ちば環境情報センター
2001.6.8 発行    ニュースレター第47号
代表:小西由希子

目次
  1. 大収穫の研修会
  2. 都川と丹後堰公園に親しむ会発足
  3. 2001年度研修会で、実践すると決定した4つの活動
  4. ちば環境情報センター研修会に参加して
  5. 下大和田谷津田で市民参加の田植え
  6. ××落葉といわれるか、落葉(腐葉土)活用して

大収穫の研修会

恒例となったちば環境情報センターの研修会も4回目を迎え、今年は千葉市昭和の森ユースホステルを会場に、5月26日〜27日の1泊2日でおこないました。
参加者は、大学生8名を含む34名で、熱のこもったワークショップが展開されました。子育て中のおとうさん・おかあさんにも参加してほしいと、初めての試みとして「託児」を設けました。幼児3名、小学生3名の託
託児を快く引き受けて下さるボランティアの方にも恵まれ、大変にぎやかな研修会でした。
アイスブレーキング,前年度の活動報告に続いて、「2001年やってみたいこと」提案→仲間づくり→「必ずできる実践計画」立案という一連のプログラムによって、以下の4つの計画が具体化されていきました。さらに、「なったつもりのまち探検」やネイチャーゲームなど、子どもたちも一緒に参加した楽しい企画もあり、とても充実した二日間でした。(関連記事:後述参照)


都川と丹後堰公園に親しむ会発足

千葉市中央区 籠谷 公輔

皆さん、「丹後堰公園」ってご存知ですか?場所は千葉市中央区の都町五叉路から松ヶ丘方向に向かうとコカコーラの工場があり、その反対側の80mほど先が入口になります。入口にはまだ新しい公衆トイレがあり、その先に石碑があって丹後堰の名前の由来や役割についての説明があります。石碑の先には木橋(八つ橋)に続く階段があります。
木橋を歩いていくと、季節にもよりますが、オニグルミやクマヤナギ、タコノアシやツリフネソウなど珍しい植物に出会うことができます。自然を活かしたなかなかすてきな公園です。まだ、行ったことのない人はぜひ一度見てみてください。きっと気に入ってもらえると思います。
ところで、この公園に隣接した湿地帯が新たに千葉市の手で整備されます。こちらも丹後堰公園となる予定ですが、まだ、設計図は決定していません。そこで私たちはぜひ、自分達の手で公園造りや運営に関わっていきたいと考えています。黙っていたら、現在の湿地は埋め立てられ、芝生や遊具、植栽などによりつまらない公園になってしまうと思います。可能であるならば、市民が考えた、市民が楽しめる、市民によって運営される公園を造っていけたらと思います。
そういった夢と希望を込めて「都川と丹後堰公園に親しむ会」を設立しました。いかがでしょうか、皆さんもぜひ参加していただけませんか。もちろん、私たちの思いを実現できなくても、今ある都川(機会があればまた紹介いたしますが、素敵なお楽しみスポットがたくさんあります)や丹後堰公園だけでも十分に楽しめます。
また、隣接地には千葉県と千葉市とが共同事業で多目的遊水地の建設を進めています。こちらも結構すてきな場所なのですが、どのように造りかえられていくのか見守っているところです。「都川の環境を考える会」では「今ある湧水や自然を活かし、あまりお金をかけないで整備をして欲しい」と行政へお願いしたということです。やはり、公園整備に莫大な税金が使われたり、自然を全く破壊して新たな公園ができあがるというのはあまり嬉しくはありません。自然のままに、ザリガニやメダカやドジョウなどがいて、セリやクレソンやツクシなどを摘むことができ、蝶やトンボが飛び交う、そんな公園ができたらいいなと思います。


2001年度研修会で決定した、実践する4つの活動

2001年度の研修会では、今年度の活動として次の4つのことを実践していくことが決まりました。
1.扇田小にビオトープ実現を!
ビオネット代表中村彰宏氏、扇田小の石井先生そして南川の三人は2002年3月迄に扇田小に学校ビオトープを実現するための実行計画について話し合いました。
校長はすでに予算化はされているものの、「ビオトープを作るより子供と休み時間に遊ぶ方が大事では・・・」という声もあり、職員の間でさらに相談が必要と思われます。子どもたちとは,「生き物が一緒に生活する学校」ビオトープづくりについて話し合うつもりです。また保護者への説明もこれからという高いハードルがあることがわかりました。
@アピール 
まず、ビオトープの基本理念を理解してもらい、学校ビオトープの取り組み方を学んでもらうため専門家を呼び説明会を開きます。
保護者には学習参観の時に説明することになりました。子供達には総合的学習の時間に谷津田での生き物とのふれあいを通じてビオトープ導入の下地はできていると考えられます。理解を深めるため、他校の学校ビオトープを調べたり、実践校を見学したりして子供なりの「こういう生き物を呼びたい」などの思いを話しあうことにしました。職員,保護者,子供にはアンケートを実施して関わりを深くする努力をしたいと思います。
A情報の収集
学校周辺の自然環境や、昔の自然とそこにいた生きものについて調べ、呼びたい生き物の環境を中央博物館やインターネットで調査する。
B計画を立てる ビオトープの設計予算
集めた情報をふまえて、学校ビオトープに呼びたい生きものを決めます。みんなで考えた設計やスケジュールを元に、ビオトープの施工に取りかかります。つくる時は、子ども・先生はもちろん、PTAや地域の方々にも参加を呼びかけ、地域が一体となって取り組みたいと思う。
C育てる・利用する
せっかくできたビオトープも、放っておけば荒れてしまったり、外来種に占領されたりするので、日常的に必要な水やりや草とりなどは、当番制にするなどして、子どもが関われるようにし、ポンプの定期的整備だけは外注とします。この維持予算の財源をどうしようかな?
最後にこれらの計画がうまくいくようにするには、担当の先生1人のみではなく、先生全員が理解するようにして、担当の先生が異動してもビオトープを続けられるように、管理マニュアルを9月末までに作ることにしました。
実現まで説得、相互理解などのコミュニケーション能力と辛抱が試される難易度の高い課題設定ですが、きっと実現させます。(文責:南川忠男)

2.谷津田グループ〜谷津田プレーランドプロジェクト<YPP>〜
今まで谷津田フォーラムでは田おこしから始まり水入れ、田植えという流れで皆とともに知恵と汗を出し合い順調に進んでまいりました。そして皆さんとこの自然がいっぱい詰まった缶詰「谷津田」での感動を分かち合いたいと思い、下大和田の土地を発信基地として波及すべく今後の活動プロジェクトを打ち出しました。
その柱となるものが谷津田プレーランドです。現在、稲を植えてある田んぼのほかにトンボ・めだか池,水草の池,泥遊びの池,イベント広場といった楽しい谷津田ゾーンを作るプランです。そこでは新しい発見や感動を体験できると信じております。そしてワクワクするイベントも考えています。−−甘い香りが漂うレンゲ祭り、周辺の野草を食す、とれたお米で収穫祭、心躍る野外コンサートなどなど…。そしてそこに地元住民のかたがたにも参加していただきたいと思います。下大和田の歴史を作ってこられた方々への感謝の気持ちと人との心のつながりは大切と感じます。
それではもっとズームを引いてマクロ的な視点で下大和田を見てみることにしましょう。そこには我々の谷津田があり、周辺の台地、そして川の流れという全体図が見えてきます。箱庭のようです。「そうだ!マップや模型も作ろう!!」という声があがり1000分の1ジオラマを製作することにしました。全体図から谷津田に焦点を当てることによりもっと明確に理解でき、初めての人にも説明しやすいと思います。
以上がプロジェクトのエッセンスとなります。具体的にはトンボ・メダカ池,水草の池といったすぐ実行できるところからやっていく予定です。またこれらの展開として千葉県のメダカマップ、谷津田マップ作り、環境教育の教材作り、クラフトアート、林や土水路の手入れなど、といった構想から環境学習プログラム作りへの夢と希望を携え、多くの人たちとのかかわり合いをつくっていきたいと思います。たくさんの参加を待っております。 (文責:小川真澄)

3.子どもとあそぼう会
★メンバー :小西・及川・古川・白石・小倉・大類・山下・坂本
☆過程
私たち"子どもとあそぼう会"は会の活動としてこの一年間にやりたいことをまずあげ、その中から一年間に行う活動を決めました。活動を決めるまでには以下のような意見が出ました。
○芸術体験がしたい ○農業体験がしたい ○親子登山がしたい ○料理教室がしたい ○地域でのゴミ拾いがしたい ○プレーパークづくり ○自然のものだけを使った遊びにどのようなものがあるのか知りたい(子どもだけでなく大人も楽しめるもの) ○プレーリーダーの出前がしたい ○子どもの遊びを広げたい(ロープ、ナイフ、焚き火、薪割りなど) ○プレーリーダーの養成・プレーパークの助っ人軍団が欲しい ○昔の遊びが知りたい・復活させたい(年配者との交流) ○プレーパークの観察会・環境教室を開きたい ○野外で絵本の読み聞かせをしたい ○子どもが自分で遊べ学べる遊具の作成 ○幼児教育や子どもの接し方についてもっと学びたい(小学校・やひろ幼稚園) ○自然保護・森・干潟の保全について知りたい
などとても多くの意見が出ました。
これらを取り入れ一年間の活動が決まりました。
☆一年間の活動の流れ 
6月 3日(日)四街道総合公園のプレーパークでクッキー作りなど,下大和田で田んぼのあぜの草刈
7月 7日(土)下大和田で川遊び
7月25日(水)都川で川遊び
10月  親子で山登り(自然を楽しみながら山登りをし、達成感を味わう。)−候補地:養老渓谷,大原,昭和の森,鋸山など
11月 つるとり(カゴとかを編むために)→おばあちゃんから手作りおもちゃを教わる(生活用品の作成)
12月 谷津田で焼き芋パーティー
その他 おやこ環境ホルモン講座,幼児を対象にした環境教育のプログラム作り。(文責:山下厚子)

4.ちば学生環境ねっとわーく(仮)準備会
私たちのグループは「学生のネットワークを広げよう」ということで、以前から話のでていた「ちば学生環境ネットワーク」の立ち上げに向けて話し合いました。交流を深め、イベントなどへの積極的な参加を通して仲間への声かけ、掘り起こしをし、まずは準備会という形で進めていこうということになりました。
今後の主な活動は、このネットワークで知り合った仲間で「環境シンポジウム千葉会議」に参加することです。ここで若者主体の分科会をぜひ成功させたいと思っています。  (文責:小西朝希子)


ちば環境情報センター研修会に参加して

江戸川大学 環境情報学科 3年 吉野 正哲

この研修会に参加してまず感じたことは、今まで体験した事のない研修会だったという事です。これまで研修会に限らず、いろいろな環境イベントに参加した事があるのですが、いつも何か物足りないような感じでイベントを終える場合が多かったような気がします。いつも、それはなんでだろうかと考えていたのですが、この頃ふとしたことから原因が分かりました。その原因は自分がイベントに参加していても結局は傍観者の視点でしか参加できていなかったということです。そのため、自分のなかで、このイベントに参加したからどうなんだろうといった物足りなさを感じていたんだと思います。
今回の研修会では今までのイベントにはなかった自分達でなにかを企画して実行にうつす。そしてその結果報告を次の年の研修会にやろう、というような、自分自身が参加する企画にであえました。自分のなかで、どこからか講師を招いて一方的に話を聞いて終わるような研修会よりかは、こういった研修会こそ意味のあるものではないかと感じました。それぞれのグループごとにたくさんの意見の交換がなされ、それが企画に結びついていく。他人の意見も自分の意見も取り入れられて1つのものになっていくといった面白さも知る事ができるし。なにより、今まで自分の中になかった知識や情報が入ってくる事がうれしかったです。
このような研修会には、いろいろな方面の人が参加しているので、そういった知識や情報の宝庫だと思います。
今まで自分が知らなかった人たちと知りあえる。そこで情報や知識を提供してもらい、これからの活動にそれを生かす。こういった事がたくさん得られた研修会でした。また来年も参加して今年、皆で企画した事の結果報告をしてみたいです。最後に、今回の企画を紹介していただいた小西さんはじめ、自分にたくさんの知識と情報を提供してくださった参加者の皆様に感謝したいと思います。ありがとうございました。


下大和田谷津田で市民参加の田植え

千葉市緑区 網代 春男  

ちば・谷津田フォーラムの会員の方々,茂原農業高校の先生と生徒さん,千葉市の職員の方,近隣在住の方々,親子連れの方々と34名が参加しました。
田植えを始めると あ!ミジンコがうようよいる!サカナだ!ヤゴだ! カエル、ザリガニ、イトトンボケラ、タニシ、ゲンゴロウ、ドジョウの稚魚だ!と次々と歓声があがる。まるで、田んぼの中で観察会をしているような田植えでした。小川と繋がった、きれいな水の田んぼとは、こんなにも生き物が豊かなんだとびっくりするほどで感動しました。
ここは、こんなにも自然度の高い谷津田環境ですが農家の高齢化や周辺での大規模宅地開発が計画されていて放置田も多くなり、先々姿を変えざるを得ない状況におかれています。幸い、農家の方々、開発を計画する側の方々も、この自然環境を極力残しながらと考えられていて、中央博物館の中村俊彦先生に相談があったくらいです。
こうした谷津田の維持・保全は行政とか地権者だけでは持ちこたえることは難しいでしょう。解決への道は市民も参加して知恵と労力を提供することでしょう。市民参加の田んぼづくりはその第一歩を踏み出したと言えるでしょう。
千葉市の新5か年計画に、(1)将来像 「自然と共生する快適空間の広がる都市」、(2)基本方向「緑と水辺に恵まれた多自然都市を創る」、(3)基本的視点「参加と協働による都市づくりとくらしづくり」,「環境との共生に向けた取り組み」、が掲げられています。まさに、千葉市のモデル地域に成り得るところと思います。
日本中からメダカやホトケドジョウ、吸盤のないカエルが消えていくなかで、ここでは命を永らえています。何としても、これらの生息環境を残しながら、人々の生活にも有意義な地域にしたいと夢見ています。皆さん! 田んぼづくりに参加してください!


××落葉といわれるか、落葉(腐葉土)活用して

−生ゴミ減量の担い手になるか-団地住いの父さんの、生ゴミ堆肥化作戦−

千葉市美浜区 小久保 宏

NGOV(生.ゴミ.オペレイション.(イン)ベランダ.)団地住いの生ゴミ堆肥化作戦。
作戦開始から1ヶ月たった、成果は月間15kgの生ゴミが10分の1以下に減ったこと、心配した変な匂いがしないこと(完全無臭とはいいません)、はえ・ゴキブリには無縁があげられます。段ボール箱方式(神戸の香嶋正忠さん考案)を知ってから、つれあいにアプローチを始めた、1年半かかって「承認」されたのが1ヶ月まえでした。
やりかたは、段ボール箱の中に腐葉土とヌカを混合してベッドを作り、生ゴミを混ぜ込んでゆく、ベランダでできる=これだけやれば、生ゴミは有用な堆肥になるのです。堆肥になれば生ゴミはゼロになるのです。これまでは、生ゴミを指定袋にいれて、「お父さん、収集車が来るまでに出してきて」で処理完了(従来方式という)、庭のない団地暮しのやりかたでした。段ボール箱方式は、従来方式にくらべて、刻む、ヌカをまぶすの手間はかかります、最初はそれが少しご不満の様子でした。でも最初に書いたような成果がでてきて、つれあいも良さをはっきり認識したようです。これをやり始めてから、なにを捨てるかに敏感になりました、おかずは食べきれる量をつくる(当然ですが)、ほかの過剰包装などにも一層気が廻るようになりました。戸建ての友人も「庭のどこへでも生ゴミを埋めるわけにはゆかない、これは良さそうですね」という反応でした。
真夏になるとどうなるか、発酵作用を利用しているのですから、腐敗させないようにするのが大事でしょう、発酵反応速度は高まる(いまでも60℃になる)から、うまくゆくのではないか。CEIC会員には旧聞かもしれませんが体験談として、やりかたの詳細は次の機会に。


編集後記: 関東地方もいよいよ梅雨入り。研修会では今年もすばらしい方たちと出会い、新しい計画もできました。しばらくは、同じ目標を持った仲間達と雨の中での野良作業を楽しんでいきたいと思っています。 mud-skipper