環境講座」で初めてスタッフをやりました

 船橋市 井口 和子

7月29・30日に柏の葉で行われた1泊2日の講座に参加しました。こういう活動は初めてでしたが是非やってみたくてスタッフの仲間に入れていただきました。
 「今年は何が出るかドキドキです。(小西さんの言葉)」今年の講座はメインの活動としてやりたいことを子供達に考えてきてもらい、それを尊重して行うという方針でした。どんな希望が出されるか当日までわからないので、さすがのベテランスタッフの皆さんもワクワク・ドキドキだったようです。
 でも始まってみれば私にはバラバラに見えた30人の子供達の希望がしだいにうまくまとめられていき、「ネイチャーゲーム」「自然の材料を使ったモノ作り」「パソコン等を使って自然を調べる」「生物の採集・観察」というような4グループにまとまりました。当初の心配もどこへやら、2日目に行われた活動はどれも密度の濃いものでした。その場であがったテーマにサッとスタッフが付いて指導してしまうのですから皆さんすごい!私はといえば生き物グループに付いていましたが専門の先生方(スタッフ)にいろいろ教えていただき、子供と同レベルで楽しんでいたのでした。
 夕食づくりも大成功・・話は前後してしまいますが、子供達による初日の夕食づくりもムダやゴミを出さないという主旨のゲーム形式でしたのでこの日のヤマ場として大変盛り上がりました。子供達はグループごとによく協力し、ゴミが増えないように残り野菜でおひたしをもう一品、というような素晴らしい工夫までみせてくれました。
その他にも企画は盛りだくさんで、全員でネイチャーゲーム、ナイトハイクなどをしました。これらの内容すべてが、教え込むのではなく楽しみながら環境の問題に気付かせるものであることが、初めて参加した私にはとても新鮮に感じられました。
 他のスタッフの皆さんに比べ、私はアタフタしたり感心したりとそればかりでしたが、とっても楽しく勉強させていただきました。皆さんありがとうございました。
 今回私の娘も初めて参加させていただきお世話になりました。娘も感想を述べたいそうなので、バトンタッチしたいと思います。 


小学校5年 井口 諒子

 この環境講座を通していろいろな人と遊べて良かったです。またグループでやるのも楽しかったです。私は生物グループで魚やプランクトンをとりました。魚はつかまえにくかったけど楽しかったです。プランクトンは顕微鏡でたくさんの種類をみられました。とってもおもしろいから、こんどは2泊したいです。 


な〜んて谷津田10 −船橋市金堀・坪井の谷津−

船橋市 外川  仁

「リュウノヒゲモ」という水草をご存じでしょうか。文字通り竜のヒゲのような細長い葉をしたヒルムシロ科の沈水植物です。この水草の観察を目的に、八千代市と船橋市の境を流れる桑納川に行って来ました。一帯は桑納川に沿って谷津田が続く地域で、地名でいうと八千代市側が高本、船橋市側が金堀・坪井になります。この日は金堀橋を起点に上流に向かってみました。 
 以前の桑納川は印旛新川との合流点までリュウノヒゲモの群落が断続的に続いていましたが、河口部から上流に向けて拡幅工事がおこなわれ、昨年秋には本流の群落は一旦完全に消滅してしまいました。しかし河床部を土のままにしたのが功を奏したのか、今年の夏は金堀橋付近で群落が再生しつつあります。このほか、工事後はサジオモダカが目立っています。
  一方、金堀橋の上流400mほどで合流する坪井川は、昔ながらの土水路の形状を保っています。川は幅2mほどで、水質は悪いのですが水の流れは良好です。桑納川との合流点から700mほどは、両岸がガマなどの植物で覆われた中をリュウノヒゲモの群落が続きます。群落の大きさ・密度は金堀橋付近とはくらべものになりません。オオカナダモもところどころに生育しています。この付近は増水時には川があふれて水田に水が流れ込むようです。水路がカーブするところには柳の木が植わっています。左岸(上流に向かうと右手)に水田を挟んでこんもりした森が見えます。「千葉県自然ガイド(県生物学会編、たけしま出版)」に紹介されている八王子神社の森です。
 ゴルフ練習場の近くまで来ると、左岸から駒込川が合流してきます。耕作放棄地を流れる駒込川の両岸は鉄板で補強され自然度は低いのですが、1kmほど上流の住宅地近くまでリュウノヒゲモの群落が続きます。駒込川との合流点より上流の坪井川にはリュウノヒゲモは見られません。1kmほど上流では調整池を作る工事が始まっていました。
 坪井川流域は区画整理計画の対象地区になっており、この8月にも地元で説明会がおこなわれる予定です。土木事務所に問い合わせたところ、おそらく2年後くらいに工事に入ることになるだろうとのことでした。
 千葉県版レッドデータブックによれば、リュウノヒゲモはカテゴリーB、「近年はほとんど確認されていない」と記載されています。工事が避けられないのであれば、せめてこの地区に残る貴重な植物に最大限の配慮をしたものにして欲しいと思います。
 注:3年前に「桑納川」の名称の起点が変更され、坪井川は桑納川の上流部と見なされることになりました。これにともなって「坪井川」の名称は正式には使用されなくなっています。


 水資源開発公団 千葉用水印旛沼開発事業を見て

  千葉市花見川区 吉井 テツ子

千葉市花見川区に住む私は、区の中央に位置する花見川が水も少なく流れもないのはなぜか・・・そんな疑問から大和田堰から印旛沼,利根川まで視察する機会に恵まれ参加してきました。
 千葉県は北部に江戸川と利根川が流れているものの、内陸部は延長の短い川で流れも豊かでない現状で、江戸時代から現在に至るまで大きな工事の繰り返しを強いられてきました。谷川岳近くを源として関東平野を潤している利根川も昔は江戸川を通り東京湾へ注いでいましたが、江戸幕府によって舟路をつくり銚子から太平洋に流れを変えていきました。このため水害,干害がおこり、また時代の流れとともに水の安定した供給のため利水、治水の事業が不可欠となりました。
 現在は印旛沼が北沼・西沼に分かれ捷水路でつながれ、長門川から利根川、花見川から東京湾へと連携した現在の姿になっています。
 印旛沼の貯水量は約1310万立方メートル(内6%利根川から汲み上げられた水、94%が流域河川から流れ込む水)で小さな水瓶です。年間貯まる水は約4億2400万立方メートル、この内使われる水は約2億9000万立方メートルです。大雨などにより沼が増水した時は利根川へ、また花見川を経て海に放水されます。利根川が増水すると水門を閉じ、沼への流入を防いでいます。このように絶えず沼の水の回転が良いのに関わらず、印旛沼の水質は年々悪化しています。閉鎖性水域沼である上に流れ込む水自体が大変汚濁しているからです。原因となる住宅地からの雑排水,畜産・工場・農業などの排水の問題に知恵を絞らなくてはなりません。また、土壌や川を汚さないよう下水道の整備なども急務です。
 自然を壊さず水資源を開発するために、方策も技術も進んでいるようです。人口の分散,海水の利用,水の循環利用(河川から取り入れた水を一度の利用で海に流さず再利用する),農業水の反復利用や,工場の回収水の利用,雨水の利用などです。最も大切なことは家庭においていつも節水と水資保全を念頭に置かねばならないことです。水は限りある資源、リユースの時代です。


 諫早干潟緊急救済本部代表 山下弘文さんを悼む

    四街道市 沢柳 映子

 7月21日、長いこと諫早湾干拓見直し保全運動の中心的存在だった山下さんが亡くなられた。1997年4月14日、293枚の鉄板が豊かの海を断罪していったあの劇的な映像は未だ忘れられない。この時から私も一主婦としてこの国の未来と子どもたちを思う一念から小さな一歩を踏み出した。その時以来、30年運動されている山下さんにお会いするたび、強靭な精神力と行動力。体中からみなぎるパワー、そして何よりも前向きで明るい人柄に、勇気と励ましを頂いた。あれから3年。政官財と市民の戦いは言語に絶する。僅かな扉を開けるのに膨大なエネルギーと時間と活動費。その中で少しづつ広がる市民の連帯と世界からの声は、何よりもこの地球の未来を危惧している。自然を守り伝えていく中で、農と海は私たちの命だ。干潟は海の生物の源だ。主義主張や営利ではないのだ。将来、国民総後悔した時は遅い。山下さんの精神に帰ってほしい。世界の潮流は干潟の再生だ。その願いを込めて。山下さん、やすらかにと思う。


こども環境講座を終えて

      江戸川大学環境情報学科一年 井上 和幸

 こども環境講座のスタッフを引き受けるに当たって初めに思ったことは自分にその役が務まるのか? ということでした。今まで参加したことのある活動では、主に自分が教わる側であって、言われたことをやるというものが多かったためです。そんな自分が子供達に教える側になるというのがすごく不安に思えたからです。子供が苦手だと思っていたこともあるかもしれません。が、実際やってみると楽しく、子供達には感心させられることばかりでした。ネイチャーゲームでの森からの手紙は真っ直ぐな想いが伝わってくるようでした。子供達は全員が詩人のように思いました。
 料理の時はゲームのような感覚でできて楽しかったです。子供達は嫌がるものかと思っていたのですが実際そんなことは全くなく、野菜を切ったり盛りつけたりする様子はとても楽しそうでした。少し量が多いかなとも思いましたが思い過ごしで終わりました。一緒に作って食べるというのは高校以来やっていなかったので懐かしかったです。
 魔法の黒い鍋では小西さんの演技力に驚嘆を覚えました。いつか似たようなことを演劇でもやってみたく思いました。耳を澄ますと虫の声、空の音、蛙の声、車の音……、色々な音が耳の中に入り込んできます。普段生活していても気づかないものをそこでかいま見たような気がします。
 二日目の散策、発表では班の子達と色々な植物について調べました。自分にとってもいい勉強になりました。セミナーを通して得たものは本当に多く、私自身が感謝したいです。いろいろと御迷惑をかけてしまい、申し訳なかったと思いますが、再度このようなセミナーがあれば是非とも参加させていただきたく思います。本当にありがとうございました。


旅と環境 その2 一見きれいな梓川

            千葉市稲毛区 平田 和博

 「まあ、きれい」「おいしそう」
 上高地の河童橋から梓川を見下ろせば、誰もがそう感じる。川底の石がよく見える透き通った清流、視線を上げるにしたがって木々の緑、岳沢の壮大な眺め、白い残雪模様の西穂高の稜線、青々とした空。それと、気持ち良く頬をなでるさわやかな風。誰しも山に来たのだと、そう快な気分になる。
「わあ、つめたい」「気持ち、いい」
 若い女性たちが川に足を入れて、幼児のようにパシャパシャ水をはね上げ、幸せいっぱいになっていた。「お嬢さん、この川は大腸菌がうようよいるんだよ」と親切に教えてあげたのに、変な目でにらまれた。梓川は日本一汚染された川だということを知らないようだ。二年前の7月中頃、涸沢に入って驚いた。異臭が漂っていて、至る所にトイレットペ−パ−の溶けかすが石にへばり付いていた。遠くから見ると、白いお花畑のようだ。「お花畑でキジをうてば、チョウチョウが飛んできてキスをする」という山の歌があるが、そんなのんきな気分になれなかった。
 夏ばかりでなく、春も涸沢に入る登山者の数が増えたからである。自然の浄化能力を遙かに超えた多量の排泄物が、涸沢から梓川に流れ込む。除菌や抗菌の好きな若い女性が大腸菌のうようよ泳いでいる川に足や手をつけている様子を見ていると、妙な気分になる。もう一度注意してやろうかと思ったが、わかってくれそうもないのでやめた。


ちから強い味方だよ!『こども環境相談室』

千葉市花見川区 伊原 香奈子

夏休みの自由課題は進んでますか?もちろん課題は環境に関すること・・かな???
「環境」と言ってもいろんな分野があるから、調べてもわからなくて困ったりすることもあるんじゃない?そんなときの力強い味方になってくれるのが、『こども環境相談室』の人たちです。ベテラン環境カウンセラーの方が、「この植物の名前は?」「森林伐採はどこが一番ひどいの?」など、いろんな質問に、わかりやすく応じてくれます。
環境に関してわからないことが出てきたら、いつでも頼りになる存在なので、是非覚えておきたい相談窓口です。親子やお友達と環境学習するときに、大いに活用してみてはいかがでしょうか。質問は郵便,電話,訪問などで受け付けてくれます。
   〒105-0003東京都港区西新橋 1-7-2 虎の門高木ビル
   財団法人日本環境協会「こども環境相談室」
   TEL:03-3508-2658 (電話での受付けは、月〜金 午後1時〜5時)


お知らせ

谷津田の観察会と谷津田調査票記入の講習会
日時:2000年9月3日(日)10:00〜14:00
場所:千葉市緑区下大和田谷津
集合:中野操車場10:00
持ち物:長靴,弁当,ゴミ袋,筆記用具
(雨天でも実施)
主催:ちば・谷津田フォーラム,
共催:ちば環境情報センター
連絡先:043-266-0383(ちば環境情報センター)
仁戸名・月ノ木貝塚周辺を歩いてみよう
都川左岸で縄文時代中・後期の巨大環状貝塚の集中する地域を歩きます。都川の右岸と左岸で、貝塚の貝の種類に違いがあるのをご存じでしょうか?月ノ木貝塚、へたの台貝塚では、キサゴではなくハマグリを主体としたきわめて緻密な貝層が形成されています。また月ノ木貝塚から、タイ、エイ、フグ、イノシシ、シカなどの骨にまじって、クジラの脊椎骨も発見されています。今は失われた豊かな海の記憶が貝塚に残っています。
日時:8月13日(日)9:00〜11:00 (雨天中止)
集合場所:仁戸名小学校正門前(千葉市中央区仁戸名町)
対象:一般。小中学生も歓迎
参加費:100円(資料代等), 参加希望者は事務局までご一報ください
主催:千葉市の遺跡を歩く会
連絡先:(事務局)電話 043-234-1221 杉田 E-mail: chibaiseki@geocities.co.jp
<ちょっといい本の紹介>雑誌「遺伝」8月号(54巻)
特集:都市の生物−生物からみた都市の姿

都市環境にしたたかに適応した野生生物たちがいる。
ツバメ,カラス,スズメバチ,ネズミ,ネコなどの暮らしぶりから、都市とは生物にとって、
そして人間にとってどんな環境なのかを考察する。
ちば環境情報センター会員の田中正彦氏が「メダカはどこへいった」というタイトルで執筆している。
定価 1,155円(税込み),発行:裳華房(TEL.03-3262-9166)

編集後記:記録的な猛暑の続く中、 ミンミンゼミの声を耳にするようになりました。そういえば今年はアブラゼミがほとんど鳴いていないようですが、いかがでしょうか。  mud-skipper