ちば環境情報センター
2001.11.7 発行    ニュースレター第52号
代表:小西由希子

目次

パーマカルチャー 

千葉市稲毛区 宮川 沙弥香 

パーマカルチャー。日本では耳慣れない言葉だが、オーストラリアでは、有機農法や環境、自然に関わる活動、また自然と共生した新しい生き方を模索する人たちにとってはなじみのある言葉だ。
 学生時代パーマカルチャーの考え方に出会った私は、それがどうゆうものなのか、この目で実際見て、経験したくってたまらなかった。その念願がかない、卒業を迎えたこの春から3ヶ月間、実際にオーストラリアでパーマカルチャーを実践する人たちと一緒に生活をすることが出来た。パーマカルチャーの基本的な考え方はオーストラリアだけでなく、人と自然の関係が狂ってしまった世界中のどの場所においてもひとつの希望となるものだと思う。
パーマカルチャーとは?
 パーマカルチャーとは、permanent(永久の)とagriculture(農業)とculture(文化)を合わせた造語で、つまり人間にとって恒久的持続可能な環境をつくり出すためのデザイン体系のこと。しかしそれは決して人間にとってのみ当てはまるのではない。パーマカルチャーには3つの大切な倫理がある。ひとつは地球に対する配慮、二つめは人間に対する配慮、三つめは余った時間と金とエネルギーを地球と人々に対する配慮という目的の達成に貢献できるように使うことだ。
 パーマカルチャーの畑
 パーマカルチャーは生きることに関わる全てにおいて実践されることが出来るが、ここでは私が一番多くの時間を過ごしたパーマカルチャーの畑を紹介したいと思う。
 パーマカルチャーの畑は普通の人が見ただけでは畑に見えない。裸の土に同じ作物が行儀良くずらっと並んでいる畑はそこにはない。畑の形も直線ではなく、自然界の中にある形を真似て鍵穴式や勾玉のかたち、スパイラル状の畑など様々だ。その中には一緒に育つと良いとされている作物や雑草たちが仲良さそうに暮らしている。草木の種類が多いだけではなく、たくさんの種類の虫や鳥たちも集まってくる。もちろん農薬や化学肥料は使わず、自然の持つ力を最大限に利用し、自然に逆らうのではなく自然に従いながら畑は維持されている。畑にはミミズもたくさん住んでいるし、土は黒くてしっとりしていかにも養分がありそうで生きている感じさえした。しかし驚くべきことにこの土地の土は全て数年前まで雑草しか生えないような固い粘土質の土だったという。その土をモグラやミミズ、小さな虫や微生物が生きている土に変えたのだ。
 たくさんの生き物が助け合って生きている畑にいると、自分は毛虫やミミズと同じなんだ、と感じることがたくさんあった。私も同じ場所で生きることを助けられ、助けている。そのことに気付くと自然と心から目のまえのキャベツの上でくねくねしている毛虫が愛しくなってくる。そして愛しい生命あるものたちがたくさん住むこの場所を大切にしようと思う。自然と自分との関係は机の上だけでは分からない。実際に自分で経験し、自分で気付くことがとても大切だと思う。だから私にそのことを気付かせてくれた畑のようなたくさんの生き物が助け合いながら生きている場所を残し、つくっていきたいと思う。私は自然を残すだけでなく、持続可能な自然を人間はつくり出すこともできると信じている。人間も自然の一部、自然そのものなのだ、ということに気付きさえすれば。


環境シンポジウム2001千葉会議に参加して

10月21日「環境シンポジウム2001千葉会議」が富士通幕張システムラボラトリで開催されました。地球温暖化,ゴミ問題,生物多様性,環境学習,まちづくり,学生の環境活動と6つの分科会に分かれて活発な情報交換が行われました。堂本暁子千葉県知事の「環境先進県ちばをめざして」と題した特別講演もあり、大勢の参加者でにぎわいました。後援団体の一つである「ちば環境情報センター」の会員も、実行委員,スタッフ,パネラーとして多数参加し、会の運営に協力しました。
シンポジウムに参加した方々から感想が寄せられていますので、ご紹介します。

このちば環境情報センターのメンバーの方も大勢参加され、大活躍をされていましたね。心強いです。私は生物多様性に関する分科会の谷津田グループに参加しましたが、千葉の谷津田で活動するたくさんの方が熱心に議論をするのを伺い、とても刺激になりました。
谷津田プレーランドのような活動が必要なことを実感すると共に、その輪をどんどん広げていかないと、急速に放棄されていく谷津田をくい止めることができないという危機感を強く感じました。一人でも多くの皆さんの力が必要です!                          (高山邦明)

千葉はアツイところで、千葉を育てていくのはみんなの「想い」だというのが実感できました。これからもがんばっていきましょう!(中村彰宏)

環境シンポジウム2001千葉会議に参加。昨年は第3分科会・谷津田のスタッフとして参加したが今回は諸般の事情で一般参加した。
基調講演は堂本千葉県知事。女史の環境問題に関する国際経験の話とそれを元にした環境政策や抱負の話があったが、非常によく勉強されており、千葉県の環境問題の現状を鋭く分析し、国政の不備も指摘しながら、グローバルな視点からの千葉県のこれからの環境問題を熱く語ってくれた。三番瀬、不法廃棄物問題への取り組みへの決意が感じられ素晴らしい講演であった。目線を我々と同じにして語りかけてくる姿勢にも共感を覚えた。
その後「生物多様性と私達のくらし」という分科会に参加。谷津田、野鳥、里山、干潟、ビオトープなどのグループにわかれての討論であったが、私は勉強のために「干潟」グループに参加した。小櫃川河口干潟を守っている藤平先生を中心としたグループである。干潟の生物多様性について勉強できればということであったが、どうしても活動の方向性や活性化、一般市民の世論喚起という話になってしまうが残念であった。生物多様性の観点から、人の干潟へかかわり方について議論したかった。昨年も感じたが少ない時間で盛りだくさんの内容を消化するのは限度がある。短時間で参加者が有意義に議論できる方法を考えるべきだと感じた。「生物多様性」というテーマなのだからその辺の資料や議論が必要であると感じた。
しかしながら、干潟の置かれている状況は厳しいものがある。三番瀬、小櫃川河口干潟。千葉に残る貴重な干潟を法整備など(ラムサール条約登録や環境保全地域の指定など)ということも含め守っていきたいものである。 (岡嘉弘)

大変な部分もたくさんあったけど、やっぱ環境シンポジウム2001千葉会議は、千葉になくてはならないシンポジウムだと思っています。また、そうなっていくべき必要性のあるシンポジウムではないでしょうか?そしてそうさせていくのも、かかわっていくメンバー1人1人にかかっていると感じています。
来年のシンポジウムも、より良いものにしていけるといいな。1人ではできないけど、みんなと一緒に創っていけば、きっと素敵なシンポジウムになっていくと思います。 (伊原香奈子)

今年も、もう環境シンポジウムが来たのかと思いでいました。毎年、(出席できない年も含めて)この1年の環境活動について振り返る、いい機会になっています。地球レベルでの環境問題を念頭におき、いま私の生活する立場で、いかに動いていくか見つめなおしています。様々な、活動をされている方々にふれ、勇気がわく、とともにやはりもっと若い世代(子育て世代)の参加を呼び掛けていく必要があると感じました。次世代をになう子供達を育てる世代が、環境に関して敏感にならなければ、変わっていかないでしょう。来年は子供の声の聞こえる、家族で参加できるシンポジウムを考えてみましょう。 (古川美之)

第3分科会の内容についてファシリテーターの立場としていくつか気が付いたことを述べさせていただきます。
第3分科会のテーマを『生物多様性と私たちの暮らし』と掲げるのであれば,グループワークおよびパネルディスカッションではある程度テーマに沿った方向性をそれぞれのグループ,パネラーは持つべきであったと思う。
それぞれのグループどうしの共通理解がないままグルーブ独自に話し合いが始まってしまい,ファシリテーターとしてはやはり方向性がしっかりしていないとまとめることは困難でした。
実行委員会としては,まとめる必要はないとの考えでした。すなわち参加者の意見を聞き,それをアクションプランにつなげればよいということだったのですが,方向性が明確でないと共通理解も得られず次の段階へ進むのは難しく感じました。
また,パネルディスカッションの進め方としてパネラーにグループ討議の内容等を話させるのは限られた時間内なので残念であった。素晴らしいパネラーとコーディネーターが揃ったのにテーマに沿った話し合いの時間が少なかったのはとても残念であった。
全体としては堂本暁子知事,中村俊彦先生の話は内容も充実しておりとても刺激になりました。また,野鳥グループの蓮尾純子氏の行徳保護区での長年にわたる実践例は,とても参考になりました。(越川重治)

準備段階であまり参加はできませんでしたが、当日は大きなハプニングもなく楽しめることができました。ワークショップをやってみるということがはじめてだったのでとてもよい経験をしました。自分たちの手で分科会を完成させるのはとても興味深かったです。学生がやる分科会がこれからも続いて欲しいと思います。 (つのいたかこ)

(第4分科会に携わって…)市民(NGO・NPO)・行政・学校それぞれの立場の人が、机を囲み一同に会せたことは、重要な意味があったと感じた。(三枝文和)

すべてが予定通りには行かなかったけど、いろんな意味で千葉の学生とつながれたシンポジウムでした。(吉野)

いろいろと勉強になり、たいへん楽しかったです。これからも他大学と交流していきたいです。とっても楽しくよい勉強ができました。 (宮本)

シンポジウムを終えて。学生だけだったので話しやすかった。いろんなことを学べたし、考えさせられた。(島田裕里)

今回のシンポジウムに参加して、自分の勉強のなさを改めて知らされた。まだまだ環境について知らないことが多すぎた。(白石和也)

いろんな市民活動があるのだなと思いました。  (長島晶子)

初体験でした。世の中にはいろんなことがあるんですね。 (平松)

ちばシンポに参加して(私は第6分科会に出席しましたが)、いろいろな学校の人と知り合っていろいろな意見が聞けて、またあたらしく視野が広がりました。いい機会になりました。 (山下厚子)

準備段階ではどうなるものかとヒヤヒヤしていましたが、当日はなんとかなるもので、楽しくやることができました。協力してくださった皆さん、ありがとうございました。来年も(?)がんばるぞー! (井上和幸)

他大学の人といろいろと話し合えて、とても楽しかったし、とてもよい経験になりました。活動につなげる話し合いというのも刺激になると思いました。 (廣田真紀)
初めてワークショップをやって、いろいろな大学の人と話をできて、楽しかったです。今後もっと輪を広げていきたいです。 (神辺)

環境をよくしていこうという同じ考えをもつ人々と話し合うことができてよかった。自分にも気合が入った。(秋葉行雄)

第4分科会に参加してまず感じたことは、スタッフたちが円滑に動いていなかったこと。実行委員同士の事前打ち合わせに問題がありそうだ。与えられた時間内に、なにをしたいのかと不可解であった。会議が終わって、物足りなさだけが残ったのは、私だけだったろうか。  (平田和博)

第3分科会 堂本暁子著「生物多様性」に感動して立ち上げた第3分科会は、テーマを「生物多様性とわたし達のくらし」と定め、ケビンショート氏や中村俊彦氏,長谷川雅美氏,藤平量郎氏,斉藤貞男氏,蓮尾純子氏と多彩なパネラーのもと、まさに多様な自然環境について、膝を交えてのディスカッションの場となりました。また、この分科会では、田中正彦氏,古川美之氏,高山邦明氏,中村彰宏氏等、ちば環境情報センターの精鋭の方々にご助力いただき、中村氏からは「感動」のご意見をいただいての成果を収めることができました。皆様ありがとうございました。(山口由富子)    


谷津田で見つかった5本足のカエル

千葉市緑区 高山 邦明 

去る10月27〜28日、土気の駅前で開催された「第7回ふれあい福祉フェスティバル」にちば環境情報センターがブースを出しましたが、そこに展示するため田んぼにメダカを捕りに行き、足が5本あるウシガエルの子供を採取してしまいました。前足の間に左前足が一本余計にある個体です。これだけでもショッキングだったのですが、さらに驚くことにそのすぐ近くで捕獲したメダカの一匹に骨の奇形が認められました。一緒に捕りに行った小3の息子もたいそう気味悪がり、もうその田んぼへは行きたくないと言い出したほどです。安直に短絡してはいけないのですが、環境ホルモンのことが頭をよぎります。
こうした現象について皆さんの情報をお願いします。


編集後記:環境シンポジウム2001千葉会議,エコメッセ2001と立て続けに大きなイベントがありました。11月3,4日に行われたエコメッセでは、大荒れの天候に会場のテントや展示品が破壊され、悲惨な状況でした。ビル風の恐ろしさでしょうか。   mud-skipper