ちば環境情報センター
2000.11.6 発行    ニュースレター第40号

代表:小西由希子


目 次
  1. 「環境」と「情報」 
  2. エコメッセ2000に参加して
  3. 幼稚園における環境学習の実践
  4. 旅と環境 その3 中国の大人
  5. オーストラリアで感じたこと

「環境」と「情報」 

       東京情報大学情報学科教授 原 慶太郎

「環境」ってなんだろう?
 私は、大学で10年ほど前から「環境情報処理論」という講義を担当しています。2年前から「環境情報論」と「環境情報処理」とに分かれましたが、内容はほぼ全体が二分されたような形になって現在に至っています。
 「環境とは何か?」 講義のなかで最初に学生に問いかけるのがこの問いです。いつも何気なく使っている言葉ですが、きちんと定義しようとすると難しいことです。私は生態学を専攻しましたので、そこで学んだことを学生に説きます。
「環境というのは、我々をとりまいている要素の集合体である。でもこれらの要素には、対象と考えるもの(主体)と関係の強いものもあればほとんどないものもある。また、この関係は主体によって異なる。アリの環境と、ゾウの環境は違うのだ。沼田眞はこれを「主体−環境系」ということばで表した。通常我々が扱う環境は人間の環境であるから、人間−環境系の問題を扱うことになる、などなど。」
 一緒に「○○環境」というように、環境の前に語句がついてなりたっている熟語を知っているだけ挙げてもらいます。これにはたくさんの語句が並びます。最近、新聞記事などのデータベース化が進み、このような熟語を容易に検索できるようになりました。学生のなかには、そういった資料を用いて、○○環境の熟語を調べてくれた者もいました。情報源によって多少の差がありますが、一番多いのは「自然環境」、次いで「生活環境」、「地球環境」、「都市環境」などが続きます。「経営環境」や「雇用環境」などもありますし、「育児環境」や「福祉環境」などという語句もよく目にします。環境という言葉が非常に広範囲な用いられ方をしているのが分かります。
「情報」ってなんだろう?
 もうひとつのキーワードである情報とはなんでしょう? 同じように学生に「情報とは何か?」という質問をしてみます。私の勤務している大学は「情報」の名を冠するところですので、3年次になった学生達は、今までの講義で学んだことを並べて説明してくれます。通常、言葉というのは、ある物事や事象を規定するために用いますが、この情報という語句は、逆にいろいろな意味を包含します。以前は「天気予報」と言っていたのが、最近では「気象情報」となりました。単に明日の天気を予報するだけでなく、気象衛星ひまわりの画像や気圧配置図、さらには、スギ花粉の飛散状況まで伝えてくれます。まさに気象にまつわるさまざまな事柄を包含して伝えてくれるわけです。
 最近では、IT(情報技術)という言葉がマスコミをにぎわしていますが、ここで留意しなければならないことは、コンピュータが処理する「情報」と、我々が情報交換している「情報」とはちょっと意味合いが異なることです。「形式的情報」と「意味的情報」と呼んだりしますが、前者はデジタル化された情報に代表されるように意味を含まないもの、後者は意味を含んだところの情報です。そして後者の情報は、我々が意思決定を行なう際に拠り所とするものという重要な意味があるのです。
環境と情報が結びつくと
 近年、環境資源という言葉を目にします。この見方によれば、環境も天然資源と同様に有限であり、適正に管理して持続的に利用していかなければならないということが分かります。管理(マネジメント)においては、幾多の場面で意思決定がなされます。この意思決定を支援するものが情報です。環境の問題はまさに一人ひとりの問題です。正確な環境に関する情報をもとに、個人や企業、行政の的確な環境への働きかけがなされ、次世代へと良好な環境を伝えていく。それには「環境情報」がとっても大事な役割を果たすのです。
 最近、大学にも「環境情報」の名の付く学部や学科が増えてきました。いずれも学際的な立場から実践的な問題解決をはかることを目指しています。環境の問題は、工学や理学で扱う領域だけでは解決できず、農学、社会学や経済学さらには倫理学などとの連携が欠かせません。一方、環境に関する膨大な情報を処理したり、ネットワークを介した情報のやり取りでは、情報科学は重要な役割を担います。環境科学と情報科学の融合した新しい学際的な研究分野ができつつあります。そのような新しい分野にチャレンジする若い方が増えてくれることを願っています。 (H13年度から総合情報学部「環境情報学科」)


エコメッセ2000に参加して

エコメッセに今回初めて参加しました。このイベントは私にとってとても新鮮でした。体験できたことは、エコたわし作り、ドングリ笛・コマ作り、ぽち袋作り、けんだま作りなど。見ることができたのはたくさんのエコバック、他の団体の活動、それにエコグッズ。何かしたいけどその"何か"が思いつかない毎日に刺激をくれた感じです。日曜日は人が多く感じられましたが、どうやら同時開催のアンティ-クフリーマーケットに来た人が通り掛かりに見てたような…。でも"きっかけ作り"や情報センターの宣伝もできたかな?情報センターの会員の方が忙しい中顔を出してくれたのもうれしかった。まだまだ顔と名前が一致しないので、お会いできる良い機会です。これからもよろしくお願いします。(千葉市若葉区 中村 幸)

エコメッセではお世話になりました。今回はじめて、ちば環境情報センターの活動に参加させてもらったのですが暖かく受け入れていただき感激でした。普段はエコライフを提案するミニコミ紙・ホームページの発行・エコグッズの販売など、一人で活動しているのですが、一人だとどうしても不安が大きくなります。環境保護に意識のある方々と共に時間を過ごせて勇気を頂きました。今回は詳しいお話は出来なかったのですが、そのうちゆっくり意見交換できればと思っております。(船橋市 河本 星士)

2週間前に、「何だよ〜、2日続けて参加できる人いないじゃんかよーッ」と思いながら自分の予定を削って2日参加に踏み切った私。当日参加する人も、やる事柄も何も具体化してない中、とにかくいつものメンバー以外の人に出てきてもらういいチャンスになったら・・・と、「やれる事やってみようヨッ!」と人集めの電話からスタート。
こう準備すればもっとうまくいくはず!等々、欲を言えばキリはないけど、私自身、限られた時間で、できる範囲で、やれる事をした。あとは、参加してくれた人たちがそれぞれに盛り上げてくれたって感じです。
エコメッセってなんだろう・・・?環境の啓発活動の場、交流の場、お祭りさわぎできる場、堀出し物探しの場、新しい情報収集の場、などなど・・・。みんなそれぞれの捕らえ方があり、参加の仕方があり、参加することによってそれぞれ得るものを見つけていく。そんな場なのかもしれない。(千葉市花見川区 伊原香奈子)

去年から2度目の参加で、今回は、ほとんど1コーナーを任されました。去年は誰かのサポートというか、手伝いという感じだったので、責任を持ってやっていけるかどうか心配でした。
 4月から大学生となり、多くのことにチャレンジしようとしている私にとって今回参加して、得たこともいろいろあり、とてもいい機会だと思いました。一つの行事をやり遂げる大変さやコツを学ぶことが出来ました。たとえば、今回はクイズのコーナーをやっていて感じたことなのですが、事前にクイズの問題、解答についてよく理解していなかったので、当日、いろいろ質問されても上手く答えることが出来なかった。やはり、何事もいきなりその場で、というのは大変だけど、これからはそういう時も対応できるようになっていきたいと思います。(千葉市中央区 小西 朝希子)

どんぐりでコマと笛をづくりをしました。参加した子供たちは幼い児が多かったが、熱心に作っていました。指先を使って10〜15分間集中して作業したり、できあがったコマを回したり笛を鳴らしたり、よい経験かなと思います。ピンや千枚通しを使うのでけがをしないか心配しましたが、子供たちはすぐ慣れて上手に使っていました。ドングリに色つけすれば、もっと楽しめたと思います。(千葉市稲毛区 平田 和博)


幼稚園における環境学習の実践 やひろ学園「´99年度 自然体験プログラム」

習志野市 松村 洋子

やひろ学園は、習志野にあるモンテッソーリ教育のちいさな子供の家です。3年前から父子による環境学習を取り入れ、五感を使って自然に触れる活動をおこなっています。幸い園のすぐ向かいに、子どもたちが「トトロの森」とよぶ都会の中に残された小さな森(習志野の森・・みどりの会の方々が手入れして下さっています。)があります。この森や千葉市下大和田谷津の小川で、葉っぱのにおいをかいだり,落ち葉の上を寝転がったり,どろんこになって魚採りをしたりと、自然との深いかかわりのなかで豊かな「こころ」が育っています。今年の年間テーマは@四季の自然を身体で感じて表現しよう!A森への愛着を深めて、森をきれいにしよう!です。
職員とちば環境情報センターのスタッフとじっくり話し合って企画作りをしますが、リーダーのお母さん方も積極的に協力して下さっています。11年度を振り返った父母の声をご紹介したいと思います。
☆子供の変化は?
○ 細かい植物にも目がいくようになり、成長に伴い視点が変化していくことに気づいた。
○ 草や木が生い茂っていても、怖がらず進んでいくようになりました。生き物への関心が出てきて、優しく接しようとしています。
○ 何気なく見過ごしてしまうことも、森での体験で印象づけられているようです
○ 描く絵が、お人形一辺倒だったものが、最近気をつけて見ていると、風景を書いていることも多くなりました。花や小さな虫に興味が出てきたようで、少しの(小さな)変化にも気づくようになった。また、耳で鳥の鳴き声を感じたり、大人に比べると非常に敏感に捉えるようになった。
☆親の変化は?
○ 親も子どもと共にじっくり落ち着いて見る意識をしました。また、ほんの少しヒントを与えるだけで、子どもの想像力は広がり、あらゆる発言や発想につながるのだと思いました。
○ つねに自然や環境は変化しつづけていて、子どもも日々成長して(体も心も)いく中で,親として私はこの子に何を教え、語っていくべきか考えさせられます。もう少し心に余裕をもってゆったりとした気持ちで接することが出来るよう私自身も環境教育を通して教えられるような気がします。
○ 「自然を積極的に楽しみたい」と思うようになった。大切さをもっともっと考えていきた。
○ 当たり前にあった自然が少なくなっていることに気づかされ、大切さを実感した。
○ 環境教育に関する記事や報道に関心がいくようになりました。
○ 以前から自然についてや環境保護に関して興味はありましたが、改めて考え直すいい機会になりました。
○ 「トトロの森でさぁ…」と父子で共通の話題を持てることがよかった。
変わっていく子どもたちを感じて、父母も変わっていく様子がおわかりいただけると思います。
今月11日は、「春と秋、季節の変化を感じよう。まるごと秋になっちゃおう!」をテーマにからだ全体で秋を感じます。(やひろ学園園長)


旅と環境 その3 中国の大人

         千葉市稲毛区 平田 和博

650t入りビンビ−ルが3元(45円)、350t入り缶ビ−ル5元(75円)、どうなっているのか酒飲みの常識では考えられないことだ。昨年の6月、中国を旅したときのことである。中国ではアルミが高いとのことだが、納得しかねる。それでも空気が乾燥していたからビ−ルが安いので助かった。
 洛陽の龍門石窟でひと休みしビ−ルを飲んでいたら、孫を連れたおじいさんが大きなビニ−ル袋を持ってにこやかに私の側に来た。物乞いかと思ったが、おじいさんも子供も身なりがいい。すると、店の人が客が飲んだジュ−スやビ−ルの空き缶をおじいさんに渡した。空き缶を集めていたのだ。空き缶もペットボトルも1角(1円50銭)で売れるそうだ。そのような仕組みになっているために、空き缶もペットボトルも100%回収されているとのこと。
 面白いことに、そのおじいさんが持っているビニ−ル袋が日本のス−パ−のレジ袋であった。おばさんたちがトイレ休憩の度にせっせと土産を買って満足そうに下げていたビニ−ル袋も、日本のス−パ−の名が印刷されてあった。レジ袋が中国で作られていることを知った。近いうちにゴミになる土産と一緒にビニ−ル袋まで持って帰ることになる。


オーストラリアで感じたこと

柏市 井上 和幸 

8月26日〜9月15日まで、私はオーストラリアに海外研修に行ってきました。三週間という短い時間でしたが、色々な体験をしてきました。
その中で、環境の観点から見たオーストラリアをお話したいと思います。
 私はメルボルン郊外のフランクストンという所へ行ってきたのですが、その町でまず目に付くのが緑でした。街中には日本以上に緑が溢れていました。また、海も近く雄大な大海原を見ることが出来ました。そこで思ったのは、日本のようにゴミが落ちていないことです。
 海岸も、道路もゴミというゴミが落ちていません。文化の違いというのもあると思いますが、そのレベルの高さに驚きました。また、電気の省エネルギーが強いように思いました。私がお世話になったホストファミリーの家では、コンセントにもスイッチがついており、offの状態でコンセントを入れても電気は流れない仕組みになっていました。
 ゴミに関してですが、ショッピングセンターでの包装は最低限のため、ゴミも日本よりも断然少なくなっています。トレーもせいぜい魚くらいにしか使われて無いように思いました。
 ただ、思ったことは日本には日本の、オーストラリアにはオーストラリアの環境対策があるということです。日本と、オーストラリアではリサイクルの様式がぜんぜん違います。日本は、使用後のものをリサイクルするように努めていますが、オーストラリアでは使う前に極力ゴミを出さないようにしている様に思いました。
この他環境に限らず、色々なことをオーストラリアで学びました。この異文化体験を糧に、これからの活動に役立てたいと思います。
(江戸川大学環境情報学科1年)


お知らせ

手をつなぐNPOの会・千葉ミニフォーラム
出会い・つながる・NGOと学校
−ともに考えよう、子どもの未来−
 総合的な学習って何?/どうする?学校と地域社会の連携
日時:2000年11月25日(土) 10:00〜16:00
場所:千葉センシティービル12階千葉市国際交流プラザ会議室
(京成千葉駅前,千葉SOGOとなり)
対象:学校教員,NGO関係者および総合学習に関心のある方
(約100名)
内容:全体会・基調講演(日本環境教育学会 田中敏久氏)
   分科会・T.国際理解教育とNGO,U.環境教育とNGO,    V.福祉教育とNGO,W.地域と学校のつながり
参加費:500円
申込:千葉YMCA 〒260-0015千葉市中央区富士見2-5-15
TEL 043-222-3811,FAX 043-222-5061
主催:手をつなぐNPOの会・千葉
共催:ちば環境情報センター,
世界の子どもと手をつなぐ会,千葉YMCA他
谷津田写真・スケッチ展の作品募集!!

 2000年11月19日に開催される環境シンポジウム2000千葉会議の会場で行われる「谷津田写真とスケッチ展」の作品を募集しています。
谷津田の景観や生き物たちの写真・スケッチを、
皆さんに紹介してください。
サイズ:特に制限なし
送付先・問い合わせ先:ちば環境情報センター
 TEL&FAX:043-223-7807
締切り:2000年11月10日
主催:ちば・谷津田フォーラム
作品は写真・スケッチ展当日にご返却、
返送希望の方はご連絡ください。

編集後記: 市川市の唐沢孝一氏によると、今年は庭のアケビが不作だとか。そういえば、例年沢山の実を付ける谷津田斜面でも、あまりアケビを見かけませんでした。皆さんの地域ではいかがでしょうか。   mud-skipper