ちば環境情報センター
2002.4.6 発行    ニュースレター第57号
代表:小西由希子

目次
  1. ちば環境再生計画の意見交換会の概要
  2. 佐倉のニホンアカガエルの卵塊調査
  3. サークル「風の子」の活動

ちば環境再生計画の意見交換会の概要

千葉県環境生活部環境政策課 ちば環境再生室 森 雅邦

千葉県が本年2月15日に策定した「ちば環境再生計画」について県の担当者との意見交換会を3月18日(月)18:00から「ちば環境情報センター」で開催しました。
この意見交換会は、ちば環境情報センターが呼びかけ人となって開催されたものです。
意見交換会は、県の担当者が計画の内容、基金の運営及び公募助成の考え方を説明し、それに対する質疑を行った後に、参加者が意見を発表しました。主な質疑は次のとおりでした。
(質問)基金で行う事業のほとんどが産廃の撤去で使われてしまうのか。アクションプランとして計画を立てているのに、基金事業が終わる5年後の姿が見えてこない。
(回答)県では5億円を基金に拠出する予定だが、NPOの支援などはこれをベースにする。県が対象事業を決めてそれに助成するのではなく、皆さんが必要と思うことを行動してもらいたい、それを支援していく方法を考えている。
(質問)議会ではこの問題は、どう議論されているのか。また、計画では年2回公募を行うことになっているが、年1回にして厳格な審査をすべきだ。
(回答)昨年の9月議会から今年の2月議会まで3回の議会で議論していただき、その内容が計画に盛り込まれている。事業年度に制約されずに助成するために年に2回にした。公募助成の選考は部会を設け、選考過程を情報公開していく必要があると考えている。
(質問)不法投棄された廃棄物を基金で解決するのは納得できない。募金が免罪符になったり、責任追求がゆるめられるおそれがある。
(回答)不法投棄の撤去は基金だけが行うわけではない。原因者責任が原則なので、責任者の追及、撤去の指導、24時間体制の監視、早期に発見しての指導などには県として取り組んでいく。
(質問)基金事業については、環境会計の考え方を持っていただきたい。基金事業は、政令指定都市については区別されるのか。
(回答)環境会計については、勉強させていただきたい。この事業は、政令指定都市と他の市町村の区別はない。
(意見)5年で終わらせる理由は何か。推進委員会の委員は誰が選ぶのか。委員が利益誘導することにならないか。任期については、最長年数の限度などを定めないのか。
(回答)5年で切ったのは、発展的解消などを含め制度を見直すためである。委員は、最終的には会長が委嘱するが、NPOの委員と助成制度との利害関係などがあるので原案を充分に検討するつもりだ。計画が5年なので、委員の最長も5年になるだろう。

※意見交換会は、千葉市のほか大栄町、船橋市、松戸市、我孫子市、木更津市で開催してまいりましたが、多くの意見をいただきありがとうございました。
 今後も、呼びかけ人になっていただけるNPOの方々の協力が得られる地域については、引き続き意見交換会を開催していきたいと考えております。
 なお、(財)千葉県環境財団のホームページ(http://www.ckz.jp)が開設しましたので、ちば環境再生基金の情報はこのホームページからも提供していきます。


事務局より:3月18日にちば環境情報センター事務所2階で行われた「ちば環境再生計画の意見交換会」(主催:ちば環境情報センター)には、千葉市をはじめ市原市,船橋市,八千代市,習志野市,佐倉市,成田市,八街市,市川市,柏市,我孫子市,東金市,大栄町など県内各地から34名が参加し、熱心な意見交換が行われた。
こうした会合では、ともすると、県の体制批判や計画の必要性などを問うような状況に陥りやすいが、より建設的な意見交換の場とすべく、計画自体は認めたうえで、計画の内容確認や今後どのように運営・活用していくかを議論する場とした。意見交換会では、300億円といわれる再生基金が県内の残土不法投棄の処理に使われてしまうのではないかと懸念する意見が、特に多く出されたようである。また上記以外にも、用語解説のところで里山の定義を「農山村の集落周辺に広がる森林」としてあるが、谷津田なども含めた環境とすべきでないかという要望などもあった。
県からの丁寧な説明もあり、2時間20分と予定時間をオーバーしてしまったが、質問ができなかった参加者も多かった。終了後は参加者10名ほどが事務所に残り、ちば環境再生計画の有効性や疑問点などについてさらに議論を深めた。こうした行政と市民の交流はこれからも必要不可欠で、お互いの歩み寄りの中で協働し、県内環境保全活動に反映させていくことが重要である。


佐倉のニホンアカガエルの卵塊調査(2002年谷津田調査より)

さくら・人と自然をつなぐ仲間 佐倉市 神 伴之

一昨年から佐倉市内の主だった谷津田の生物調査をやっているが、今年のアカガエルの卵塊は異常なほど激減した。昨年秋から例年になく雨がたくさん降って、今年に入ってからも雨が多くカエルの年になると期待していたのが見事に裏切られた。岩富は特に少ないが、この傾向は佐倉市全体に見られた。
【小篠塚】今年は全部で227個。昨年の966個の1/4以下とやはり少ない。
【畔田】今年483個。一昨年の1,695、去年の1,102個に比べて少ない。卵塊数のピークは2月中旬だったかもしれないが、オタマジャクシも卵塊の名残も少ない。
【岩富】今年21個。去年1,495個。一昨年682個であるから今年は激減している。
水溜りもアオミドロが増え富栄養化していることから、湧水も減少していると思われる。昨年は900個近くが干上がってしまったことが確認されているが、それにしても少ない。
【米戸】今年134個、昨年650個。全体に散らばっているが、奥のカモ池二つとも激減。時期が遅かったとも考えられるが、オタマジャクシも少ない。田んぼの卵塊は干上がる寸前。
 今年の暖冬傾向からすると、今年の調査日3月初旬以降、卵塊が増えるとは考えにくい。とするとやはり、湧き水が多く湿地がまだ残されている小篠塚や畔田はまだ被害が少ないが、同じ谷津田でも田んぼの乾田化がすすんでいる岩富や米戸は昨年、一昨年の日照りによる被害が大きいと思われる。

表.場所別卵塊数推移

場所 2002年 2001年 2000年
下志津 25 61 153
畔田 483 1,102 1,695
小篠塚 227 966 611
米戸 134 687 676
直弥 19 81 109
岩富 41 1,459 682

しかし米戸は全体に少ないのは解るとしても、常時水が溜まっているカモ池にも少ないのはどういう訳か、また、去年池堀した畔田の池はそこだけで去年110個も生んだのに、今年は池を3倍に広げたにもかかわらず、1/3以下になった。影響の及ぼし方の違いは有るが、佐倉の谷津田も危機的状態になっている。


サークル「風の子」の活動

         「風の子」代表 千葉市美浜区 坂井 法子 

「風の子」は千葉市美浜区幸町地区を中心に活動しているサークルです。2年前、未就園児とその兄弟を中心にした親子遊びのサークルとして発足しました。現在は、0歳〜小学中学年の子と親で活動しています。
 モットーが「やりたいことしかやりたくない」なので構成メンバーによって活動内容が変わってきます。けれど「子供の充実した時間を創りだしたい」という気持ちを持つ親が多いようです。       昨年3月に、近くの幸町公園で出前ネイチャーゲームをやっていただきました。「ネイチャーゲーム???」という感じで集まった親子達でしたが、いつもの公園の違う見方が新鮮だったようで、とても好評でした。ネイチャーゲームという言葉とともに、ちば環境情報センターという名前も浸透したようです。夏のセンター主催の「都川での川遊び」には、「風の子」からたくさんの親子が参加しました。
 このような野外での活動の他、昨冬には室内で「オペレッタ+パネルシアター」劇の、企画〜練習〜上演なんていうことも試みました。 親子で気軽に参加できる情報の発信、親子の楽しめるスペースづくり、が現在の活動のめざすところです。


編集後記: 今年の桜は記録的な早さで開花しました。入学式に花を添えるはずが、もう葉桜です。九州より先にヒートアイランドの東京が満開になるというのにも、違和感がありますね。南極の棚氷の崩壊など、地球の警告でしょうか。mud-skipper