ちば環境情報センター
2001.5.7 発行    ニュースレター第46号
代表:小西由希子

目次
  1. タバコ問題は、環境問題の原点
  2. サワガニを見たことがありますか
  3. 行って来ました、野草を食べる会
  4. 田おこしに参加して−下大和田谷津田で米作り−

タバコ問題は、環境問題の原点

タバコ問題を考える会・千葉 事務局 島崎 洋一 

ひと頃、環境問題というと必ずといっていいほど「地球にやさしく」という言葉がスローガンのように使われていましたが、これではかえって環境問題を他人事のように感じさせてしまわないでしょうか。また、これほど傲慢で矛盾を含んだ言葉もないのではないかとさえ、私は思います。
地球の誕生から現在までの年月を1年に例えると、人類の誕生は12月31日の除夜の鐘が始まる頃といいます。そんなポッと出の人類にお慈悲を受けなければならないほど、地球はひ弱で情けない存在なのでしょうか。たしかにこんな短期間に驚くほど、人類は自らの生息環境を破壊しました。しかし、いくら地表や海水を汚染されようと、惑星としての地球の運行には何の問題もありません。
 「いや、『地球にやさしく』の地球とは、地球上に生息する動植物を含む地球表面の環境のことを言っているのだ」と仰るかもしれませんが、その意味での地球に対する究極の「やさしさ」は、人類、少なくとも現代の文明生活を営む人間がいなくなることです。地球上の生物体系における人類の存在は、人体にとっての癌細胞にも例えられます。地球上の大自然にとって現代人の営みは、異質で排除されるべきものなのです。それでも私たちは地球にやさしくできると言えるでしょうか。
 私たちが環境に配慮しなければならないのは、決して地球のためというわけではなく、私たち自身が生存するためです。地球の大気圏内の環境が破壊されては、私たちが生きていけないからです。環境問題は、私たちの存続のために考えることなのです。
だいぶ前置きが長くなりました。こんなことは、皆さんとっくにご承知のこととは思いましたが、それならば、環境問題が、私たちが生きていくために私たちを取り巻く環境とともにいかに共存していくかということがテーマであるならば、タバコ問題は、まず真っ先にクリアされるべき問題であるということを、認識していただきたいのです。
タバコには喫煙者自身の健康問題をはじめ、周囲への影響、吸い殻の環境へのリスク、未成年者の喫煙、政府の対応など様々な問題がありますが、いみじくも、細川内ダムの建設計画を撤回させた徳島県・木頭村前村長の藤田恵さんは、村長当時、「タバコを喫いながら環境問題を説く人は信用できない」という意味の発言をされました。
 「共生」がテーマである環境問題にとってもっとも身近な対象は、人間同士で構成する環境のはずです。タバコは喫煙する人が吸い込む煙よりもはるかに有害な煙(副流煙)を周囲にまき散らします。身近にいる人に対する配慮もできない人が、はたして環境について真剣に考えられるものでしょうか。環境との共生を大切に思う人には、ぜひ人間との共生についても大切にしてほしいものです。タバコ問題は、その意味で環境問題の原点に位置する問題といえるでしょう。 
私たちは、そんな思いから、今年は「ふなばし環境フェア」に参加することにしました。環境問題に関心を持っている方なら、一般の人よりもタバコに対する認識を深めてくれるだろうと期待してのことです。ちなみに 5月31日は世界禁煙デーで、日本ではそれから1週間を厚生労働省が禁煙週間と定めています。私たちは、この期間に環境フェアの準備活動を各地で行ないます。


ふなばし環境フェア
日 時:6月9日(土)午前10時〜午後4時
場 所:船橋市習志野台公民館  (電話047-463-2231,新京成習志野駅から徒歩13分)


サワガニを見たことがありますか

千葉エコロジ−センタ− 新島 偉行

海水浴に行ったとき、海のカニはみんな見たことがあるでしょう、カニといえば海にいるものと思っている人が多いと思います。ところがサワガニという淡水だけに住むカニがいるのです。このカニは水がとてもきれいなところにしか住んでいません。自然の陸地のなかできれいな水があるところといえば、山間地の谷川とか、平野部では清水の湧く湧水地です。ハイキングをして山道の岩の間から湧き出る水を飲んだことがあるでしょう、注意して見ると近くにサワガニがいることがあります。山に行かなくても近くの神社やお寺の裏山、谷津の田んぼの脇などに湧水地が所々に残っていてサワガニのいることがあるのです。最近、佐倉市で調べたところ図のように、まだ500以上も湧水地が見つかり、その うちの40数ヶ所にサワガニが住んでいたのです。
 現在の湧水地で湧き出る水の量は、山間地の湧き水と違ってとても少ないのです。だからそこに生きているサワガニも少なく、とくに大きなカニはよほど注意して探さないと見つかりません。先日サワガニのいる湧水地が道路工事で埋められてしまうことになり、サワガニの引っ越しをさせてやることになりました。5人がかりで1時間程探したところ、甲羅の幅が20mm以上の大型のカニが2匹、10mm以上の中型のものが6匹、10mm以下の小型のものが67匹も見つかり、近くの別の湧水地に移してやりました。
 大型のカニは、穴の奥や物陰に潜んでいて昼間はなかなか出てこないのですが、小型のカニはいつも水の流れているところにいますから見つかることが多いのです。
 いわゆる開発により道路や新しい建物ができ湧水地が埋め立てられ、また湧水地が残っていても湧きだす水の量は減る一方なのです。都市開発の進んだところでは、サワガニは絶滅しつつある動物の1つですが、それでも何とか辛うじて生き残っている姿を見ると その可愛さと健気さに感動します。
 サワガニは千葉県の野生生物のなかで保護を必要とする生物の1つに指定されました。 サワガニとりをしている小中学生を見かけることがあります。サワガニは人体に寄生する吸虫の中間宿主となっていることがあり、また飼育が難しい動物なので、湧水地で見ても捕っていくことはやめてほしいものです。   (佐倉市在住)


行って来ました、野草を食べる会

千葉市中央区 及川 久美子  

天候に恵まれ、市原市能満の谷津田に着いた頃には暑いくらいの陽気。そこには、稲を刈り取ったままの田んぼが広がり、周りには竹やぶがうっそうとしている。
「ウワーッ、なんにもない!」と思ってしまう都会に病んだ私。おっといけない。今日はこんな所こそ自然の宝庫だと言うことを学びに来たんだっけ。見れば他の人たちは早速思い思いの行動を始めている。魚をとる人、鳥を見る人、野草を採る人。さすがはネイチャーゲームの達人たち。皆なんて楽しそうなんだろう。一人では何も見付けられない私は小西さんの後について歩く。
「これは"よめな"上の柔らかいところだけ頂きましょう。そうすれば根も残せるし、食べてあげればきっと野草も喜んでくれる」,「田んぼって良く見ると、少しずつ高さが違っていて、自然に水が流れるように作られているのよ。」深みのある解説と共に、葛の芽・楊枝の木・カエルの雄雌の見分け方など教わりながらだんだんと見えなかったものが見えてくる。
予想以上の収穫で、てんぷら、味噌和え、土筆の炒め煮、どれをとっても美味しい!生のクレソンは少しあくが強い。野草の生命力の強さを舌で感じる。あまりのおいしさにお父さんたちはビールが足りないと不満の声。我が家の4歳の娘も、自分で摘んだタンポポの花のてんぷらを食べて満足そう。まだまだカエルやおたまじゃくしはさわれないけれど、きっといろいろな事を体で感じてくれている筈。残念ながら私のように机の上でばかり学んできた大人には、なかなかそれが難しい。せっかく自然の中にいても、頭ばかりが働いてしまう。だからこそ自然の力を借りて、ねむった五感を呼び覚まし、体の中から変わってみたい。人間が、本来あるべき姿を取り戻すことと、地球の環境を護ることは、別々では無いと思うから。今日は様々な年齢の子供たちもずらり勢揃い。子供同士の交流も楽しそう。
最後は筍堀の手伝い(邪魔?)もできて大満足。谷津田の一日を満喫しました。私同様、自然体験の無いお父さん・お母さん、食べることから入っていくと楽しいですよ!


田おこしに参加して−下大和田谷津田で米作り−

千葉市緑区  高山 邦明・翔・瑞紀

初めての田んぼでの作業、日頃運動不足であることをすっかり忘れて張り切って鍬をふるい過ぎててしまい、今日は筋肉痛と破れた手のマメの痛みを感じています。でも、満足感の方が上回っていて決して嫌な痛みではありません。子供たちも泥だらけになって田んぼを駆け回ったり、小川で生き物を探したり、とても楽しい時を過ごさせていただきました。お姉ちゃんたちに終始相手をしていただき、遊び方や生き物のことを教えてもらったお陰でもあります。よろしくお伝え下さい。そう、セリ入りの豚汁、とてもおいしかったです!
毎週末、双眼鏡や図鑑を手に家の近くの谷津田を歩いていますが、下大和田の昔ながらの谷津の自然は素晴らしく、なつかしさに心和むものがあります。しかし、米作りに取りかかれた場所が今年から休耕となる田んぼであることを考えると複雑な気持ちです。近所でも放棄田が人を寄せ付けないほど荒れ果てています。今回のような手作業ではないにせよ大変な米作りを高齢化する農家の方々が支えるのは困難で、下和田のような人の暮らしと結びついて守られてきた自然が失われてしまう。どうしたら良いのか、こうした催しに参加したのをきっかけに考えてみたいと思いました。
5月20日もぜひ、子供達と一緒に参加させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


お知らせ

第4回 地域環境学習リーダーのためのサポーター研修会

子育て中のお母さん大歓迎!!(託児付き!)
環境問題に関心があって、「こんなことやってみたい」あなた、仲間作りや実行計画づくりにお役立て下さい。
新企画として子育て中のお母さんも参加できるよう、保育士と学生ボランティアによる託児をもうけます。
日時:5月26日(土)10:00〜 27日(日)15:00 1泊2日
場所:昭和の森および昭和の森ユースホステル 集合:昭和の森ユース10:00
費用:6,000円(宿泊費1泊2食,会議室使用料,資料代,保険代,懇親会費を含む)
託児費:500円(保険料)(お子さんの参加は、幼児無料,小学生以上2,000円)
主催:ちば環境情報センター(TEL&FAX 043-223-7807)
谷津田でワイワイ米作り「田植えで思いっきり汗を流そう!」

日時:5月20日(日)10:00〜14:00
場所:千葉市緑区下大和田
参加費:300円 雨天決行
集合:中野操車場バス停10:00(JR千葉駅10番ちばフラワーバスで45分,520円)
持物:弁当,水筒,運動靴(地下足袋),着替え,帽子,雨具
主 催:ちば・谷津田フォーラム
申込み:ちば環境情報センターTEL&FAX 043-223-7807
ちば環境情報センター
総会のお知らせ



日時:6月17日(日) 
10:00〜12:00午後交流会
場所:ちば環境情報センター事務所
交流会とあわせてぜひご参加下さい。
七里川自然観察会
「マタタビの花に出会う」


日時:6月9日(土)
10:00〜14:00
集合:JR久留里線 上総亀山駅10:00
参加費:300円
持物:飲物、弁当、歩きやすい服装
※雨天決行
申込み:043-223-7807
主催:ちば環境情報センター
東京情報大学平成13年度前期公開講座
「21世紀の環境を考えるU」環境資源を伝え残すために


日程:第1回 6月9日(土) 第2回 6月16日(土)第3回 6月23日(土)
場所:東京情報大学 総合情報センターメディアホール 時間:いずれも13:30〜15:30
第1回「アジアの環境・情報・文化」環境情報学科教授 原慶太郎氏
「衛星データがとらえるアジア・日本・千葉」 環境情報学科講師 須藤純一氏
第2回「千葉の抱える環境問題−里山・谷津田・干潟」環境情報学科教授 ケビン・ショート氏
第3回「環境をマネジメントする−ISO環境規格」  環境情報学科教授 岡本眞一氏
「環境保全活動とパートナーシップ」  ちば環境情報センター代表 小西由希子氏
受講料:無料  定員:300名
申込方法:往復はがきまたは電子メール(kyoumu@affrs.tuis.ac.jp)に、住所,氏名,年齢,職業,電話番号,返信用の宛名(電子メールの場合はメールアドレス)をご記入の上、5月15日(火)から6月1日(金)までに教務課公開講座係まで
問い合わせ:東京情報大学教務課(043-236-4607) 主 催:東京情報大学

編集後記:先月号でカンパのお願いをしたところ、たくさんの方々から寄付金が寄せられました。皆様の暖かい気持ちを裏切らぬよう、今後とも「旬」の情報を提供していきたいと思います。よろしくお願いします。    mud-skipper