ちば環境情報センター
2001.9.7 発行    ニュースレター第50号
代表:小西由希子

目次

  1. 千葉県にすむ南方系のエビ類と河川環境
  2. 伏せ焼きによる竹炭づくり 
  3. 10月21日は環境ジンポジウム2001千葉会議♪
  4. YPP谷津田プレーランドプロジェクト 
  5. 「さあ刈ろう!みんなで育てたみんなの稲」

千葉県にすむ南方系のエビ類と河川環境

     千葉エコロジ−センタ− 佐倉市 新島 偉行

数年前、四国の四万十川に旅行したとき、ハサミ腕が太くて、やや扁平な形のテナガエビが旅館の夕膳に出てきて、そのときは何となく南方系のエビらしいと思って食べたものでした。それが昨年、南房総の川で同じエビを採集して非常に驚き、図鑑で調べてみると、それがヒラテテナガエビという、房州を北限とするエビであることがわかりました。興味をもってさらに調査をしていると、このエビが南房総の河川には数は少ないながら点々と分布していることがわかってきたのです。
 文献を調べているうちに、既に50年も前の1951年に千葉県立長狭高校の生徒たちが安房郡に生息するエビ類を研究した記録が発見されそれには11種(そのうちヒラテテナガエビを含めて8種が南方系)のエビ類が記載され、きれいなスケッチが添えられていました。当時は、戦後の物のない時代でケント紙などなかったのでしょうこれらのスケッチは、学校の賞状の裏をつかって描いたものです。高校生の研究誌で時代も古く、この文献は専門の研究者の目に触れることなく、埋もれていたものでした。
 ここで、南方系のエビ類とは、四国・九州・南西諸島などに多く生息しているエビのことで、卵が生まれると川の水に流されて海に出ます。幼生は海水中でなければ育ちません。幼生期間は約1ヵ月で、黒潮にのって北上し、房総半島に辿り着いて稚エビとなり、川の流れを感じて上ってくるのでしょう。その後は淡水中で成長して一生を川で暮らすのです。自分のこどもが同じ川に上るとは限らず、遥か南方の川で生まれたものが、遠く房州の川まで旅をしてその川で親になるのです。ウナギの育ち方に少し似ていると思いませんか、このように、成長に伴い海と川に生活の場所をかえる生き方を、りょうそく両側回遊性とか、通し回遊性とよびます。
 50年前、長狭高校生たちが記録した11種のエビ類のうち、現在までに生息が再確認されたものはヌマエビ・ヌカエビ・トゲナシヌマエビ・ミゾレヌマエビ・ヤマトヌマエビ・ヒメヌマエビ・スジエビ・ヒラテテナガエビ・テナガエビの9種です。コンジンテナガエビとミナミテナガエビの2種は、まだ見つかっていません。おそらく50年前の川と現在の川との河川環境の違いが関係しているように思われます。遥か遠い海から1ヵ月もの旅をしてきても、最後の川が汚れていては、稚いエビたちが無事に育つことはできません。さらに難関は川のコンクリ−ト護岸とダムの存在です。コンクリ−トの川では水生植物が育たず、エビたちのエサ場や住みかがなくなり、また、ヒラテテナガエビのように上流に上って成長するエビにとっては各種のダムは一生の難関なのです。南房総にはダムが多いので、これからはダム建設に伴い貴重な野生動物であるこれらエビ類の保全対策として、エビ類も上れる魚道(エビ道)の設置が考えられるようになり、すでに長崎県では造られつつあるようです。千葉県でも実現できるように提案していきたいと考えています。


伏せ焼きによる竹炭づくり 

千葉エコネット 八千代市 松尾 昌泰 

今年も、勝浦にて8月に千葉エコネット主催(参加12名)で竹炭焼きに挑戦した。「CO2を一時的にも閉じ込めるし、リサイクル可能な燃料である炭」を、実際に自分たちの手で作ってみようという事になり、数年前にはじめた。それ以来、病みつきになり毎年行っている。
この勝浦には、会員の1人が数年前に会社をやめ、田畑と竹林を含む広い土地に移転している。周囲一帯は自然を充分に満喫でき炭焼きの煙で近所迷惑など考えなくてもよい場所である。

朝8時から「伏せ焼き」用の穴を掘り、1ヶ月ほど前に切り倒した竹炭材を詰め、その両側と上に枯れ葉を盛り上がる程度にふんわり詰め、その上にトタンをのせて、さらに上から土をかぶせて、焚き口と煙突の穴以外は密閉した。
今回は、次図のように縦150cm,横70cm,深さ30cmの穴を、伏せ焼き窯として2個作った。
窯に点火したのは、11時20分で、焚き口で火を燃やし、その熱を窯の中に入れ、中の竹材を乾燥させ炭化させる。(火は決して窯の中まで燃やさないようにしなければならないが、結果的には中の炭材がある程度燃えてしまう。)根気の要る作業である。煙突の出口で温度を測りながら、又煙の出方や色を見ながら、火力や焚き口の大きさを絞っていき、窯は翌日の午前1時24分に(14時間4分経過で)、火を止め、焚き口と煙突の穴を完全に塞いだ。炭の出来具合は、3分の2程度で、我々素人集団としては、「ほぼ満足」の結果であった。
この炭焼きの時に飾炭もつくった。飾炭とは、箱型の空きカンにイガつき栗、アメリカフウの実、どんぐり、ゴボウの果実などを入れて、そのままの形で装飾炭にすることである。今回はこの他に、竹で作った「取っ手のある一輪挿し(手桶タイプ)」を入れたがうまく飾炭にできた。
炭焼きは、炭、竹酢液、そして飾炭が出来上がる楽しさがある。さらに、近所の農家の人たちに参加してもらって、青竹で作ったビアカップや青竹椀でのバーベキューも楽しく、自然の多く残る大地の中で、煙突から流れ出る煙を見ながらの仲間との作業からは、自然エネルギーをいっぱい貰ったような気がする。
窯開けは、火を止めてから約12時間後であるので、その待ち時間を利用して、炭焼き場所の裏手にある竹林を少し整備した。最初は心の中では、50本〜60本程度の伐採をと思っていたが、20本程度しか伐採できなかった。
斜面林であったし、切るだけなら容易であるが、竹を横に倒し、適当な長さに切り、枝を落し、運び出すという一連の作業がある。竹をノコで1本切るだけの作業の数十倍かかることも、実感した。竹林の保全の大変さもよく分かったような気がした。


10月21日は環境ジンポジウム2001千葉会議♪

シンポジウム広報部 千葉市花見川区 伊原 香奈子

皆さんは、もう『環境シンポジウム千葉会議』をご存知でしょうか。市民・企業・行政のパートナーシップを図りながら、環境意識の向上と実践活動の推進,啓発のため、7年前から始まった環境会議です。
 一般にシンポジウムというと、先進的事例が報告され、パネラーの話を聞くというスタイルが多いのですが、このシンポジウムは、参加者1人1人の発言が大切にされる参加型スタイルをとっているのが大きな特徴です。毎年、環境に関心を持った人の出会いときっかけの場、環境活動している人の情報共有・意欲向上の場として、また、市民・企業・行政が同テーブルで討議できる場としても大変好評を得ています。さらに去年からは、この千葉会議をその場だけのイベントとして捉えず、そこをきっかけとして参加者同士が繋がり合うネットワーク作りがいくつかの分科会で始まっています。
 『環境都市ちば』をめざして、今、環境分野は大きく前進しようとしています。今年はぜひあなたも参加し、一味違うシンポジウムを体験してみて下さい。これをきっかけに、新たに自分からできることを見つけだせることでしょう!意欲あるあなたの参加を、心よりお待ちしております。会場は、海浜幕張駅徒歩10分の富士通ビルです。丸1日使い、実りある会議にしたいと思っております。詳細は今月号に同封されてますチラシ、もしくは千葉県環境財団(043-246-2180)までお問い合わせを。
HP:http://www.geocities.co.jp/NatureLand/5021/


YPP谷津田プレーランドプロジェクト 実践行動第4弾
「さあ刈ろう!みんなで育てたみんなの稲」

鍬を握る手にマメを作って起こした田んぼに、泥んこの感触にキャーキャー叫びながら植えた稲はすくすく育ち、今やたわわの米を実らせています。みんなで作ったかかしに見守られ、直撃した台風の影響もほとんどなく、重い穂が風にたなびいている風景は素敵です。その稲をいよいよ刈ります。これまでの田んぼ作りのこと、田んぼが育んだメダカやカエルなど生き物のことに思いを馳せながら、みんなでワイワイ稲刈りを楽しみましょう。小さなお子さんの参加も大歓迎!赤トンボもきっと待ってますよ。

日 時:2001年9月15日(土) 10:00〜14:00  ※小雨決行
場 所:下大和田谷津田(千葉市緑区)
集 合:中野操車場バス停10:00(JR千葉駅10番成東行き,ちばフラワーバスで45分,520円)
持ち物:弁当,飲み物,長靴,軍手,着替えなど
参加費:300円(保険代)
連絡先:高山邦明(TEL&FAX:043-294-9656 e-mail:kuni@eastcom.ne.jp)
主 催:ちば環境情報センター   共 催:ちば・谷津田フォーラム。

編集後記:夏休みを利用して、県内のメダカ調査をしました。関宿,野田,八日市場,袖ヶ浦,御宿など、どこへ行ってもメダカに出会えました。3面コンクリ水路に群れているところもあり、絶滅が心配されているメダカのたくましい一面を垣間見た気がします。 mud-skipper