ちば環境情報センター
2002.3.6 発行    ニュースレター第56号
代表:小西由希子

目次
  1. ごみ・リサイクルのアンケート調査報告 ―782名の参加―
  2. 千葉市生涯学習センター自主企画講座報告
  3. コンクリートの教育  
  4. 大切な宝「里山を守ろう」

ごみ・リサイクルのアンケート調査報告 ―782名の参加―

千葉エコネット  八千代市 松尾 昌泰  

千葉エコネット(代表:野村幸平)の会員が広く県内に分散している利点を生かし、「ごみ・リサイクル」のアンケートを実施した。アンケートを通じ、会員自身は勿論、アンケートに参加していただいた多くの方からは、「自分の日頃の生活を見直すキッカケになった」との声をいただき、ゴミに関するマインドを啓発できたと思う。しかも、その結果は、私達に今後の指針を与えてくれた。ご協力いただいた「ちば環境情報センター」の皆様に感謝いたします。
回答者の男女比率は「3:7」,年代別では、30代以下,40代〜50代,60代以上の比率は「2:6:2」であった。また、環境団体に加入している人の割合は約1割であった。

1. ゴミ削減で気をつけていること

「詰替商品、繰返し使用できる商品を意識して購入」は7割、しかし、「ペットボトル商品やペーパータオル等の利便性商品を購入しない」は約3割に留まる。マイバック持参,包装紙辞退も3割以下で、ごみ削減意識は充分ではない。

2.生ゴミの処理

生ごみは、約8割の人が集積場に出し、家庭内処理は16%、堆肥化は8%に過ぎない。生活系ごみの中で、毎日出てくる生ゴミの削減には、地域内・家庭内での処理、飼料化、堆肥化などの仕組みが必要。

2.生ゴミの処理はどうされていますか (1つだけ○)
  ア. 水気をできるだけ切り、燃えるゴミとして集積場に持って行く
  イ. 庭菜園などの場所に埋めている
  ウ. 燃えるゴミとして集積場に持って行く
  エ. EM菌を利用している
  オ. 生ごみ処理機を使用している
  カ. コンポスターなどの、堆肥化容器を使用している
  キ. その他( )

3.家庭内のごみの増減
以前より「減っていない」は約7割で、各自の努力にかかわらず、削減はかなり難しい。

4.リサイクルについて
新聞、雑誌、空ビン缶の回収は定着。しかし、ペットボトルやトレー等の回収の定着は今一歩。
<古着の処理方法>
「燃えるごみ」「集団回収」としている人は、それぞれ3分の1で、「リサイクルショップへ」、「ボランティア団体へ」、「フリーマーケットへ」はそれぞれ全体の1割にも満たない。古着の扱いに困っている人が多く、何らかのリユースやリサイクルの仕組みの確立が必要である。

<ペットボトルのリサイクル>
ペットボトルのリサイクルに多量のエネルギーを必要とするとの設問では、「無くてもよい」が過半数を超え、利便性よりも環境大切の意識が強く感じられる。ペットボトルは抜本的に考え直す時期である。リサイクルには石油使用量でみると「初期の製造運搬費用の4倍弱を消費する」ことは広く認識されてない。ペットボトルに限らず、正しい情報の周知徹底が必要である。

5.年代別、性別

全般にわたって、40代以下より50代以上の人は意識が高い。ペットボトルのリサイクルについては、10代の人は関心が無く、20代以上では、多くの人が「ペットボトルは無用」と回答している。10代〜30代の世代に「リサイクル意識の向上」が求められる。
性別では、全般にわたり女性が男性より意識が高く、男性に対する環境教育や啓蒙活動が必要である。

総合的な感想と今後の課題

アンケート集計結果の総合的な感想、今後の課題と思われるのは次の通りである。

1.「リサイクル」という言葉
リサイクルという言葉がまるで環境問題解決の鍵といった感じがする。資源ごみでも、市町村の集積場に持っていくからそれで良いのではない。自然に備わっている「大きな循環の仕組み」があり、「人間が作った物は人間が責任をもって処理しなければならない」と思う。
最初に物を作る時から最後までの全サイクルを考えなければならないし、私たちも原点に戻って考える必要があると思う。

2.市民1人ひとりの意識だけでは限界

かなりの人がそれぞれ努力をしているが、千葉県のごみ(一般廃棄物)は、まだまだ大量に出続けており、最終処分場の容量も残り少なくなってきている(千葉県環境研究センターの平成13年3月発行の「ゴミとリサイクル2001」参照)。いまや、市民の意識や努力だけではなかなか改善は進まない。もう待ったなしで、市民・企業・行政が一緒になって、真剣に立ち上がらなければならない時期である。

3.今後はさらに心がけたいこと
私達会員はこのアンケート結果を踏まえ、それぞれの立場や地域で、アンケートの回答者、周りの人、市民団体、自治体などと、情報交換しながら、「ごみ・リサイクルの意識」を相互に向上していくこと。さらに、県や市町村に機会をとらえ要望や提案をしていくことも必要である。


千葉市生涯学習センター自主企画講座報告

ちば環境情報センター代表 小西 由希子 

自主企画講座「気づいて暮らす 千葉の自然と環境」が終了しました。これは千葉市生涯学習センターが、市民から講座を募集したもので、10団体の応募から2団体を選んで実施したものです。
募集定員を超える応募があり、また平日にもかかわらず年休を取って参加してくださった30代のサラリーマンもいらして、環境問題への関心の高さが伺われました。
5回の講座は、専門家(いずれも当会会員で、ボランティアで快くお引き受けくださいました)によるお話と、実践を組み合わせた参加体験型講座です。実践の部分ではスタッフが講師を務めましたが、伝えることやファシリテートする(引き出す)ことの難しさも知り、大変いい経験になりました。「こんな一般の市民もやっているんだという親近感が、私たちにはとても新鮮だった」という参加者からの感想もいただきました。
回を重ねる毎に参加者同士うち解けあって、和気あいあいと雰囲気も盛り上がりました。最後のエコクッキングは、地産地消にポイントを置いたメニューを考えました。そこで、無農薬有機農法で作られた野菜を食材として使ったばかりでなく、その野菜を生産した生産者を招き有機農法とその問題点を直接伺うという、ちょっぴり贅沢な講座でした。終了後当会に入会して下さる方もあり、今後同様の講座をして欲しいと公民館からも依頼され、私たちとしても大きな収穫がありました。ご協力くださったスタッフのみなさん、ご苦労様でした。


コンクリートの教育  

千葉市美浜区 内藤 英世


千葉にも国の天然記念物ミヤコタナゴがいます。トビハゼやオオウナギは、世界的な分布の北限だそうです。ちば環境情報センター運営の「自然と環境」講座第2回、検見川高校の田中正彦先生の「千葉市の川と水辺の生物」の話の中で教えてもらいました。午前中の講義に続き、午後は顕微鏡400倍の驚異の世界でした。花見川の水の中にも図鑑通りのプランクトン、緑と赤が鮮やかで、ベネチアングラスを思わせるクンショウモや、ヒビミドロ、ヒルガタワムシがいました。クッキリハッキリ見えて、感激です。見ながらスケッチもしました。谷津や土水路は、岸の構造・水深・流速に変化があり、また隠れる障害物があるので、人と生き物が共存できます。コンクリート化された水路は、直線・垂直化していて生きものを寄せつけません。ダメダメの規制の多い行政や教育を思わせます。「あるがまま」、がいかに大切かがわかります。
良い自然環境は景色がいいことは言うに及ばず、心が落ち着きます。生き物を観察していると、色や形・動きの中に天の配剤の素晴らしさを実感します。花見川の汐留橋上流、大草・赤井谷津は水辺に親しめるお勧めスポットです。誰のためでもありません。我々自身がホッとでき、元気も出ます。「良い環境を保つ」ことには大きな意義がある、と強く思いました。


YPP活動報告−田んぼに産みつけられたニホンアカガエルの卵塊調査−
千葉市緑区 高山 邦明

2002年2月17日は下大和田谷津田プレーランドプロジェクト(YPP)で冬の生き物観察を行いました。目玉は、ニホンアカガエルの卵しらべ。1月末から2月前半に産みつけらた卵塊の数は、私たちの田んぼの一つ(約100坪)に41個ありました。そのうちの一つを取り出して、みんなで卵の数をかぞえてみたら、何と2,000個でした。これはかなり大きな卵塊なので、平均的な数はもっと少なそうですが、それでも、田んぼ1枚に3万個以上の卵がある計算になります。しかし、周辺の田んぼを見ても、カエルは米作りをしていない田んぼには水があっても産卵していません。稲作と共存してきたアカガエルの生活やそれ故に急速に数を減らしている現状がわかります。
さて、卵の観察の他に、千葉県立中央博物館からお借りしたキットを使ってにも挑戦しました。本物を使ってデザインしたということで、実に精密な模型が出来上がって、みんな大喜びです。アカガエルの親が再び目を覚ました頃に色付けをしたいと思います。
観察の後は、うどんを食べたり、たき火で芋やカボチャを焼いたりして、お腹の方もしっかり満足させて、田んぼの一日を楽しく過ごしました。
3月からは田んぼの作業をスタートする予定です。初めての方、大歓迎ですので、米作りに参加されたい方はどうぞお出かけ下さい。予定が決まり次第、イベント情報に掲載します。


大切な宝「里山を守ろう」

成田市立中台小学校6年 富重 聡子 

成田にはまだ多くの自然が残っています。自然はいろいろなものからできていますが、森もその一つです。だから、森を守ることは、そこにつながっているいろいろな自然を守ることになります。たとえば、森の小動物,鳥,自然の草花,水などがそうです。森を守ることは、私たち自身のためにもなります。また、その美しい風景が私たちの心をなごませてくれます。
それでは、成田の森をどうやって守っていったらよいのでしょうか。森の持ち主はどうしているのでしょうか。森をきちんと維持することは、手間やお金がとてもかかるので、少しずつ森が手ばなされ、森の木々がばっさいされていきます。森の持ち主の人たちは、だんだん年をとって自分の手で木の手入れや下草の刈りとりをすることが、体力的にむずかしくなっています。人にたのむとすごくお金がかかるので、それもなかなかできません。成田の森があれたり、減ったりすることになります。
成田には、農林業の人たちが持っている森の他に、「教育の森」や「学校林」というものもあります。わたしも学校林の手入れに参加したことがあります。増えすぎた竹をのこぎりで切りとったりしました。お父さんたちは太い竹を、わたしたち子供は細い竹を切りました。細い竹はうちの家庭菜園に利用したりもします。お父さんたちは竹炭づくりもやっています。竹炭にはいろいろな使いみちがありますが、おふろに沈めたり、やかんに入れて湯をわかしたりします。
夏になると、ときどきうちの近くの森に遊びに行きます。森の中は天然のクーラーみたいで、とても気持ちがいいです。電気のクーラーは町を暑くするけど、森のクーラーは町を涼しくします。町の近くで森があるあたりを里山というそうです。成田の里山は成田市民の大切な宝物です。持ち主の人たちを助けて、皆で協力しあって里山を手入れすればよいと思います。成田全体がきれいな自然公園のようになれば、美しい成田,住みよい成田,豊かな成田が実現できます。


編集後記:2月11日、第4回「白鳥に会いに行こう」に参加しました。300羽以上と例年になくたくさんの白鳥を観察することができましたが、見学者の多さにはびっくり。休日には1000人以上が訪れるそうです。餌付けの問題など含めていろいろと考えさせられることも多かった1日でした。      mud-skipper